181. 婦系図(1962)
冒頭の数分のこの様式美。三隅研次の美学が凝縮されている。タイトルバックの裏ですらストーリーが展開する、ある意味省略の美学。だから、一瞬たりとも見過ごせない。この監督の映画はいつもそう。プログラム・ピクチャーの作家の鏡だ。 別れの湯島の白梅の場面の美しさは、もう、筆舌に尽くせない。 この作品に関しては、三隅は師匠の衣笠貞之助版を超えていると思う。(でも衣笠版もいいよ。) [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-12-24 23:44:24)(良:1票) |
182. 足にさわった女(1952)
この軽さ。たまらない。凄いよ、市川箟。こんな時代にこんなに軽い作品撮っていたなんて。同じ脚本で撮ったという増村保造版も是非観てみたい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-12-24 00:21:59) |
183. 愛人
《ネタバレ》 こんな市川箟もいいなって思える作品。原作は夭折の劇作家森本薫の「華々しき一族」。三角関係と思いきや、実は…って展開。優雅な階級の優雅な物語、ってことなんだろうけど、かなり普遍的な内容のコメディーだ。 原作にない物語の前史的な説明は、原作をよく知る人には不要に思えるのだろうけど、話がわかりやすくなったのも事実。脚色としては成功していると思う。 偶然続けてみてしまったので気づいたのだけど、これは日本版「ゲームの規則」だね。 ただ、公開当初ならいざ知らず、現在から見ると「愛人」っていうタイトルはかなり誤解を生むかと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-12-24 00:14:40) |
184. ゲームの規則
《ネタバレ》 また見てしまいました。滅び行く階級がその末期を意識することなくひたすら呑気な時間を過ごす。これもまた退廃美。巻かれたぜんまいは行き場を失っても力尽きるまで動き続けるしかないのです。どれが真実の恋愛なのか、きっと恋している本人たちですら意識できないし、意識する必要もないのだろう。俳優としてのルノワールは、決してうまくないけど、本当にいい味出してます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:59:20) |
185. ルートヴィヒ(1972)
何度見てもこの四時間が飽きない。非常に贅沢なひととき。ひたすら豊かな時間の流れ。この至福は言葉で説明できません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:52:11) |
186. 若者のすべて
こんなに貧しい生活を送っているのにこんなに端正な顔つきを保っていることなんてできないよと、客観的には思ってしまうけれど、このアラン・ドロンの高貴なる貧しさにはただただ脱帽です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-23 23:46:57) |