21. ワイルド・アパッチ
《ネタバレ》 『ロンゲスト・ヤード』や『カリフォルニア・ドールズ』は熱闘とはいっても命の遣り取りではないし、『何がジェーンに起ったか』は女の映画だ。アルドリッチなら、やっぱ主役は漢だろ!とくれば(前時代的でスイマセン)、『北国の帝王』『特攻大作戦』『合衆国最後の日』とかよりは、私は本作の方が好きなのですよね(か、異色だが『飛べ!フェニックス』もかなり好き)。 アパッチVS騎兵隊という構図自体は非常に一般的な西部劇であるとも言えるが、展開は極めてリアルで深刻・シリアス全開で少し疲れる程の見応えが有る。ウルザナとマッキントッシュはいずれも、感情を表情に出さない。殺し合わざるを得ない互いの運命と、それがもたらす悲惨な現実の全てを「達観」し、目的に向かって淡々と仕事をこなしてゆく様は正に正真正銘の熟達したプロフェッショナルであり、両人とも実に格好好い。代わって怒りを前面に出してゆく若い指揮官が視聴者の感情を代弁する構図も、ありがちだが感情移入を容易にする優れたつくりだと感じる。西部劇としては文句無しに傑作の域。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-07 23:10:33) |
22. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版
レオーネ的時間感覚がもたらす荘厳な映像空間は、これを観ることである一つの人生を追体験することを可能にする。そしてそれは、確実に絶望的な程に苦かった筈なのに、それでもどこまでも、ただひたすらに甘い郷愁であった。誰の人生においても、いずれ時が何もかもを融かすのだろうか。人生は所詮、夢まぼろしか。確かにこれは、人生が終わるときに観るべき映画だ。 [インターネット(字幕)] 10点(2019-12-31 01:52:45) |
23. 私がクマにキレた理由
《ネタバレ》 この映画の主題はアメリカ上流階級の異様なライフスタイルをコキ下ろすコメディ部分にこそある。ただ、その一方で私が感じるのは、映画として本来メインにするべきヒューマンドラマ部分が非常に薄っぺらくなっており、話が正直言って全然面白くないということである。金持ちを嘲笑おうとするコメディ部分も現実離れ感が大きく(アメリカ人と我々では話の内容の受け止め方も違うし、彼らとはコメディセンスは更に異なるし)、これも腹を抱えて笑えるとまではいかないのが率直な感想で、全体的に色々とかなり物足りなく感じる。スカヨハは全盛期で、ダサい格好をしても隠し切れない色気が炸裂している(アホ旦那が手を出すのもまあ分かる)。 [インターネット(字幕)] 4点(2019-12-14 12:41:00) |
24. ワイルド・スピード/スーパーコンボ
《ネタバレ》 ちょいちょい入るハゲ二人のコミカル小芝居は至極どうでもよい出来だが、アクションは相当に高水準。打撃&体術も迫力あるし、乗り物アクションも凝ってて良いし(久しぶりだっけ?と登場したニトロ爆走にもテンションはアゲアゲ)、ラストのヘリVSトラックは独創性も衝撃度も超抜群でそれだけで元は倍ぐらい取れてると思う。加えて、ヴァネッサ・カービーちゃんは演技もルックスもアクションも三拍子揃って素晴らしくて正に会心の出来映え(『アトミック・ブロンド』のセロン姐さんに匹敵する)。イドリス・エルバも見事な存在感で魅力タップリのグッドな悪役。少し尺が長い気もするが、絶対に楽しめる。 [映画館(字幕)] 7点(2019-12-14 02:56:50) |
25. 惑星ソラリス
《ネタバレ》 独特の時間感覚と美的な画面の数々により、美術館で絵画鑑賞でもしてるかの様な感覚に陥る程に芸術性の高い作品。で在りながら、描かれるテーマはSF感を多分に纏いながらも心理的・哲学的で深い。タルコフスキーとしては『罪と罰』風なストーリーも(比較的だが)分り易く、また十分に物語としての面白さを備えており、芸術的映像表現・テーマ・ストーリーを非常に高レベルに両立させたハイクオリティな作品と言ってよいだろう。 敢えて難を言えば、確かに非常に眠くなる作品なのは否めない(都合3回目にしてようやく完走できた)。正に観る睡眠薬。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-11-21 22:27:03) |