1. インキーパーズ
《ネタバレ》 冒頭から中盤まではホラーと言ってもコメディ・ホラー?というライトなテイスト。今や霊媒師の往年の有名女優が登場したあたりから少々方向性が変わり始め、どう見ても死亡フラグの立ってる老人の登場でリアル・ホラーに進路決定、そして終盤のまさかの展開へ。 ユニークな作りと言えるでしょうね。サラ・パクストンさんのキュートさと突然の悲報が作品全体の流れを作ってるという感じ。このままコメディ・ホラー?とある意味安心してサラのキュートさを楽しんでいたら思いっきり蹴っ飛ばされて終わる感じです。作り手の狙いはそこなんでしょうね。決して遊び半分に幽霊探しや心霊スポットに行ってはいけません!というユーチューバーとかに向けた警鐘ではないようです。 評価は難しいですね。純粋にホラーとして観れば、ありふれたストーリー&事の真偽は放りっぱなしという決して褒められない作品。コメディ・ホラーとして観れば、まさにヒロイン然としたクレアをあっさり殺し過ぎ。その後のルークの沈痛な表情も興覚め感しか呼び起こさない。冒頭から中盤までのダラダラ感もよろしくないです。 サラ・パクストンさんの魅力に+1点としても限りなく5点の6点献上かな?という感じでした。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-26 23:54:55)《新規》 |
2. ザ・ハント(2020)
《ネタバレ》 それほど多くのレビュー数とも思えませんが、良くも悪くも既に皆さんに書き尽くされている感がありますね。社会風刺エッセンス付きブラックコメディテイストのホラー作品とでも言いましょうか、私は大いに気に入りました。 何となく最近メジャーなヒット作で見かけたような冒頭の主人公らしき人物の連続頓死模様。(どっちの作品が先だったかよく分かりませんが)これで一気に惹き付けられました。グロさもある程度デフォルメされていてキモさはなし。(個人的耐性があるだけかも)鉄条網を越えて逃げ込んだGSの善良そうな老夫婦も予想通り追う側。そしてまたもや主人公かもの一行は頓死。突如登場するヒロイン感イマイチなヒロイン。何故か無敵、何故かハイスキル。云々。書き続けると長々としたネタバレあらすじになりそうなので後は自粛します。 兎にも角にも切れ味鋭いぶっ飛んだと言うか吹っ切れたサバイバルアクションは最高ですね。ヒロインらしからぬヒロインの無敵さ加減も良好。表情がいい!躊躇も後悔も感じさせられない見事な顔芸。勿論この状況を楽しんでもいない。恐るべき自己客体視。気に入りました。ラスボスのヒラリーさんが霞むぐらいの存在感ですね。プロフィールがアフガン従軍経験ありのレンタカー店員としか明かされないあたりも潔し! 勿論、これがありがちなハント&サバイバルホラーだったらここまで面白くはなかったでしょう。中途半端感は否めないながらも米国内の二極化の縮図みたいな時事ネタを無造作にふりかけたからこその変則的な感情移入性。どっちにも肩入れしたくなりそうな展開。中途半端にふりかけているからこその味わいがあります。丸投げではない程度に観る者に投げつけて来る感じ。これもいいです。 さり気なく回収しているシャンパンネタやキャビアネタもお茶目なレベルで好印象。願わくば、個人的にはキャビアを口にしたCAが苦しんだりして実はキャビアには毒が入っていて、毒を入れたのは主催者側の反乱分子だったりとかもうひとひねりラストに加えたらとか思ったりもしましたがやっぱ蛇足かな? [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-25 10:30:44)《新規》 |
3. キャドー湖の失踪
《ネタバレ》 なんとも複雑怪奇なタイプリープ・サスペンス・スリラー。と言いたいところですが、相関図を書いてみると意外とシンプルでした。 予備知識なしで鑑賞したため、アンナの行方不明の理由は一体何?まさかのエイリアンアブダクション?だとしたら既視感あり過ぎて興覚めかも、などと考えながら観ていました。 当たらずしも遠からず、と言いましょうか、結局はSFテイスト。ただし、登場人物の関係性には程良くサプライズ感があり、多少の矛盾を感じつつも好感を持って観終えることが出来ました。バミューダトライアングルに代表されるようなミステリースポットの怪異をかなりミニマムに描いたという感じでしょうか。そこに家族の物語が上手く溶け込んでいます。 時を超え今再び時間を共有した父娘を待っていたのは父の死の衝撃。それを契機とするかの如く時空を繋ぐ特別な空間は閉ざされ、ワニの体と同じように文字通りの頼みの綱は切断されてしまう。しかし、それは同時にエリーの新しい家族を強く結びつける。思えば母娘の反目もまた、時空の歪みがもたらしたものだったのかも知れませんね。 良く練られた脚本とそれを生かす見応えのある演出に8点献上します。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-24 21:11:41)《新規》 |
4. 奇妙な扉
《ネタバレ》 1951年という時代を考えれば、かなりアグレッシブで先鋭的な作品ですね。アクションシーンなどは流石に近年の作品と比べればリアリティ的に物足りなさを感じないこともありませんが、作品全体を覆う不気味で不穏な空気がそんなことを忘れさせてくれます。クライマックスの地下牢の壁が迫り来るシーンは、まさに手に汗握る緊迫感。見入ってしまいました。 ある意味ビックリ箱的と言うか奇をてらいがちな近年のホラー作品も魅力的ではありますが、古のホラーやサスペンスにはある種の芸術性を感じさせてくれる魅力があります。ヒーローとヒロインが恋に落ちるのがあまりにスピーディというあたりが気にはなりますが、尺を考えれば止むなしと言ったところでしょうか? 予備知識もなくたまたま見つけた作品だったのですが、思いがけない佳作との出逢い。大いに満足させていただきました。新作ばかり追いかけず、古の作品、もっと観ないといけないですね。基本的な映画の楽しみ方を思い出させてくれるような気がします。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-24 21:02:52)《新規》 |
5. ジュラシック・シャーク-3.0
《ネタバレ》 流石のマーク・ポロニア監督。これは相当Z級感満載の作品ですね。 冒頭いきなりのCGなのかアニメなのか判断に窮するサメが登場。どう見ても空気を入れて膨らませているようなサメの背鰭が海面を彷徨う。しかも、登場カットごとに相当なレベルで大きさが異なるという巨大?ザメ。そして本作のヒロインである(褒め言葉かどうかギリギリ)ダイナマイトバディのモデルが登場。更には訳もなく凶暴でエロい窃盗団の女等々。全編通じてどこを取っても何かしら言いたくなる登場人物・脚本・演出ばかり。そして何とラストに殆ど脈絡なく監督の秘蔵っ子?シャーケンシュタインを連れて来るとは…。これにはもう脱帽あるのみです。 これはこれで楽しい!と声を大にして言いたいところですが、いくらなんでも観る者を選び過ぎですよね。いや、それでいいのだ!というサメ映画フリークスのみが賛辞を贈るであろう作品でした。だとしても、オープニング(エンド)ロールの異様な長さ(のんびりさ)は勘弁して欲しかったところです。 ちなみにプロットはほぼ「1」の焼き直し?監督が違うだけ?私はまだ「1」を観ていないのですが、乗りかかった船ならぬサメ。この際観ないといかんのでしょうね…。(「2」が配給されていないのにはホッとしますが) [インターネット(字幕)] 1点(2024-11-24 17:22:51)(良:1票) 《新規》 |
6. 糸(2010)
《ネタバレ》 あの赤い糸は一体何?通常は主に恋愛関係における「良い意味」での運命的な関係性を表わす際に登場する赤い糸。しかし、本作ではそれを辿ったヒロインに不幸がもたらされるかの如きエンディングが用意されています。 思えば、途中に登場する赤い糸で結ばれたカップルたちは、全員が必ずしも幸福な関係性にあるとは言えないでしょう。赤い糸は幸福の象徴と言う訳ではない、ということなのでしょうか?少なくともここで登場する無垢な少女には、赤い糸によって悲劇がもたらされるかのように思えます。幸福は運命によって担保されるものではないということ? デビュー間もないアイドルの主演作であれば、通常はイメージビデオ的(主演アイドルのイメージアップを図るような)作品になりがちと思えますし、本作でも終盤までそんな感じで物語は進みます。ところが最後の最後にサプライズ?エンディングを見る限りでは軽いタッチで絶望を描いた作品のように思え、ちょっと違和感と言うか狙いすました力技という印象を覚えての4点献上です。 [インターネット(邦画)] 4点(2024-11-24 17:13:08)《新規》 |
7. ROCKER 40歳のロック☆デビュー
《ネタバレ》 なんとも罪のない物語。かなり軽いタッチで描かれます。冒頭の感じからすると音楽テーマのドタバタコメディにヒューマンストーリーを込めた作品?という感じでしたが、ドタバタ感は冒頭のみ。その後は寧ろヒューマンストーリーとして鑑賞しました。 ただ、感涙の人情劇かと言うとそうでもなく、主人公の挫折感もあまり前面に描かれず、ドラマーに復帰した後はどちらかと言えばトントン拍子。ちょっと話がうま過ぎるかも。結局、コメディにもヒューマンストーリーにも徹することが出来ないという中途半端感は残りました。 とは言え、最初に書いた通りのなんとも罪のないライトなコメディ。ノリの良い音楽に浸りながら心地良いひとときを過ごすには良き作品。そういう意味では、コメディにもヒューマンストーリーにも徹していないことこそが本作の評価すべきポイントなのかも知れません。鑑賞後に訪れた清々しさに6点献上します。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-24 17:02:40)《新規》 |
8. 午後3時の悪魔
《ネタバレ》 ジリジリと照り付ける真夏の太陽。汗が止まらない。突然聞かされる思いもしない身内の不始末。何とかしようにも経済的に豊かなわけではない。主人公に襲い掛かる外面と内面の両面からのストレス。 そんな彼女の眼前に恰も絶好の契機の如く現れる茶封筒。ATMで見かけた男と同一人物だと彼女が確信していたかどうかは分かりませんが、茶封筒には現金が納まっているように彼女には思えた。男は死んだように眠っている。悪魔の囁き。訪れる出来心。 しかし、後悔の念と後ろめたさは実態となって彼女に襲い掛かる。否、妄想かも知れない。実態は謎めいた外国人のみか? 混乱する脳内を鎮めるべく彼女が選んだ手段は封筒の開封。そして目にするまさかの悲報と顛末。ところが彼女にとってそこには絶望は存在せず、まるで吹っ切れたかのように取り戻される日常の平安。 彼女の心に宿る良い彼女と悪い彼女のうち、午後三時に悪い彼女が訪れたのでしょうか?否、悪魔というぐらいだから彼女の心に外部から入り込んだのかも。腕にくっきりと痣を残しながら。普通に暮らしていたひとりの女性の心の隙間を現した心理劇と受け止めました。 個人的にはまずまず好みの短編ですが、何か締めくくりがしっくりと来ないこともあって5点献上です。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-11-24 16:55:27)《新規》 |
9. ツユクサ
《ネタバレ》 なんとも罪のない作品。それぞれに悲しみを抱えながらも自分なりの細やかな幸せを追い求める3人の中年女性。幼い恋心に初めての痛みを覚えた少年。苦しみから逃れるべく街を離れ仕事からも離れ心の平安を求めようとする中年男性。皆、新たな幸せを見つけて行く。悲劇は過去のこと。この先には幸せだけが待っている。そんな予感。 時にはこういう作品に首までどっぷり浸かって身を任せるのもいいかも。テーマソングがまたいいじゃないですか。ちょうど航平ぐらいの歳にリアタイで聴いた思い出のある楽曲。懐かしい。癒しのひと時でした。大人のファンタジーですね。6点献上します。 関係ありませんが、松重さんの食事シーンを見るとそこだけ別の作品に見えてしまいました。イメージ強っ!w [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-18 22:33:37) |
10. 意のままに
《ネタバレ》 催眠療法というと、イコール催眠術と言うか、催眠状態の中で失われた記憶を取り戻す、というイメージ。本作でも警察側の手法として登場はしますが、犯人側の応用はちょっとばかり違うのですね。この場合はどちらかと言うとマインドコントロールなんでしょうか?てか、それさえ超えて別人格に入れ替えようとしている。これは恐いですね。 眠っている間に一体何をされているのか…。まぁミード博士は登場シーンから相当怪しい人物。普通なら近付かないでしょう、恐いから。実際ヒロインは当初拒否的。でも、お節介なお友たちの策略でお近付きになっちゃう。まぁ心が疲弊しきっていたジェンにしてみれば心のどこかで望んでいたのかも知れませんが。それでも、まさか博士が亡き妻との差し替えを図っているとは思いもしなかった訳です。実際に催眠術でどこまで出来るのかは知りませんけど。 そこに出て来る白馬の騎士の如き刑事。始めっから疑うことなく積極的に関与。お約束的にジェンが単独行動に走った時には、いつの間にやら彼も単独行動。で、お約束どおりに絶体絶命。短めの尺だけあってこのあたりの展開はすっ飛ばし気味です。 そして最終決戦。警察側の催眠療法士の仕込みが功を奏し?二転三転しつつもジェンと刑事が勝利する訳ですが、ここまで来ると相当現実離れしている感は否めない展開。う~ん、シリアスなサイコサスペンス的物語という出来映えではありますが、細かく見ていくと無理があり過ぎかもです。 ラストシーンの纏め具合は劇場用映画と言うよりTVドラマ的ですね。真面目に考えると、犠牲者も結構いるし重めのサイコサスペンス。ところが、ラストシーンに限らず全体的にかなり軽い雰囲気で作られています。 面白くないとは言いません。催眠術ネタってことで既視感も伴いますが、オリジナリティはキチンと保たれています。現実的に受け取らないであくまでもエンタメ系作品と言う風に受け入れれば、ハラハラドキドキと楽しめる作品ではありました。 ちなみに、原題ではストレート過ぎますが邦題はほぼネタバレ的?ちょっと考えもののような気がします。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-17 19:17:44) |
11. アニマル大戦争
《ネタバレ》 極地でのオゾン層の破壊が問題となって久しいところですが、学術的な研究によってそのことが知られ始めた頃の作品ですね。まだまだ世間一般では詳細が理解されていなかった頃の作品とも言え、そのあたりの説明は(何故動物に異変が起きるのかとか事態の収束化に至った原因も含め)かなり大雑把。緻密さを求めるSFファンの方には大いに物足りないかも知れません。てか全然物足りないです。 ただ、新たな環境危機に視点を当てて描かれた世界観は50年近く経過した現在においても題材としての古さは全くなく、今だからこそより深刻に現実問題として存在しています。先見の明とまでは言わないまでも、当時もののアイディアとしては秀逸かなと思うところです。 ハイカー一行の混乱は社会の混乱の縮図。ここで語られる混乱はあらゆる事象においても生じつつある訳で、近年になってSDG'sの旗印の下で積極的な危機への対応を進めようとしつつあるところですが、今もって世界規模では歩調が揃わないというのが現実ですね。 本作のラストはあまりにあっけなく大した説明もない結構楽観的なものですが、果たして製作当時に鑑賞した人々にはどう映ったのでしょうか?そんなことを考えつつ、裸の銃を持つ前の若き日のレスリーさんに敬意を表して+1点の6点献上です。 ちなみに、邦題はあまりにトンデモ映画を予感させるミスリード的なものですが、当時はこの手のテイストのタイトルって多めでしたね。原題の方がカッコいいのですが、時代的に止む無しと言ったところでしょうか? [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-15 10:14:57) |
12. ペトルーニャに祝福を
《ネタバレ》 ヒロインは理想や夢を大切に生きたいが故に世の中のレールからはみ出してしまった女性。そんな彼女に世間は冷たい。しかもその急先鋒は母親。父親は彼女を擁護するが、彼自身の家庭内のみならず世間での立場も弱く庇護者としては心もとない。同性の親友はいるものの本当の意味での彼女の理解者とは言えない。まさに四面楚歌。しかも、本人は甘んじてその状況を受け入れてしまっている。すっかり斜に構えるスタンスを身に着けながら。 こんな状況に自ら追い打ちをかける女人禁制の宗教儀式への乱入。当初は彼女の心の中にはその儀式が男たちだけのものであることへの反発はなかったと思われます。がしかし、批判され追及され挙句断罪されれば彼女の闘争心にはここぞとばかりに火が付いてしまう。事態は悪化の一途を辿るばかり。 正直なところ、このあたりまではヒロインのことをどうにも好きになれない。普通にしてれば(普通って何だ?)少々太目なだけでそこそこ美貌とも思われるし、好きな歴史を大学でしっかり学んだ知性派でもある。なのに何でそんなに斜に構える?母親や世間に背を向ける?元々個人的には、女人禁制の伝統行事があったとしても長きに亘って育てられ守られ築き上げられて来た文化なのだから時代が変わったという理由で否定や破壊はすべきでない、というのが持論ということもあり、どうにも好きになれない人物でした。連行されて当たり前だろ!みたいに。 ただ、観ていく中で彼女の内なる葛藤が次第に沁みて来て、父親の素朴な理解や司祭の宗教観に基いた理解が得られたあたりからは彼女を否定することへの虚しさを感じ始め、ラストシーンで十字架を司祭に返し晴れ晴れとした表情で帰路につくその後ろ姿にそれまでの反感に後ろめたさを感じつつ観終えました。 彼女が半裸で十字架を胸に抱くポスターは、本作の宗教性を強調してしまうようで如何かなと思えます。キリストの受難(詳しくないのであまり言及は出来ませんが)にあらぬ差別を被る彼女の姿を重ね合わすという観方も出来るのかも知れませんし、女性差別への批判や女性の地位向上みたいな視点で観ることも出来るのかも知れませんが、ひとりの人間の成長の物語として鑑賞しての7点献上です。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-15 09:41:47) |
13. 見えざる手のある風景
《ネタバレ》 アマプラの見放題終了間際のリストで見つけて予備知識なしで鑑賞。思わず魅入ってしまいました。 舞台は近未来の地球。激しい戦争もなく?これぞ商機と見込んだ一部の階層主導の下、平和裏?にヴァ―ヴとかいうカニの変形と言うか尻顔と言うか奇妙なエイリアンの植民地と化した世界。激しい貧富の差のある人々の生活。貧しき者たちは占領前の身分や資産を失い苦難を強いられている、らしい。(特に貧困等に苦しむ姿は登場せず) ひとことで言えば現代社会を風刺したブラックコメディですね。エイリアンが侵略・征服のことを「上陸」と呼んでいるあたりは恰もアメリカ大陸の歴史のようにも窺えるし、環境破壊を批判し大上段からあなた方を救ったのですよみたいに言うのはまさに侵略戦争の論理にも通じるように思えるし、微に入り細に入りいろいろと興味深く鑑賞できる作品でした。 結局勝利を勝ち取ったかの如き抵抗は虚しく終わり、それでも戦い続けようとする姿が描かれてエンディングを迎える訳ですが、そのあたりも今の世界を支配する力や理念等々への失望感或いはアンチテーゼが込められていると感じました。まさに「見えざる手」への畏怖と言ったところでしょうか? カイリー・ロジャースさん演じるクロエの可愛らしさに+1点の8点献上です。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-15 00:23:04) |
14. ゴジラ(1954)
期せずしてBSで放映されたのを見つけ他の予定を切り上げて鑑賞。残念ながらリアタイでは観ておらず、前回鑑賞は恐らくNHKで初放映された時だったのではないかと。どういう形であれその後はキチンと全編通して鑑賞してはおらず、とすれば57年ぶりの鑑賞ということになります。 なので只管に懐かしい。されど懐古趣味に留まることなくグイグイと画面に惹き込まれる魅力。流石に台詞回しや役者さんの演技には時代を感じるものの、他は全て古さを感じることなくCGやVFX等々全開の近年のモンスターものやデザスターものにまるで引けを取らない素晴らしさ。70年の歳月を経た現代に至るまで絶賛され続けていることに異論なしです。 その後に続く様々な怪獣ものをリアタイで親しんだ身としては、それらの作品や怪獣を否定することは決してありませんが、矢張り本作は間違いなく金字塔。現代の視点等々に照らし合わせれば「?」な点も多々あるとは思います。しかし、70年前に製作されたことを鑑みれば全ての疑義は単なる野暮。満点を献上させていただきます。 ちなみに、宝田さんのとんでもないカッコよさ、河内さんの眩しいまでの可憐さ、それだけ観ていても本作は満足極まりない作品と思うところです。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2024-11-14 16:56:54)(良:1票) |
15. みなに幸あれ
《ネタバレ》 冒頭はホラー仕立て。ところが中盤を待つまでもなくホラー感が薄れていきます。メタファー全開でテーマ性が前面に沸き立つと言うか、ゴリゴリの社会派作品の様相を呈して来ます。そして流れは一気に加速してホラーエッセンスを振りかけつつエンディングへ。うん、やっぱりテーマ性を感じざるを得ないです。勿論、ホラーにだってテーマ性はありますけれど、本作の場合は結果的にはギリギリでホラー風味になっている感じかな? これはお伽噺、或いは童話等に具体例があるように、人間の性と言うか生き方の本質と言うか、そういったものを異なる姿形に置き換えて表現していると個人的には大いに思うのですが、さりとて観る者に選択肢を与えていると言うか、シンプルにホラーとして観てもそれはそれで構わないですよみたいにしつつも、あくまでもテーマはあるんですからね、そっちを見て欲しいのですよ、と言った感じでしょうか。 と言ってみたものの、冒頭述べたとおりホラー作品にも当然の如く大いにテーマ性はある訳で、矢鱈驚かせてばっかのお化け屋敷的ホラーと同じぐらい社会派ホラーとかヒューマンドラマと呼ぶべきホラーだってある訳だし、なので本作もカテゴライズ上はあくまでもホラーなのでしょうね。 なんだか書けば書くほど混乱しそうで、言いたいことが纏まらなくなりそうです。まぁ、それだけ考えさせてくれる作品とも言える訳で、このテーマはホラー仕立てにすることでスッと入ってくるようにも思えて来たりして、何だよそれだったら本作の手法は正解じゃん!という考えに至ったところで筆を置きます。乱筆乱文失礼しました。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-11 00:27:49)(良:1票) |
16. 妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク
《ネタバレ》 イイじゃないですか~、コレ!いやもう全編通じてニコニコと好々爺の如き顔で鑑賞してしまいました。我ながら、傍から見てたらさぞかしキモかったことでしょう、きっと。 確かに冒頭のヒーローによるレイプ&殺戮シーンは考えもの。抜け忍なんだから(ってこともないかも知れませんが)もっとストイックな生き様でいて欲しいところ。これじゃ単なるエロい無法者。この描き方だけは要修正ですね。 でも、後は概ね満足。洋画・邦画を問わずこの手のトンデモ作品にありがちな演技だか何だか分からない、てか俳優だかエキストラだか分からないなんてことはなく、キチンとした俳優陣。アクションや殺陣はキレッキレじゃないですか。物語的にも若干オリジナリティ的には如何かとは思いつつも大いに練られたストーリー。派手な血糊やバラバラの人体なんかは、作品のテイストに合わせて敢えてチープな雰囲気にしてる感じ。サメの造形も満足です。口を開いたカットで中からエラ越しに外が見えてるのなんてクオリティ高いです。そんな訳で概ねどこをとっても及第点と評価したいです。 ただし、タイトルは考えものですね。恰も洋画トンデモB級作品の邦題の如きタイトル。邦画なんですから邦画としてのプライドを持ってカッコいいタイトルでキメて欲しかったです。それに、そもそもこれってサメ映画じゃないですよ。サメの出る忍者アクション作品?そこのところは只管残念!尺を延ばしてサメカットをマシマシして欲しかったかも。それもあってやや減点しての6点献上です。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-07 22:18:54)(良:1票) |
17. パーフェクション
《ネタバレ》 思っていたのとはちょっと違って陰惨で後味悪い作品でした。物語は二転三転します。二転程度にしておけば良かったのかも。 冒頭から序盤はなかなかいい感じに話が進みます。なるほど逆恨み的な復讐譚か、という感じ。本来は天才として世界に名を馳せるはずだったであろうチェリストが、母の介護で音楽学校を退学し夢を諦めざるを得ず、その穴埋めに入学したにも関わらず恩師夫妻の寵愛を受けて今や名声を欲しいままにしているもうひとりの天才チェリストを恨み近付いていく。 いきなり意気投合して熱い一夜を過ごしたばかりか翌朝からは仲良く中国旅行、という展開は話がうますぎの感がありますし、ゲロゲロの最悪体調なのに乗り合い長距離バスに乗るかよ!とツッコミも入れたくなりますが、そうじゃなきゃ話が進まない。そのへんは仕方なし。そして、ここも都合が良過ぎますが思惑通りの幻覚が現れて利き腕切断。途中の中華料理屋で肉切り包丁を盗んで来たのが功を奏し、ってこれまた都合良過ぎ。かなり強引な展開ではあります。 とは言え、B級感は否めないまでもサスペンスとしては良い感じ。でも、序盤で復讐成立しちゃって後はどうするの?普通なら逆恨み復讐をしていたヒロインにその後とんでもないバチが当たるという展開だろうな、と思っていたら音楽学校のとんでもない実情が飛び出す展開。恩師も他のオジサン教員も実はド変態だったという仕掛け。奥さんも共犯なのでしょうね。やっぱド変態だ。 そして、逆恨みされて利き腕を失ったチェリストは何故かそれを許してヒロインと共闘関係に。復讐の内容が変わっちゃいます。ド変態オヤジへの復讐劇へと。そして見事復讐完了。と思いきや、まだ復讐し足りないと見えてグロい演奏会で幕を閉じる。 短い尺に詰め込み過ぎましたね。なので展開が矢鱈と急。急なだけじゃなくて結構血まみれ。結果、かなり印象は薄くなってしまい、正直なところさほど日を置かずに内容を忘れてしまいそうな作品。う~ん、やっぱり詰め込み過ぎなのかな?てか欲張り過ぎ?もう少し緻密な完全犯罪的展開であればなぁ、と少々残念な1本でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-06 14:27:02) |
18. もしも昨日が選べたら
《ネタバレ》 アメリカンコメディはドタバタ系とかホンワカ系とか下ネタ系とか毒舌系とか大雑把に幾つかに類型化出来ると思うところですが、本作は美味しいところ取りを上手い具合にバランス良く行っていて、観終わってみればコメディならずヒューマンドラマとして完結しているという予想外の佳作でした。アダム・サンドラーさんらしい適度な軽さで纏め上げたなという感じです。 序盤はちょっとノリ損ねた感がありましたが(正直つまらなかった)、中盤からのドラえもん的笑いあり教訓ありの展開は大いに惹かれました。そして、終盤のクライマックスではじんわりと泣けて来たりして。ラストの夢落ち(とも言い切れませんが)は十分に想定内でしたけれど、それ故のとでも言うべき安心感と満足感がありました。 総じて言えば決してオリジナリティ豊かと言う訳でもなく、寧ろ全体的に既視感のある物語。それでも魅せてくれたアダムさんとケイトさん、そしてクリストファーさんの魅力溢れる存在感。良きお話でした。 ちなみに、原題はイマイチ思わせぶりが過ぎる感があるものの、邦題は軽くミスリード気味で(それってテーマかなぁ?敢えて逆説的?)どうもシックリと来ない感じですね。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-04 22:16:48) |
19. ワウンズ: 呪われたメッセージ
《ネタバレ》 序盤から中盤ちょい前ぐらいまでは、不穏な空気間に満ちていて「一体何が起きるのだろう?」みたいな期待感をもって集中出来ましたが、チラ見せしておいて先に進まない感じが続き、主人公の行動や言動には全く感情移入出来ず、一連の行動や言動は既に邪悪なものに惹き込まれてしまったからなのだろうとは想像しつつもどうにも歯痒いばかり。 一体少年たちは何だったの?オカルト書籍を実践したら何かを呼び出してしまった?そして、その呼び出されたものがスマホを通じてウィルに取り憑いた?キャリーも取り憑かれた?エリックに至っては宿主にされた? これだから悪魔系の作品は煮え切らない。何でもありの存在で、作品の終わり方も何でもあり。あのトンネルみたいなのは何?魔界に通じる穴? 種蒔きだけして突然終了の感が強い作品。序盤が良い感じだっただけに余計に残念な後味が残りました。雰囲気だけは悪くなかったので甘めの4点献上です。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-01 23:57:13) |
20. ワッツ・インサイド
《ネタバレ》 人が入れ替わるという作品は洋の東西を問わず何作もありますが、本作はそれの集団発生版。しかも、人格が入れ替わっているがために過去の秘密が暴かれていく。映像的な表現も一工夫も二工夫も施されていてオリジナリティを感じることは出来ました。 が、何せ集団発生するし連続してシャッフルするしで、誰が誰だかを把握するのはかなり困難。正直なところ私は一回では分らず見直しが必要でした。(サブスク様様です) ネットで検索すると「誰々(実は誰々)」みたいに見た目と中身を書いてくれている方とか人物相関図を付けてくれている方とかいらっしゃって、観終わってからそういったレビューやブログを拝読すると漸く全体像が把握出来たという具合です。(有難や) つまり、アイディアは面白いし物語としてのオチも面白いのですが、ややこし過ぎて難解なのが最大の欠点の作品かと。メインテーマに直結する部分を敢えて難解にしているのは作品的にマイナスかなと思うところです。 とは言え結構楽しめたので甘めの7点献上です。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-01 17:46:26) |