1. ゆれる
《ネタバレ》 画としてはとても見応えがあり楽しめました。ですが、脚本が少し変だと感じました。その変加減が必要以上にこの映画の謎を深めてしまっている、分かりにくくしてしまっていると感じます。 例えば、兄が洗濯物を畳みながら智恵子との関係を詮索していたシーン。兄は弟と智恵子が関係を持ったことに気づいていると、弟が思った描写に見えました。それ以前に兄と智恵子の関係を疑ってるようなカットもありましたし、「風呂はいらないか。」なんてセリフは明らかに「智恵子の家で入ってきたんだろ?」って言われてるようなもの。唐突に酒の話を持ち出したのも鎌をかけてるのが見え見え。それに対する弟の反応や意味有り気なクローズアップは「ヤバい、兄に感付かれてるかも」という心理描写にしか見えません。 終盤になり父の智恵子は酒に弱いというセリフで、兄が気づいてたことを知ったらしいですが、私としては、弟は既に分かってるもんだと思ってず~っとストーリーを追って来てるわけですから、その時点で無駄な再検証が強いられるわけです。これは解釈の幅や謎が明かされたなんてものじゃなく、無駄な誤解が原因です。誤解させる意図なんて無かったはず。誤解する方が悪いなんて到底思えない。 鑑賞中に一から心理の解釈をリセットして考え直さなければならないなんて変な映画です。リセットしなければ、終盤の弟の証言の解釈にズレが出てしまいます。これはさまざまな解釈ができるなんてものじゃありません。 また、序盤に兄は高所恐怖症だと明らかにしており、当然弟もそれを知ってるものだと思ってず~っと観てたわけですが、実際は過去のビデオテープを観て思い出したらしい。だったら鑑賞者にも弟と同じタイミングで高所恐怖症の事実を示してほしかった。弟と同じ心情で物語を追うことができてなかったことがここでも明らかになり、更なる無駄な再検証を強いられたわけです。 他にも変だと感じるカットがありましたが終わります。 [DVD(邦画)] 7点(2013-08-16 18:22:22) |