2. 蝋人形の館
《ネタバレ》 これまでのところダーク・キャッスル作品唯一の傑作。以下、良かったとこを列挙。■アキレス腱切り、足裏ナイフ狙い、指先ペンチ切りなどの細かなアイデアが散りばめられているのがまず素晴らしい。■つまらなくなりそうなシーンを俯瞰の1ショットで簡潔に流す、殺人シーンの省略などのリズムの良さ。■最初の殺人まで50分もかかる、という反ハリウッド的頑張り。成功してるかどうかはともかく、それは「頑張り」とか「志」とかいう言葉で賞賛してもいいかなと。■日没少し前から完全に夜となるまでを、丹念なカットの積み重ねによる1シーンで描くなどの光に対する戦略。■犯人(?)たちの過去をさりげなく小出しにしていく手際の良さ。■そして何より、クライマックスのスペクタクルが単に派手なハリウッド流ではなく、しっかりと物語の中に生きていること。■というわけで、ああ、ホラーを見るというのは「怖い」のではなく「楽しい」体験なのだ、心の底から怖かった数少ない傑作たちの陰にあって、幾分身を潜めていたかのような「楽しい」ホラーたちもまた「傑作」なのだと、改めて光を当ててしかるべきではないかと。■この「楽しさ」を存分に味合わせてくれるウエルメイドな一作。映画館で観なかったことを心底後悔した。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-15 21:27:57)(良:2票) |