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プロフィール
コメント数 2493
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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2121.  三つ数えろ 《ネタバレ》 
「誰が運転手を殺したのか?」は有名なエピソードですが、そもそも運転手はストーリーとどんな関係があるの? と、まあこういう穴が多すぎるのか単にこり過ぎただけなのか、とてもじゃないけど一回観ただけではストーリーが追えない困った脚本です。本作に比べれば、昨今の時系列がぐちゃぐちゃになった映画なんて可愛いもんですよ。 今まであまり意識していなかったのですが、本作のローレン・バコールは痺れるぐらい魅力的です。確かに演技は大根ですが、“The Look”と異名をとるあの視線はただ者ではありませんよ、彼女は。あと「アクメ書店(!)」の店員でボギーにフェロモンまき散らすドロシー・マローンも良かったなぁ。ハワード・ホークス映画に出てくる女性キャラは、独特の色気がある女優が多いので楽しいです。
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-21 23:01:05)(良:1票)
2122.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
後年製作されたコン・ゲーム映画の原型とも言える作品。まあ、オチはだいたい判るのですが、ポーカーの駆け引きをこれほど秀逸に見せてくれる映画はめったにありません。ジョアン・ウッドワードが銀行に駆け込み、ポーカーの手札を担保にして融資を迫るところなぞ、まさに抱腹絶倒・痛快無比! そう、この映画はジョアン・ウッドワードの快演で盛り上がるところが大です。そして予想外のコメディ演技を見せるヘンリー・フォンダや、冷酷な悪党かと思いきや実はペーソスあふれる役柄だったジェーソン・ロバーズがいい味出してます。ちなみに公開時のポスターを見ると、邦題は『オーシャンと11人の仲間』をもじってつけられたみたいです。銃が一発も撃たれず誰も死なない西部劇というのもたまにはいいもんですね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-05-21 22:24:15)(良:1票)
2123.  バージニア・ウルフなんかこわくない 《ネタバレ》 
言葉には暴力性があることは承知していますが、同じフレーズでも「文字にして紙に書く」のと「言葉を音声として発する」のではコミュニケーションの手法としていかに性格が違うのかと考えさせられました。テイラーとバートンの血が出るような罵り合いは、まさに「セリフのボクシング」と呼べるのでは。たった四人しか登場人物がいないのに、四人ともオスカーにノミネートされて二人が受賞って、ちょっとすごくないですか? 四人の中でもテイラー・バートンの毒気にあてられて、冒頭とラストでは同じ人格とは思えないほどボロボロになっちゃうS・デニスの演技の上手さには感心させられました。ちなみに本作はハリウッド映画で初めて“Fuck”というセリフが使われた記念すべき作品だそうです。実際のところどこで使われたか気がつかないほどですが、まさか40年後には“Fuck”だらけの映画が量産されるとは、当時の観客は想像もしなかったでしょうね。
[DVD(字幕)] 9点(2010-05-20 20:56:42)
2124.  バターフィールド8 《ネタバレ》 
全盛期のE・テイラーを堪能させていただきました。ストーリー自体は『椿姫』みたいな古風なものですが、ヘイズ・コードがまだうるさかった頃で脚本は何度も書き直しさせられたみたいです。テイラーは高級娼婦のはずなのに、冒頭のシーン、一夜のお代を払った男に何で激怒するのか意味不明です。ルージュで『売りものじゃない!』って鏡に書く有名なシーンがありますが、あなた娼婦でしょ。こういうわけが判らない部分に検閲の跡が見られます。そこまでされてこの原作を映画にすることないじゃん、と思うのですがいろいろ大人の事情があったんでしょうね。結局テイラーは本作でオスカー初受賞となるのですが、この映画に対してテイラーが残したコメントはもう凄まじいものです。確かにお世辞にも名作とは言えない出来ですが、自分がオスカー獲った映画をここまでボロクソに貶したのは、後にも先にもE・テイラーだけでしょう。
[DVD(字幕)] 4点(2010-05-19 22:37:56)(笑:1票)
2125.  愛のイエントル 《ネタバレ》 
男装のバーブラを見てると、確かに学芸会の演劇を見せられている様な雰囲気です。さすがにバーブラの歌唱は素晴らしく、バラードを歌わせたらバーブラ・ストライサンドにかなう者無しですね。自分で監督までしてるせいか、ある意味究極のナルシスト映画と言えそうで、エイミー・アービングはイエントルに比べてあまりに愚かな女という位置づけはちょっと可哀想かな。船上で歌うバーブラを引きで撮っているラストは、何度見ても素晴らしい名シーンです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-18 00:52:01)
2126.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 
私の中で、イーストウッドという映画作家の評価に大疑問符がついてしまった作品です。イーストウッドは基本的には脚本を書かない人なので、まず原作があっての本作なのでしょうが、このいかにもアメリカ的なリンチが正当化される世界観はどうしても受け入れられない。ラストのショーン・ペンとローラ・リニーの会話、「パパは王様、王様はすべきことを行う」「皆、弱いからよ私たち以外は。私たちは決して弱くならない」、これは「パパ」「私たち」を「アメリカ」に言い換えてもしっくりする嫌なフレーズではありませんか。ティム・ロビンスに疑惑を抱いたマーシャ・ゲイ・ハーデンの描き方も、ラストではまるでイエスを売ったユダの様で、ショーン・ペンが犯した大罪を免罪するかの様な印象まで与えるのがはっきり言って不快です。カトリック教徒のコミュニティーが舞台で、ショーン・ペンの背中には十字架のでっかいタトゥーが彫られているなど、イーストウッドよりスコセッシの方が監督にふさわしい題材のような気がします。イーストウッドはスコセッシの様に、宗教的にテーマを掘り下げる感性は持ち合わせていないと感じました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2010-05-16 00:02:09)(良:3票)
2127.  地球最後の男 オメガマン 《ネタバレ》 
公開当時は「チャールトン・ヘストン主演のSF超大作!」という感じで宣伝していた記憶があります。40年後に初めて観たわけですが、安―い音楽といいはっきり言ってこれB級だったのですね。監督は誰かと思えばTV映画の職人ボリス・セイガルではありませんか、たしかに全体に漂うチープさはTVムービーなのかなと思えてきました。リチャード・マシスンの原作は三回映画化されたわけですが、ヴィンセント・プライスが主演した一作目は隠れた名作だそうです。本作に関しては、そもそも“オメガマン”って誰のことでどういう意味?この答えは最後までありませんでした。そして異様に鼻につく宗教色で、ラストシーンのヘストンを見て「こいつはキリストだったのか!」と愕然とさせられました。どう考えても、原作の哀切な持ち味を台無しにしてしまったクソ脚本ですよ。まあこれでヘストンがこの映画に出たわけが判りましたけどね。
[CS・衛星(吹替)] 3点(2010-05-12 22:28:24)
2128.  恐怖のメロディ 《ネタバレ》 
監督第一作目から自分の趣味を盛り込めるところは、さすがイーストウッド。プロットは、きっと実体験を盛り込んでいるのだろうなと思わせてくれるほど、イーストウッドにはまり役の能天気なプレイボーイですよ。でもねえ、パンチ一発であの世までぶっ飛ばすラストはなんか気分が良くないですね。『ミザリー』のJ・カーンみたいに肉体的に痛めつけられたわけではないのに、と多少イブリンに同情しちゃいます。ここはイーストウッドらしく銃で決着をつけた方が良かったかと思います。確か『ガントレット』でもやってますけど、女を拳固で殴るヒーローは彼ぐらいのものでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-05-12 00:31:58)
2129.  海底軍艦 《ネタバレ》 
そりゃ轟天号の古風な造形美とドリルマシンとしての完成度の高さは認めますよ、でも敵役であるムー帝国の設定がねえ・・・。 これも関沢新一の悪いところが全部出た脚本のせいであるのは明らかですが、やたらと「日本は平和憲法で戦争放棄した」ということを強調して神宮寺大佐たちを躍起になって否定するのもなんかあざといですね。やはり明治時代に書かれた原作なので、もっと入念に翻案しなければならなかったということです。それにしても、轟天号のメインウェポンである冷凍光線って摩訶不思議ですね、海中でマンダに発射して凍らせるシーンには失笑させられます。物理の法則が無視されてる・・・。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-11 01:03:51)
2130.  ステート・オブ・グレース 《ネタバレ》 
『フェイク』と似たプロットですが、ドラマ自体はちょっとスケールが小さいですね。私はエド・ハリスのいぶし銀のごとき演技に痺れました。アイルランド系ギャングのボスと言っても愚連隊にしか見えない小勢力で、イタリア系にはもう頭が上がらずヘコヘコしっぱなしの情けないボスを抑えた演技で好演しています。レストランで電話をかける・かけないのやり取りでは、ハリスがポーカーフェイスの下で目まぐるしく打算を巡らせているのが良く判ります。まあ、キレやすい弟を殺してまで守らなきゃいけない稼業とは思えないですけどね。ラストの銃撃戦は、弾着効果が激しくてちょっとびっくりしました。でもこのラストシーンは、それまでの淡々としたドラマ展開からはちょっと浮いてしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-10 22:02:41)
2131.  ナバロンの嵐 《ネタバレ》 
名作『ナバロンの要塞』の一応後日談というわけですが、マロリー少佐とミラー軍曹(それぞれ前作より階級がひとつ上がっているところは芸が細かい)のスピンアウトストーリーと言った方が正解。それにしても、よくもここまでというくらい無残な出来には腹が立ちます。まずR・ショウがぜんぜんキース・マロリーらしくなくて、明らかにミスキャストです。ショウは上手い役者だと思っていましたが、軽妙なセリフが上滑りしちゃってなんかヘンテコでした。彼は本作の公開直後に急死していますから、死期が迫っていたことが演技に影を落としていたのかも。H・フォードも相変わらずのやる気なさそうな演技で、特殊部隊の猛者らしさはゼロです。旧ユーゴでロケしただけあってT34戦車がドイツ戦車役を務めていますが、これがまた雰囲気が出ていないんだなあ。マクリーン御大が原作を書いているのですが、どうもカネに目がくらんででっち上げたとしか思えず、R・ショウともども晩節を汚してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2010-05-10 00:56:10)
2132.  ナバロンの要塞
さすがに製作後50年ですからスリルの盛り上げ方など古めかしいところはありますが、特攻作戦ものとしては元祖でありジェットコースタームービーとしても現代に通じるものがあります。マロリー大尉やスタブロ大佐など登場キャラがよく作り込まれていますし、「ウソも方便」ではありませんが架空のナバロン島をめぐる英独両軍の動きもディティールが良くできていますね。冒険映画の古典としての風格すら感じさせられます。
[映画館(字幕)] 7点(2010-05-09 23:07:42)
2133.  ホワイトハンター ブラックハート 《ネタバレ》 
イーストウッドが『許されざる者』へと昇華してゆく直前に撮った、彼の作品の中でももっともカルト的な一本です。イーストウッドがジョン・ヒューストンをモデルとした映画監督を演じているのですが、喋り方とか表情の作り方など精一杯ヒューストンの真似をしているのが微笑ましい。もっともイーストウッドはヒューストンと違って映画監督としては現場のキャスト・スタッフには大層評判がよい人なので、信じられないほどやりたい放題するヒューストンを通して彼なりの映画芸術に対する思いを語っているのかもしれません。予想もしなかった神々しいラストシーンにはちょっと感動しました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-08 20:26:18)
2134.  ジャーヘッド 《ネタバレ》 
海兵隊兵士の品のなさがとってもリアル、でもこれが現実なのでしょう。こういう客観視というか突き放した撮り方は、監督が英国人ならではと言うことでしょうか。アメリカの最近やっている戦闘は「非対称戦争」と良く言われますが、この映画でも米軍が損害を受けるのが味方の誤爆だけで、とても判りやすい。しかしこの海兵隊の若造たちは、みんな志願して入隊したわけなので、個人的には感情移入や同情は出来なかったですね。青春群像劇として観ることも可能でしょうが、リアルに描けば兵士たちは女と酒にしか関心がないという風になってしまうし、そこはジレンマですね。しかしイラクやゲリラ相手の戦争では軍艦が撃沈される心配はなさそうだし、米軍に志願するなら海軍の艦艇乗り組みということですな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-07 21:53:54)
2135.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
「また、なんで今さら“宇宙戦争”をリメイク?」と言う疑問はありましたが、観てみるとなるほどスピルバーグが撮っただけあってなかなかの出来です。トム・クルーズ一家が体験する視点にこだわったのは正解だと思いますし、徹底してローアングルからのショットで全編通したところも良かったです。その効果は、この映画まるでSFというよりも怪獣映画だと感じられるほどです。そう言えば、私は本作を観て『クローバー・フィールド』に似た雰囲気があると思いました。きっと影響を与えたのでしょうね。トライポッドが暴れまくるシーンはとくに悪夢のようなショットが続き、大地が真っ赤に染められるシーンはトラウマになりそうなほど強烈。それにしても、トム・クルーズのガキふたりはほんとバカでうるさかったですね、観ていてマジでむかついてきました。スピルバーグって本当は子供が嫌いなんじゃないでしょうか・・・。
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-07 20:47:29)(良:1票)
2136.  ジャガーノート 《ネタバレ》 
この映画、公開当時は『ポセイドン・アドベンチャー』的な宣伝がされて自分はあまり食指が動かなかったのですが、じっくり鑑賞すると実は素晴らしい傑作サスペンスでした。そう、本作はパニック映画ではなくサスペンス映画、それもとびきり上出来な海洋サスペンスです。監督がR・レスターですから、冒頭からお得意のシニカルな撮り方が楽しめます。船内の描写にしても、豪華客船ですからおいしそうな料理がつきものですが、厨房で客の食べ残した料理を始末するところばかり何度も映しておしまい、さすがレスターさんやってくれますねー。そしてレスター映画には欠かせないロイ・キニアが可哀想な宴会司会者として笑わせてくれます。実際に荒天の海で巨大客船を使って撮っているのもたいしたものです。CGはもちろんのこと、VFXすら使用してないのですから。クライマックスは、あまりにも有名な「赤か青か」の選択なのですが、リチャード・ハリスのこのシーンでの演技は鳥肌ものです。ハリウッド映画なら俳優に汗だくにさせて演技させるのですが、ほとんど汗を見せずに黙々と爆弾に取り組むハリスには却ってリアリティがあるから不思議です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-06 02:34:50)(良:1票)
2137.  大魔神 《ネタバレ》 
日本特撮映画史上のオーパーツとも言うべき傑作です。監督は『眠狂四郎』や『座頭市』シリーズを手掛けた安田公義で、どうりで本編の時代劇パートが良く出来ているわけです。音楽はなんと伊福部昭! 本作は大映京都で製作されたそうですが、『ガメラ』シリーズは大映東京が製作していて、同じ大映なのに特撮の技術レベルがこれほど違うとは驚くばかりです。『ガメラ対バルゴン』と二本立てで封切されたそうですが、いやはやなんとも豪華なプログラムですね。そして本作を含む『大魔神』シリーズ3作は、なんと1966年4月・8月・12月に公開されているということも驚きです。つまりこれ以降とうとう大魔神は撮られることがなかったわけで、それがオーパーツたる所以です。この素晴らしい特撮技術は、わずか5年後の大映倒産と共に消えてしまったのでした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-05-04 22:28:22)
2138.  ベイビー・オブ・マコン 《ネタバレ》 
グリナーウェイ美術が、間違いなく頂点に達した作品。この映画の世界はまさに西洋春画(by淀川長治、それにしても上手いこと言うなあ)か地獄絵図か、そう、グロテスクな絵画を見ている様な感じでしょうか。物語のクライマックスは、芝居と現実の境界が判らなくなったコシモ殿下の妄想として解釈することも可能かな。まあとにかく、他の監督には絶対思いつかない様な映像です。この監督はとことん“赤”という色彩にこだわる人です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-05-04 01:56:23)
2139.  ビッグ・フィッシュ
ゴス系の監督は、突然今までの作風と違った癒し・ヒューマニズムがあふれる映画を撮ることがあります。D・リンチの『ストレート・ストーリー』やT・ギリアムの『フィッシャー・キング』などですが、本作もそういう作品のひとつですね。映画監督だって人間ですし、私生活や恋愛経験で思うところがあれば、撮る題材にも影響があるってことでしょう。きっとバートンは人の親になっていろいろ感じることがあったのでは、と私は勝手に想像しています。偉大な映像作家は、自分のスタイルでなくても心を揺さぶる作品を創作出来るということを本作は証明しているのではないでしょうか。 でも個人的には、T・バートンはゴスの世界観を見せてこそ存在価値がある人だと思っていますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-03 22:05:38)
2140.  シン・レッド・ライン 《ネタバレ》 
良くも悪くも、映像詩人テレンス・マリックらしい戦争映画でした。“Thin Red Line”とは、そもそも19世紀のクリミア戦争で赤い軍服を着た550人のスコットランド兵が二列横隊でロシア軍騎兵の突撃を撃退した故事のことで、マリックは神が定める生と死の境目として“Thin Red Line”を使っていると思う(もっとも原作小説の題名なのですが)。草が生い茂る丘に風が吹きぬけて、夏草がまるで“ウェーブ”しているかのように揺れるシーンは、“草フェチ”であるテレンス・マリックらしさが良く出ています。戦闘シーンは考証が行き届いていてリアルなのですが、兵士たちの描写はちょっと変わっていて私には疑問があるところです。だいたい、兵士は戦場でこの映画の様に内省的になれるものだろうか、そんなはずはないと私は思うのです。ひっきりなしに流れる登場人物の自省的なモノローグでストーリーが進行しますが、「神と自然」の関係なぞ生死をかけた戦場で人の心を占めるものでしょうか?  “Fuck”を連発する『フルメタル・ジャケット』や『ジャーヘッド』の海兵隊員たちとは対極になるのでしょうが、兵士とはどこの国でもとことん物を考えないように訓練される存在のはずです。そういう意味でも、本作はマリックの戦争を題材にした哲学ファンタジーだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-05-02 23:50:52)(良:2票)
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