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プロフィール
コメント数 67
性別 男性
自己紹介 琴線に触れる映画は人間としてのリアリティが描かれているかどうか。作品として大事なのは哀切さは容易に撮れるが、それが痛切であるかどうか。

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1.  我等の生涯の最良の年 《ネタバレ》 
素晴らしい脚本に素晴らしい監督による演出。勝利の方程式の王道のような映画。内容は戦後の帰還兵の社会復帰の困難な状況を描いた決して甘ったるくない題材だが、戦後一年でこのテーマをこれだけ前向きにエンターテイメントにしてしまう昔のハリウッドのすごさ。一切外連味のない正攻法な演出による教科書のような作品。3時間近い内容だが全く長さを感じず、昨今の安っぽいチンケな感動を煽る邦画とは違う静かな感動を心に響かせる豊饒な作品です。映像による心情表現の積み重ね=ドラマが映画の欠くべからざる一つの軸として挙げられるが、この点ではワイラーを超えた者はまだいないんじゃないか。みな変化球に逃げるしかない後世の者の悲惨さは同情に値する。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-01-20 20:29:02)
2.  ワールド・オブ・ライズ 《ネタバレ》 
点数が低いですねぇ。日本人ってこういう職制間の葛藤があんまりドラマとして見られないのでは?和を以って尊しとなすで組織が進む国民性ゆえか。脚本もよく練られていると思いますけどね。ハ二を出すことで、現場を知らない上司と現場であくせくする部下の単純なケンカのお話に堕さずにハ二を裏切りながらも職務を進めるフェリスの苦悩。人間的にはハニの方を尊敬しているのに。男の三角関係を作り出すことで話に深みを与えています。個人的にはマーク・ストロングははまってましたね。レバノンの諜報王国の王様感がバリバリ出ていました。いやぁ、ほんとカッコイイ。ラッセル・クロウも嫌な上司役を遺憾なく演じていましたが、キャラクター付のためだと思いますが、わざと下から上目遣いに見る演技が私にはちょっとクサく感じまたねぇー、ハイ。現地人の看護師とのロマンスは取ってつけた感がありますが、ハリウッドの作法ではまぁ、しようがないかな。映画は娯楽商品ですから、プロデューサーが入れろと言えば。最後アメリカの独善・強引に進める中東での諜報破壊活動が結局は現地の優秀な諜報機関に鼻を明かされるという結末は良かったですね。ハ二の紳士ぶりが却って凄みを感じさせて、マーク・ストロングの役作りは大成功。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-07-04 21:03:20)
3.  わたしは、ダニエル・ブレイク 《ネタバレ》 
ケン・ローチ円熟の技。社会派だけどいわゆる彼が「社会派」監督で終わらないのはちゃんと告発だけでなくドラマを撮っているから。英国の福祉制度をリアルに描いているし、役人も機械的な人もいれば人情を持った人もいることをちゃんと等しく描いている。声高に告発をしているだけでなくリアルさを徹底しているからより凄みを増す。そしてこの映画が素晴らしいのは、ダニエルとケイティ家族の交流をしっかりと描いているから。出会いから別れまでも全く自然だし、隣人の黒人青年とかの交流もリアルだし。悲惨な中で弱者同士が互いに助け合うやさしさ、心の温かさ。それと社会制度の冷酷さの対比がよりドラマ性と告発性を相互に際立ださせる構造になっている。今の日本人監督には力量的に正面切ってリアルとドラマを共存させたこういう映画は絶対撮れないと思う。人間が幼稚だから多分ファンタジーに逃げてしまうだろう。一番笑った好きな場面はダニエルが役所の壁にスプレーで落書きをしたのを誉めたおじさんの発言のところ。ああいう市井のイギリス人もマジでいそう。あと見ていて一つ思ったのは日本の行政は英国よりも優しいなということ。デジタル弱者をバッサリ切り捨てずに紙での申請をいまだに認めているからね。だからマイナンバーカードが普及しないのよね。
[地上波(字幕)] 9点(2020-09-19 21:50:28)
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