2. ロッキー・ザ・ファイナル
《ネタバレ》 人生を背負った稀有な映画。ロッキー、映画人としてのスタローン、個人としてのスタローンの3つの人生が重なって映ります。30年の年月を通じて神が降臨ました。このような映画を作れるのはこの人だけでしょう。感動的です。ロッキーは「寅さん」に似てますね。時代遅れで、口ベタで馬鹿にされやすく、人情に厚い。あえてサイドストーリーを追うと。メイスンは強い王者ですが、簡単に勝ちすぎて人気がない。トレーナー曰く。「挑むんだ。逃げずに突き進むしかなくなったときが、最高の時。それを乗り越えて高みに上がる。それは世間のどんな賞賛よりも尊い」立ち向かって来る挑戦者を得て、勝利し、自尊心を取り戻しました。スパイダーはかつての対戦者。落ちぶれてタダ飯を食べ、聖書を読む人生。が、食器洗いを始めます。「俺はもう戦えない。主も働くことを望んでいる」試合の前のロッキーに聖書を朗読。「我らは既に勝利への準備ができました」。ポーリーは、懐古ばかりするロッキーに「お前は過去の住人か」と問います。仕事に生きがいを感じていますが、クビになり、荒れて「叩きのめされてもリングに戻るガッツがほしい」と嘆く。が、再就職に成功。息子ロバートは、偉大な父の息子であることに生き苦しさを感じている。人が自分を見て父を思うから。父のおかげで得た仕事も慣れません。目立つのがいやで父の試合を止めようとしますが、父に諭されます。「状況が悪くなって誰かのせいしたり、何かの影響のせいにするのは負け犬だ。人生はどんなに叩かれても前に進むしかない。試練に耐えるんだ。愛している」。仕事を辞め、父のそばにいると宣言します。リトルマリーは、かつての不良少女。今は貧しい母子家庭。ロッキーの親切を怪しみますが、その人柄に惹かれてゆき、レストランの仕事も受けます。ロッキーが弱音を吐いたとき「あなたは自分が人生を精一杯生きてるとわかっている。肝心なのはあなたがどうしたいのかということ。戦い抜くのよ」と支えます。試合前日エイドリアンの写真を渡して激励、「誰かを亡くしたものの強さを証明するのよ」。良質の脚本です。これらを言葉だけでなく、肉体で証明するのが「ロッキー」。それゆえにトレーニングで肉体改造していく場面が少ないのは残念です。観客は「がんばっている姿」を見続けたいのです。試合を単なるエキシビジョンとしたのはもっと残念。 [DVD(字幕)] 9点(2009-05-10 12:32:50)(良:1票) |