1. 用心棒
三船敏郎演じる桑畑三十郎の炸裂するダンディズムにヒロイズム! エンターテイメント時代劇としては、もう文句の付けようがないほどオモシロく見応え充分な黒澤作品。三十郎の口から出るスパイスの効いた台詞がここかしこで決まり捲る。また、東野英二郎演じる居酒屋の親爺に不気味な短銃使い(仲代達矢)、加東大介演じるお馬鹿なヤクザにニセ用心棒(藤田進)、はたまた巨木のように馬鹿デカい用心棒(馬場さん似の人ネ)、人三化け七なお女郎さん達などなど脇を固めるユニークなキャラも大いに作品を盛り上げてくれた。ラスト、三十郎の放つ「あばよ! !」が心地良いほどに余韻を残す。 8点(2004-11-13 16:16:41) |
2. 妖星ゴラス
「地球最後の日」より、巨大彗星などが地球に激突するというSF映画は今までに何作かあります。この映画の良いところは、安易に核の威力で恒星そのものを爆破しようというのではなく、地球そのものを移動して激突を避けるというところです。これはムチャというより逆転の発想と受け取りたい。しかも米ソの緊張が高まる時代背景の中、国連を通じ世界がその持てる科学力を結集し、人類の危機を回避するという斬新かつ希望に満ちたテーマ性。このように強く訴えるものがあるならば、時代を感じさせなくはない演出も特撮もおおめに見てしまいます。しかし残念なのは、突如現われ基地を破壊する怪獣マグマの登場シーン。これはイタダケナイ(-2)。怪獣ブームということもあり、きっと会社のトップから出せの命令が下ったのでしょう。円谷英二氏にしてみれば心底悔しかったに違いなく、大人向けSF映画の名作となりえただけに残念な作品です。 7点(2004-06-17 11:10:03)(良:2票) |
3. 妖怪百物語
大映による「妖怪」シリーズ第1弾。「ガメラ対 …」目当てで劇場に足を運んだら、コレが併映されていたんですよね。ストーリーはと言えば、庶民を苦しめる悪代官と悪徳商人を妖怪たちが懲らしめる勧善懲悪ものなんですが、当然見どころは妖怪の登場シーン。タイトルロールからゾクゾクさせてくれたし、“土ころび”を振り出しに“大首”“から傘”“のっぺらぼう”…等々、けっこう出します見せてくれます。とりわけ、子供心に「置いてけ掘り」の話しがコワかった! ! とくに“ろくろ首”が強烈で、おねーさんを見るたびに首がにゅ~と伸びるんじゃないかとしばらくトラウマになりましたね。 7点(2003-12-25 10:18:51)(良:1票) |
4. 四谷怪談[前篇/後篇](1949)
鶴屋南北原作「四谷怪談」は数多くあるが、本作はタイトル通り監督木下恵介の独自の解釈によるもの。おどろおどろしい怪談ものとは一線を画しており、実は貧困から抜け出せない若い夫婦の哀しい物語り。悪党直助の企みにはまり、伊右衛門(上原謙)は迷いながらも出世のじゃまとなる妻・お岩(田中絹代)を毒殺してしまう。自ら犯した罪に苛まれ、次第に自滅していく女々しい男を上原謙が好演。《ネタバレ》ラスト、お岩の亡霊が現われる中、屋敷もろとも炎に包まれる伊右衛門。彼の魂は救われたのであろう。木下忠司の情感溢れる音楽も手伝い、何とも哀しい物語でした。 9点(2003-12-15 12:24:13) |
5. 夜の大捜査線
アメリカ映画史のみならず、世界映画史上に記録されるべく名作。1970年代には、テレビで本当によく繰り返し放映されていた。南部に於ける人種差別を取り上げているのはもちろんで、地方警察の捜査がいかにいい加減であるかをも見事描き切っていた。この映画では、スーツが良く似合う敏腕刑事役のシドニー・ポワチエと、彼と対照的な役を演じたロッド・スタイガーの演技が見もの。とくにスタイガー演じる横暴な警察署長が、次第に黒人刑事の捜査能力に敬意を払い、最後には友情をも芽生えるという味わい深い演技が秀逸で、今なおしっかりと記憶に残っています。ただ当時のハリウッドに於いて、スタイガーのオスカー受賞は良いとして、彼に優るとも劣らぬ演技をしたポワチエの、ノミネートすらされなかったというのは人種差別をテーマとした作品だけにちょっと残念でした。 9点(2003-07-19 23:24:40) |
6. 世にも奇妙な物語 映画の特別編
う~ん、全体的に劇団調が抜けだせず、奇妙というより珍妙な仕上がりになっているという感じがした。 製作側の「どうしても、こうなっちゃうんだよナ~」という苦笑が聞こえてきそうで、緊迫するシリアス感を出したくても出せないのが痛い …。 まぁ、最初から若い女性に的を絞って作られているみたいなので、かえって親しみを感じさせ、これで良いのかもしれないが …。 テレビ物としては上出来なんだろうが、入場料を支払う映画としてはせいぜい3、4点がいいところ。 スミマセン。レビューというより悪口みたいになっちゃって。 4点(2003-07-19 23:11:33) |
7. 世にも怪奇な物語
エドガー・アラン・ポーの短編を、仏・伊を代表する3人の監督によって映画化した3話からなるオムニバスです。3話とも独特な映像美と世界観を醸し出しており、幻想物、怪奇物が好きな方にはぜひお薦めです! ! 第1話「黒馬の哭く館」はストーリー自体が退屈なので、じゃじゃ馬役を演じているジェーン・フォンダの妖艶さばかりが記憶に残ってしまった。しかし世紀末漂う映像美は捨てがたい。第2話「影を殺した男」は個人的に気に入っている作品。サイコドラマとも受け取れる奇怪なストーリー展開と、冷酷なウィリアム・ウィルソンを演じている名優アラン・ドロンが絶品。カメラワークも特筆もの。第3話「悪魔の首飾り」は終始ひんやりした映像が秀逸で、夏の夜に見るにはピッタリの作品。後半、テレンス・スタンプ演じる主人公が、深夜の街をスポーツカーで疾走するシーンは悪夢でうなされそう。そしてラストに、あの少女が…。ゾゾゾのゾ~~。 9点(2003-07-07 14:54:08) |
8. 妖怪大戦争(1968)
懐かしいですね。劇場物では「ガメラ対○○○」と同時上映されていたはずです、たしか。この当時、漫画家の水木しげるが口火を切ったのか、子供達の間ではちょっとした妖怪ブームでした。この映画でのお気に入り妖怪は、吸血妖怪ダイモンに色仕掛けで探りを入れるものの、(たしか記憶では)返り討ちにあってしまったろくろ首のおねーさんです。やっぱり、ダイモンをやっつけた後の、日本の妖怪達が意気揚々と去って行く、幻想的な百鬼夜行のラストシーンが印象に残っています。ところでダイモンは、あの「大魔神」を演じた“目”で演技をする橋本力だったらしいですね。 7点(2003-07-05 20:44:31) |