181. 無頼の谷
《ネタバレ》 これは面白い。 89分という短い上映時間から想像できる通り、テンポはものすごく速い。愛する人を殺された主人公ヴァーンが復讐のために町を出、最終的に目的を達するという展開は定番であり特に真新しさは感じない。しかしこの作品の面白さは構成と発想にある。 ここからネタバレになりますが、まず主人公と敵、追う者と追われる者が互いに互いを知らないという点。主人公は今にも消えそうな数少ない情報を手繰って前へ前へと進んでいく。そうして行きついた先は罪を犯した人間が集うチャカラックすなわち無頼の谷。と、ここで上手いのは無法者が集う牧場だけに主人公からしてみればだれが恋人を殺した犯人なのかがわからず、犯人からしてみれば主人公は毎度おなじみの新入りにしか見えないという点。犯人候補が大勢いる某推理漫画のような面白さが上手く入れ込まれている。 ではどうやって犯人を特定するか、というとキーポイントとなるのが「絶世の美女」ここではオルター・キーン。オルター・キーンの魅力はチャカラック到着前の犯人の手がかりを探す段階から挿入されているとおりで、チャカラックでもその魅力は健在、谷の全ての男達の行動に影響を及ぼす。また、女性であるが故にブローチを付けるのも不自然ではなく、自身の生計を立てるために身を隠す手助けの対価として稼ぎの10%を徴収する、全員が犯罪者であるが故にボスとして互いの詮索は禁止させる、といった設定も上手く活きている。 いよいよ主人公が犯人を特定するというその一方、犯人も主人公が何者かを特定。最初は「馬の乗り方で主人公のことを思い出すとかさすがに無理矢理すぎじゃね?」と思ったが、見返して確かに、序盤、犯人が主人公と唯一すれ違った場面で主人公は馬に乗っており、犯人の意識は店に向いている。この辺の細かさ含め、全体の構成、展開の上手さは充分に面白いと思わせられるところでした。 [DVD(字幕)] 8点(2014-03-31 00:49:21) |
182. さすらいの用心棒
深いか深くないかといったら深くない、納得いくか納得いかないかといったらイマイチ納得いかない、しかし面白いか面白くないかといったら面白い、そんなエンタメ系マカロニウエスタンです。 頭は良くイケメンであるがやってることはクズなティムとあまりにもお人よしすぎるハリー。二人のキャラが立っていて、それ自体がひとつの見どころとなっています。 冒頭、ハリーが銀行に行くまでは単調でありがちな展開。と思いきやそこから一気に面白さが加速、最後まで突っ走ります。冷静に見ればいやいややってることは詐欺や泥棒やん、とか悪人なのに綺麗に締めてんじゃねえwとか言いたくなりますが、それを勢いでねじ伏せるキャラと見せ場、そしてBGMの良さが光ります。 BGM自体が作風と合っているかといえば合ってないのですが、しかしそれでもBGM単体として非常に良い。哀愁漂う口笛のテーマ。マカロニは良曲が多いイメージですが、これもそのひとつです。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-28 20:39:25) |
183. ネバダ・スミス
《ネタバレ》 今更ながらにキャストの重要さを再認識。私はマックィーンとその作品が好きなので、その補正がないかといったら嘘になる。やっぱりマックィーンは土や泥にまみれる役がピッタリですね。「大脱走」はじめ「パピヨン」「タワーリングインフェルノ」泥にはまみれてないけど「シンシナティ・キッド」もかなり好き。というか西部劇にもかかわらず脱出してんのには笑った。しかも2回も。監獄からの脱出っぷりは「パピヨン」に近いかな? 本作は復讐の虚しさを描いた作品、と見せかけて復讐を通してマックスが成長していく様を描いた物語、というのが妥当だろうか。復讐をとげる度に、あるいは行おうとするたびに銃の腕や悪事を働く手並みが上がっていき、反対に人からの信頼や名誉、愛を失っていく。しかし最後の最後に殺人による復讐を思いとどまる。これだけだと復讐の虚しさ系作品なのですが、片や様々な町やインディアンのテント、監獄や教会までも行き、様々な人と出会う。読み書きを覚え複数の女性を知り、酒やポーカーも知る。こう見るとやはり成長物語という方がしっくりきますね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-25 00:23:07)(良:1票) |
184. キャット・バルー
《ネタバレ》 ストーリーは父が殺され復讐を誓う女の話という西部劇の王道パターンですが、中身が完全にコメディ。列車強盗シーンとかあるけど緊張感は全く無し。軽快な音楽に合わせてストーリーが進行し、最初と最後が繋がるという描き方は良かったけど、エンターテインメントとしてもうちょっと見せ場的なシーンは作れたような気がします。どうにも単調すぎた。 それにしてもパッケージの馬に乗り壁に項垂れてるキッド、映画を観る前と観た後とでは全く印象が違って見えるのが笑えます。深い事情があるのかと思ったらただの酔いどれ親父だったんかい!的な(笑) [DVD(字幕)] 5点(2014-03-24 01:22:31) |
185. アナと雪の女王
《ネタバレ》 ■ストーリーとテーマ・・・劇中でさんざん出てくる「扉」。キャラの台詞や歌の中でも数多く登場し、映像的にも城の扉であったりアナとエルサを隔てる部屋の扉であったりと再三登場する。この扉は当然エルサの「心の扉」を象徴しており、自分の魔法がアナや他の人を傷つけることを恐れ、孤独に生きることを選択した結果、アレンデールが冬に閉ざされる、というくだりは「他人を傷つけることを恐れて心の扉を閉ざしたままだと、取り返しのつかないことになっちゃうよ」という教育的?なメッセージを含む。で、実際王国が冬に閉ざされるという取り返しのつかないことになっちゃったわけだけど、どうやったらこの状況を打開できるのかというと、「心の扉を開き他人と触れあい、他人を慈しむこと」が必要。作中の言い方をすれば「自分を犠牲にしてでも他人を思うこと、つまり真実の愛を知ること」となる。この場合、重要なのは自分と他人との関係なのだから、別に異性との恋愛が必要というわけではないんですね。 味方側がピンチ→愛によって全てが解決!とだけ見るととんでもなくベタですが、本作の場合唐突に愛が出てきたわけではなく最初から全て一貫した流れになっていて、またそのテーマを上手く映像や音楽で表現している点、見事だったと思います。 ■映像・・・最近は昔の作品ばっかり観ていたので、現代の映像技術の高さに衝撃を受けました。氷をモチーフにしているのが見事にハマっていて、氷の城をはじめ水や氷、雪の結晶の美しさにはただただ感動の一言です。 ■音楽・・・さすがディズニー映画だけあって大量に劇中歌が流れますが、やっぱり「let it go」が一番好きです。「let it go~♪」の歌詞に合わせてエルサが魔法を使うシーンは鳥肌ものです。 [映画館(字幕)] 7点(2014-03-23 20:36:11) |
186. 盗賊と馬と拳銃と
《ネタバレ》 う~~~ん?全体的に渋めのテイストであり、テーマを持たせていることは明らか。最初は父親と子どもの絆がメインで、周りに笑い物にされても手出しをせず妻がいるのに女にうつつをぬかす父親を軽蔑混じりの感情を持ちつつも、最後には父親がカッコイイところを見せ子どもが信頼と尊敬の念を抱く、という感じかと思ったら、どうやらそうじゃない。父と子、なんだかんだあっても互いは愛情で結ばれている、という方がどちらかといえば合ってる気がしますが、こちらもテーマのメインか?と言われるとそこまでしっくりこない。では何がメインかというと、「本当に素晴らしい人間とは」ということなのではないだろうか。 本作の主人公は黒人。時代背景的に差別的な描写が入ることは想像できる。で、だいたい理由も無しに差別的な嫌がらせをするのは白人で、それもそのまま描かれる。しかし、本作で特殊なのは主人公と同じ黒人であるネイトやクリスマスが直接的な敵キャラとして描かれているところ。つまり、差別云々以前に白人だろうが黒人だろうが悪い奴は悪いと。では、「良い」人間とはどんな人間なのか、となると象徴されるのがビリーでしょう。動物も人間と同じように愛し、自分の命を取るかもしれないクリスマスをも気遣うシーンが象徴的。手術の痛みに耐えるクリスマスの手をさすったり、まして自分が死ぬことも厭わなかったり。クリスマスが崇拝?するスモークのように、人としての尊厳を失わない人間こそ真に素晴らしい人間である、という主張があるのでは。クリスマスはビリーにスモークと同じものを見たから最後に銃弾から庇う。「自分を犠牲にしても他者を思う」「誇りを捨てない」、こういった人間こそ真に正しい人間だと。ていうかそもそも、クリスマスといったらキリストを想像せざるを得ないですしね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-03-22 05:13:23) |
187. 牧童と貴婦人
《ネタバレ》 身分を隠したお嬢様と一般ピープルの恋愛。秘密を打ち明けるタイミングを逃しそれが元でトラブルが起こる。なんやかんやありながらも当然最後はハッピーエンド。いや~ベタ、ベタですね~。もちろんベタだから悪いなんてことは一切無く、重要なのはその見せ方。無駄に重々しく観ていて疲れるような描写は全くなく、ハイテンポでカラッとまとめ、上映時間も91分。その中でも後先考えず船にのるメアリー、「第4の手」、理解のある伯父さま、頑固だが最後に娘をとる父など、こちらもベタなんですがしっかりツボを抑えていることでいい意味で普通に良い作品となっていると思います。 それにしても普通は「秘密を打ち明けられないまま」なのは恋愛段階までのところを秘密を持ったまま何事もなかったかのようにあっさり結婚しちゃうのはスゴイ。お国柄なのか時代なのかコメディだからなのか作風なのか・・・。ストレッチの女に興味無いキャラはどこへやら、妄想劇場(しかも長い)が始まった時はどうしようかと思いましたが、船のシーンと合わせ、全体のテンポ的に良い緩急になっていたかと思います。 なお、タイトル的に西部劇だと勘違いしてレンタルしたというのはご愛嬌。 [DVD(字幕)] 6点(2014-03-20 00:56:14) |
188. 血と怒りの河
《ネタバレ》 いやー普通に面白かったです。名作や傑作とされる作品のような深い心情描写やテーマ性であったり「名シーン」と呼ばれるシーンがあったりというわけではないですが、それでも面白いもんは面白い。そんな作品でした。途中で飽きることなく最後まで見れます。 本作は盗賊編・ジョアン家編・決戦編と3部に分けられそうですが、まず盗賊編では全体の雰囲気と音楽が非常に良かった。撮り方の問題なのか、影のある画とその雰囲気・音楽がマッチしていてとても好み。登場人物も全体的に言葉少なく、良い雰囲気を出す要素となっています。中でも特に口数の少ないブルーのキャラクターがグッド。 ジョアン家編ではドラマ性重視。人間関係と徐々に心を開いていくブルーが見どころで、ここらへんから口数が多くなってくる。それにしても一応結婚するつもりの相手がいて相手もその気なのにあっさり裏切るジョアンさん。それでいいのかおいw そしてオルテガと対立してからが決戦編。序盤の喋らないキャラはどこへやら、一転して激しく動きまくり喋りまくるブルー。まあそれは良いとして、結局最後は戦いになるあたりが西部劇らしい。設定的に最初から復讐を目的としてるわけではないのだから、交渉の仕方や対立後の見せ方でいくらでも丸く収まる系エンドにはできたはず。しかしそれをしないどころか、オルテガもブルーも死ぬという・・・。まあ製作年的にニューシネマ風味なんでしょうが、ここら辺、色んなパターンが思い浮かぶだけに映画を見た人の意見も割れそうなところです。もっとやりようがあったはず、的な。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-17 00:11:04) |
189. 腰抜け二挺拳銃
《ネタバレ》 く、くだらん(笑)もちろん良い意味で。何も考えず頭カラッポにして見て良い系西部劇でしょう。最初の数分こそシリアスですが、ペインレスが登場してからはコメディ全開。というよりペインレス以外の皆さんは真面目でペインレスのみがふざけている。いや、本人としては真面目にやってるのか・・・w 笑ったのは指輪を神父にはめるとこと馬車を出発させようとして吹っ飛ぶところの2点。ただ吹っ飛ぶところは2回目以降は蛇足な気がしますね~。1回で良かった。それにしてもセルフ引きまわしになるあの画は面白すぎた。 全体的にテンポは良かったのですが、冒頭の歯医者のくだりと最後のインディアンのくだりが若干テンポ殺しだったような気がします。 [DVD(字幕)] 6点(2014-03-10 19:36:50) |
190. ララミーから来た男
《ネタバレ》 普通に面白かったです。冒頭で復讐が目的という設定がされ、最後に復讐を果たす。その道中でイザコザが起こる、という骨格はベタ中のベタですが、その中身が秀逸。連載中の週刊漫画を読んでいる時のような、ミステリー小説を読んでいる時のような、あのワクワク感があります。主要人物はロックハート、アレック、デイヴ、ヴィック、バーバラ、ケイトの6人ですがその6人がそれぞれ親子であったり恋人であったりお目付け役であったり内部vs外部であったりといった様々な矢印で繋がっており、その矢印を活かし練り込まれた展開は見事だと思います。グダグダやってるだけじゃなくラバが殺され馬車が焼かれる、手を撃たれる、デイヴが途中でドロップアウトするなど途中途中でインパクトのあるシーンが挟まっているため、飽きることなくむしろあっという間に時間が過ぎた印象です。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-10 04:09:41) |
191. 砂漠の流れ者
《ネタバレ》 だめだ。こういう系の作品はどうも合わない。表面だけを見たって仕方がないことはわかるけども、その表面が滅茶苦茶すぎてぶっ飛んだ印象しか感じなかった。一目惚れ・・・ではあるが胸しかみてないホーグ、神父・・・ではあるが変態なジョシュア、復讐・・・ではあるが一人は生かすどころか後を継がせる、など、どれもこれも西部劇の鉄板パターンから中途半端に軸を外していてなんだかモヤッとする感じ。また、他の西部劇と比べてコメディ要素とエロ要素の割合が高いが、作風を抜きにもどちらも合わず。あの早回しはなんなのよw [DVD(字幕)] 3点(2014-03-08 03:03:08) |
192. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
《ネタバレ》 最近は西部劇にハマっている。そしてブルーレイが観れる環境になった。BTTF1は全映画の中で最も好きな作品。これらの意味するところはひとつ。「BTTF3を観るしかねぇ!」・・・というわけで久々に(もちろん吹き替え三ツ矢版で)視聴!1には及ばないまでも、やはり面白いですね~。 昔小学生の頃さんざん観た時は、イーストウッドネタはわからなかったなー。今見るとなるほど確かに「クリント・イーストウッド」が腰抜けとして後世まで名が残り、あるいは墓が残っちゃってるのはマズいですもんねw西部劇を代表する役者といえばまず思いつくのがジョン・ウェイン。マカロニまで含めるとイーストウッドも、という印象ですが、そこでイーストウッドをチョイスしたのは良いですね。イーストウッドの名を借りた決闘で、part2のテレビで本物イーストウッドが使っていた防弾チョッキ戦法を使うというのも上手い。これなら文句はないだろと。また、西部劇恋愛の鉄板「一目惚れ」が重要な位置を占めてるのも嬉しいですねー。 ところで、ビフォード側は丸腰の人間を公衆の面前で平気で撃ちすぎでしょう。西部劇では基本的には相手が銃に手をかけるのを確認してから撃つのが当たり前。というのも、そうしなければ正当防衛にならずただの殺人となり、即逮捕→死刑(首吊り)が待っているからです。また、丸腰の人間をしかも後ろから撃ったりしたらそれこそ後世まで卑怯者のレッテルが張られることになります。保安官を抱き込んでるためやりたい放題、というパターンもありますが、本作の保安官はストリックランド(ハゲタカの祖先)なのでそれはないでしょう。まあビフォードは馬鹿だから何も考えてない、といえばそれまでですが。西部劇を観ない人にとってはマーティとの決闘シーンでのビフォードの「抜け」という台詞を聞いて「いやさっさと撃てよw」となるかもしれませんが、本来はむしろそちらがスタンダードです。 カットシーンとしてビフォードが保安官を撃ち殺すシーンがあるらしいですが、それはカットして正解でしょう。保安官を殺すほどの「狂った(マッド)」男だから丸腰を撃つことくらい何でもない、という見せ方はできますが、本作のビフォードは狂ったキャラというよりお馬鹿キャラのほうが合ってますからね。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-03-07 00:38:57) |
193. リオ・ブラボー
《ネタバレ》 ■エル・ドラド(1966)を鑑賞後、展開はおろかウェイン側4人のキャラから詰所のカメラ位置まで瓜二つなこちらを観たくなって2周目視聴。やはりエンタメ西部劇の傑作というのは間違いないですが、本作は他の西部劇を色々と観た後に観ることで相対的に評価が高くなる作品であると思います。その理由は①西部劇お馴染みの「パターン」を微妙に外してきているところ②59年作品なのに今見ても面白いと思えるようなツボをきっちり押さえているところ、という2点。そのため、本作は西部劇の初っ端に観るのではなく色々回った後に改めて観てほしい作品です。 ■①について、西部劇の若者といえば自分の腕に自信を持ち名ガンマンに憧れ、プライドが高く感情的、という描かれ方がパターンですが、本作のコロラドは「若者なのに」冷静で合理的、そのくせ強気な態度に見合う銃の腕を持っているという描かれ方。また、「あの」ジョン・ウェインがいつも通り堂々と登場したはいいがいきなり殴られて気を失い、また恋愛ベタという描かれ方。「お馴染み」を観た後だからこそ魅力を感じるポイントです。 ■②について、多くの西部劇は「男気」のような感情面を重視しているのに対し、本作は劇中で再三「利口(ないし似た意味の単語)」が出るように、合理的な言動が重視されています。こうこうこうだからこう、故にこうなる、という説明的台詞の多さ。「魔法」や「気」果ては「忍術」を使うにもその原理・理屈を説明する現代の価値観に合うところがあると思います。他にも、「仕事はできるが恋愛ベタな主人公(ウェイン)」「弱点があるがそれを除けば超優秀な仲間(デュード)」「普段は冴えないがキャラが良くここイチで活躍する仲間(スタンピー)」など、今の漫画等にも通じる面白さのツボがきっちり押さえられています。 ■唯一アレなのは突然のチャチな階段トラップとそれに見事にひっかかるウェイン。ピンチの描写をもってきたいからって無理矢理すぎるでしょwというか百歩譲ってひっかかるのは良しとしてもあの転び方で気を失うなよ・・・w [DVD(字幕)] 9点(2014-02-28 05:45:58)(良:1票) |
194. エル・ドラド(1966)
《ネタバレ》 リオ・ブラボーそっくりですね~。もう至って単純・ベタなエンタメ西部劇ですが、そこがエンタメ西部劇の悪いところでもあり良いところ。特筆して面白い!というところはないため高得点にはならないが、見てるとやっぱりつまらなくはないし、飽きない。ゆえに7点(ないし6点)。そんな感じ。深いテーマ性作品の7点とは意味合いが違いますね。 ただひとつ、テンポ・キャラ・そしてガンアクションで魅せているわけですが、それならばやはりマクロードとはベッタベタな一騎打ちをしてほしかった。当然コールが勝つわけですが、それでも良い。さんざんあったやり取りの決着がそれかよ!というのはやっぱり目についてしまいますね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-25 00:14:39) |
195. 天使にラブ・ソングを2
《ネタバレ》 個人的に思い入れがある作品。何といっても「Joyful,joyful」からエンディングまでの一連の流れと曲が素晴らしい。ただ本作の欠点はコンクールの結果がネタバレ無しでも誰でも予想できちゃうというところ。最後にコンクールを持ってきた時点でまあ仕方ない気もしますが、そりゃ主人公サイドが5位とかなわけないもんなぁ・・・となっちゃうわけで。あと「2」であることのデメリットとして、若干ストーリー運びが強引であったりキャラより設定が先になっちゃってたりシリアス度が高めだったり、続きものだけに前作との比較でマイナスに感じてしまいます。 ところでTV版ではだいたいEDがカットされていますが、それはいかんでしょう。EDの分の時間を本編から削っても良いからEDは入れていただきたい。そのくらい良いEDだと思います。トーマス神父はじめじいちゃん神父ばあちゃんシスターのあの活き活きとした姿を見ろやこのやろー!と言いたくなりますね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-23 08:47:12) |
196. 天使にラブ・ソングを・・・
《ネタバレ》 最高のエンターテインメント映画ですね。良い点が多すぎて全ては挙げられない。全体を通して言うなら、エンターテインメントという枠内に全てを収めたという点にあるでしょう。ストーリーの本筋的には殺人を目撃したデロリスが修道院に身を隠すという話。しかし、殺人目撃シーンやトイレ脱出後の手下に攫われるシーン、カジノで追われるシーンなど、全てBGMはポップな音楽。つまり、あくまでこれはエンターテインメント作品であると言い張っているんですね。もしこれらのシーンで深刻なBGMが流れていたら、きっとここまでの素晴らしさにはならなかったでしょう。そしてこの「音楽(BGM含む)」というのがこの作品のキーポイントになっているのがこの作品のキモ。デロリスと院長ら修道女はいわば対極の存在。それら両者を、果ては老若男女価値観を超えて結び付けるのが音楽であるという主張。真剣に見れば多少ぶっとんだシーンもありますが、それでもこのまとめかたには素晴らしいの一言です。 ■曲としては「Hail Holy Queen」が一番好き。もう何度聴いたかわかりません。歌ってる最中の皆の楽しそうな表情がもうね。 ■エンターテインメント作品だけあって、コメディ要素も中々のもの。一番笑えたのはシスター集団のヘリコプター操縦士脅迫シーン。次点でカジノでの後ろ姿声かけ「なあに?」のシーン。その他にも多々ありまくり。さりげなく院長が「俗世」のことに詳しいってのがミソですねw [DVD(字幕)] 9点(2014-02-23 06:13:24) |
197. 決断の3時10分
《ネタバレ》 ■とにかく雰囲気が素晴らしい!第一にウェイドと店主代理の女性のやり取りの前後のシーン。町全体を描写せず、町の隅にひっそりとある静かなサルーン。若干影を背負った佇まい。もう何といってもBGMが最高に効いています。第二に早朝のコンテンション。人っ子一人いないその様子はゾクリとくる怖ささえ覚えます。撮り方によってこんなに違うものなのかと。 ■リメイクとの対比・・・リメイクと決定的に違うのは、ウェイドが本気で逃げようとしているところ。それ故緊張感が段違いで、一瞬も気を抜けないその状況はいつの間にか見入らされています。また、リメイクのウェイドは自分の身がどうこうよりもダンの人間性に心を動かされたという描写が強いですが、オリジナルは「本気で逃げたい、しかしダンは死んでほしくない」というジレンマ構造の描写になっています。オリジナルもリメイクもダンに協力的な言動をするという点では共通ですが、その中身が違うのが面白い。さらに、リメイクのダンは何ら誇れるものがなくどこか頼りなさげで、そんなダンが逃げ出さない理由は「誇り」のためですが、こちらのダンはウェイドよりもいかつい風貌で、家でのシーンで子どもたちからの尊敬(誇り)をあっさり獲得している。ではなぜ逃げ出さないのか、となると、ダンの台詞の通り「責任」言い換えれば「己の正義」のためなんですね。やっぱり昔の西部劇はそうでなきゃ!という感じのテーマ設定で、そこが良い。 ■・・・と、如何せんリメイクを先に観たためにどうしても比較してしまいますが、オリジナルもリメイクもそれぞれ良いところが異なる素晴らしい作品というのは間違いないと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2014-02-23 03:44:05)(良:1票) |
198. 小さな巨人
《ネタバレ》 なんという壮絶で波乱万丈な人生・・・。西部劇のつもりで観ましたが、完全にじいちゃんの伝記ものでした。インディアンと白人の確執であったりカスター将軍の第七騎兵隊も描かれてはいますが、あくまで回想の中の一要素であり、メインではないですね。ビル・ヒコックとバッファロー・ビルのくだりはおまけ要素?また、全体を通してテンポとシーンの移り変わりがかなり早く、飽きはしませんでした。 内容的には、あっさりホイホイと変わり身を披露し周りを置き去りにする主人公、謎の逆さに喋る男、草むらでの唐突な出産シーン、酔ってる?とさえ思えるカスター将軍の行動など、何じゃこりゃ!?って感じの滅茶苦茶なシーンが多かった印象。というか、色んな要素入れ込みすぎな気が。 ただしかし、これがじいちゃんの思い出話である以上、「人生なんてそんなもん」とか「全てが壮大なホラ話です」と言われてしまうと、なるほどその通りとなってしまうんですよね。それがこの映画の上手いところでもあり、ズルいところでもあると思います。 [DVD(字幕)] 4点(2014-02-22 20:42:45) |
199. 勇気ある追跡
《ネタバレ》 う~むなんというジョン・ウェインの濃さ。主演男優賞受賞というのも納得ですな。しかしストーリー的には単調な感が否めず。女の子が主人公で大人たちと一緒に復讐の旅に出る、というアイデアは良かったのですが、要所要所でのイベント的なものはあるもののそれ以外の部分が平和にいきすぎな気がします。ウェイン達がマティを連れて行きたくない理由は「君が想像してるほど楽な道のりじゃないぞ」ということなんだから、もっと道中苦労する描写が欲しかった。敵とぶつかるとかそういうことじゃなくロクな食糧がないとか体力的に限界がくるとか。 あとそもそもマティに全然好感を持てなかったのが致命的。気持ちはわかりますが、事あるごとに「言うこときかないと訴えるぞ!弁護士呼ぶぞ!」とか完全にクレーマーの発想の仕方ですやん・・・。「ちょっと生意気な子ども」を通り越しすぎちゃってますね・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2014-02-16 23:29:58) |
200. 3時10分、決断のとき
《ネタバレ》 2周目視聴。やっぱ面白いですね~。まずさすが2007年に作られた西部劇というだけあってガンアクションシーンが凄い。主人公に弾は当たらないの法則はわかっていても緊張感がバリバリ伝わってきます。昔の西部劇のアクションシーンは撃たれて馬から転げ落ちたり馬から馬へ飛び移ったり個人の銃の扱いが凄かったりといった肉体的な凄さで魅せるのに対し、こちらはカメラワークや演出で魅せるものが多く、素人目にも映像技術の進歩ってすごいんだな~と思わせられました。 そしてテーマはやはり「男の誇り」。これは西部劇お馴染みですね。っていうかリメイクだからお馴染みもなにもないけど。 ダンは最初こそ200ドルを得るために護衛に志願するが、途中ウェイドから「1000ドルやるから見逃せ」と言われたあたりから、ほんとに欲しいのは金じゃないという意識を自覚し始める。「逃げても200ドルあげるし、誰も責めないよ」と言われても逃げ出さないのが決定的。さらには例えユマ送りに成功しても脱走されてしまうであろうことを知りますが、そんなことはもはや問題ではないのですね。ダン以外の周りの連中は皆自分の利益第一で、たとえウェイドを逃がしたって護衛を殺して金さえもらえりゃ良い、自分が死ななきゃ良い、という発想。もちろんそれも正しいっちゃ正しいのだけど、ダンは違う。そんなダンは金で何でも手に入るウェイドすら持たないモノ(誇り)を得ようとしており、そこに尊敬の念を抱き、最後のウェイドのあの行動に繋がるんですね。 ウェイドについては、女を優先してあっさり捕まる点や「生きてたほうが地獄」という台詞から、逃げられたら逃げられたで良いし吊るし首なら吊るし首で良いし、別に何でもいいや的な発想が強かったのでしょう。宗教的な思想はよくわかりませんが、その辺も関係あったのかも? [DVD(字幕)] 8点(2014-02-16 17:15:56) |