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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  クリーピー 偽りの隣人 《ネタバレ》 
へんてこりんな映画であった。いきなり画面が薄暗くなったり、ガラス越しの無関係な生徒の一人がじっとこっち見てたり、、あれらになんの意味があるのか。映画はこんなことも出来るんだよってことなのか。たぶんそうなんだろう。だがゴダールのあれやこれやと違い、映画の可能性を広げるには全くもって至らない。ならいらんよな。と思う。でもあのいかにも悪者のアジト風な部屋は許す。玄関入ってすぐ右側に階段があってそこを上がったところにあの有り得ない廊下と部屋がある。構造上でも有り得ない。でもOKなんだな、ここは。自分でもその許容範囲の線引きがよくわからんのですが、これはなぜだか良しです。『岸辺の旅』が『蛇の道』をなぞった(と思ってる)ようにこれは『CURE キュア』をなぞるのかと思ってたら、『トウキョウソナタ』だよね。生活の閉塞感から抜け出したい女の物語。小泉今日子が「誰か私を引っ張って」と誰もいない空間に手を差し出す。竹内結子は夫・西島秀俊にいくつかのサインを送るが趣味の警察ごっこに没頭してことごとくスルー。そして手を(後ろ手に!トンネルのとこね)引っ張るのが『トウキョウソナタ』で引っ張り上げなかった香川照之というのが面白い。もっと言うと『叫』『大いなる幻影』にも共通する「私をちゃんと見て」というテーマの源流は西島秀俊主演『ニンゲン合格』なのである。というのは置いといて、この映画、喜劇ですよね。冒頭の後ろ向けるかで向けるよって向いて刺されるとか、あと最大の山場の西島が香川を追い詰めかけてどんでん返しくらうとことか。お前は自分からは撃たないって西島が言うんだけど我々観客は撃ってる姿見てるもんだからドキドキする。冒頭の心理学の読みの失敗もあるからドキドキする。そこであの足のすくい方はなかなかの喜劇ですよ。その後のスクリーン・プロセスはヒッチコック『鳥』のラストシーンを彷彿させてここで終わってもいい。でも終わらない。喜劇だから。最後の拳銃渡して撃たれるって最高にベタな展開で終わりです。でも終わらない。ここで絶叫です。喜劇を台無しにする絶叫。ただこの絶叫、映画を一段上へ押し上げちゃってます。『接吻』って映画が『接吻』であるようにこれも『絶叫』にすればいいのにってくらい凄いシーン。ま、要するにへんてこりんな映画でした。でも支持します。
[映画館(邦画)] 7点(2016-06-30 17:33:28)
2.  パシフィック・リム
ロボットと怪獣の戦う様に郷愁を感じながら盛り上がるのは大いに結構なことだと思うしよく理解できる。が、日本中がギルレモ・デル・トロ、ありがとう的な言説に塗れていることに違和感を覚える。この作品を見る限り、監督が日本のアニメや怪獣ものを特に偏愛しているようには思えない。そのプロットを使っているだけ。オタクでもなんでもない。KAIJUとかだれそれに捧ぐとかに過剰に反応しすぎだと思う。ただ、この人は世界中のクリーチャー・モンスターものをたくさん見ている。これまでの作品を見ればその異形の者への偏愛ぶりからもよくわかる。前作『パンズ・ラビリンス』が『ミツバチのささやき』をなぞっているのもそこに『フランケンシュタイン』が入っているからかもしれない。たしかデルトロ監督のマイベストにコクトーの『美女と野獣』やムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』が入ってたようにも記憶しいている。そういう意味ではもうちょっとカイジュウに畏怖するものが欲しかったように思う。この作品でのギルレモ・デル・トロらしさは異界に通じる出入り口があるという物語の破綻を防ぐ便利アイテムがあるぐらいか。お金をかけた大作ゆえか、とにかく美術を含めた演出に「らしさ」がないのが不満。何が映ってんだかなバトルアクションは不満を通り越して不快。
[映画館(字幕)] 4点(2013-09-05 16:49:03)(良:3票)
3.  風立ちぬ(2013)
ユーミンの歌とリンクする感動的な予告編から勝手に想像したものとは違い勝手に戸惑ってしまったのだが、戸惑いの原因はわかっている。「死」が描かれないからだ。盛り上がるべきシーンとしてこの物語に必ずあるはずの「死」が。その昔、宮崎駿は安易に感動を得るためだけに登場人物を死なせる手塚治虫を批判したことがあるが、その自らの発言を全うしたということか。頑固だなあ。その手塚氏と同調している「近代化が破壊を生む」というモダニズムの矛盾というテーマもここにきてもぶれない。頑固です。そして何よりもアニメーションの原点ともいえる画の動きに対する拘りがぶれない。昨今のアニメはディテールに拘りすぎて動きを蔑ろにする傾向にある。息子の吾郎にしたってたとえば背景でしかない草花を丁寧に描くことに拘っている。駿は草は意外と緑をべたーっと塗っている。そこに草があることがわかればいいのだ。その緑に光の白と影の黒の線をさーっと動かせば風が描かれる。動いてこそのアニメーション。汽車がダイナミックに走る。人が滑稽に転がる。紙飛行機が颯爽と飛ぶ。地震の波動が不気味に迫る。アニメーション、かくあるべし!!だと思う。 ディテールや物語に逃げるな!と駿は言っている。ような気がする。
[映画館(邦画)] 7点(2013-09-05 11:57:29)(良:1票)
4.  孤独な天使たち 《ネタバレ》 
冒頭の母に対する息子のいかがわしい言動に、おいおい『ルナ』の焼き直しかよと。母が運転する車に息子が乗ってる図やその背景からも『ルナ』をなぞってる。が、腹違いのお姉ちゃん登場で、ありゃ?今度は『ドリーマーズ』ですかと。といった具合にベルトルッチは過去の自身の作品を想起させる人物設定でもって観客を戸惑わせる。まだそこにいるのかと。久しぶりの再会だというのに何も変わらんのかと。しかしこの映画、センセーショナルな性描写もなければどこかの国の革命やら戦争やらが背景に潜むこともない。むしろ何も起こらない物語なのだ。ベルトルッチなのに。なのに面白いこれ如何に。他者との接触を拒み続ける少年の内側に姉という遺物が混入する。強い姉ゆえに拒めず、そして弱い姉ゆえに守ってゆく。その心理の移ろいの妙。地下室から度々出ざるを得ないときの冒険譚。デビッド・ボウイをバックに歌い踊るシーンの「映画的」としかいえないような現実離れした感動のシーン。物語的には何も起こらない数日ではあるが少年の人生にとっては決定的な数日となる。それを証明するのが今まで見せたことがない表情を切り取るラストカット。『大人は判ってくれない』(トリュフォー)と同じ手法だ。たぶんこれ以上に雄弁なラストシーンはない。
[映画館(字幕)] 8点(2013-06-06 17:39:22)
5.  愛、アムール 《ネタバレ》 
奥さんの昔の教え子のピアノコンサートへと出向くところから始まる。というわけで前半はとくにクラシック音楽がよく耳に飛び込んでくることとなる。しかし悲しいかな常に音楽は無残にも途中でぶつりと打ち消される。出来の悪い監督がしかねない編集だ。しかしどうもハネケはわざとしているようである。そのことを強調しているシーンが奥さんが教え子のCDをすぐにストップさせるシーンだ。なるほど、過酷な現実の前ではしょせん娯楽にすぎない音楽ないしは芸術というものは必要ないのだ。芸術の敗北を描くための過酷な現実のあれこれだったのか。映画監督が芸術の敗北描いてどーすんの。と思ったら老夫婦のある意味真っ当であるといえる衝撃の結末を見て、いやこれは芸術の敗北ではなく、芸術を愛せない、芸術を必要としない、芸術が理解できない、そうなったらもう生きる価値がない、生かす意味がない、そんな辛辣な思想をもって「人とは」「芸術とは」に迫っているのかなと思いなおした。ハネケらしい厳しい視点だと思ったが実際のところは知らん。エンディングロールに音楽は流れない。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-14 15:54:03)(良:1票)
6.  横道世之介
映画鑑賞後、なんとも言えぬ幸福感を感じた。その原因は物語ではなくおそらくはあまりに初々しく瑞々しい高良&吉高にある。ハンバーガーショップでの二人のやり取り中にけらけらと笑う吉高の頭に絶妙なタイミングで帽子が落ちてくる。監督はNGとせずにそのまま演技をさせる。ほとんど奇跡的な瑞々しさの発露はこういった撮影方法によって作り出されている。80年代のヘンテコな風俗描写がしつこいとか兄のキャラクターが大袈裟に過ぎるとかいらぬエピソードがあるとかといったマイナスはこの映画の場合、もうどうでもよい。また、兄の部屋を映し出す抜群のカメラワークだとか主人公の部屋の奥行きのある構図だとかといったプラス面ですらこの映画の場合はどうでもよい。ただひたすらこの奇跡の瑞々しさをにやつきながら賞賛するのみである。あきらかにオフレコの雪のシーンは見てるこちらがこっ恥ずかしかったが。
[映画館(邦画)] 7点(2013-03-13 14:29:30)
7.  アウトロー(2012)
トム・クルーズが主役ならばもうそれだけで映画なのだから見て損はないはず。実際見てみて満足したわけだが、どこか腑に落ちないというか手放しに絶賛できないモヤモヤ感が残ったのも事実。例えばカーアクションは楽しかったけど物語上ではいらんよなとか、女弁護士や老助っ人のささやかなユーモアはわりに気に入っているんだけど物語からは浮いてるよなとか、戦いの火蓋を切る合図の雨がベタすぎて笑っちゃったのだが、そのうえ最後は武器捨てて殴りあいとかお約束すぎて呆れたのだが、もちろん気に入っているんだけど、なんかやっぱり物語を被う雰囲気からするとちょっと違うよなとか。で、後になって気付いた。ハードボイルドと甘いマスクのトム・クルーズがそもそも合わないのだ。たぶん。合わせるために原作にはないカーアクションを入れたり女と助っ人がしっかりヒーローを際立たせる役を担ったりして、つまりトムに合わないだろうハードボイルドにヒーロー映画を加味することでトムが活きるようにしているのだ。たぶん。だからちょっと変なのだ。でもトムはしっかり活きている。そこが一番重要なのだ。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-12 15:53:31)(良:2票)
8.  悪の教典 《ネタバレ》 
これの文庫本のあとがきを三池監督が書いてるんだけど、そこでハスミンのさらなる活躍を見たいと続編を要望している。で、この映画の最後に「to be continued」って。これも貴志祐介へのメッセージなんだろうな。おもろいなあ。さて、映画。最初、ハスミンを伊藤英明ってどうよ、と思ってたんだけど納得。傍目には良い先生であることのエピソードをいちいち描かなくてもこれまで善良な役しか演ってないというこちらの固定概念も含めて「顔」ひとつで表現しちゃってる。エクセレント!原作から何人かの登場人物、いくつかのエピソードをバッサリ切り捨てているのも潔い。要は生徒を殺しまくるクライマックスさえ見せればよい、そこにいくまでの最低限の辻褄さえ合えばよい、そんな感じ。ニューヨーク時代を夢で回想するシーンが全く要らないのだけど、ここは既に売られている「悪の教典 序章」DVDへと誘うために必要なシーンなのでしょう。ある程度商売に徹した作品なのは三池のわりにはえぐくない殺しのシーンを見ても解かる。それでも残酷なシーンになればなるほど活き活きとしているのは三池ならでは。もう端折って端折って実に小気味良い。何故皆殺しなのか。原作では心の声が説明するのだが映画では生徒が尋ねても何も語らずただ淡々と殺しまくる。そしてそのときのハスミンはどこかセクシー。三池のハスミンへの偏愛を感じた。
[映画館(邦画)] 6点(2012-11-12 14:28:14)(良:1票)
9.  アウトレイジ(2010)
実は傑作だと思う反面物足りなさも感じていた。このたび続編を見てその足りないものの正体がわかった気がする。お話はほぼ喜劇といっていい。オープニングシーンのかっこよさとは裏腹に。自分より弱いやつにはとことん威勢がよく、強い者の前では小さくなる。大袈裟なまでに。ヤクザ社会を喜劇に仕立てエンターテイメントとして見せる。さらにバカヤローコノヤローと怒涛の突っ込み漫才。セリフが途切れない暴力的なまでの編集が素晴らしい。そして要所要所でかつての北野武の映画のような無常感が襲い掛かろうとする。が、そこですかす。続編はそこがもっと顕著なのでわかったんだけど、要するに、なーんか面白いのに熱くなれない的なモヤモヤの正体はこのスカシにあったのだ。そこはもしかしたら評価するべきところなのかもしれない。お話ではなく演出の妙を見よってことなのかもしれない。単に恥ずかしがってすかしてるだけかもしれないけどそれにしたってお話に従属しないってことは私が映画に求めていたことでもあるわけで。にもかかわらず物足りなさを感じてしまった身勝手な私をお許しください。
[映画館(邦画)] 7点(2012-10-30 14:26:25)
10.  戦火の馬 《ネタバレ》 
冒頭、広大なアイルランドの風景が映し出される。この映画が「馬の映画」であることもふまえれば当然のようにジョン・フォードが頭によぎる。しかし一向に(あきらかな)フォードらしい画や(あきらかな)フォード的展開は見当たらない。と思っていたら高地の荒地を耕す様に、おぉ『ヨーク軍曹』(ハワード・ホークス)だ!と。その後のフランス戦線の風景までもがそっくりだ。馬(ロバ)を買い戻すなんて件もあったりと、えらく『ヨーク軍曹』との共通点が多いのはやはりオマージュと考えていいように思う。そう考えると動物をからめたコミカルなシーン(少女の馬調教シーンやアヒルの攻撃)も少女がじゃじゃ馬なのもいかにもホークスだ。と、書いておきながらこの映画で真っ先に想起したのはディズニーの実写動物映画『三匹荒野をゆく』だったりする。動物が人のように思考し行動する様は往年のディズニー映画そのものだ。波乱万丈な馬の生涯の中で出会う様々な人物たちがわかりやすく顔が大写しにされることからも子供にも受け入れられる大衆映画たらんとしていることが伺われる。大人にとってはやや感動の押し売りが気になるも、映画ってそもそもそういうもんじゃんって気がしないでもない。ラストシーンは人間を見つめる馬の顔。母馬から引き離された馬はオレンジの空をバックに人間たちが見せる家族の絆をどう思って見つめているのだろう。と、大人思考で感慨にふけってみる。
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-18 17:21:27)(良:1票)
11.  クロエ(2009) 《ネタバレ》 
アトム・エゴヤンは「愛する者の死」と向き合う人々を描き続けてきた作家である。この作品はそのテーマからやや遠のくものの感動的なラストカットはやはりそこに行き着いているようにも思えます。また、日本未公開作品については未見のため断言できませんが、アメリカ資本が入った『秘密のかけら』以降は「虚実」もまた重要なテーマとしているのかもしれません。相変わらずこの監督の物語構成に必要不可欠な回想シーンと必要以上に鏡を使った演出が物語をミステリアスにしてゆきます。女二人が密会するカフェやバーのシーンは本当に美しく、窓外の光、室内の照明、さらに画面手前の二人がいるところの照明とそれぞれ異なる光を一度に見せてしまう奥行きのある画づらにはやられました。窓の外に見える雪がその後の運命のずっこけを起こさせるという構成にも唸らされます。物語がどっちに転ぶの?そっちかよ!という展開にどうでもしてみたい監督の毎度のこだわり(?)が若干曲者ですが、今作は大筋が至ってシンプルなこともあってその展開自体も大いに楽しめました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-28 14:57:36)(良:3票)
12.  ダークナイト ライジング
前作のレビューで予言したとおりの作品。まだ言うか!まだしゃべるか!それを!って映画。呆れるのを通り越して感心する。漫画で止まってる画(画だから当然動かない)に長々と説明セリフの大きなフキダシがあるのと同じで延々しゃべっとる。画が動くことで映画になるってのにそこには向かわないみたい、ノーランさんは。今回の悪者ベイルが予告編のほうがはるかに怖かったのは予告編ではしゃべらなかったからに他ならない。まあ、そもそも怖がらせようとも思っとらんのだろうが。後半のクライマックスたるクロスカッティングをここもまさに漫画のように時間を引き延ばし(あるいは戻り)ながらドラマに終始することで全く盛り上がらないものに仕上げているのもおそらくは意図的なものなのだろう。映画的な高揚感よりもドラマを重視しているのだ。ラストに観客が見たいだろう画を用意してくれているのはなかなかに良かったのだが、『ボーン・アルティメイタム』のそれと比べるとやっぱりここも冗長だったかな。良かったのは前作は暗すぎてよくわからなかったバイクのドリフト時のタイヤの動きがかっこよかったのとバイクに乗ったキャットウーマンのお尻がキュートだったこと。
[映画館(字幕)] 5点(2012-08-17 16:14:44)(良:1票)
13.  激動の昭和史 沖縄決戦
死にまくりすぎて感覚が麻痺してしまう。実際、それほどに死にまくったんだからしょうがないのだけど。うーん、なんだろう、痛快なまでの悲惨のオンパレードで、一つ一つが強烈な上に見せ方が派手なのでどこか作り話っぽく見えてしまうのだと思う。喜八節とも言えるアップテンポな展開にも一因がある。沖縄の民間人たちが殺される様を娯楽テイストで鑑賞することに対する拒否反応と言ったら言いすぎか、どこかこのいけいけどんどんに乗り切れない。しかし怒りはじゅうぶん伝わった。
[映画館(邦画)] 6点(2011-12-22 16:17:54)
14.  秒速5センチメートル(2007)
内容知らずに見たのだが、えらいこっぱずかしいもん見てもうた。なるほど共感というか郷愁は感じなくもない。男って引きずるよなって。しかも自分ではうじうじとは思ってなくて、どこかナル入ってて。青いのを大人になっても引っぱってて。あーやだやだ。こんなの静かにキレイにまとめんなよ。と思うのは自分の青さへの苛立ちか。電車が何時間も立ち往生しちゃうって所はなかなかドキドキする場面なのだが、画面がドキドキさせているわけではない。それは単に私がそういう過去を持ってるからに過ぎないのだろう。今ならケータイですぐ連絡着くもんなーと思いながら見た。種子島のファンタジーな空は良かった。
[DVD(邦画)] 4点(2011-12-21 13:34:19)
15.  美しい夏キリシマ
最初のほうでいきなり萎えたのが照明。屋根からぶらさがる電球や部屋の電気スタンドといった魅力的な光源を無視したライティングが気に入らない。と思って見てたら途中からいい感じになってきた。昼間の太陽の光の加減がすごくいい。夜の人工的な光がダメってことだったのだろうか。この照明ひとつでずいぶん印象も変わるのにもったいない。会話の切れ目のカッティングが面白かった。「戦争」をまじめに描くとなるとどうしても色々なエピソードが必要で、それゆえにどうしても散漫になってしまい、さらには退屈になってくる。この映画はその退屈さを小田エリカの純真な輝きでもってなんとか乗り越えようとし、大方成功しているように思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-12-20 15:24:54)
16.  22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語
「この世代の人たちはこういう人たち」という決め付けが気に入らない。そのうえそのことを登場人物の口から言わせる不自然なセリフ群が気持ち悪い。おそらくは確信犯なんだろうけど、いったいこの朗読会のような演出になんの意味があるのか。どうもこの監督とは合わない。セメントの元となる白い山がでーんと表れる画はなかなか壮観。これが撮りたかっただけなんじゃないかってくらい。
[DVD(邦画)] 2点(2011-12-19 15:16:45)
17.  緋牡丹博徒 二代目襲名
この4作目までは作品ごとに監督が違うのでそれぞれの演出スタイルの違いを見るのも楽しみの一つなんだけど、この「二代目襲名」は演出スタイルの差が一番激しく表れている作品だと思います。様式美を生み出すセットではなく屋外ロケを多用しているのが一番大きく、そのせいもあって「緋牡丹のお竜」というキャラクターがいっそう現実味を帯びています。お話自体も他作品と異にするところがある。常に旅人であったのに対し今回は地元が舞台だから。いつもよその揉め事におしとやかに首を突っ込むお竜さんが今回は自分自身が揉め事の真ん中にいる。いつも自分の身のためにならんことに仁義を尽くしてまわりから惚れられるお竜さんが今回は親分としてその責務を全うする姿をもって惚れられる。より「お竜」が生々しくなる。それでもどんな演出の元でも「緋牡丹のお竜」というキャラクターに動じることのない確固たるものがあるのは富士純子その人によるところが大きいのかもしれない。口上だけでなくちゃんと「矢野組二代目」としてのお竜さんがいるこの作品はシリーズになくてはならない作品だと思う。
[映画館(邦画)] 6点(2011-12-16 14:19:59)
18.  鯨神
いったい何を目指したのか。お話は文芸作品で新藤兼人の脚本はそれなりに文芸色を打ち出しているようにも思えるが田中徳三監督は主役そっちのけで勝新の野蛮な立ち振る舞いをカメラに収めようとしているふうで文芸作品というよりもアクション映画のノリ。そこに伊福部昭の音楽と巨大鯨という怪獣映画の組み合わせ。なんともチグハグな作品だ。クライマックスの死闘とその後の主人公の神々しいモノローグシーンの繋がらなさがチグハグの最たる部分。アクションと怪獣と田中徳三の相性はけして悪くはないから新藤兼人に書かせたのが間違いなのだろう。あるいは監督と音楽を変えるか。
[映画館(邦画)] 5点(2011-12-15 16:35:12)
19.  張込み(1958) 《ネタバレ》 
せっせと主婦をするだけの女を観察するだけの前半が意外に退屈でないのは若い刑事の自らの結婚に関する思索が常にリンクしているからだろう。そしてもうひとつ。その女が高峰秀子だからだ。覇気のない女がどこかでごろっと変わるはずだと思わせるのは高峰秀子の力だ。そしてその変貌を見せることを予告する雨という演出に嬉しくなった。『浮雲』を想起させる雨だ。ここから物語は大きく動くのだが、ここからの尾行シーンが冗長。張り込みシーン同様にリアルを演出し小さなドラマを差し込むことで「尾行」そのものをドラマにしてしまう演出が少々くどい。それでも女をさらけ出す高峰秀子、その後現実に引き戻される高峰秀子の姿は美しかった。この手の映画に多いモノローグによる説明が足をひっぱる。
[DVD(邦画)] 6点(2011-12-14 13:50:58)
20.  狂い咲きサンダーロード
山田辰夫の声が耳障りで鬱陶しく、山田辰夫の顔がかっこよくなく、山田辰夫の体が弱そうで、どうにもこうにもムリありすぎ、と思いながらもこっちのイメージとか気持ちとか完全無視で突っ走る。小林稔侍のホモ右翼という強烈なキャラ登場で一気にカルト映画へと昇華。山田辰夫はそれでもひたすら突っ走る。突っ走りすぎた先に終盤のぶっ飛んだ展開となる。この展開、最初から用意されてたんだろうか。それとも本当に勢いが勢いを呼んでこうなっちゃったんだろうか。とにかく凄すぎて笑う。どこにもお伺いたてる必要のない卒業制作だからこんなの作れたのかも。
[DVD(邦画)] 6点(2011-12-13 15:12:15)
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