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181.  12モンキーズ
クソみたいな未来描写が実にテリー・ギリアムらしい。彼は現実に何も期待していないのでしょうね。伏線の貼り方がうまく、先の展開が全く予想できないストーリーテリングはお見事。ブルース・ウィリスとブラッド・ピットの好演も良い。ブラッド・ピットが常に物語を引っ張っていくのでとても面白く感じます。しかもクライマックスに一切関係しないのも心地よい裏切りでした。
[DVD(字幕)] 6点(2015-11-02 21:00:46)
182.  怪物團 《ネタバレ》 
身体障害者のビジュアルにばかり注目してしまいがちですが、二人の小人が運命に苦しめられる姿は美しく、とても悲劇的です。一方でクレオパトラが無礼な振る舞いでサーカス団員たちに復讐される描写はおどろおどろしいホラー。彼らは無言でクレオパトラに襲いかかり、観客は彼女の悲鳴と変わり果てた姿に驚愕するばかりです。見世物小屋には行ったことがありませんが、おそらく本物の身体障害者が出演していた見世物小屋を見た時に生じる感情は、本作を鑑賞後に生じたそれに非常に近いのではないでしょうか。とても良くできた映画なのに、本作のせいで映画界から追放されてしまったトッド・ブラウニングには同情してしまいます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-11-02 20:57:19)
183.  巴里の女性 《ネタバレ》 
描写の繊細さやラストシーンの美しさは評価したいのだけど、肝心の話にあまり乗ることができなかった。チャップリンのコメディと比べると独創性に欠けるのでは?どこにでもありそうなソープオペラというか、キーストン社時代に制作した「チャップリンの画工」を発展させた話ですよね。「画工」はコメディにシリアスな要素を取り入れた先駆者であるチャップリンらしい映画ではあるのですが、いかんせん失敗作でした。画工チャップリンの失恋話に面白みが欠けていたのです。本作はその失敗を引きずってしまったような気がします。田舎町の駅での描写など好きなシーンはあるものの、それ以上のものがありません。ペドナが好演したとも言えず、むしろ脇役の演技が光っているのはチャップリンの意図したところとは真逆でしょうね。
[DVD(字幕)] 6点(2015-11-02 20:53:14)
184.  晩春 《ネタバレ》 
映画とはこうでなくてはいけません。小津の演出はあまりにも個性的で他のどの映画にも似ていませんが、映画の本質を見事に表現しているシーンが有ります。親子で能を見物するシーン、彼らは一言も台詞を発しませんが、原節子の感情は痛いほど伝わってきます。映画とは映像で語る娯楽・芸術なのであり、セリフは文学や演劇のもの。原節子は父・笠智衆に対する不満を口にしませんが、明らかに不信感をつのらせ、苛立っているのがわかる。こういう演出こそ映画なのだと思います。映画界の異端者が世界中で高く評価され、彼によって映画の本質が描かれている。不思議なものですね。
[DVD(邦画)] 9点(2015-10-20 22:11:14)
185.  八仙飯店之人肉饅頭 《ネタバレ》 
やけにコミカルな警察パートと血なまぐさいアンソニー・ウォンパート、テンションが違いすぎるシーンが交互に出てくるんので、耐えかねて酔ってしまう人が多いんじゃないかと。前者で笑って後者で血の気が引くジェットコースターみたいな映画でした。「あれ、アンソニー・ウォンより警察のほうがクソじゃね?」→「警察ひどい!アンソニー・ウォンがんばれ!」→「やっぱアンソニー・ウォンが一番クズだったわ」
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-19 18:37:04)
186.  二郎は鮨の夢を見る 《ネタバレ》 
演出・構成ともに優れていると思う。インタビュー音声は流れるものの、基本的には映像と音楽で見せる映画。映像はスローモーションをうまく使っているし、1度しか使われない早回しも効果的だ。クラシカルな音楽を使用するのにもちゃんと理由があり、よく考えられているんだなと感心する。すきやばし次郎のドキュメンタリーであるためにどうしても小野次郎氏を描くのが中心になる。長男メインの買い付け等のシーンも常に氏の存在を意識させられるので、氏が逝去した後のすきやばし次郎はどうなるのか?ということが描かれはするものの、長男が脇役に回らざるをえない。しかし、最後の山本益博氏のインタビューで実は長男が主役のドキュメンタリーだったのだ、と気付かさせる構成!素晴らしかった。海外で高く評価されているのもうなずける。決してオリエンタリズムだけを評価しているわけではない。
[インターネット(字幕)] 8点(2015-09-06 23:21:30)
187.  M:i:III 《ネタバレ》 
もううさんくさいイーサン・ハントはいないんだ!スローモーションの無駄遣いもないんだ!チームワークで任務を遂行する「スパイ大作戦」のイーサン・ハントが戻ってきたぞー!というわけで大好きな映画です。オープニングの音楽からしてダメダメだった『2』をなかったコトにする気まんまんで、『1』、そしてドラマ版へ原点回帰するぞ!という意志が感じられてサムズアップ。現役復帰する動機がやや弱いけど、アクションはシリーズ史上最高にかっこいいし、なによりもチームワーク感にしびれた。一番のお気に入りはイーサンがラビッドフットを盗みに入ったのにその過程を一切見せず、仲間が彼の生還を祈るしかない様子を見せる演出です。ここで観客と仲間たちの距離を一気に近づけ、のちの展開にのめり込めるようになっているんですよ。素晴らしい!エイブラムスのことを過大評価野郎とか思ってたけど、撤回します。やるじゃん!
[インターネット(字幕)] 8点(2015-08-08 01:58:45)
188.  M:I-2 《ネタバレ》 
もうスパイものでもなんでもない…ジョン・ウー映画らしい派手なアクションもいまいち盛り上がりに欠ける。便利な覆面を便利使いし過ぎな気がするのもちょっと残念でした。
[インターネット(字幕)] 5点(2015-08-01 04:06:50)
189.  ミッション:インポッシブル 《ネタバレ》 
プラハでのミッションでジムが撃たれ、血がだくだく…いくらなんでもあの演出は黒幕だってバレちゃうでしょ。絶対この人じゃんって思ったもの。トム・クルーズが奮闘するエンタメアクションとしては合格点だと思うけど、あれはねえよ…。
[インターネット(字幕)] 6点(2015-08-01 00:14:26)
190.  クリフハンガー 《ネタバレ》 
超軽装なのになぜか絶壁の上まで来れてしまった女性が墜落する冒頭のシーンは良かった。絶望感がヒシヒシを伝わってきて、「おっ、これはいいかも」と思ったんですが、それからはバカバカしくて…。なによりも悪役がバカ。行動・決断に明確な理由がないから全く納得出来ないし、どんな結末を迎えても「いや、それお前のせいじゃん」としか思えないんです。無駄に仲間割れして死んでいくし、スタローンの背中を撃ちぬけないし。スタローンは『怒りのアフガン』状態だから撃ちぬけなくて当然なんだけど、そもそもなぜスタローンを殺そうと思ったのか?『怒りのアフガン』見ていないの?
[インターネット(字幕)] 5点(2015-07-30 05:35:59)
191.  CUBE 《ネタバレ》 
『CUBE』以前と以降でホラー映画を分けることができるというくらい革新的な映画だったように思います。徹底的な低予算と極限状態に追い込まれた人間の醜さをテンポよく見せてくれるので楽しい。観客も登場人物と同じ心境で物語を見つめることができるのは、お見事としか言いようがありません。
[インターネット(字幕)] 8点(2015-07-29 02:32:21)
192.  ジュラシック・パーク 《ネタバレ》 
新作『ジュラシック・ワールド』が世界中でヒットを飛ばしているので、観直しました。 最初に見たのはまだ子供の頃。当時は気が付かなかった脚本のアラをいくつか発見してちょっと嬉しくなりました。トリケラトプスとエリーの件、エリーが無事に帰る件、そのことを知っている前提での会話がなされるティラノサウルス襲来前のシーン。この辺なんとかならんかったのかな。 作品全体は予測不可能なパニック映画としてとても良くできています。俳優の演技も良い。特に姉弟の演技が素晴らしいというか、演出が素晴らしいというか。あの二人、最初はこまっしゃくれたガキでどうにも気に食わないキャラクターなのですが、物語が進むに連れてだんだん愛おしくなってくる。観客がグラントの心境を追体験できるようになっているんです。ラプトルに襲われるシーンなんてもう固唾を呑んで見守ってしまって…。凄い!さすがスピルバーグ。 『ジュラシック・ワールド』も楽しみです。
[インターネット(字幕)] 7点(2015-07-24 16:40:44)
193.  東京オリンピック
中盤までずーーーーっと続くトラック競技でウンザリしてしまった…。 競技をブロック分けするのは当然なんだろうけど、それぞれの競技が持ち、市川崑が表現したかったであろう芸術性に偏りができてしまったように思う。また、その表現方法もスローモーションに頼りすぎではないか?
[DVD(字幕)] 5点(2015-07-18 16:57:40)
194.  オズの魔法使
いつ観るかがとても重要な作品だと思いました。ずーーっと「なめとんか!」と思ってしまった。お伽話だからさ、憤りながら観るのはちゃんちゃらおかしいわけなんだけど、それはわかっているんだけど。もっと純粋な心を持っていた時に観れば絶対に楽しめたんだろうな。基本的には褒められない映画だけど、「Over The Rainbow」の美しさは忘れられない。いつ観ても良いと思える部分はあります。
[DVD(字幕)] 4点(2015-07-18 13:38:00)
195.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
とてもおもしろい。『マッドマックス2』ではあっけなく散った女性戦士をフィーチャーし、マッドな世界の犠牲者たちの革命を描いている。決して身勝手な争いではなく、切実な争いでした。男性が支配し、女性は徹底的に搾取されるストレートな構造から浮かび上がるのは現実世界の歪な矛盾。観客は「現実はここまで酷くない」と思う一方でどこかに共通点を見出してしまう。だからこそ、日々「嫌だなぁ」と思っている世界に対峙し、命がけの革命を起こすマックスたちに共感し、クライマックスにのめり込む。いいですね。ダメなアメコミヒーローアクションとはまるで違う、良質にして熱いアクション映画です。 …ただ残念なのは、敵キャラをもうちょっと魅力的にできたんじゃないかということ。そこに葛藤を持ち込むと途端にくだらなくなってしまうことをジョージ・ミラーは熟知していて、だからこそ表層的な悪者として描いたんだろうけど、先ほど槍玉に挙げたアメコミヒーローアクションは悪者のキャラクターが命という面がある。悪者は必ずヒーローの裏側を表していた。マッドマックスにこういう要素を持ち込むと…ダメかな。面倒くせえかな。
[映画館(字幕)] 8点(2015-07-18 13:33:22)
196.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
フリークスを購入して文明を教えてみんなで感動…。確かに感動したにはしたんだけど、あのデヴィッド・リンチが大好きなフリークスを主役にした映画で何を伝えたかったのか?良い話だと思って見てたけど、見終わってからよく考えると、良い話かこれ?トリーヴスが抱えるジレンマは最後まで解決していないよね。不幸な見世物が幸せな見世物に変わっただけで、本質は…よくわからん。いい映画のように演出されているけど、そうではない。デヴィッド・リンチが見せたたかったのは見世物小屋の主人や彼に所有されているフリークスたち、エレファントマンをいじめぬいた雑役夫の姿だろう。病院内での「良い話」よりも人間の醜悪な側面を描いたシーンのほうがよっぽど印象に残る。「良い話」も偽善で塗り固められた芝居だ。そうか、この映画そのものが見世物なのか…なのかな。
[DVD(字幕)] 7点(2015-07-07 06:35:36)(良:1票)
197.  鉄男 TETSUO 《ネタバレ》 
田口トモロヲと大槻ケンヂって似てたんだなあ… イレイザー・ヘッドとカフカの変身とゾンビ映画を足したような感じの映画だと思いました。イメージショットのインサートが多い上にセリフで語られるタイプの映画ではないもんだから、話を追おうとすると何がなんだかサッパリ。塚本晋也の源泉垂れ流しの映像世界にドップリと浸かりこむしかこの作品を楽しむ方法はないわけで、私はこの泉質が肌に合ったのでとても楽しめました。 映画を見終えてから思い出したのは『桐島』のこと。確かに橋本愛が『鉄男』を映画館で見てたら惚れるわ。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-06 16:15:02)
198.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 
ロードムービーだもの、何も起こらなくて当然。雰囲気は好きだし、好きなショットもあるし、何度か笑った。でもなあ、いくらなんでも退屈なんじゃないのか?ヒロインはとても魅力的で、彼女が画面に映っているだけで興味をそそられたけど、男連中には一秒たりとも興味を持てなかった。絶妙にバランスが悪い。このバランスの悪さが映画のすべてなんだろうなあ…。好きだし、嫌い。そんな感じ。
[インターネット(字幕)] 6点(2015-07-05 21:46:22)
199.  怪物の花嫁 《ネタバレ》 
『グレンとグレンダ』よりもまともで、『プラン9』よりもはるかに突っ込みどころが少ない。お金もかかってる。資料映像もバンバン使っている。ベラ・ルゴシの名演で作品はちゃんと成立している…だけに、それだけに退屈さが強調されてしまい、全く評価できません。エド・ウッドの代表作の中では一番嫌いです。エド・ウッドの会話シーンは本当に退屈ですね。この作品は会話シーンが多いので疲れました。『エド・ウッド』を見ていれば面白みがわかるシーンはあるんだけど、それでも退屈さをカバーできなかった。ベラ・ルゴシには悪いけど、0点です。
[DVD(字幕)] 0点(2015-07-04 22:03:50)
200.  プラン9・フロム・アウター・スペース 《ネタバレ》 
つまんねー。小学生の作文並みに支離滅裂。俳優の演技もダメ。映画として成立していないダメ演出の数々。最初のうちは笑っていられるんですよ。ツッコミどころがありすぎて、その度に無邪気に笑ってた。でも後半はダメです。何にツッコミを入れたらいいのかわからなくなるんだよ…。エド・ウッドっておじさんはこの映画を本気で作っていたんだと思うと、彼以上の偉人なんていないんじゃないかとすら思える。この映画を最高傑作だと思っていたなんて、凄すぎる。
[DVD(字幕)] 1点(2015-07-04 18:23:47)
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