1. 嗤う伊右衛門
《ネタバレ》 ラストシーンはお岩が憑かれた様に疾走するシーンと並ぶこの物語の最も美しいシーンではないかと思うが、それがあまりにも酷い。あそこだけは原作に忠実にやってほしかったが、只の幽霊話になっていることに辟易した。全然納得がいかない。更にはザ・ベスト・オブ・蛇足と形容したくなる現代の東京の俯瞰図への移行。そんなのいらないって、監督さん。シメはお岩の骸を抱きながら嗤う伊右衛門のカットでいいじゃない。まさに画竜点睛を欠く。もっとも目を入れる前の龍の全体像すらも舞台演劇的な大仰な台詞回しや失笑を禁じえないスプラッター描写、侘び寂びの漂わないヌードシーン、原作読了者の自分にすら理解しにくい人物相関、お岩と伊右衛門の愛情描写の物足りなさなどにより歪んだ造形となっている。映画の雰囲気がちぐはぐしている。自分の大好きな小説だったのにとても残念だ。それでも映像化不可能といわれる京極作品を映画化してくれたことはは嬉しいのでこの点数。でも蜷川作品は2度と観ない。(映画館) 5点(2004-02-27 20:53:36)(良:1票) |