1. ロンゲスト・ヤード(2005)
ガイ・リッチーの「ミーン・マシーン」と日を空けずに見てしまったため点が辛くなりました。普通のアメリカのスポーツ娯楽映画としてはまあまあだと思うのですが、そもそも何故アダム・サンドラーなのかが誰にもわかりません。アメフトはおろかスポーツ選手にも見えませんし、たしか身長178ぐらいあったと思うのですがまるで小人。バート・レイノルズを担ぎ出して来たせいではっきりと主役がボケました。「ミーン・マシーン」が人間模様を丁寧に描き出していたためか、キャラクターの粗さばかりが目立つ結果となりました。クリス・ロック、ウィリアム・フィクナーなど脇役陣は非常に良い味を出していると思いますが、アダム・サンドラーのファンとしてはやっぱりいつものメンバーの登場が欲しいところ。ブシェミやダニー・トレホあたりの「コン・エアー」メンバーで固めてくれたらかなり盛り上がれたような気がします。アダム・サンドラーという意表を突いたキャスティングで、例えになるかわかりませんが「太陽がいっぱい」と「リプリー」ぐらい良い意味で予想を裏切る斬新さを期待してしまいましたが、その期待に応えてくれたのはやっぱり「ミーン・マシーン」の方でした。「ウォーターボーイ」と併せて見ると違った意味で面白いのかも。 [DVD(字幕)] 6点(2007-04-21 02:17:08) |
2. ロスト・イン・トランスレーション
良かったです。批評家の焼き直しになっちゃうんであんまり言いたくないですが、ここまで笑いとペーソスに溢れたハリウッド映画というのはこれまでわたしが知ってる限りでもごく僅かだと思います。ただし劇場でげらげら笑い続けているのは案の定私だけでした。こわい顔してた通路の向こうの人、ごめんなさい。名刺を差し出しまくる日本人スタッフ、めちゃくちゃな上に異常に語尾を上げまくる日本人独特の英語で自信たっぷりの通訳、こわいディレクター、ニコリともしないウェイトレス、ひたすら動揺・困惑して途方に暮れるビル・マーレイ、これはオスカー獲ってもおかしくなかったと思います。ソフィア・コッポラ32歳、既に親の七光りは通り越して恐ろしい感性を発揮してます。人生の侘び寂び、若さと円熟、異国の地ならではのセンチメンタリズム、スタイリッシュでありながら決して現実を素通りして行かない鋭さは鳶から生まれた鷹かも知れないとさえ思わされます。描かれた東京、日本の風景は厳選されており無駄がなく、登場する日本人達は圧倒的にフツーです。日本ではまずウケないタイプの映画ですが、私は大爆笑し、素直にしんみりし、じーんと感動して劇場を出ました。後味の良い映画でした。これは傑作かも知れないと思います。だからビル・マーレイって凄い。 10点(2004-07-30 01:06:49)(良:2票) |
3. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
全く期待しないで観たせいか、前作よりずうっと面白く感じてしまった。前作で強調されていたファミリー映画色はかなり後退し、かなりハードなパニック映画寄りに変貌。ジェフ・ゴールドブラムのキャラが変わりすぎているとか、彼女役がジュリアン・ムーアなんてちょっとオイシすぎないか?とか、仮設施設の屋根にわざわざ瓦まで乗っているとか、恐竜しか住んでないはずの島に道があるのはなんでだ?等、ツッコミどころは山ほどあるし後半は何を観てるんだかよくわからないほどの大仕掛けな怪獣映画ぶりだが、中盤の戦争映画風仕掛けの楽しさと恐竜の子供奪回&復讐劇という単純きわまるストーリーが意外にオトナ向けと感じてしまった。私は基本的に派手で単純、おバカな映画は大好きだ。否が応でも3作目への期待が高まる。やばいかも。 9点(2004-07-20 01:52:15) |
4. ローズ
やはりこれはジャニス・ジョプリン本人とは切り離して、あくまでもその人物像にヒントを得た創作と捉えるのが筋だと思う。ジャニス本人と近しかった人々からより真実に近いジャニス像が語られ始めたのはもっとずっと後のことで、本作の作られた79年当時、ジャニスはまだ死後数年。ショックの癒えぬ関係者たち、利害関係のしがらみも消えやらぬ中、ベット・ミドラーという不世出の白人女性ヴォーカリストを主人公に話題性としてのジャニスを引き合いに出しつつ独立したロック映画を作ったと考えれば、この作品が一個の作品として非常に丁寧に作り込まれた質の高い音楽映画だということが見えて来る。もちろんジャニスは「When A Man Loves A Woman」をカバーなどしなかったし、舞台の上で倒れて死ぬこともなかった。だからこれはあくまでもファンタジー、でもこのために書かれた楽曲のクオリティの高さ、演じたベット・ミドラーの類稀なる存在感、既に当時から評価の高かったヴォーカリストとしての彼女の才能、これらを包括してなお、人々がロックスターに求める孤独と絶望の実生活を映画の中に投影することで人々のロックスター幻想を二重に描き切ったセンスは偉大。人々はロックスターに夢を求め、さらにその私生活には荒廃した無限の孤独を求める。その一方的な要求こそが「スター」ジャニス・ジョプリンを死にまで追いやったことを、まるであざ笑ってでもいるかのように。美化された孤独、美化された生涯、この映画をジャニスが観ることがあったらきっと手を叩いて笑っただろう。この映画を楽しみましょう。その瞬間、私たちは自分がジャニスに求めたものの愚かしさに気づくに違いないから。 9点(2004-02-26 23:13:52) |
5. ロビン・フッド(1991・ケビン・レイノルズ監督作品)
普通の人が「ロビン・フッド」に期待する物は決して裏切らないと思います。最近ではすっかりおとなしくなったケビン・コスナーのコスプレアクションも楽しめます。当時私はクリスチャン・スレイターにメロメロだったのでそれなりに面白く観ましたが、モーガン・フリーマンの起用はいくら人気があったからと言って設定に無理がありすぎるのではないかと思います。連れて来た以上ちゃんと見せ場も用意しなければならないし・・・という苦労がミエミエ。でもまあそれほど邪魔にならなかったところを見ると、合格点はクリアしてるのではないでしょうか。今さら掘り起こして来て観るほどの映画ではないと思いますが。 7点(2004-01-04 12:20:33) |
6. ロング・キス・グッドナイト
普通のお母ちゃんが突然ナイフ投げの名手だったりする意表の突き方が上手かった。ジーナ・デイビスの無理な変身ぶりもギリギリのところでなんとかなっていたし、監督の彼女に対する思い入れが伝わって来て泣けました。サミュエル・L・ジャクソンもこの頃はまだ無敵のタフガイではなくボケ役に徹してくれて良かったですね。アクションも派手だし、楽しめる仕掛けは一杯。あくまでも娯楽作品ですが、このぐらい楽しめれば合格と言えるのではないかと思います。私自身は目一杯楽しみました。 9点(2004-01-03 13:29:16) |
7. ロミーとミッシェルの場合
ミラ・ソルヴィーノってハーバード卒の才媛なのにいつも凄い役選んで来ますね。リサ・クドローとのコンビも絶妙でなかなか楽しめる作品でした。脇をがっちり締めたジェニーン・ギャロファロの存在感も強烈。あくまでも女性向けの映画だと思うけど、こういうシニカルなコメディが女性にもちゃんと受け入れられるようになって来たんだなあという感慨がありました。このところ女性向けの自虐的なおバカ映画が増えて来て嬉しいです。この作品はある意味先駆け的な存在かも。素晴らしい!ってほどでもないんだけど、観ていて楽しめる良くできたコメディだと思います。 8点(2003-12-30 12:24:17)(良:2票) |
8. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
これだけの登場人物に一人一人ちゃんと個性も必要性も持たせて、一本の映画として破綻なくまとめたというだけでも評価できます。歴代の群集劇の中でもかなり突出していますよね。ストーリーは複雑で、シナリオの完成度も実に高いと思います。歯切れ良く、というよりはついて行くのがやっとのスピード感で、劇場で鑑賞したからなんとかついて行けましたが、自宅で鑑賞していたら何か他のことに気を取られたが最後、危なかったと思います。おバカな人たちのおバカなコメディなんですが、独特のムードとコックニーの台詞に最初から字幕が入ってたりとか、ネタもおいしいし爽快な作品でした。これははっきり傑作だと思います。素晴らしかったです。 10点(2003-12-29 13:25:03) |
9. ロミオ&ジュリエット
おそらく世界一有名な物語の一つであろうこの作品を今さら映画化しようというのだから、これくらい新しくなければダメだろう。そういう意味では、製作側の熱意が伝わる作品ではある。まあ、これを境に一部の映画通の間のみのマイナーアイドルだったレオナルド・デカプリオが一躍メジャーな笑い者の座に踊り出たことを思えば、ある意味ターニング・ポイントと言うこともできる。笑っているけど実は英語圏の人々にはなかなか評判の高い作品であることは、この後しばらくちょっとしたシェイクスピア・ブームが到来したことからも納得できる。が、いかんせん日本ではコトバの壁が厚かった。英語がわからなければこの作品って、ちょっとズレちゃった学芸会劇でしかない。とりあえず充分話のタネにはなったと思うので、日本人としては適当に笑っちゃっていいのではないだろうか。 4点(2003-12-10 22:21:51) |
10. RONIN
これはタイトルがいけなかったですね。モチーフとして日本の武士浪人を持って来たのは、欧米人にとってはおやっ?と思わせるものだったんだろうけど。冷戦終結後にやることなくなっちゃった元諜報部員たちが、テロ組織にお金で雇われて活動しているという設定は面白かったのに、日本人はちょっと白けてしまったんじゃないかな?というのはわかる。でも謎の美女ナターシャ・マケルホーンやクセ者役者のステラン・スカルスゲールドなど、意味深なメンバーを揃えて一応謎解きのレベルも低くはなかったし、一般的な娯楽作品としては悪くなかったと思う。ロバート・デ・ニーロとジャン・レノという組み合わせがスターかくし芸映画的な雰囲気をかもし出してちょっぴり格を下げてしまった。カーチェイスは良く出来てるし、地道にCGが隠し込まれたカメラの躍動感も上手いと感じた。オリンピックウィナーのフィギュア・スケーター、カタリーナ・ビットがスケーター役で出て来るのも楽しい。好みの別れる映画だろうけど、プロっぽい人たちが名人技を見せてくれるのが大好きな私としては、かなり手放しで喜べた作品。 9点(2003-12-06 13:14:47) |
11. ロレンツォのオイル/命の詩
普通のお涙頂戴モノ、と思って見始めるとけっこう動揺するかも?な、意外性の高い闘病モノ。愛する息子がある日突然、不治の病を宣告される。いかにも普通の闘病モノなんだけど、普通だったら「限りある余生を幸せに過ごさせてあげよう」とか思って心温まる展開が期待されるところなのだが、この両親は戦うことを決意する。ニック・ノルティとスーザン・サランドンという組み合わせも熱いが、この二人が腹を決めて戦闘態勢に入ったらどうなるか。このあたりから映画は異様な盛り上がりを見せて行き、観ている側までうっかり脳の仕組みや効きそうな薬品について妙に詳しくなってしまう。親というのは何とありがたいものなのだろうと驚嘆に近い感動も与えてくれるし、最後の最後にこれが実話だと知って死ぬほどたまげてしまった。いやはや親って子供のためならここまで必死になれるんですね。これ観てしばらくは親に優しくなりました。 9点(2003-11-29 13:45:24)(良:1票) |