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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん 《ネタバレ》 
探求心の強いおじいちゃん子な少女が、北極点に行ったまま行方不明になった祖父とその船を探す旅路。 貼り絵のように輪郭を排した柔和な絵柄と厳しい環境で突き進むストイックさのコントラストが印象的。 クルーとの恋愛といった余計なドラマは一切なく、極限状況下の諍いがリアル。 最後までロマンチックの欠片のないハードさだからこそ、目的を果たしたサーシャの笑顔が光る。  ちなみに放映したものだと後日談を描いたいくつかの静止画とクレジット後の動画がカットされているという。 あれを載せてまでが一本の映画なのに、教育テレビは何考えているのか。
[地上波(字幕)] 5点(2023-01-02 00:57:52)
2.  羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来 《ネタバレ》 
5話構成で分割されたテレビ放送で視聴。  日本アニメの下請けで鍛えられただけあって、 道中で移り変わる中国の原風景がジブリテイストだったり、 ドラゴンボールやマーベル映画を彷彿とさせる市街戦が繰り広げられる。 キャラデザも言わなければ日本アニメと勘違いしてしまうくらいの親和性がある。 日本アニメと中華文化の良いとこ取りがプラスに働いた形だ(悪く言えば、オリジナリティは低い)。  当初、シャオヘイを家族のように受け入れたフーシーは、 その力を反逆に利用するヒールとしての側面があるが、 シャオヘイに対する愛情は本物であり、絶対的な悪ではない魅力があった。  一方、残されたシャオヘイを無理くりに連れ出し、一見ヒールに見えた執行者のムゲンも 不愛想ながらコミカルさが表れてきて、敵対関係が次第に疑似親子的な師弟関係になっていく。  シャオヘイはどちらの未来を選ぶのか。 言わば、壮大なスケールで描かれる親権争いである。  単純に映画としては面白いが、プロパガンダ的な側面が微かに感じられる。 人間と自然の共存も、執行者の設定と活躍も、 現代の中国社会ならではの、どこか後ろめたい暗喩を感じてしまう。 (そんなこと言ったら、日本のテレビ時代劇もほとんどが権力者側が主役である)。 今後、2本の劇場版が作られるがどうなっていくか注視したい。
[地上波(吹替)] 7点(2022-11-05 01:12:34)
3.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
かつて人気子役としての絶頂からの転落、そして見事な復活劇を果たしたドリュー・バリモアにとって、 母親との確執という実体験を取り入れながらもエレン・ペイジ演じる主人公に投影していた部分は大きいだろう。 真に打ち込めるものとかけがえのない仲間を手に入れた少女の物語を元気いっぱいに描き出す。 ドリューにとって本当にやりたかった人生なのかもしれない。  確かに捻りもないくらいベタで欠点も少なくないけど、特筆すべきはエンディングで、 たとえ決勝で負けてもナンバー2と誇り高く自分たちを肯定するシーンは素晴らしかった。 演じている誰もが楽しそうで見ている側にも伝わってくるのが良い。
[DVD(字幕)] 6点(2022-09-11 00:46:00)(良:1票)
4.  ローマの休日 《ネタバレ》 
昔見たものの記憶がなかったので久しぶりの視聴。 再視聴までにローマを旅行していたので、そのことを思い出しながら見ると、一際違った印象を感じた。  記者も当初は金のために王女を売るつもりだったかもしれない。 ところが次第に心変わりしていって、もう二度と会うことはないだろう切なさを秘めつつ、 一日限りの恋物語を永遠のものにさせていく過程は魔法のよう。 かけがえのない一日によって、真の王女になっていくオードリー・ヘプバーンの変化は色のない世界でも心を動かすものがあった。  それともう一つ。 チャンスをフイにしてでも、特ダネの写真を王女に渡すカメラマン、なんて良い友人なんだ。
[地上波(字幕)] 7点(2022-05-15 23:06:26)(良:2票)
5.  ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
外伝とは言え、主要キャラ全員死亡とは・・・。この手のブロックバスターでは珍しい。一見、表層的で印象に残らないキャラクターばかりで(あえて狙っているだろうが)、行動に説得力が伴わないのでのめり込めないし、恒例のドンパチにも新鮮味がなく、見慣れてしまったものばかりで高揚感もなく退屈ではある。スケールがこれほど大きく長く続けているとこうも陳腐化してしまう宿命なのかと。ただ、各EPで一瞬で殉職して退場していく多くの反乱軍の端役にもそれぞれの人生とドラマがあり、名前すら残らない末端の尊い犠牲によって結果的にEP4でのデス・スター破壊に繋がることを思うと、その悲壮感と儚さが一気に際立ち、対するダース・ベイダーの圧倒的な立ち回りをラストで堪能できたのなら、本作は成功しているのかもしれない。手の内の操れる範囲で何とかまとめたスタッフ、俳優にはお疲れさまと言いたい。
[地上波(吹替)] 5点(2019-02-21 22:57:09)(良:1票)
6.  ロストックの長い夜
1992年旧東ドイツのロストックに起きた難民襲撃事件前後を三人の視点で描く。日本ではソフト化されず、映画祭で上映されたのみだが、ネットフリックスで視聴可能な辺り、その恩恵は非常に大きい。監督のブルハン・クルバニはアフガニスタン難民の二世で、ドイツの若者として生きながらも難民としての苦難も経験しており、彼ならではの題材だろう。仕事にあぶれ鬱屈した日々を送るネオナチの青年と、保身と倫理の狭間で揺れ動きうろつくばかりの市会議員の父親、生命の危険から退去するか葛藤するベトナム難民の娘を中心に多角的に描くも、移民反対の理由にもっと踏み込まないと如何に深刻でも「嫌な事件だった」で終わってしまう。さらには終盤の"ある演出"が過剰で安直さに拍車をかける。惨状を伝える映画として、一定のトーンで描いてほしかった。無学の者が大衆迎合の意見に飲み込まれて暴走するさまはいつの時代も同じ。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-01-04 19:13:15)
7.  ROMA/ローマ 《ネタバレ》 
ガレージの床洗いで水面に写る飛行機のショットだけで只者ではない。タルコフスキーを彷彿とさせる数多の水の表現が生と死を雄弁に語り、片付けられては転がっている犬の糞がどうにもならない不条理を表現する。東洋武術に代表されるシュールな光景が暴動に繋がっていく非現実感と、父親不在の脆く崩れそうなのに何気ない日常をやりくりする家族の現実感が表裏一体で、白黒画面の奥に色が見えるようだ。不安定な家族を救ったのは、恋人に去られ死産を経験した家政婦だった。彼女なしでは今の自分はいなかったとキュアロンが語るように、社会の片隅にひっそり生きる女性が一見輝いていなくても、"家族"として認められ居場所を見つけた、その過程に言葉で表現しようのない感情が湧き上がった。すぐに拭かれる水面の飛行機が果てしなく広がる大空へ羽ばたくみたいに。(追記)期間限定で劇場公開とのことで再視聴。小さなスケールとは思わせない緻密な撮影と隅々にまで行き届いた音響効果は映画館向け。観客席はがらんどうでヒットする映画ではないが、その貴重な体験に加点せざるを得ない。
[インターネット(字幕)] 9点(2018-12-30 23:15:00)(良:1票)
8.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 《ネタバレ》 
完結編なのにどうも物足りない印象を受けるのは、合戦シーンが二つの塔の焼き直しに見えてしまったことが大きく、指輪を捨てる顛末が霞んで見える。エンディングも監督が気に入っているからかどれも捨てられず、何度も見せられるような冗長さがあった。それだけ原作への思い入れが大きいということだろう。アカデミー賞の歴史において例外中の例外で、作品賞含めての総ナメということは、それほど実写映像化不可能と言われたファンタジー小説をあらゆる制約と困難を乗り越えて、最高の完成度で応えた功績を称えての"努力賞"だと言える。他の候補作で相応しいものがなかった運の強さもあるかもしれないが、常に多くの人の支持される映画は大衆迎合か否かなのだ。合計11時間以上の3部作の完全版を見てこそ真価が発揮される。そういう意味でこの点数。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-30 23:33:41)
9.  ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 《ネタバレ》 
旅の仲間が不満だった人には「お待たせしました」と言える。3組に分かれることによって物語の単調さは避けられ、作中の世界観もより広がった。最大のハイライトは終盤の激しい籠城戦で料金の元はまず取れるくらいに迫力満点。一方、対比するようにフロドの影が薄く、案内人ゴラムとの張り詰めた三人旅で何とか持ち堪える。今作だけでも十分に面白いが、パーティーがバラバラに散らばったことで世界を救う旅をしている一体感が薄れてしまったことが個人的には一番寂しい。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-30 23:23:42)
10.  ロード・オブ・ザ・リング 《ネタバレ》 
3部作の中で一番好きなのは言うまでもなく一作目。二作目以降の盛り上がりを考えれば物足りなくもないが、3組に分かれるまで冒険している感が最も強く、ドラクエにハマった世代にしては"冒険に馴れていない"感じがあってとてもワクワクの連続だった。監督がホラー畑出身だけあり、敵側の造形といい、戦闘描写の数々といい、生々しくホラー映画に迫る勢いが児童向けファンタジーとは一線を画す。トールキンの世界観の土台がしっかりしているところが大きいが、メインキャラがしっかり立っているところも好印象。特にガンダルフの包容力とボロニアの人間臭さと弱さが魅力的。反面、メリーとピピンの違いが完結編まで分かりませんでした(苦笑)
[映画館(字幕)] 8点(2017-07-03 20:27:20)
11.  ロゼッタ 《ネタバレ》 
真っ当に生きたい。失業率が20%を超えるベルギーでは切なる願いなのだろう。キャンピングカー暮らしで身体を売る母に嫌悪しながら、ロゼッタは新しい職を探しに奔走する。辛酸を舐め切った悲壮に満ちた強い表情を常に崩すことはない。そう、ワッフルを売る青年に出会うまでは。不本意ながら彼と微かに距離を縮めつつも、不法にワッフルを売ったことを社長にバラし解雇させる。仕事にありつけるも、女としか見ていない彼への復讐で募らせていく罪悪感。そして強く硬い心が折れた瞬間、彼に曝け出した泣き顔で終わるエンドロールに何を感じるのか。ハリウッドとは対極的なタッチで現実を映し出したダルテンヌ兄弟。ラストの"フィクション"の後、決して希望があるとは限らない。それでも前に進んで可能性を信じるしかない。ぬくぬくとこの映画のレビューをしている自分がどれだけ恵まれているか実感する。生活のために働く"だけ"で素晴らしいと思えないと、過酷な現実に気が狂うだけだ。
[DVD(字幕)] 6点(2017-06-08 19:07:42)
12.  ロード・トゥ・パーディション
リアルタイムで映画館で観ており、久しぶりに再見。同じジャンルのある傑作映画を引き合いに出すつもりはないし、その映画にはそこまで思い入れがないのもあるが、ギャングものとしても家族ドラマとしても十分に楽しめた。善人役が多いトム・ハンクスがギャング役というのも新鮮で不安はあれど堅実に好演。サム・メンデスの作家性、一貫した映像美学も見逃せない。それでも観た印象が薄いのは、質が高くても前作のような新しい発見、突出したものがないことが大きいだろう。普通に良い映画止まり。
[地上波(吹替)] 7点(2017-05-01 12:03:15)
13.  六月の蛇
カラーだったら下品だし、かといってモノクロでは物足りない。 そのどちらでもない青いモノクロが、女の内なる性をエロティシズムあふれる美の世界へと解放させる。 ストーカーの顛末等、分かり辛い個所は少なくない。 それでも青い画面が閉塞感あふれる6月の東京に湿り気をもたらし、追い詰めるようにじんわり濡らしていく。 再び性に目覚めていく女が美しい、ただただ美しい。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-05 00:24:01)(良:1票)
14.  倫敦から来た男
モノクロ、長回し、スタンダードサイズの画面比率・・・ハリウッドで撮ったら30分の短編で仕上げられるノワールを、時代を逆行する映像手法で異質な芸術映画として際立たせている。隅々に行き渡る白と黒のコントラストと、静止した時間をスローに行き交うカメラワークが異世界の扉へ誘う。単に観客を無視した文芸気取りの自慰と切り捨てるか、崇高な領域に到達した名画と称えるかはその人次第だが、ここまで徹底して独創的だと強靭な映像の力で吸い寄せられる映画人が少なくないのも分かる気がする。退屈だけど、不快なものではなく酩酊感のする、そんな感じ。
[DVD(字幕)] 6点(2015-12-07 19:10:03)
15.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 
アカデミー賞発表の前日に観賞。主要人物の誰かが事故や病気で亡くなったらどうする? 主役の少年が堕落したらどうする? 12年かけて撮るという、簡単そうで撮り直しの利かないリスキーな賭けに勝ったリンクレイターの集大成。ハリポタ、iMac、初代X-BOX、大統領選、レディー・ガガとその時代を象徴するアイコンを散りばめながら、両親の離婚、母の再婚相手からの暴力、学校でのイジメ、母への反発、初恋と失恋を経験しながら成長していく主人公の姿を生々しく等身大に、丁寧に掬い取っていく。ラストの母親役のパトリシア・アークエットが全てを持っていった。息子は自分の背丈を追い抜き、今、自分の元から巣立とうとしている。あとは葬式しかない。時間は平等で同じ瞬間は二度と訪れない。それでも人生は続く。ある少年の冒険譚を見届けた万感の思いを彼女が代弁してくれた。振り返れば、一年前は何をしていたのか、あのときの知人は今どうなっているのか、何事もないように見えて、実は壮大な歴史の一ページを自分達は歩んでいるのではないだろうか。新天地へ旅立つシーンで終わった方が潔かった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-02-25 22:02:23)
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