181. 前田建設ファンタジー営業部
実話ベースであり、アニメをモチーフにした映画ですが、この映画自体が実写映画のノリじゃなくて、出演者たちの過剰すぎる演技とか、BGMや演出面の全て、完全にアニメの見せ方を意識してる (笑) でも、それはアクが強すぎて、せっかくよいストーリーなのに、好き嫌いをハッキリさせる決定打にもなっているように思えます。私はハッキリと、この映画のうるさいノリが苦手でした。 エピソード自体はすごく好き。でも、この映画は苦手。なんか、評価難しいな。 [DVD(邦画)] 4点(2020-11-09 11:11:10) |
182. ストロベリーショートケイクス
《ネタバレ》 本作の面白いのは、彼女たち4人の「部屋」にスポットを当てているところ。その「部屋」を通して、彼女たちという人物を説明しているように思う。実際、部屋というのはその人となりがよく表れるもの。里子は想像した通りの可愛らしい部屋だし、秋代はエキセントリックに棺桶だったり、塔子は部屋一面の「絵」だったり、どんな女性が住んでいるのか、色々と想像に難くありません。対象的に、趣味や生き方にこだわりを持たないちひろは自分の部屋すらまともに描かれない。どうやら表向きは塔子と同居のようだが、部屋を見るかぎりではちひろの自己主張は希薄であり、完全に塔子の住まいにパラサイトしているような感じ。 でも、一つだけ不思議な感覚があった。里子、秋代、塔子の我が道を往く生き方を眺めているうちに、段々と無個性なちひろが三人に負けじと輝きを放ってきた。個性のないこと、実はそれも強烈な個性なのかもしれない。 ありがちな雰囲気映画ではなくて、彼女たちの心境とその変化をしっかりと伝えていると思うし、間違いではない裸も含めて、とても生々しくもありよくできたリアルな恋愛群像劇と思う。そして、みんな恋に人生に不器用だが、本作ではキラキラと輝いていて、この映画はそんな彼女たち (の全て) をやさしく肯定しているようだ。 個人的には、今泉監督 (mellowのラーメン屋笑) や岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクル」に少なからず影響を与えているように感じた。 [DVD(邦画)] 7点(2020-10-27 17:54:12)(良:1票) |
183. メランコリア
《ネタバレ》 鬱病の話は散々出たのでもうやめておこう。 これはつまり、巨大惑星メランコリアを男性になぞらえた、壮大な愛の物語だ (笑) 全ての発端は、ジャスティンの「誘惑」だ。誘惑と書いて字の通り、彼女の美しい裸体が惑星を誘う。彼は地球の近くを素通りするつもりが、素っ裸で森林浴をする彼女に気づいてしまった。地球上で最高の「美」を見つけてしまったから、さあ大変。彼女に一目惚れしてしまった彼はしばらく悶々と地球付近に停滞したが、彼女の求愛サイン (枝のヤツ) にとうとう抑えきれなくなり、まっしぐらに彼女のもとへ、、 メランコリア (鬱病) とジャスティン (鬱病) は抱擁し合い、その愛は地球を救う・・・ どころか、その愛は地球を破滅させてしまった。 色々な警告だろうな、さすがは、ラース・フォン・トリアーだ。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-22 02:21:35) |
184. モヒカン故郷に帰る
《ネタバレ》 始めの10分足らずで主要な登場人物たちのキャラが大体わかるという、実にムダのない人物描写はさすが沖田監督。 今回、彼らの趣味は、音楽やスポーツ観戦といった曖昧なものではなく、モヒカン (デスメタル) 、矢沢永吉、広島カープ、なんです。そこ、重要。数多くの中でも、「それじゃなければだめだ」ということ。だから本作ではその趣味について、個人の強い個性、主義 (主張) 、こだわり、または地域のコミュニティや郷土愛を視覚的に具現化したもの、と捉えるべきでしょう。同じ人間同士でも、それは全然違います。もちろん生きていく上で、ぶつかり合うこともあるでしょう。他人同士ならともかく、家族や結婚を通して人や地域のつながりが広がればなおさらで、嫌でも向かい合うことを余儀なくされます。とは言え、生きるということは共存していくことなのだから、他人の "それ" を否定することではなくて、理解し、認め、時には歩み寄ることが大切でしょう。モヒカンと矢沢永吉、デスメタルと吹奏楽、東京と広島 (地方)。ほら、不思議と仲良しこよしに見えてきませんか (笑) みんな、根っこは同じなんです。 ついでに、宅配ピザ屋さんのエピソードは、さも個性を主張するけど、実はどれも大差なく変わらないという「没個性」の象徴ですね、悪しからず。 [DVD(邦画)] 7点(2020-10-14 20:17:20) |
185. ここは退屈迎えに来て
《ネタバレ》 「私」が車窓から覗く田舎の風景。 チェーンの飲食店や電器屋が幹線道路に立ち並ぶ、よくある地方の街の風景だ。それは自虐的に言うほど、ド田舎ではない。かと言って、都会ではない。でも「中途半端」だから、なおさらもどかしいのかもしれない。 もどかしいと言えば、いったい友達なのか、恋人なのか、全くハッキリしないティーンエイジャーたちの距離感 (関係性) だ。それをまた、誰に肩入れすることなく、客観的に群像劇風に描いていて、最終的に勝者も敗者もないという、何から何まで中途半端で、なんとモヤモヤする映画なんだ。 そして「私」たちの今は、もう子供でもないが、大人にも成りきれないという、どこまでもモヤモヤさせてくれる。 だから本作は、どこからどう見ても大人たちのマキタさんと村上淳さんが秀逸だ。かつて思い描いた人生とは違うだろう、でもそれを受け入れて自虐的に語りながらも、真剣に今を生きている。実にいい大人たちだ。そんな彼らはもうモヤモヤしてないから、私もモヤモヤが少しは解消された。 きっと「青春」なんてさ、大人になるといつの間にか消えてる、モヤモヤモヤモヤモヤモヤのことなんだわ。 [DVD(邦画)] 6点(2020-09-30 12:12:17) |
186. 私の頭の中の消しゴム
《ネタバレ》 若年性アルツハイマー病の描写について、なかなか手厳しい意見も多いが、まあ純愛映画として見るならそう悪くはない。 愛するスジンがそうなった、彼女の父は「いずれ下 (しも) の世話もできなくなるぞ」とチョルスに忠告した、彼はそれを理解した上で覚悟を決めた、それでいいじゃん。言いたいのは、この患者と暮らすのは想像以上に壮絶であることを知らないわけじゃない、でもこの映画としてはそういう生々しい部分は見せません、そういうこと。 それにしても、スジンの切り替えの早さったら、すごい。始めの展開を見るかぎりでは、元カレと別れた日にチョルスに一目惚れしたわけでしょ? まさに清純派らしからぬ肉食系恋愛脳なわけだけど、このおかげで難病が発症する前に、ギリギリセーフで彼と恋人になれたわけだ。もしかしたら、虫の知らせが急がせたのかも。 とにかく、自分も健康なうちに早くいい人見つけておこう、ってのは本気で思った。 [DVD(字幕)] 6点(2020-09-28 18:13:39) |
187. 旅のおわり世界のはじまり
《ネタバレ》 序盤の撮影中、前田敦子演じる葉子はいつも蛍光色のカラフルな服を着ています。世界の最果てのようなウズベキスタンの荒涼とした湖の風景に、その色がやたらと映えます。もちろん番組の衣装ですが、映画の意図としては、大人が子供に目立つ洋服を着せる感覚じゃないかな。迷い子にならないように。 湖面に浮かぶ舟や遊園地のアトラクションは、地に足がついていない少女心理の象徴。バザールを一人彷徨う危うさなんか、彼女が人生の路頭に迷う姿そのものでしょう。彼女は「少女」でした。 そんな彼女を高み (大人) へと導いた男たち。日本に待つ彼はもちろん、加瀬亮の上司もしかり。山羊 (オス) は、自由と厳しさが待つ "現実" の象徴でしょうか。面白いのは「愛の讃歌」の使い方で、それが誰のためになのか、本命の彼が確信犯的に登場しないあたり、あえて視聴者それぞれの心にある「顔」を大切にしたように思えます。 それにしても、この映画のなんという音楽の違和感だ。懐かしくてレトロな響きであり、どこか不安な旋律、、すごくいいんだけど、これがこのストーリーと全く合っていないんだ (笑) かつてホラー映画の名手であった黒沢清監督も近年は作風が変わりましたが、どうやらこの音楽 (BGM) だけは主義を貫きたいようだ。実はジャンルではなくて、この揺るぎない「音楽」こそが、黒沢清たる本当の個性かもしれない、、最近はそう思えてきた。 [DVD(邦画)] 7点(2020-09-25 14:03:42) |
188. メランコリック
《ネタバレ》 ストーリーがあり得ないほどぶっ飛んではいますが、ギリギリ破綻していないと言うか、、まさに新人監督ならではの怖いもの知らずな脚本ですよね。私は好きです。 ありふれた日常と非日常の境界線の曖昧さ、そして、近所の「銭湯」でそれが交差するという滑稽さ。果たして、鍋岡に待ち構えるのは天国か地獄か? ハラハラドキドキする展開の先に待つ何という幸せな結末、、と大げさに言っても、せいぜい等身大の幸せなのが多くの共感を呼びます。 ちなみに、鍋岡にやたら急接近してきて銭湯で働くよう勧めたのは彼女でしたね。ふふふ、わかってるぜ、実は彼女こそ (悪の) 黒幕なんだろう? と私は確信していたのですが、それは考えすぎでした。たぶん、私は何かしら映画の観すぎです (笑) でも、たった一人でもそう考える人がいたってことは、彼女の存在そのものがミスリードとして充分機能しているようには思えました、はい。 [DVD(邦画)] 7点(2020-09-23 23:19:29)(良:1票) |
189. 未知への飛行
《ネタバレ》 主にアメリカ政府の高官たちによる舞台劇仕立てになっています。しかし、この低予算な作りにして、そのスケールはあまりにも壮大。また全編通してソリッドな作りで、非常に硬派な映画だと感じた。 1964年当時、めざましく高度成長を遂げる軍事力のシステム化、そしてその成長に置いてきぼりになりつつある人間の頭脳と体制の限界、その歪みを鋭く捉えているように思う。もちろん、当時は現実の世界も米ソ冷戦の真っ只中であり、その時代性を鑑みても、本作の存在意義は大きい。 終始、怒号が飛び交う迷走ぶりのなか、米大統領 (H・フォンダ) と教授 (W・マッソー) の正反対ながらも人間臭い二人のキャラクターが印象に残る。 大きな混乱のなかで聞こえてきたやり取りに、こんな台詞があった。 「故障警報器が故障したと思われます」・・・大欠陥じゃないか (笑) 気づいた時にはもう手遅れというやつだ。システム設計における人間の盲点、また安全で完璧なシステムなど存在しないことを、とてもよく代弁しているように感じた。 ・・人間もシステムも完璧がない、だから何が起ころうとも、それは「必然」かもしれない。 [DVD(字幕)] 8点(2020-09-23 17:01:30)(良:1票) |
190. TENET テネット
《ネタバレ》 確かに「007」を彷彿させる展開でしたが、前半はプロフェッショナルな犯罪者集団のような仕事っぷりの連続で、まるでマイケル・マンの「ヒート」だよねえ。そこにノーラン監督らしく、またまた超ド級のアイデアをぶち込んできた感じ。(いやいや、こっちが先なんでしょうけど) 今回、時間の順行と逆行のアイデア、そしてそれを交錯させようとする思考回路はすごいです。でも難解、複雑、一度で全容理解不可能。特にクライマックスのミッションなんて、正直、ちょっと何がどうなっているのか、よくわかんない。 過去の作品もそれは難解で一度の鑑賞で完璧に理解したとは言い難いけど、人間たちの熱いドラマに感動して、観終えた後のたぎる高揚感は確かにあったから、私は高評価してきた。今回はただ難解なだけで、出演者たちが地味で印象薄いし、何より、地球、社会、家族、そしてそれを守ろうとする使命感、、彼らのそういう心がまるで伝わってこない。 (そもそも描こうともしていない) 2~3回も観れば理解も深まって評価も変わるかもしれんが、もう彼らを何べんも観たいとも思わんし。それこそ、「逆行」できたらねえ、時間もたくさんあるんだけど。 そう、その逆行だけど、兵士たちがうようよと後ずさりしているような姿は見たこともない異様な光景で、これにはちょっと笑えた。なんか、マイケル・ジャクソンのムーンウォークを思い出しちゃった。 [映画館(字幕)] 5点(2020-09-21 20:13:58) |
191. ゴンドラ
《ネタバレ》 主演の少年少女はオーディションで選んだと思われるが、ここまで幸うすそうな二人をよく探し出したものだ。特に女の子は、まだ若いのに人生を諦めたような暗い双眸が印象的。物語にしても、この年代ならではの清廉さとか青春のきらめきとはほど遠く、あまり必要性の感じられない性描写もあるし、全体的にとても生々しくて、都会の空気そのものが二人を突き放すように冷たい感じ。母が在宅なのに、マンションの鍵を開けて中に入っていく少女の姿がとても痛々しい。 でも彼の故郷を訪ねる後半から空気は変わります。少女は田舎の風景に癒され、きっと人生の風景自体も変わって見えただろうし、彼にとってもいつもとは違う色をした一夏の風景だったはず。 タイトルのゴンドラ、そしてプールやブランコは地に足がついていない少年少女の心理の象徴。そしてラストは、まるで果てしない試練のような、見渡す限りの大海原。たった一人では足元のおぼつかない人生でも、二人で力を合わせて舟を漕いでいけば、何とか渡っていけるのだろうか・・。 [DVD(邦画)] 6点(2020-09-17 21:59:02) |
192. 南極料理人
《ネタバレ》 本作における「南極観測基地」は言わば舞台装置。従って、映画の作りとしては舞台劇仕立てのグルメ系コメディ。だから、極寒の地で生きることの苦しさ、そういうリアリティを求めてはいけません。 そしてもちろん、次から次へと出てくる料理が一層うまそうに感じるのは、食べるしか楽しみがないこのシチュエーションだから。「食」を際立たせるためのロケーション設定、ですかね。堺雅人くん、と言うよりは、フードスタイリストの飯島奈美さん、今回もごちそうさまでした。 そして、観測隊員たち。さすが地球の最果てに左遷されるほどの選ばれし8名だけあって、優秀そうな面々ばかりでした (笑) とにかく、笑いもありますが下ネタがないので、家族そろって安心してみれそう。それって、ありそうで意外と少ないので実は貴重な一作かもしれません。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2020-09-17 18:57:49) |
193. セイジ -陸の魚-
《ネタバレ》 20年前の僕がどうしてそこまでセイジに入れ込んだのか、まずそこが見えてこない。そして20年前の僕は、この夏のセンセーショナルな出会いと出来事に何を感じて、その後の人生にどう生かしたのか、20年後の僕からは全く伝わってこない。 伊勢谷友介氏の人脈自慢だろうか、山奥のドライブインには不釣り合いな都会風の面々も違和感ありあり。 確かに、BGMや映像センスは光るものを感じたが、冒頭の時系列をいじる演出などはあまり必要性を感じられない。でも、そのBGMもオシャレにこだわりすぎるあまり、せっかく1990年の夏というのに、浪漫飛行も夏祭りもおどるポンポコリンもラジオから聴こえてこないとは、ちょっと気が利かない。 [DVD(邦画)] 4点(2020-09-12 21:27:03) |
194. 夜叉
《ネタバレ》 侘しい漁村の風景に、目の前は雪の舞う日本海の荒波。もう行き着くところまできてしまった、といったところか。 この寂れた寒村の閉塞感が、足を洗ったヤクザたちの行き詰った人生をそのまま投影しているようで、こういう邦画ならではの情感は味わえました。 でも映画のよさはこの空気だけで、主要な登場人物たちのほぼ誰一人にも共感できないという、たいへん残念な映画ではありました。 私はむしろ、やかましいヤクザたちよりは、健さんに見せた、いしだあゆみさんの静かな怒りの形相に底知れぬ恐怖を感じます。健さんの紋々が夜叉ならば、彼女の表情はそう、、例えるならまるで「般若」だ。 [DVD(邦画)] 4点(2020-09-12 13:22:58) |
195. 東南角部屋二階の女
《ネタバレ》 まるで遠い記憶のように黄色くて、くすんだ色合いの映像美。昭和の名残りを感じさせるアパートの風景。どこか懐かしさを感じさせる映画でしたね。 そして、いくつかの謎めいた要素が手伝ってか、昭和時代の怪奇小説のような趣きもありました。古びたアパートの一室にある覗き穴、頑なに土地を手放そうとしない老人、、その老人の風貌もまた雰囲気抜群なんだけど (笑) 冒頭、お見合いにきた着物姿の涼子は美しくて、でも彼女以上にこの着物がどうしても心に残って、不思議とこの時、なぜか「着物」にまた会えるような予感がありました。だから、はるか戦前の記憶を残したままようやく日の目を見た着物の姿に、やっとまた会えたね、という奇妙な感覚を覚えたものだ。 個人的には、「お引越し」や「台風」といったエピソードから、本作に相米慎二監督作品への想いを感じました。 [DVD(邦画)] 7点(2020-09-11 01:30:02) |
196. 釣りキチ三平
《ネタバレ》 原作漫画は小学生の頃に夢中になって読んだなぁ。 本作は言っちゃあなんだが、「釣りキチ三平」という設定と知名度を借りた、夏休みの小学生向けのネイチャーアドベンチャー映画でしたね。そして、釣りを通して描く家族ドラマの映画。原作の再現度はさておき、童心に帰ったつもりで気軽に楽しむのが吉なのかと。だから、鮎釣りがいちいち説明台詞つきだったり、子供心に憧れたあのクールな魚神さんがチャラ男に成り下がっていたり、一平じいちゃんに吉幾三はナイスキャスティングと思って観ていたら実は渡瀬恒彦さんだったり、そのへんは微笑ましく観れましたよ、私は。 それよりも残念だったことは視覚的な部分。矢口高雄氏の原作は、鬱蒼とした木々や川や湖の水面に映る魚影など、それが実にぞくぞくするタッチで描かれていて、そういった美術的な感性にこそ真骨頂があったとも思っていますが、どうしても実写映画になるとそういった個性が皆無で、どこにでもありそうな普通の邦画 (の風景) になっていました。お魚もそう。CG感ありありで、これにはがっかり。 また、原作にはあれほどたくさんの名エピソードがあるのに、どうして夜泣き谷編だったのだろう? と議論はするべきだろう。ハワイのブルーマーリン編はわかる。これは予算の都合でダメだろう。呪い浮子編もわかる。ホラー映画になりそうだ。現実的な例として、ムツゴロウ編でも面白そうだし、壮大な釧路湿原を舞台にしたイトウ編でもよかった気がする。個人的にはいっそのこと、「O池の滝太郎」編でも面白かったと思うが? 監督が滝田洋二郎だけに。 [DVD(邦画)] 6点(2020-09-06 12:29:46) |
197. 深呼吸の必要
《ネタバレ》 沖縄の離島に集結したキビ刈り隊の面々。 主人公のひなみ (香里奈) は明るく社交的で協調性があり、優等生の学級委員タイプだ。だから私は彼女には興味が湧かない。 対象的に、他はどう見ても過去に「訳あり」な感じで、波乱の予感に期待は膨らむ。 すると意外にも、大ベテランの田所さん (大森南朋) が、空気読めない発言を連発して彼らを挑発しまくり、隊の雰囲気を乱していきます。 そしていよいよ、キビ刈りです。優等生同士 (ひなみと池永) 、問題児同士 (西村と川野) 、をペアにするという、意図不明な田所さんの選択もあり、思うように仕事は捗りません。 お楽しみのBBQでは西村と一触即発し、そして、ついには嵐の豪雨の中、車で家を飛び出し、大クラッシュ!!という、、。 一言だけ言わせてほしい。田所さん、、もしかして、足、引っ張ってる?? その田所さん (しつこい) 、これからも、長野のりんご、千葉の落花生、北海道のジャガイモに、日本全国一年中飛び回り、大忙しということだ。いや、彼がいるから忙しいのかもしれない (笑) そんな彼に、「もうケガするなよ、定職就けよ、住民税払えよ」と私は最後にエールを送ろう。 [DVD(邦画)] 8点(2020-09-01 21:38:46) |
198. ウィーアーリトルゾンビーズ
《ネタバレ》 「何もないーー」耳に残るわ~このフレーズ (笑) 確かに少年たち四人は (心の) 被害者です。でも最大の被害者は実は死んだ親たちなんですが、どうせなら被害者ヅラして調子に乗ってやれ、という発想の転換がまずあります。初代ファミコンを彷彿させる、シュールなアイコンや単音。それは、悲しみや怒りの感情を強調することなく、あえて虚しい心境 (虚無感) を強調してやれ、という考え方を表しています。そもそもセオリー通りならば、冒頭の火葬場の場面は曇りや荒天のはずですが、雲一つない快晴を選択するという念の入れようです。 だから本作のテーマは、人生の苦境における "発想の転換" なのかと。ありがちな "ポジティブシンキング" とはちょっと違う。そこが、凡庸な映画とはあきらかに一線を画すところ。 シンプルイズベストなのか、「ウィーアーリトルゾンビーズ」のテーマ曲はやたら耳に残るし、前述のファミコン演出も斬新で印象には残ります。「不幸」をオープニングとする少年たち四人のRPGに見立てる発想もいいとは思う。でも、面白かったか? と言われるとそこまで楽しめなくて。皮肉にも僕自身が空虚な心境で、どこか冷めた目で彼らを見てしまったんです。そんな私に彼らは気づいたのか、「どうせ他人事と思ってるでしょう?」と訴えるような少年たちのカメラ目線、その眼差しが心に突き刺さりました。 [DVD(邦画)] 6点(2020-08-29 12:01:52) |
199. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 よく練られた脚本に台本読合せを入念に行ったであろうリハーサル、その努力伝わりました、楽しめました高得点。 いや~~ 実に白熱しましたね。 縁もゆかりもない、この場限りだけの他人同士であること。思えば、この一期一会こそが「議論」することのあるべき理想の姿かもしれませんね。だって、親族集会や会社の会議じゃあ、こうはいかんもの。特に会社の会議なんて、明日からの立場を考えたら、上司に面と向かって「あなたの意見はまちがっています」なんて言えんわい! (笑) ・・・で、結局は被告の女性が登場すらしないあたり、真実うんぬんは本作の焦点ではないように思われました。 そして確かに優しい日本人たちでしたが、あのメガネくんだけは例外。むしろ彼こそ、ストーカー殺人とかやりそうなタイプ。次は彼自身が陪審審理の対象になるかもね~。 最後の解散していくオチは素敵ですよね、あの後味の良さでみなさんの好感度と映画の点数上がります、まちがいなく。 [DVD(邦画)] 8点(2020-08-27 17:58:55) |
200. そらのレストラン
《ネタバレ》 北海道の風景とおいしい料理でらしい感じにはなっていますが、中身は完全なハリボテです。 まず、料理を題材にした映画でありながら、肝心の料理をする場面は皆無で、出来上がった完成品を並べるだけという芸のなさ。チーズにしても、作られた完成品よりは、それを作る工程 (職人の手作業) がみたいのです。 スポンサーの圧力なのか、まるで新品にしか見えないキレイなお洋服を着回していて、彼らの恰好から生活感を感じない。そもそも、新品同然の作業着や靴を着せられていては、たとえ羊を飼ってもイカを釣ってもトマトを栽培しても、第一次産業に従事する人たちには全く見えません。 (本来はもっと泥臭くて、汗臭いものです) ついでに言うと、いい歳した大人たちが仲良すぎて気持ち悪かったです。この友情ごっこよりは、もっと描くべきものがたくさんあるはずでは? 「狼少女」「半分の月がのぼる空」の深川監督、何だかだんだん悪くなっていくなあ (泣) [DVD(邦画)] 3点(2020-08-08 19:14:26)(良:1票) |