2. 夕凪の街 桜の国
《ネタバレ》 ストーリーとしては原作をほぼ忠実になぞっていますが(台詞も殆どそのまま引用)、やはり原作の完成度には及ばないというのが正直な印象。原作は極力説明的な描写を排し、敢えてハッキリと描かないことで(但し目立たない伏線はあちこちに張られているので要注意)後々まで印象に残る名場面を連発していましたが、この映画版は全くその逆。説明的な台詞をダラダラならべたり、無理やり泣かせる場面にすり替えたりと、残念ながら最近の大作系邦画の悪癖をモロに受け継いだ構成となっています。特に『夕凪の街』の河原の告白~ラストあたりが原作とは全く違うモノになっていて違和感ありまくり。下駄を盗んだり死体に瓦礫を投げたりした過去の描写がないと、皆実が今を生きていることや幸せになることに否定的になることへの説得力が弱くなると思うし、皆実の最期が泣けたのは「恋人の腕の中で死んだ」からではなく「最期にはその顔さえ見えなかった」からだったからだと思うんですけど…。まぁそれが映画的解釈だといわれればそれまでですが。 ただ、原爆を扱った映画によくあるような残酷描写も少なく、割ととっかかりやすい映画だとは思います。特に子供のときに「はだしのゲン」を読んでトラウマになったような人にこそオススメかと。というか、むしろ原作をぜひ! [映画館(邦画)] 8点(2008-04-13 20:25:04)(良:1票) |