181. エリジウム
《ネタバレ》 全く見事なまでに良いところと悪いところが半々の作品でした。空に浮かぶ美しいエリジウムと対照的な、打ち捨てられた地上のスラムに未来のテクノロジーがプラスされた世界観は、現代のブレードランナーと言ってもよいものでした。が、スラムをリアルに描きすぎて、さらに登場人物の汚さやグロ描写の多さのために不快さを感じてしまいました。ストーリーも、前半は階級闘争や富裕層内での権力闘争が絡んで、なかなか面白そうな展開だったのに、後半は小汚い敵の工作員との単なる私闘になってしまいました。それならいっそ、アクションを楽しんじゃえ!となると、時折出てくる未来の武器などのアクセントも良く効いていて、“ちょっとだけ”アイアンマンの活躍シーンは及第点だと思います。ただ、今時はやりのカメラブレブレ演出のため、何が何やらわからないシーンが多数でした。 そして、この半々映画の最も象徴的なのはこれでしょう。「マット・デイモンとジョディ・フォスター二大スター出演!!でも共演は無しよ。」 [映画館(字幕)] 5点(2013-10-19 06:59:56) |
182. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 コメディなので、やくざの抗争を映画に撮るという妙なプロットを受け入れることはできますが、その他の設定(たとえばコウジとヒロインの絡み)がさらにややこしく、ちょっと無理矢理感がありました。メインの出入りのシーンは、過度にリアルにするのを避けているのはわかりますが、首や腕がちょん切れるシーンなどで笑えることはできませんでした。画面からは作り手の情熱がつたわってきますし、いくつか笑える場面もちゃんとありましたので、結局この映画が自分に合わなかったということですね。最後に、ヒロインの二階堂ふみは、なかなかに魅力的でしたね。 [映画館(邦画)] 4点(2013-10-16 06:21:43)(良:1票) |
183. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 理想を追おうとしつつも、実はほとんどの人間が目の前のことをやっつけて生きていくしかないことは、技術者の端くれである自分もよくわかっている。自分のしていることの善し悪しなんて結局わからないが、それでも「生きねば」。劇中では、主人公がそれに対峙するのはラストシーンの「でもだれも帰ってきませんでした」の一言のみ。ここにすべてが凝縮されていると感じました。簡潔で素晴らしい半面、もう少しこのあたりの葛藤を描いてくれてもよいかなと思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2013-09-19 06:28:06) |
184. ウルヴァリン:SAMURAI
《ネタバレ》 うーん、これはちょっと脚本がいただけない。どんでん返しをしたかったのだろうが、こともあろうに黒幕が彼ではいけない。せっかく日本ロケまでしながら、「恩を仇で返す」というのが日本人が(というか恐らく世界中の人が)最も嫌う行為の一つということに気がつかなかったのでしょうか。 また、無駄に話を複雑にしすぎて、正直私には登場人物がそれぞれ何を考えて行動しているのかがほとんど理解できませんでした。特に敵のミュータントと、忍者のボスは一体なにをしたかったのか。 舞台が日本なのも善し悪しですね。荒唐無稽な話なのはわかってはいるのですが、背景に日常の風景が広がっていると、リアリティーが一気に失われてしまって、安っぽく感じられてしまう。これが上海や香港なら、たとえば街中にいきなりカンフーの使い手が出てきても受け入れられるんでしょうが。アメリカ人って、自国が舞台のX-menとかを観ていて、そのようなことは感じないのでしょうかね? [映画館(字幕)] 4点(2013-09-19 06:17:19) |
185. スター・トレック/イントゥ・ダークネス
《ネタバレ》 前作も大変面白かったが、難点といえばカークはあまりにも猪突猛進過ぎて、どうみても彼にリーダーの資質があるようには見えなかったところでした。今作では、カークに多くの試練があり彼が真のリーダーへと変わっていく様子が描かれるとの触れ込みの通り、確かに彼に次々とシビアな決断を迫るシーンが続きます。ちょっとは成長したところも見えますが、まだまだ全体的には「若さ」が勝つカーク像でした。真のリーダーシップとは、危機的状況にあって、自分が命を投げ出す決断をするという場面でなく、部下の命を賭けなければならない局面でその真価が問われるものだと思うからです。でも、クリス・パインはまだ若くてエネルギッシュ過ぎて(悪い意味ではなくて)、そんな役をやらせるのには、まだ早すぎますね。もう少し年をとったらそんな場面の似合う俳優さんになってくれそうです。このままのキャストで、あと15年くらい先に「スター・トレック5」あたりまで作ってもらえば、そんなシーンが見られるかなあと期待です。今作では、カーンまでもがリブートされ、懐かしのあのシーンがカークとスポックと立場を変えて再現され、旧作からのファンにとってもうれしい作品になっています。 [映画館(字幕)] 9点(2013-09-03 06:26:46) |
186. マン・オブ・スティール
《ネタバレ》 全く新しい世界観によるスーパーマンのリブートなのは知っていたにも関わらず、それでも見ている間は「こんなのスーパーマンとは言えないなあ」という思いがずっと消えなかった。それは単なるしょうもない懐古趣味なのかもしれない。若い人なら今作のほうがずっと面白いぜ!とか思うのでしょうかね? メトロポリスがゾッド将軍一味にめちゃくちゃにされかけたことに心を痛めていったん撤退するほどのあの優しい彼はもやはおらず、今回は街が壊れようが、人が窮地に陥ろうが、ほとんど知らん顔した超人がいるだけでした。 最後に。無敵超人同士の対決の落とし所があれでは納得できません。プロレス最強ですか? [映画館(字幕)] 5点(2013-08-31 06:48:00) |
187. パシフィック・リム
《ネタバレ》 ほとんど奇跡のような映像体験。怪獣にぶっ壊される街を、まるで自分がその只中にいるように感じさせてくれます。映画館で見てよかった。また、映像のすごさだけでなく、この映画から感じるものは、「さあ、楽しんでいってくれ」と言わんばかりの製作者の圧倒的な情熱でした。分野は違うけど「死霊のはらわた」とか、ジャッキー・チェンの全盛期の映画から感じたものと同じやつです。 ストーリーですか?まあ、変な博士やマフィアみたいな人が出てきてぐだぐだ感もありますが、いいじゃないですか。怪獣映画ですもん。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-27 06:47:59) |
188. スーパーマン(1978)
《ネタバレ》 個人的に最も大切な映画。まだ公開当時、小学生だった自分にはストーリーの半分も理解できていたか怪しいところですが、夢中になりました。オープニングと音楽は最高。また、他のレビュワーの方も書いていますが、青年時代のケントのエピソード、自立、空のデートなどのアクション以外での情感あふれる描写が素晴らしく、後年の単なるアクションヒーローものと一線を画しています。ただ、今見てしまうと、ラストの展開はちょっといただけないのは確かですね。 映画中盤、初めてスーパーマンが現れビルから落ちたロイスを抱きとめたシーン、その後飛んで逃げるのではなく、落ちてくるヘリに向かって上昇を始めた彼に対して、劇中のロイスと同じくらい「一体どうするの?!」と驚いたのは今でもよく覚えています。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-13 16:41:45)(良:2票) |
189. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 続編とはちょっと雰囲気が異なり、まだアメコミヒーローものとしての荒唐無稽な設定が多く残っているノーラン版バットマン第一作。強く印象に残ったのは、これまで以上に怖いバットマンの表情と、恐ろしい声。旧作でも蝙蝠をモチーフとするのは悪人に恐怖を与えるためとしながらも、演じる俳優の持つ雰囲気がどうしても反映されてしまってそこまでではなかったが、本作はちゃんと恐ろしさが出ていた。次回作への期待を十分に持たせてくれた力作。(そして実際、十二分に答えてくれた) [映画館(字幕)] 8点(2013-08-13 13:05:12) |
190. キック・アス
《ネタバレ》 本サイトで高評価のこの作品、たまたま近所の店でDVDを売っているのを発見し、今時珍しく定価で購入。残酷描写は確かに気になりますが、ヒットガールの可愛さと残酷さとの対がこの作品の売りなのではないかと思います。映画の設定には、いろいろひねりが入ってますが、終盤に向かってのストーリーの盛り上がりは、王道のスーパーヒーローものと変わらないものがあり、特に敵アジトにヒットガールが単身乗り込むマカロニウエスタン調のシーンは最高です。一旦全部見た後で、ヒットガールが出てくるシーンだけ再度見直してしまうほどの中毒性がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-05 23:58:52) |
191. ローン・レンジャー(2013)
《ネタバレ》 作品全体はコメディータッチなのに、主人公二人の負った過去がずいぶんシリアスで、ギャップが大きいです。広告にあるように、復讐か正義かというテーマを真剣に追求するのかしらんと思わせておきながら、そこはディズニーの限界でしょうか、軽ーく流されてしまいます。峡谷にかかった線路を爆破し、そこに列車が迫るシチュエーションはこれまで再三映画のクライマックスに用いられたものですが、この映画ほどあっけないつかわれ方はなかったのではないでしょうか。アクションシーンは(わかりにくかったけれど)まずまず贅沢だったし、キャラクターも魅力的だったので、作りこみの甘さが少しもったいないと感じました。 [映画館(字幕)] 6点(2013-08-05 23:49:12) |
192. モンスターズ・ユニバーシティ
《ネタバレ》 安心のピクサーブランド。今回も十分楽しませていただきました。サリーとマイクが、前作に比べてちゃんと性格が未熟な状態で出てきて、二人の成長をしっかり描いているのには感心です。 ただ、やはりこの映画の魅力の大半はキャラクターにありますね。創造性の観点で前作に完全に負っているということで少し辛めの点数です。 [映画館(吹替)] 6点(2013-07-18 06:29:49) |
193. オブリビオン(2013)
《ネタバレ》 突っ込みどころ満載な映画でしたね。設定に無理がある部分をあげつらえばきりがないですが、観客を楽しませようとする姿勢は十分感じられました。もし私が小中学生であるなら、9点以上をあげられるかもしれませんが、まあこのあたりで。 [映画館(字幕)] 5点(2013-06-01 19:10:39)(良:1票) |
194. L.A. ギャング ストーリー
《ネタバレ》 あまり多くを望まずに見に行ったのですが、正直予想以上の面白さでした。ギャングモノといってもそれほどシリアスなわけではなく、アクション映画と紙一重のところはあるのですが、ショーン・ペンをはじめとする俳優陣の渋さによってかろうじて実録モノの雰囲気を保っています。 実話に基づく(based on)ではなくinspiredだったので、いったいどこまでほんとの話なのかわかりませんが、ギャングのマシンガンに対し、なんの策もなく拳銃で勝ってしまうのはさすがに説得力がないです。そのあたりはマイナス評価なのですが、逆に、実際にあった出来事であるならば、+1点したいところです。 [映画館(字幕)] 7点(2013-05-11 21:41:42) |
195. ラストスタンド
《ネタバレ》 いろんなところが大雑把でした。たとえば、途中で死んでしまう副保安官には、生きている間にもう少し感情移入できるシーンが必要です。人質になるFBI捜査官のくだりはストーリー上まったく生きておらず、不要と思います。悪役が車で逃げることの理由づけも不足してます。最後のドンパチが始まるところは、やはり主役が口火を切るべきでしょう・・・等々。でもまあ、シュワルツェネッガー主演のアクション映画としては、そのような細かいところはどうでもよいといえばよいわけで、十分面白い作品でした。あと、人が死ぬシーンの描写がいちいち残酷で、R15になってしまっているのは良くないでしょう。この映画にそれほどリアリティーは必要ないと思うので。目指すべきは、コマンドーとかトゥルーライズのような、お気楽アクション路線だったのでは? [映画館(字幕)] 6点(2013-05-02 11:45:10)(良:1票) |
196. アイアンマン3
《ネタバレ》 私にとってのこのシリーズの魅力が、主人公トニー・スタークのキャラクターに多くを負っていたことを認識させられた一作でした。まったく男の目から見て、彼ほどカッコイイやつはいない。彼が実在の人物であれば、私が世界で最も尊敬する人になっていたはずです。そんな彼が人並みに悩んでしまう本作は、ちょっと肩透かし気味でした。トニーのアイアンマンからの精神的な分離を図る今回は、だからスーツを使わないトニーの生身のアクションが多用され、せっかくアイアンマンになったとしても、過去2作ほどの圧倒的な力は発揮せずじまい。シリーズの転換点としての本作の出来の良さは理解できるけれど、いつものはじけたトニーを観たかった気持もいっぱいでした。仕方がないので、ホームズの次回作に期待しよう。 [映画館(字幕)] 7点(2013-04-28 22:54:30) |
197. リンカーン
リンカーンの映像や動画が残っているわけではないので、いくらダニエル・デイ・ルイスが似ているといわれても、正直判断のしようがない。が、この映画は、似ている似ていないはどうでもよく、ひたすらダニエルのモノローグが素晴らしい。ただ、それだけで映画全編を引っ張っている。スピルバーグも本作はずいぶん大人しい演出ぶりで、特に奇をてらったような場面はなかったように思います。 [映画館(字幕)] 7点(2013-04-20 19:36:35) |
198. ジャンゴ 繋がれざる者
《ネタバレ》 いわゆるマカロニ(スパゲッティ)・ウエスタンへのオマージュが明らかな、痛快娯楽西部劇。ただ、タランティーノらしくホラーと見まがうかの銃撃戦や奴隷同士の戦い等での残酷描写は、ちょっときついと感じます。タランティーノの特徴といえばそうなんですが、必要かな?Dr.シュルツや悪役キャンディら、魅力的なキャラクターがクライマックス前にあっけなく死んでしまうのがちょっと残念でした。サミュエル・L・ジャクソンが最後の悪役として残りますが、彼では少し物足りない。映画としては、敵役にジャンゴのライバルとなるべき凄腕のガンマンが配置されているべきでは?それにしても、サミュエルはよくこんな極悪人役を受けたもんですね。 [映画館(字幕)] 7点(2013-03-03 10:01:55) |
199. ダイ・ハード/ラスト・デイ
続編のガッカリ感としては、古いところではロッキー4、ロボコップ2、最近ではターミネーター4を観たときの感覚に近いかな。主人公の性格って、こんなじゃなかったと思うけど。 [映画館(字幕)] 5点(2013-02-16 19:17:28) |
200. LOOPER/ルーパー
《ネタバレ》 タイムパラドックスについてはとやかく言うまい。物語の終盤まで「いったいどうなるんだろう」という思いを続かせてくれたので、一応成功作ということだろう。しかし、ラストの決着のつけ方があれでは残念。もうひとひねりほしかった。 あと、ルーパーが仕事するシーンはちょっと残酷すぎて、この映画をエンターティメントとして評価するのをためらってしまう。これじゃ青少年には薦められないでしょ。 [映画館(字幕)] 6点(2013-02-02 21:33:24) |