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プロフィール
コメント数 617
性別 男性
自己紹介  「監督の数だけ映画が有るのではなく、観客の数だけ映画が有る」という考えでアレコレ書いています。
 洋画に関しては、なるべく字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くというスタンスです。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  私がクマにキレた理由 《ネタバレ》 
 クマ映画……ではなく、ラブコメ色の強い「子育て映画」って感じですね。   である以上、自分としては好みなジャンルのはずなのですが……  正直、かなりキツかったです。   まず、主人公のアニーに全く共感出来ないというか「嫌な女」としか思えない作りだったのが痛い。  自分に懐いてるグレイヤーを含めたⅩ家を「研究対象」扱いしてるのとか、流石に引いちゃったし「アニーが正しい、彼女は正論を言っている」っていう話の展開に、説得力が無いんですよね。  理不尽なクビを宣告された後、給料を渡された際には大人しく受け取るのも恰好悪かったし……  「僕を置いてかないで」と、追っかけてくるグレイヤーの姿を見たら、車を止めさせ抱き締めてあげるべきじゃないかって思えるんですが、彼女の場合は、ただ泣いて悲劇のヒロイン気分に浸ってるだけなんです。  本当に(どうして、こんなキャラが主人公なの?)と戸惑うくらい、魅力を感じない。  X家に対し決定的な怒りを抱くキッカケが、上述の「グレイヤーと離れ離れにされた事」ではなく「最後に受け取った給料が少なかった事」って描き方だったのにも、幻滅しちゃいましたね。  序盤にて提示された「アニー・ブラドックとは、どんな人物なのか?」という命題に対し、この映画は明確な結論を出さず「私はアニーを知った」「本当の自分を発見出来た」とか、もっともらしい事を言って誤魔化して終わるんだけど、自分としては「懐いてる子供よりも、給料を大切にしてる人物」としか思えなかったです。   こういう場合、主人公のアンチテーゼとなる人物が準主役のように描かれていれば、そちらに感情移入して楽しむ事も出来るんですけど……  本作は、それも許してくれないんですよね。  唯一それに近いポジションだったミスXは「本当にありがとう」「ごめんなさい」「何もかも貴女の御蔭よ」と手紙で伝え、主人公が全面的に正しいと認めて終わっちゃうんです。  たとえ主人公が良い人だとしても、こんな展開になったら「贔屓の引き倒し」って感じがして引いちゃうもんなのに、本作に至っては主人公が全然良い人に思えなかったんだから、違和感しかありません。    というか、最後にアニーがグレイヤーと会おうとしないのも、納得出来ないんですよね。  「いつかグレイヤーとは別れなきゃいけない」って事は示唆されていましたし「これ以上グレイヤーと会ったら、更に別れが辛くなるから」って事かも知れませんが、それって要するに「アニーは本当は子守りなんてやりたくない、大学院に行きたい」という前提ありきな訳で、結局はアニー側の都合というか、グレイヤーを大切にしていないってだけなんです。  グレイヤーがどんなに彼女を大切に思い、懐いていたとしても、エリート女学生であるアニーにとっては大学院に進む前の「一夏の出来事」「給料を貰って、雇い主を研究対象にする為のアルバイト」にしか過ぎなかったという訳で、そんな女性を主人公にされても困っちゃいます。  せめて「子守りを辞めた後も、グレイヤーに手紙を書く」とか「これ以上グレイヤーが自分に依存しないように、あえて冷たい態度を取って別れてみせる」とか、そういう展開だったなら、印象も違ってたかも知れません。   ナニーカメラの映像をミスXが事前に確認せず、いきなり皆で鑑賞するってのも不自然だったし、その映像にて「大切な家族なのよ」とか何とかアニーが説教してるけど、そういうアニーは母親に嘘ついて騙してた訳で(お前が言うな)としか思えないし……  終いには彼氏役のクリス・エヴァンスにすら、全く魅力を感じなかったというんだから、もう吃驚です。  本当に「女性にとって都合が良いだけの、理想の王子様」ってだけのキャラであり、役柄が駄目だと、どんなに好きな俳優が演じていても駄目なんだなって、彼に教えてもらったような気分。   そんな具合に、終盤のアニーよろしく悪口が止まらないというか(文句を言いたいのは、映画を観てるこっちの方だよ)って気分にさせてくれる一品なのですが……  あえて良かった所を挙げるなら  ・「メリー・ポピンズ」(1964年)をオマージュする場面で、往年の特撮を彷彿とさせる合成だったのは、クスっとした。 ・グレイヤーを演じた子役は可愛らしいし、両親に冷たくされて寂しがる姿は、胸に迫るものがあった。 ・自分ではなくアニーの方に抱き着いた我が子を見て、ショックを受けるミスXの姿など、心理描写は丁寧で上手い。   と、そのくらいになるでしょうか。   明らかに破綻してるってほど作りが拙い訳じゃないし、好きな人は好きなんでしょうけど……  自分の感性には合わない映画でした。
[DVD(吹替)] 3点(2023-05-21 16:22:26)(良:2票)
2.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
 実際に起きた悲劇をハッピーエンドに変えた映画としては「ザ・チェイス」(1994年)などの先例がありましたが、そういったジャンルの決定版とも言うべき品ですね。   何せ(これは、あの事件が元ネタなのでは?)と観客に想像させるだけでなく、思いっ切り「シャロン・テート」って人名を出しているんだから、恐れ入ります。  現実では悲痛な死を遂げた彼女を、映画の中で救ってみせた形であり、そんな「優しい作り話」を、元ネタを知らない観客でも楽しめるように仕上げてるんだから、本当に見事でした。    上述の通り「シャロン・テート」という存在ありきの内容ではあるんですが、この映画って「主人公のリックとクリフ、二人の友情の物語」としても、綺麗に成立しているんですよね。  離れ離れになってしまうかと思われた二人が「これからも、ずっと一緒だ」「友情は不滅だ」と感じさせる結末を迎えてくれるんだから、もう嬉しくって仕方無い。  作中で「兄弟以上、夫婦未満」なんて言葉が出てくるけど、事件後の描写からすると、この二人の絆は夫婦以上としか思えなかったくらいです。   ……で、ココがこの映画の上手いところなんですが、そういった「友情の映画」としての側面もあるからこそ、本作は「分かる人だけが分かれば良いという、独り善がりな映画」ではなく「色んな人が楽しめるような、立派な娯楽映画」になってるんですよね。  例の事件を知っている身であれば(良かった、シャロン・テートが殺されずに済んだ……)とホッと出来る訳だけど、知らない人からすれば、そういうカタルシスは得られ難い。  そんな弱点を補うように、誰もが理解出来る要素として「主人公二人の友情」を追加したのは、本当に上手かったと思います。     自分としては、ブラッド・ピット演じるクリフに肩入れする気持ちが強かったんですが、ディカプリオ演じるリックも魅力的だったし、二大スターの見せ場のバランスも良かったですね。  中盤でリックが見事な演技を披露し、監督や子役に称賛される場面には感動しちゃったし「落ち目の俳優が、意地を見せて業界にしがみ付く物語」としても、充分に楽しめる出来栄え。  アル・パチーノやカート・ラッセルまで出てくるし、かつての映画小僧タランティーノが「何時か、こんな映画を撮ってみたい」と夢見ていた品を、そのまま形にしたようであり、豪華な出演陣にワクワクするという以上に、ほのぼのしちゃいました。   この映画の世界では、チャールズ・マンソンが「悪のカリスマ」と持て囃される未来も訪れず「単なる犯罪者」という、至極真っ当な扱いを受けるんだろうなと思えるような、皮肉なユーモアが備わってる点も面白い。  犯人の一味が「俺は悪魔だ。悪魔の仕事をしに来た」という有名な台詞を吐いた後、クリフに倒されちゃう展開とか、実に痛快でしたからね。   ただ、ちょっとクリフが強過ぎるというか……  敵側の戦力が少な過ぎて(こんな奴ら、リックとクリフなら返り討ちにするだろ)と展開を予想出来ちゃったのは、少し残念。  映画本編の情報だけだと、彼らが事前に殺人を犯していた事も明かされていないし、クリフ達に痛めつけられる姿が、可哀想に思えてくるのも難点ですね。  この辺りは「マンソン・ファミリーが殺されて当然の連中だって事くらい、観客は分かってるはず」という、慢心のようなものがあった気がします。  もっと分かり易く「こいつらは極悪人なんだよ」と、事前に説明しておいてくれたら、より強いカタルシスを得られたかも。   恐らくは映画オリジナルの台詞で「みんな、テレビを観て育つよね」「アイ・ラブ・ルーシー以外、全部殺人の話だよ」「殺しを教えた連中を殺そう」っていう、犯行動機のようなものが語られているのも、興味深いものがありましたね。  そんな事を言ってた連中が、映画やドラマを作る側であるリック達に一蹴される展開な訳だし「テレビから影響を受けて人を殺した」と主張するような輩に「馬鹿言ってんじゃねぇよ」と、作り手側がメッセージを送ってるようにも思えました。   そんな具合に、シンプルに観ても面白いし、色々深読みしても楽しいという、贅沢な一本。  「シャロン・テート事件を扱った映画の中で、一番好き」「昔の作品をパロってみせてる、オタク気質な部分が好き」「男二人の友情映画として、凄く好き」って感じに、色んな観客の、色んな形の「好き」を受け入れてくれそうな……  懐の広い映画でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-24 07:56:40)(良:2票)
3.  私をスキーに連れてって 《ネタバレ》 
 馬場監督の映画の中では、一番バブルの匂いがする代わりに、一番完成度が低い映画って感じですね。   「あの頃の雰囲気を楽しみたい」という目的で鑑賞するならば、同監督作の中では最も適してるでしょうし、バブル期とか関係無く、純粋に物語を楽しみたいというのであれば、かなり退屈な映画になっちゃうと思います。  そもそも商業映画デビュー作なので、作りが粗いのも仕方無い話ではあるんですが……  馬場監督の映画の中で、始まって二十分ほどで(退屈だなぁ)って感じたのは本作だけですし、かなりキツい出来栄えです。   まず、根本的にストーリーが古臭いというか、ベタで王道な魅力も無いもんだから(わざわざ映画にするほどの話じゃないだろ)って思えちゃうんですよね。  主人公とヒロインの恋路にしたって、中盤でアッサリ誤解がとけて問題無く結ばれるし、新製品のお披露目イベントにしても「苦労した主人公達は結局間に合わず、別行動の仲間達が成功させた」ってオチになるもんだから、拍子抜け。  紆余曲折を経て恋が成就したとか、頑張って仕事を成功させたとか、そういうカタルシスを得られ難い作りになっており、観た後にスッキリした気持ちになれないんです。  最後に「バーンっ!」って銃を撃つ仕草で終わるのも(それ、最後まで引っ張るようなネタかな?)って微妙に思えたし、テンションが低いままで、映画の終わりを見届ける形になっちゃいました。   そんな訳で、どうしても高く評価出来ない一作なんですけど……  監督のファンとしては、それだけじゃあ寂しいので、以下は良かった点を。   まずは何と言っても、オシャレな作りなのが良かったです。  ヒロインの真っ白いスキーウェア姿は素直に可愛いなって思えましたし「冬の間恋人にするなら最高ね」なんて台詞回しも良い。  素敵な内装の山小屋で、バニーガールに給仕されたシャンペンを味わう場面なんかも、憧れちゃうものがありましたね。   真理子さんが面白おかしく話してた「矢野を好きだった女の子」の正体が、実は真理子さん自身だったと判明する件にも感心しちゃったし、話の盛り上がりという意味では、あそこがピークだったかも。  スキーを楽しむ場面も中々爽快感があったし、車やトランシーバーなどのアイテムの使い方も上手かったと思います。   そして何といっても、ユーミンの曲が魅力的。  映画作りにおいて、映像よりも音を重視しているという馬場監督らしく、全編に素敵なナンバーが散りばめられており、ミュージックビデオ的な楽しみ方も出来ちゃうんですよね。  この映画のMVPって、画面には登場していない荒井由実(松任谷由実)なのではって思えたくらいです。   後は……「メッセンジャー」(1999年)でも加山雄三を起用してる馬場監督だけど、この頃から「若大将シリーズ」へのリスペクトを感じさせるのが微笑ましいとか、そのくらいになるでしょうか。   「時代と寝た映画」って言葉がありますけど、恐らく本作も、それに当てはまるんでしょうね。  ただ、時を越えて愛されるユーミンの曲に比べると、本作に関しては「昔の恋人」って感じであり、思い出の中でこそ輝く存在じゃないかな……と、そんな風に思えました。
[DVD(邦画)] 5点(2022-10-10 17:42:45)
4.  ワイン・カントリー 《ネタバレ》 
 作中にて「私達みたいなグループを見ると、どうせすぐに喧嘩するんだろうと思いたがる」という台詞があるんですが、その台詞通りに喧嘩が始まるんだから、困っちゃいましたね。  そりゃあ「女だけのバケーション」ってテーマの時点で「喧嘩を通して、皆の絆が深まる」っていうお約束展開やるんだろうなとは思ってましたけど……  こんな開き直りみたいな演出されても、困惑するばかりです。   レストランで有名人に遭遇したり、タロット占いしてもらったりと、休暇を彩るイベントが色々用意されているんですが、そのどれもが「小ネタ」って感じで、面白みに欠けるのも困りもの。  恐らくは意図的に大きな事件を起こさず、リアルに仕上げてみせたんだと思いますが、流石にコレは山場が無さ過ぎた気がします。  「実は仕事をクビになってた」「実は乳ガンかもしれない」って仲間に告白するのも、これまた既視感のある展開で、サプライズ感が皆無でしたし……   唯一(おっ?)と思わされたのは、レズビアンの女性とウェイトレスの恋模様くらいでしたね。  てっきり結ばれるかなと予想していたもので「もっとクールな子じゃないと」という一言で振ってみせるのは、中々意外性があって良かったです。  あとは、風景が綺麗だったとか、ゲストハウスの女性オーナーは魅力的なキャラだったとか……良かった探しをするなら、そのくらいかな?   こういう「休暇」「旅行」的な映画は好きなもので、好意的に評価したいんだけど、ちょっと褒めるのが難しいですね。  そもそも本作の場合、主人公グループの関係性が「若い頃、一緒にピザ屋でバイトしてた」と台詞で語られる程度なので、根本的に絆が伝わってこないというか、情報量が少な過ぎて、感情移入出来ないんです。  終盤にて、男性の医者に対し「女性蔑視よ」と難癖つける主人公達の姿にも引いちゃったくらいだし……  どうも疎外感のある内容というか、観客の自分としては、最後まで主人公達の「仲良しグループ」の輪に入りきれなかった気がします。   この場合、そんな「仲良しグループ」の輪に入れるような人が観たら、中々楽しめたんじゃないかと思えただけに、惜しい一品でした。
[インターネット(吹替)] 5点(2020-05-21 14:31:25)(良:1票)
5.  ワンダラーズ 《ネタバレ》 
 昔に一度観たっきりで、美しい思い出となっていた本作を久々に観賞。   恰好良くスカジャンを着こなす主人公、坊主頭の敵軍団などは、日本の不良漫画「クローズ」に与えた影響も大きそうですね。  その他、劇中曲が有名なものばかりである点など、当時は分からなかった事にも色々と気が付けて、新鮮な気持ちで映画を楽しめたと思います。   ただ、思い出の中では「青春映画の傑作」という、非常に素晴らしい作品として記憶されていたのですが、今改めて観返してみると、少々退屈に感じる部分もあったりして、ちょっと残念でしたね。  主人公達はひたすら恰好良くて魅力的というイメージがあったのですが、実際は情けない場面も多いし、今一つ感情移入出来ない言動も多かったりしたのです。  記憶にも鮮烈に残っていた、導入部の「Walk Like a Man」の素晴らしさ。  そして「The Wanderer」のリズムに乗せて次々に仲間が集まり、喧嘩をしに向かう場面などは、今見ても胸躍るものがあったのですが、それと同時に(あっ、この場面の恰好良いイメージだけを憶えていたんだな……)と自分でも気が付いちゃったりして、何だか切なくなってしまいました。  序盤で如何にも大物といった感じで登場したペリーが、中盤以降は特に活躍する事も無く「個人の力も、大きな集団(=社会、時代などの象徴)の前では無力」劇中曲の歌詞通りに「鉄の拳があっても、何の役にもたたない」という描かれ方をしている辺りも、今となっては少々陳腐というか、単なる期待外れにも思えてしまいます。   それでも「ワンダラーズは永遠だ」という台詞は、やっぱり感動的だと思いますし、子供を卒業して大人になる事への不安、時代の変化と個人の成長、そして友との別れなど、映画の中で描かれた諸々に対し、今でも胸が熱くなるものがあったのは確かです。  勝手に思い出を美化していただけなのか、あるいは自分がこの映画に没頭出来る純粋さを失ってしまったのか、理由は定かではありませんが、かつての「青春映画の傑作」から「結構面白い、古き良き映画」という印象に変わってしまった形ですね。   確かな満足感と、ほんのり寂しい気持ち。  それらを同時に味わう事が出来た二時間でありました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2016-12-20 12:07:29)
6.  ワイルド・ワイルド・ウエスト 《ネタバレ》 
 スチームパンクな世界観は好みだし、真面目に作った馬鹿映画という雰囲気も決して嫌いではないのですが、今一つノリ切れず。   背景の書き割りが物凄くわざとらしい辺りなんかは、恐らく意図的な演出なのでしょうけど(普通に撮って欲しかったなぁ……)と、つい思ってしまいましたね。  女装ネタが二回続くのも食傷気味でしたし、黒人差別問題やら虐殺やらの陰鬱なネタと陽気な作風とのギャップも気になります。  何よりの問題は、折角ケネス・ブラナーが印象的なラスボスを演じてくれていたのに、彼を倒すシーンが呆気無さ過ぎた点でしょうか。  そういった基礎的な部分をキチッと仕上げてこそ、ふざけた部分の魅力も引き立つと思っているので、クライマックスの消化不良感は、実に残念。   けれど、本作独自の魅力も幾つかあって、どうにも憎めない映画でもあるのですよね。  特に巨大な蜘蛛型ロボットのインパクトは凄まじく、西部劇風の荒野を雄大な機械が闊歩していく様は、実に素晴らしい。  自動追跡首切りマシーンの原理が「磁石」という馬鹿々々しさも良かったし、それらを倒す方法が「二つを衝突させて自爆させる事」という辺りにも、王道な面白さを感じられます。  主人公コンビが二人揃ってヒロインに振られてしまい、憮然とした表情のまま、シンクロした動作で帽子を被ってみせる場面なんかも良かったですね。  紆余曲折はあったけれど、最後の最後で二人は息の合ったパートナー同士になれたのだな、という事が伝わって来て、ほのぼのとさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-24 22:29:46)
7.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
 何シーズンにも亘って描かれるTVドラマを総集編として映画化したもの……という印象を受けました。  デクスターの母親や、エマの「小説家志望」設定など、尺が足りなくて描き切れなかったと思える要素が多く、もっと長めの上映時間が欲しかったところ。   毎年の七月十五日を舞台としたラブストーリーという発想は、とても面白いと思います。  けれど、それによって互いの感情が地続きになっていないというか「ある七月十五日に仲が進展したかと思ったら、次の七月十五日にはもう曖昧な関係に戻っている」という、数分毎に一種のリセットボタンが押されているかのような印象を受けてしまったのが残念でしたね。  「とうとう二人が結ばれた夜」「突然の彼女の死」などのイベントが発生しても、その前後が直接描かれていないのが、非常にもどかしい。  こういった斬新な設定は歓迎したいところなのですが、本作に関しては「普通の時間進行で観てみたかったな」と、ついつい思ってしまいました。   アン・ハサウェイは好きな女優さんなので、彼女と二人で旅行する1992年の場面なんかは、胸がときめくものがありましたね。  この映画を観た人達と「どの年の七月十五日が一番好き?」という話題で盛り上がれたりもしそうで、そう考えると、やはり素敵な設定なのかなとも思えてきます。
[DVD(吹替)] 6点(2016-06-05 15:51:55)
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