2. 夕陽のガンマン
何よりこの映画はファッションがいいですよね、脇役に至るまでとても野蛮な連中とは思えないほど(笑)見事な着こなしと小物へのこだわりだと思います。さすがイタリア人の映画といったところでしょうか。殺伐とした金の奪い合いでありながらオルゴールの音色が示すように物語の底には哀しみが流れています。大切な人がいなくなってしまった世界で自分はどう生きればいいのか、それがこの作品以降のセルジオ・レオーネ作品に通底するテーマです。モーティマー大佐(リー・ヴァン・クリーフ)もインディオ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)も本当は金のことなんてどうでもいいのです、彼らは己の欲望に突き動かされて行動しているわけではありません。金よりもずっと大事な人が死んでしまった後では賞金稼ぎも強盗稼業もすべては暇つぶしの戯れでしかなく、だからどこか大人が子どもじみた悪ふざけをやっているような感覚が付きまといます。そうした諦観があるからこそ、この映画は大人の寓話であり続けていると思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-05-25 23:41:45)(良:2票) |