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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  落下の解剖学 《ネタバレ》 
有罪か、無罪か? 自殺か、他殺か? そんなものはどうでも良くて、裁判によって暴かれる夫婦の拗れを中心に据えている。 親密な夫婦仲でも所詮は赤の他人。 交通事故による息子の視覚障害から始まる生活苦、作家志望の夫の嫉妬と余裕のなさ、他方では妻の成功、やがて…  ある家族の一年間を断片的に見て、分かった気になって、 エンタメとして消費しているだけでしょ?と問われている気がした。 そう考えると筋書きは至ってシンプルで下手したら何も起こらない。 勝手に期待して盛り上がっている傍聴席の我々に対するフランスらしい皮肉が効いている。
[映画館(字幕)] 6点(2024-02-23 23:59:35)(良:2票)
2.  ライオン・キング(2019)
原作のアニメ版は遠い昔に見たまま。 記憶がほとんど残ってないので比較できないがびっくりするほど原作そのままで、 ディズニーらしいポリコレが一切入ってないのは評価できる。 CGも実写とは見分けがつかない、映像の驚異的な進歩には目を見張っても、 人間社会と同じように高度な会話やミュージカルパートで皮肉にも浮いてしまった。 百獣の王という宿命故の食事事情とかどうするのよ。 無理に"実写化"する必要があったのか、それだけディズニーのネタ切れが凄まじい。
[地上波(字幕)] 5点(2023-01-02 01:18:38)
3.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
女は犯され、男は死んだ。それだけが事実。だが誰の視点で詳細が語られようが、自分の有利なように繰り広げられる"物語"がそこにあった。真相が醜悪で泥臭いものだとしても、受け取る側は好みの情報を事実として広めていく。まさに現代社会のマウンティングとファクトチェックそのものだ。最低限のセットだけで中世と感じさせる黒澤明の力量は言うまでもない。京マチ子の多重人格にも似た怪演が、男の所有物として踏み躙られてきた女という生き物が、如何に時代をしたたかに生きてきたことを印象付ける。人間の愚かさに直面しながらもそれでも世は捨てたものではないと思わせる重厚なヒューマニズムが、モノクロ画面に鮮やかに焼き付けるラストが心に残る。たとえその意見が個人から見た美談だとしても・・・
[地上波(邦画)] 7点(2020-04-16 00:45:47)
4.  ラブレス 《ネタバレ》 
「避妊すれば良かった」。  同監督の『父、帰る』同様、説明的なストーリーテリングは避け、観る者に委ねる作り。 離婚調停中の身勝手な夫妻が主人公のため、常に醒めた目線で見届ける。 愛が欲しいだけで誰かに与えようともしない。 貰っても消費してさらに欲しがる。 その病理が冷徹な映像美から伝わる。  "要らない"息子が最後まで見つからないまま時が経ち、元夫は新たな子供を邪険に扱い、 元妻は今でもSNSに依存している。 ロシアによるウクライナの問題にしても、他者への無関心が貫徹していて、 これからも己のために底なしの幸福を求めて満たされない日々を繰り返すのだろう。 その愚かさに気付くことなく、風化していく捜索チラシと枝にはためくテープが息子の存在証明として残り、 記憶とともに忘れ去られていく、その非情さがただただ虚しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-01-01 01:15:58)
5.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
"リチャード・パーカー"という海難中の飢えで喰われた乗組員の名前をトラに与えることで、最後にトラが主人公に喰われるのかと思いこませて、実はおぞましき人肉食(=現実)をカモフラージュするためのミスリードだった。ベジタリアンの主人公が極限状態ゆえに寓話として捏造しなければ、その事実に心が壊れてしまうのだろう。そう思うとトラが全編フルCGで作られた意味が強調されたといえる。トラに具現化した己との闘いだった。とは言え、バナナが海中でも浮くことが現実でも証明されているので、どこまで事実か不明瞭なところに救われる。己の中の獣性がどこで目覚めるか分からない。ヒトがヒトで居続けるための信仰が無力だとしても、その均衡によって生き残れたのかもしれない奇跡がきっと存在する。
[3D(吹替)] 8点(2018-04-23 19:20:20)
6.  ラスト、コーション 《ネタバレ》 
冒頭、麻雀に興じる女たちに象徴されるように、相手の心を如何に探り、撫で操るか。孤独と空虚を抱えた男は娘の肉体を求める。娘はそこから心を開かせて破滅へ導く。ところが愛してもいないのに、「逃げて」と言ってしまったのだろう。彼女もまた肉欲に耽るうちに、その孤独に共鳴してしまったのか。いつか訪れる終わりを拒絶した娘には、復讐が形だけのものであることに気付きながら意思が揺らいでしまい、成功後の虚無感を受け入れる覚悟はなかった。ごっこ遊びの域から出られなかった彼女ら活動家は死に、敗戦濃厚な日本を前にした男にも破滅が待っている。「肉欲を戒めよ」。ひとときの愉しみを求めてしまったために、胡蝶の夢のようにただただ虚しかった。
[DVD(字幕)] 6点(2018-04-23 19:17:38)
7.  ラッシュ/プライドと友情 《ネタバレ》 
ロン・ハワードによる実話ものはどれも手堅く良質だが、その手堅さが逆に突っ切った面白さに繋がらない。実話ものの限界と言えばそれまでだが、70年代当時のF1が危険と隣り合わせだからこそ、ラウダとハントの正反対の傲慢さが摩擦を起こす化学反応が予想の範囲内。対決の顛末を知らなかっただけに、大火傷を負ったラウダが逆転優勝せずリタイアするあたりが意外。だが、一度大きな事故を体験し、大切な女性を想っての英断であり、逆に失うものもないハントが優勝に突き進むのは当然の結果だろう。お互いにチャンプとして尊敬し、違う形で勝利を手にした二人。監督の職人芸故の物足りなさはあれど、数少ないモータースポーツものでは佳作に入るほうではなかろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2017-11-12 00:32:24)
8.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
監督の前作は未見のまま、授賞式直前に観賞。 巧みなストーリーテリングやメッセージや感動を求める映画ではない。 原色の万華鏡に彩られた'50年代のロマンティック・ミュージカルに オマージュを捧げた"ザ・エンタメ"にひたすら徹した姿勢に好感が持てる。 冒頭のハイウェイの長回しは圧巻で期待が膨らむが、中盤あたりから雲行きが怪しくなり、 もう少し短くできたのでは?と思ってしまった。 ワクワクするような鳥肌ミュージカル演出が次第に減っていったのが原因か。 エマ・ストーンの"夢追い人の歌"にしんみりしつつも、ラストで一気に挽回するかと思えば、 期待したほどの爆発力もなく、あっけなく終わった感じ。 それは主役の男女が夢を叶えた"大人"になってしまったのも大きいかもしれない。 お互いの夢は叶えたが理想の恋を成就することができなかったほろ苦さの残る甘い夢。 現実を忘れさせてくれる往年のハリウッド映画に捧げるラブレターだと思えば納得できる。 業界人ならむせび泣くほど絶賛するかもしれないが、ド素人の自分にはどうも醒めて見てしまった。 全体のメリハリのなさがこの映画の弱点。 至福感でも『シカゴ』や『アーティスト』にも劣る。 これで作品賞含む歴代最多11部門受賞タイはいくのか・・・と思いきや、まさかの作品賞落選。 納得なのか可哀想なのか、甘い夢から覚めるような結末そのものだった。
[映画館(字幕)] 6点(2017-02-28 23:33:44)
9.  ラブライブ!The School Idol Movie 《ネタバレ》 
原作テレビアニメ未見。 『映画 けいおん!』でも感じられたことだが、美少女アニオタ男子の妄想を具現化した究極のファンタジーだろう。 モブからして男性は遠景であまり映らない上、ヒロインの父親も素顔を出さないのだ。 出演声優すら100%女性という徹底ぶり。 おまけに深刻な展開になりそうなところは"無事に"スルーされ、アイドルに付きまとう負の側面は排除、 なかよしこよしな少女達の百合百合しい関係を愛でる"やさしい世界"のため、 合わない人にはある種の気持ち悪さを感じてしまうかもしれない。  圧巻は全国のスクールアイドルを巻き込んだ秋葉原のダンスシーンで、 そこに男が入る余地も陰湿さも汚物もない"地上の楽園"という様相だ(悪く言えばファシズム的な)。 テレビアニメの補完で、主要人物の描き込みは知っていること前提。 ファンタジーだと完全に割り切れないと確実に振り落とされる。 先に見ていたら、共感できたりして違う印象を持っていたかもしれないが、 別の意味での濃厚さに胸焼けして遡るにはちょっと厳しいです…
[地上波(邦画)] 4点(2017-01-05 18:07:19)
10.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
アイデアの勝利。今だったら動画サイトで嫌ほど見られる手法だが、一枚一枚のスチールに情感あり。30分で締めたのは正解で、飽きてきたところで動画を一瞬挟み込んだのは心憎い。利用されるだけ利用されて、撃たれた男の崩れ落ちる姿が、フランス映画らしいディストピア感があって目に焼きつく。
[DVD(字幕)] 5点(2015-09-06 15:49:13)
11.  LIFE!(2013) 《ネタバレ》 
スケールは大きく美しい画はあるものの普通の映画だったって印象。前半の妄想シーンはしつこすぎてイライラする。だからこそ後半の冒険が際立つけれど、「自信持てば道は開ける」というありきたりの着地点でそれ以上の大きな広がりを感じない。ひたすら自己啓発の匂いが漂い、違和感しかなかった。 最後の表紙は見せなかった方が良かった気がする。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-01-02 11:51:11)(良:1票)
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