1. リトル・ダンサー
《ネタバレ》 好きなものを好きと言うのはとても勇気のいることだ。その信念を貫くことも。なぜなら、そう表現することで、大事な人が傷ついたり、時代や場所によっては、法律で罰せられたりもするからだ。好きなものを好きと胸を張って言う事は、個人的に素晴らしいことだと思う。誰にも「嫌いになれ」と強制はできない。だが、その行為は代償と犠牲が付き纏うことを理解しなければならない。ビリーはバレエに対する燻る情熱を時々垣間見せることで、周囲を変えていく。そこはすごく好感がもてる。途中までは、父の理解が得られなかったり、オカマと間違えられたりと、ちゃんと負の側面も描かれている。しかしビリーは、オーディションが上手くいかなかったことで、こともあろうか衝動的に暴力に走る。このシーンは盛り上げの為の枷として、安易に挿入されているのだと思うが、これは全く納得がいかない。そもそも、あんな場所で暴力沙汰を起こしても合格してしまうならば(謝罪や和解や反省のシーンすらない)、「好きなことへの情熱さえあれば、何をやっても許される」ということになってしまうのではないだろうか。それならば、最後まで成長のない只の自己中心的子供なだけである。それまで許せてきた、万引きも、バレエ教師に弾みで吐いた暴言も、全く許せなくなる。結末に向かっては、結果ありきで人物を動かしただけの代物。 [DVD(字幕)] 4点(2009-05-27 21:21:21) |