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プロフィール
コメント数 349
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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1.  我が家は楽し(1951) 《ネタバレ》 
中村登監督を勝手に「松竹版成瀬己喜男」と想ってる私としては この作品、中村監督版「おかあさん(’52)」。いやこっちが早いんですよね。 昨年2023年の神保町シアター、「中村登生誕110年」特集で鑑賞。 年取ってくるとこういう幸せいっぱいのホームドラマ、弱いのよ。  個人的にこの作品のツボは、配役の妙にある気がしてる。 笠智衆/山田五十鈴/高峰秀子/佐田啓二といった、 どちらかというと心に陰のある役柄を得意としてる彼らが ストーリー上起こり得る不幸に胸を痛める演技が上手いので、 ラストの大団円にて「埴生の宿(ホーム・スウィート・ホーム)」を 泣き笑いで唄うラストが映えてくる。そしてアメリカのホームドラマを 上手く換骨奪胎した(父親笠智衆の物忘れ気質とか) 中村監督の職人ぶりもまたいいのよ、これ。  デビュー作品になった岸恵子、ここでは添え物。 ただ彼女のキャリアを考えたら、松竹/本作品のデビューは 最良のものだったのではないだろうか。 彼女の講演会で話されてて印象的だったのだけど 彼女自身当初は大学入学まで、と考えてた役者人生。 この作品で様々な才能と触れ合い、時間を共にする事で 本物の価値に出会い、本当に啓蒙を受けたんだろうな、 自分を磨く場として映画界に魅力を感じたんだろうなと 個人的には感じてしまった。  点数はこんなもんだけど、鑑賞後の気持ちよさも含めて 本当は+2点にしたい位。機会があれば是非。 ってまだDVD化してないの?がんばれ松竹
[映画館(邦画)] 7点(2024-01-21 17:49:40)
2.  ワイルド・ブリット 《ネタバレ》 
私にとってのジョン・ウー最高傑作はこれ。ところが彼の作歴上この作品は「ディア・ハンター」どころか「天国の門」ばりの失敗作で、香港人の友達曰く、一時香港映画界における『期待外れ』の代名詞だったそうな。(その珍名声はすぐウォン・カーウェイ「楽園の瑕」にとって代わられた、らしいけど)確かにこの映画はジョン・ウーにありがちな「爽快さ」から程遠い陰惨な話でラスト30分のガンファイトは、カタルシスというよりは友情の破綻・青春の輝きの終結そして人生の破滅を意図している、と観客に思わせるほどの悲壮感溢れたものになっている。ただこの作品はだからこそ一部観客に強い印象を残し、香港映画史に残る一本になり得たのだと思う。更にキャスティングが良い。レイ・チーホン、サイモン・ヤムやファニー・ユンも良いがやはりトニー・レオンとジャッキー・チュンに尽きる。チョウ・ユンファではトニーの悲しみに満ちた佇まいは演じられなかっただろうし、歌手として名の知れたジャッキー・チュンにこんな役者としてのポテンシャルがあったとは。因みに日本語吹替え版=トニー/井上和彦、ジャッキー/石丸博也、レイ/曽我部和恭、サイモン/安原義人も素晴らしい。ちょっと書きすぎたが機会が有れば。
[映画館(字幕)] 8点(2017-12-09 18:48:11)
3.  罠(1949) 《ネタバレ》 
「好きな洋画男優をあげる」という映画ファンのいつもの遊び。私にとってロバート・ライアンは絶対に入る俳優。どちらかといえば肉体派の俳優であるにも関わらず、知性があるというのか/胸に秘めた苦悩や悲しみ・狂気がちゃんと滲み出ているそのたたずまいが大好きです。「十字砲火」「危険な場所で」「拳銃の報酬」「最前線」「狼は天使の匂い」「ワイルドバンチ」皆良いが、今回はこの映画。もともとボクサー経験のあった彼ではありますがバート・ランカスターでもカーク・ダグラスも、ましてやチャールトン・ヘストンなぞはこんな陰のある、味わい深い役はできません。そしてロバート・ワイズの職人ぶりが遺憾なく発揮された名作であります。スコセッシはこの映画がお気に入りで「レイジング・ブル」にも影響を与えたフィルムだとか。ああなるほど!
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-03-25 14:59:58)
4.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱 《ネタバレ》 
私はカンフー映画のファイトシーンとミュージカル映画のペアダンスは同じ概念で考えている。つまり演者は自分の技量を思う存分発揮するだけでなくパートナーの事を考えアクション(ダンス)を一つの作品として美しく楽しく激しく演じるべきであり、それが上手く出来ていれば作品上の多少の「粗」というのは気にならないものである。点数としてはこんなもんだが、この映画はカンフー俳優としてのリー・リンチェイ最高傑作として挙げておきたい。共演者の熊さん&ドニーの力演にも助けられているとは思うが、特にドニー演じるラン提督とのカンフー・アクションはいつまでもスクリーンで堪能していたい、という程の迫力(その後の「HERO」の共演が個人的には残念であっただけに)である。香港映画には珍しくちゃんと話を回収しようとしている点(孫文の扱い・イー叔母さんへの護身術指導)も好感がもてる一本。しかし、この映画ももうすぐ制作から20年かぁ。
[映画館(字幕)] 7点(2011-06-18 09:10:08)
5.  若草の萌えるころ
個人的考えで恐縮だけど、女優ジョアンナ・シムカスで魅了されるのは「冒険者たち」のレティシアではなく、この作品のアニーの方。それは彼女の魅力が健康的な肢体ではなく、「はかなげな」雰囲気によるところが大きいからと感じている。そしてこの映画での彼女は愛する者の死に対してどう対応して良いのかわからない女性を演じ、名女優としての片鱗を見せてくれた。映画ファンにとって残念なのがこの後若くしてシドニー・ポワチエと結婚し、引退をしてしまった事。確かに汚れ役等を演じず、「きれいな」役どころで消えていった点については良かったのかもしれないが何ともいやはや。そして彼女がいなくなった後の監督アンリコの映画は好きな女性を失ったような、痛くやるせない感じを受けてしまうのは気のせいか。彼も彼女の「はかない美しさ」に好意をもっていたんだろうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-04-18 19:57:31)(良:1票)
6.  我輩はカモである
私に国際政治の本質を教えてくれた初めての教材みたいなもの。某国家の人材選びとか、政策外交というのはある意味こんなもんなのではないかと。グルーチョの毒舌もさることながら、やはり「目」ハーポと「口」チコのコンビが絶品。(お願いだから今は絶版となっている中原弓彦(小林信彦)氏の名著「マルクス兄弟の不思議な世界」を復刻してくださいよ~。)
[映画館(字幕)] 10点(2006-07-01 13:01:23)
7.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 
モンティ・パイソンの短編にペキンパーの流血描写を茶化したコメディがあり、それを見た若き日の私は「イギリス人は馬鹿だ」と本気で頭にきた事を思い出します。この人の映画の本質はやはり「時代遅れの人達への共感と古きよき時代への郷愁」ではないのでしょうか。ペキンパー自身が西部劇の黄金時代から衰退期を経た、時代遅れの生き方を余儀なくされた映画監督だったのだからその思いはひとしおです。生き残ってしまったソーントン、時流に置いてきぼりにされてなお生き続けていくことの苦しみはいかばかりか(ロバート・ライアン最高) だからこの映画で最高に輝いている場面はそういったダサい男達が見せるふとした幸せや喜びをかみ締めているシーン、メキシコの村を離れるところや銃器を強奪後に酒を飲みあい笑い会うあれだと思うのですよ。それをスローモーションの流血描写だけことさら強調して映画の情報誌によく書かれている「今のアクション映画の原点はペキンパーだ」という文章、あれはこれから映画を見る皆様、そしてペキンパーに失礼だろうがとこの映画が大好きな私は思うわけですよ。文章が雑になってきましたので頭を冷やしてきます。
[映画館(字幕)] 10点(2006-04-16 23:08:38)(良:3票)
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