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201.  可愛い悪魔(1982)<TVM> 《ネタバレ》 
大林宣彦監督が手掛けた「火曜サスペンス劇場」の一篇で、大林監督にとっては初のテレビドラマ作品となるホラーサスペンス。大林監督のホラーというと監督デビュー作である「HOUSE ハウス」があるのだが、あちらが怖いというよりはどこかお化け屋敷的な楽しさと遊び心もある作品だったのに対し、こちらはあどけない8歳の少女・ありす(川村ティナ)が連続殺人事件を起こすというもので、かなりの本格的なホラーになっていて、冒頭から緊迫感にあふれていて、それが最後まで続くので一切気の抜けない作品になっている。とにかくありすが怖く、殺す相手に対して「しんじゃえ。」とつぶやく時の表情も怖いが、殺人に走る動機が花嫁のベールが欲しい、オルゴール人形が欲しいという実に女の子らしい動機なのがまた怖い。大人から見た子供の恐ろしさをテーマにしているらしいのだが、人が死ぬ描写はもうやりすぎなくらいにグロテスクで、そのテーマをちょっと超えてしまっている気さえする。主人公はそんなありすにの異常性に気づき、自らも翻弄され、命を狙われることになった親戚の女性・涼子(秋吉久美子)なのだが、彼女もまた恋人の死によって精神を病んでいるという設定がなされていて、それがラストに活かされているのもうまく、またこのラストが非常に後味の悪いものになっているのも、普段持っているサスペンスもの二時間ドラマのイメージを覆すにじゅうぶんだった。大林監督はテレビドラマと言えど、やはり映画を意識しているようで、この監督らしく映像も凝っていてクオリティが高く、当時のドラマでは当たり前だったフィルム撮影も相まって本当に映画を見ているようだったし、脚本が那須真知子ということで、もしかしたら地雷かもと見る前は思っていたのだが、見始めるとそこをまったく気にすることなく、最後までとても面白く見れたのは良かった。出演者に関して言えば、ありすを演じた川村ティナのインパクトのある存在感はもちろんのこと、「可愛い悪魔」というタイトルで小悪魔的なイメージのある秋吉久美子を主演に起用しながら、犯人ではなく、逆に命を狙われる役柄というのも視聴者に対するミスリードが利いていてうまいキャスティングだ。ありすの犯行について知っているというボートハウスに住む怪しげな青年をみなみらんぼうが演じているが、本当に怪しさ抜群の演技でハマり役。ほんのチョイ役でこの年の年末に亡くなった岸田森も出ている。彼の出演は本作を製作した円谷プロのプロデューサーからのオファーだったとか。円谷プロといえば「怪奇大作戦」とかあるものの、やはりどうしても「ウルトラマン」をはじめとする巨大特撮ヒーロー番組のイメージが強いので、こういう二時間ドラマにかかわっていたことがすごく意外で新鮮に感じられた。
[DVD(邦画)] 8点(2018-11-24 17:07:25)(良:2票)
202.  Love Letter(1995) 《ネタバレ》 
岩井俊二監督の劇場映画デビュー作とのことだが、冒頭の小樽の雪景色から既に美しく、この時点で映像的にはかなり引き込まれた。ほかにもカーテンから漏れる光など思わず息をのむ美しさで、かなり久しぶりに見た岩井監督の映画だったのだが、やはりこの監督の映画はその圧倒的な映像の美しさだけでも魅せるものがあると感じる。脚本的にも面白く、タイトルからストレートな恋愛ものを想像していたのだが、そうではなく、ヒロイン 渡辺博子(中山美穂)が死んだ恋人に宛てて出した手紙の返事が来るというミステリアスな展開で、そこから博子と彼女の死んだ恋人と同姓同名のもう一人のヒロインである藤井樹(中山美穂の二役)の文通が始まるというのが面白い。実は博子の恋人だった藤井樹(男)(柏原崇司)は中学時代に藤井樹(女)(酒井美紀)と三年間クラスメイトだったことが分かったあたりから始まる二人の中学時代の回想シーンからようやくラブストーリーらしくなるが、そこまでベタベタした感じはせずに見れたのは良かったし、むしろこの中学時代のエピソードのほうが現代のパートよりも話としては印象に残ってしまったくらい。藤井樹(男)が図書カードに自分の名前を我先にと書くのはちょっと「耳をすませば」を思い出してしまうが、でもそれがラストシーンにつながっているのも巧い。それにもとはと言えば博子が死んだ恋人に出した手紙から始まっているが、それは博子と藤井樹(女)の文通を経てここにつながるんだと思うとなんと巧いタイトルだろう。博子が死んだ恋人の友人(豊川悦司)に誘われて行った慰霊登山で恋人の死んだ山に向かって叫ぶシーンも一見引いてしまうようなシーンだが、恋人のことを一生懸命吹っ切れようとする博子の気持ちが伝わってきて切なかった。文通の中にも登場し、ここでも博子が叫ぶ「お元気ですか。私は元気です。」という言葉は何度も出てくるせいかとても印象に残った。流行語になっていてもおかしくないが、本作は日本よりも韓国でヒットしたとのことで、韓国ではだれでも知ってる日本語なのだとか。見る前に思ったよりも笑えるシーンが多かったのも良かった。突っ込みどころも多い映画ではあるが、岩井監督らしい独特の雰囲気も良く、間違いなくこの時代を代表するような佳作だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-11-04 17:29:55)
203.  トラック野郎 度胸一番星 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。相変わらず無茶苦茶なストーリーながらも、原発建設によって故郷の村を追われたジョーズ(千葉真一)があらくれ者になって仲間(ジョーズ軍団)を引き連れて帰ってくるシーンは今になって見ると考えさせられるものがあるし、桃さん(菅原文太)の故郷もダムに沈んでいることを思うとこのシリーズはただ無茶苦茶でバカな笑いだけでなくこういうシリアスな部分にも毎回ではないが触れるところにも魅力があるのだと思う。今回もいつものごとく分教場の教師であるマドンナ(この設定にどうしても「二十四の瞳」を思い浮べずにはいられない。) 水名子(片平なぎさ)に惚れ、振られてしまう桃さんだが、それは桃さんの勘違いで水名子も桃さんに魅かれていて、桃さんが水名子にプロポーズされるというのが新鮮で、5作目にしてようやく恋が実って本当に良かったねと思っていると水名子が豪雨の中、土石流に飲み込まれて命を落とすというまさかの結末があまりにも悲しくて切なくてつらい。これは失恋ではなく完全に悲恋だ。「先生、なんで死んじゃったんだよ。」という教え子たちの悲痛な言葉も胸を打つ。桃さんが今回、逮捕されてしまったジョナサン(愛川欽也)の代わりに魚をクライマックスで運ぶことになるのだが、その助手席に水名子が子供たちと学芸会のために準備した狸の焼き物を乗せているのは、一見何の意味もないように思えるのだが、桃さんがまだ水名子への思いを断ち切れていないというのが分かってまた切ない。今回ばかりは本当に桃さんに結婚してほしかった。それでも、ジョーズらトラック仲間の協力を得ながら警察の追跡をかわしつつ、ジョナサンのためにトラックを猛スピードで走らせる桃さんはやっぱりカッコよく、この悲恋もすぐに乗り越えられるだろうと思えてくる。「爆走一番星」の太宰治(「生まれてすいません」)に続いて室生犀星の「故郷は遠くにありて思うもの」という言葉が出てくるが、非常に美しい言葉だ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-10-27 23:55:55)
204.  トラック野郎 一番星北へ帰る 《ネタバレ》 
シリーズ第8作。いつもは冒頭に主題歌「一番星ブルース」が流れるんだけど今回は流れない、桃さん(菅原文太)がマドンナに惚れた時に星が出ない、と定番をあえて崩していて少し違和感があるものの、それでもなかなか面白かった。今回のマドンナは大谷直子で、このシリーズのマドンナ役としては既にベテランの域なのだが、演じる役も子持ちの未亡人という設定で、このあたりも異色な感じがする(ますます寅さん化してる?)のだが、作品としては桃さんとこの親子の交流を軸にストーリーが展開し、ツボもキッチリと抑えられていて良い。とくに桃さんがマドンナの息子が大事にしていた亡き父の手作りの飛行機のおもちゃをトラックではねて壊してしまい、お詫びにと不器用にも手作り飛行機を作りはじめるところはやっぱり桃さんの優しさを感じずにはいられないし、最初は飛行機を壊されたことで桃さんを嫌っていた子供が桃さんと打ち解けるきっかけもちゃんと描かれているのが〇。その他、シリーズをずっと見ていると2作目で警官時代のジョナサン(愛川欽也)に恨みを持つトラック野郎を演じていた田中邦衛がジョナサンと旧知で桃さんを銭形警部のごとく追い回す鬼警官という前回と真逆の役を演じているのが面白いし、その鬼警官のキャラクターもクライマックスで桃さんが自分の妻の命を救うためにトラックを走らせていると分かっても追跡をやめないところは職務に私情を挟まないストイックさがあるのはなかなか良かった。(その執拗さはめっちゃバカバカしくて笑えるけど。)桃さんの故郷がダムに沈んだことは3作目でも触れられていたが、今回はサブタイトルどおり、そのダムに沈んだ故郷を桃さんがマドンナ親子と訪れるシーンがあるのも、シリーズのつながりを感じられる。そこで桃さんが語る故郷の話や、故郷が無くなったあとの自分のその後の人生はちょっとしんみりとしてしまうが、桃さんの過去が初めて詳細に語られたことで、シリーズとしての厚みも増したのだと思う。(その意味では本作はシリーズ中でも重要な作品だと思う。)その桃さんの話を聞いたマドンナが子供を一人で育てる決心をし、桃さんのもとから去るという振られ方も泣かせてくれていて良かった。(今回、恋敵がいないのでどうなるのかと思ってた。)今回のライバルは黒沢年男演じるアメリカ帰りのコンボイ野郎・九十九だが、もちろんこのライバルとの対決も見どころ。「九十九と書いてつくもだ。」というセリフに「女王蜂」の神山繁をつい思い出してしまった。
[DVD(邦画)] 8点(2018-10-20 17:56:57)
205.  8年越しの花嫁 奇跡の実話 《ネタバレ》 
地元岡山での実話の映画化作品ということで、公開時に地元ですごく話題になり、自分の職場にも何人か見に行ったという人や中にはリピーターもいた本作を遅ればせながらようやく見た。確かに良い話ではあるし、感動的ではあるけれど、こういう話ならもっと主役の二人が出会ってから彼女が病気になるまでの話を詳細に描くべきで、そうしないと何がそこまで彼氏を突き動かしているのか理解できない。ほかにも彼女の両親が娘のことは忘れてくれと彼氏に言った後、再びこの両親が彼氏を受け入れるまでの過程があっさりしすぎているなど、ちゃんと描くべきところがおざなりになっているという印象。そのせいでドラマとしては非常に薄っぺらく、主役の二人にもあまり感情移入することができなかった。もっとこういう細かいところをしっかりしていれば良かったかも。毎年彼氏が同じ日に結婚式を同じ式場に予約し、式場が毎年それに対応していたというのも実話でありながらちょっとあり得ないと思ってしまった。(ちょっと違うかもしれないけど「一杯のかけそば」みたいな。)それでも駅前の商店街のアーケードや地元スーパーの外観など見慣れた風景が映画の中に出てくるのは楽しかったし、主演の佐藤健、土屋太鳳をはじめメインキャストに朝ドラ出演経験者が多く、(脚本家も去年朝ドラ書いてたし。)とくに彼女の両親役を杉本哲太と薬師丸ひろ子が演じているのはつい「あまちゃん」を思い出した。(「あまちゃん」では夫婦役ではなかったんだけど。)そういえば劇中のテレビでいきものがかりの「ありがとう」が流れているシーン(重要なシーンだ。)があるが、あの曲も朝ドラの主題歌だった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-10-14 15:03:56)
206.  トラック野郎 突撃一番星 《ネタバレ》 
シリーズ第7作。マンネリ化を避けるためか第三のトラック野郎としてせんだみつお演じる三番星が新レギュラーとして登場したり、桃さん(菅原文太)の今回のライバル(川谷拓三)がトラック運転手でなかったり、桃さんがマドンナ(原田美枝子)の上司(樹木希林)に惚れられたり、ジョナサン(愛川欽也)がストリッパーに恋をしたりといろいろもりだくさんな今回。途中から少しダレ気味ではあるものの、相変わらず桃さんはバカだけど熱くて男気があり、それを補う魅力がじゅうぶん。丸一日捜しても見つからなかったイルカをライバルと一緒に探しにいき、発見するのもそうだが、台風で遭難し重傷を負ったマドンナの恋人であるライバルを自分のトラックに乗せて病院へ向かうクライマックスにはたとえ相手が惚れた女の恋人であろうともなんとか彼を助けたいという桃さんの当たり前の優しさを感じられる。病院のたらい回し問題がコミカルさを交えて描かれているが、現実はもちろんこんなものじゃないよなという気になってしまった。以前にも桃さんとジョナサンにこけにされる役柄で出演していた金子信雄が山守を思わせる医者役で再び出演しているが、桃さんとのやりとりが広能と山守のそれを思わせていて思わず笑ってしまった。でも、そんな中でも騒ぐ医者に対して桃さんが放つ患者はもっと苦しんでいるんだみたいな言葉はちょっと重みも感じることができたのが良かった。やはりここぞというときにびしっと決めてくれる桃さんは良いなあ。そのほか、三番星が社長になったと父親(辰巳柳太郎)にウソの手紙を送り、それを信じた父親が会社にやってくるというエピソードの結末もなかなか良かった。今回はシリーズの中でもあまり評判のよくない回みたいなんだけど、確かに散漫な部分や、もう少し掘り下げても良かったと思う部分もあって物足りなさがないといえばうそになるが、それでもいわれているほど面白くないという感じはしなかった。最後にもう少し書かせてもらうと、ライバルを演じる川谷拓三は「望郷一番星」のチョイ役からかなりの出世。樹木希林はつい四日ほど前にも「あん」で見たばかりだったので登場したときにあまりの若さに驚いた。(すぐに慣れたけど。)晩年の味のある演技も良いが、やっぱりこういうコミカルな樹木希林も好きだなぁ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-10-13 15:43:57)
207.  あん 《ネタバレ》 
先ごろ亡くなった樹木希林の主演映画。どら焼き屋の雇われ店長をしている千太郎(永瀬正敏)とそこに現れたあん作り歴50年という徳江(樹木希林)。この二人を中心にした物語で、とくに前半はこの二人やどら焼き屋にやってくる女子高生を中心としたお客さんたちとの交流を交えて、どら焼き屋が繁盛していくまでを描いている。小豆一粒一粒に愛情を持って接し、小豆に話しかけながら丁寧にあんを作っていく徳江の優しいまなざしはとても印象的だし、そのあん作りのシーンもまるでドキュメンタリーでも見ているかのように丁寧にじっくりと描かれているのが好感が持てるし、そんな苦労して作ったどら焼きをおいしそうにほおばるお客さんたちをみてこっちまでどら焼きが食べたくなってしまう。しかし、徳江がハンセン病患者であったことが露呈するあたりから空気は一変する。後半は重い内容だが、ハンセン病患者たちの思いや辛さというものがひしひしと伝わってくる。そして、亡くなった徳江が千太郎とワカナ(内田伽羅)に残したメッセージは今になって見ると実際の樹木希林ともオーバーラップするところがあって、吉井徳江という役柄と樹木希林という役者が本当に分からなくなって涙なくして見ることができなかった。千太郎が桜が満開の中、笑顔でどら焼きを売るラストシーン、それまでどこかやる気のなさげだった彼は徳江との出会いで変われた。また徳江もずっと隔離されていて、最後のほうになって社会とかかわることができた、これを思った時、否応なしに感動してしまった。ほぼ予備知識なしで見た映画だったのだが、本当に見て良かった映画だったと思う。そして、樹木希林さん、この人のような役者はもう二度と出てこないと本気で思う名女優のひとりで、亡くなられてしまったのは本当に残念でさびしい。心よりご冥福をお祈りします。
[DVD(邦画)] 8点(2018-10-10 00:48:11)(良:3票)
208.  ルパン三世 お宝返却大作戦!!<TVM> 《ネタバレ》 
今回はルパンたちが標的であるトリックダイヤを手に入れるため、かつてルパンのライバルだったマークが盗んだ品物を元あった場所に戻していくという筋立てだが、目的があるとはいえ泥棒が盗んだ品物を返していくという発想が面白い。実際、ルパンたちが世界中を駆け巡って次々と返していく前半はテンポもよく、見ていて楽しい。それに五右衛門が敵の女に狙撃されて深手を負ったり、次元が敵に捕まって拷問を受けたりするのはどうなるかが分かっていてもハラハラさせられる展開でわりといい。そしてラストに判明するお宝の正体。これが非常に美しく、今まで見たこのシリーズの中でも特筆もので、思わずうなってしまった。イマイチと思う作品の多いテレビスペシャルシリーズの中にあっても本作は良作の部類に入るのではないかと思う。余談だが、ルパンとマークが過去に盗みに入った場所としてトランプタワーが登場しているが、ここの主は今や大統領なんだよなあとつい思ってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2018-10-06 17:01:11)
209.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
話題の本作が我が地元で上映が始まり1ヶ月近く。ずっと見たいと思っていたがようやく映画館で見ることができた。(久しぶりの映画館。)前半のワンカット長回しによるホラー部分は手振れがひどいというのを聞いていたので「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を思い出すような感じかと思っていたが、そこまで酔うようなことはなく見れたのは良かったし、本物のゾンビに襲われている出演者を尻目に撮影を続ける監督の狂ったようなキャラクターも最高で楽しく見た。一転して後半はこう来たかという感じでその構成の巧みさに驚かされる。この後半部分も「ラヂオの時間」を彷彿させる内幕ものコメディーになっていてゲラゲラ笑えて面白い。とくに監督が前半から一転して俳優たちに気を使いまくるまったく別のキャラクターに描かれているのはその落差がなんとも滑稽で笑えるのだが、そんな監督がこだわってどうしても撮りたかったラストシーンを撮影するためにみんなで協力する展開は笑えながらも映画作りに携わる人たちの情熱が感じられて印象深い。低予算、キャストや監督も無名という映画(この部分にいちばん興味を魅かれた。)だが、とにかくこの脚本の構成力の巧みさで勝利した傑作の一本だと素直に思える映画で、口コミによるヒットも納得。こういう映画を見るとやっぱり映画って脚本や演出が命なんだと実感できる。本当に映画館で見て良かったと思えた映画だったし、見終わってすごく清々しい気持ちで劇場をあとにすることができた。こんなことは本当に久しぶりだ。そして見終わってすぐにでももう一度最初から見返したくなるような映画でもある。
[映画館(邦画)] 8点(2018-10-01 19:27:29)(良:1票)
210.  ゼロの焦点(2009) 《ネタバレ》 
松本清張生誕100年を記念して東宝で製作された「ゼロの焦点」の再映画化作品。野村芳太郎監督の松竹版を先週に再見したばかりだが、それから約一週間経ってから本作を見た。ドラマ部分に物足りなさを感じた松竹版と比べると本作は佐知子(中谷美紀)と久子(木村多江)の関係などのドラマ部分を掘り下げようとしている点や、松竹版で不足していた部分にも補足がしっかりされていて、松竹版よりもこちらのほうがストーリーは分かりやすくなっている。室田夫妻のキャラクターが松竹版とはまるで違うのも、まあこれはこれで悪くはない。しかし、中谷美紀演じる佐知子はどこか怪物的な怖さがあり、すごくインパクトがあるのだが、少々やりすぎてしまった感があり、演技もうまいんだけど少しオーバーに感じたのがちょっとなあ。(中谷美紀は普通の役よりもこういうややエキセントリックな役が似合うとは思っているけど。)禎子(広末涼子 主要三人の中ではかなり浮いて見える。)の推理シーンが断崖でないのは2時間ドラマっぽくなるのを避けたかったというのは分かるのだが、そこはやはりこの物語のハイライト部分なのでそのままが良かったかなとも思う。後半の途中あたりから終盤までが松竹版と変わってしまっているのはドラマ性を強調しすぎるあまりと思うのだが、逆にこんな話だっけと思ってしまうし、佐知子の夫とか最初とキャラがぶれていて違和感があった。久子の死に方も松竹版のほうが切なさが出ていたと思う。全体的な雰囲気も昭和に製作された松本清張原作映画を見慣れてるせいもあると思うのだが、なんかいかにも今どきの映画という雰囲気が出すぎていて、松本清張原作と聞いてイメージするものとは違う気がする。それに、記念映画として製作するなら何も過去に何回も映像化されているものでなくてももっとほかに映画化されていないものの方が良かったのではとも思えてしまったのも事実だ。松竹版と合わせて2作品見終わったあとの印象は最初のほうは分かりやすさで言えばこっちのほうが良いけど、終盤にかけては松竹版のほうが良かったというどっちつかずの微妙な感じ。点数はとりあえず松竹版の補完版と見て同じ点数を。でも、松竹版を見ずにいきなり本作を見たらどう思っていただろうか。
[DVD(邦画)] 6点(2018-09-22 17:43:34)
211.  DESTINY 鎌倉ものがたり 《ネタバレ》 
山崎貴監督が三丁目の夕日シリーズと同じ西岸良平の漫画を映画化した作品。ということで、やや二番煎じものなのかなと見る前は思っていたが、見る前に原作の漫画をいくつか読んでいた三丁目の夕日と違って、原作を知らずに見た(家に一冊だけあるので今度読んでみよう。)ためか、舞台となる鎌倉が人間と魔物が普通に共存している場所という荒唐無稽な設定で、前半はここを舞台にした人情喜劇といった趣で、それなりに面白く見れるし、三丁目の夕日シリーズになかったミステリーの要素もある。主人公である堺雅人と高畑充希の演じる新婚夫婦である正和と亜希子も微笑ましく描かれ、何よりそんな日常に魔物という非日常が普通に紛れ込んでいるというのが三丁目の夕日シリーズとの最大の違いで、これを受け入れられるかが本作を楽しめるかの肝なのだが、割とすんなり受け入れられた。(同じ監督、同じ原作者ということで三丁目の夕日のような映画を期待してしまう人は多いと思う。)脇で出演している役者たちも三丁目の夕日に出ていた人がチラホラ居るのだが、堤真一と薬師丸ひろ子が夫婦役ではないところとかはひねってあって見る人の期待をわざと裏切っている感がいいし、三丁目の夕日でもじった名前の人物が登場していた吉行和子が出ているのは狙ったキャスティングだろう。(旦那役が「家族はつらいよ」シリーズはじめ、吉行和子と夫婦役の多い橋爪功というのが気が利いていて楽しい。)後半は亜希子がふとしたことから死んでしまい、霊体になってしまうという展開だが、やはり正和との別れシーンは泣かせてやろうという山崎監督らしい演出が鼻につく。しかし、本当にここで終わっていれば良かったものの、終盤30分は黄泉の国へ行ってしまった亜希子を連れ戻す冒険ものになってしまい、予告や宣伝などでもここが一番の見どころのようにされていたが、そこからはどこか洋画やアニメで見たような展開と映像で、既視感がすごくてもうお腹いっぱいという感じだし、それにこの部分はちょっとファミリー向けを意識しすぎていて特撮ヒーローもののようになってしまって、前半の雰囲気とかなり乖離があるものになってしまっていて、はっきり言ってバランスが悪い。同じように亜希子がよみがえる結末でももっと違った描き方があったと思うし、三丁目の夕日のように最後まであくまで人間と魔物が共存する鎌倉での日常を描いた映画にしたほうが良かったのではとも思う。三丁目の夕日シリーズは嫌いではないが言われているほどではないと思っているが、見終わってつい三丁目の夕日のほうが良かったと思えてしまった。(評点おなじだけど。)それともう一つ、主演のふたりは本作の前に朝ドラと大河にそれぞれ主演しているが(「真田丸」、「とと姉ちゃん」)、本作の主題歌は「とと姉ちゃん」の主題歌を担当していた宇多田ヒカル。これで本作劇伴担当の作曲家が「真田丸」で音楽を担当していた服部隆之ならとつい思ってしまう。
[DVD(邦画)] 5点(2018-09-11 01:08:25)
212.  日本侠客伝 白刃の盃
シリーズ第6作。今回はこれまでこのシリーズの脚本を手掛けていた笠原和夫や野上龍雄が関わっておらず、中島貞夫監督と鈴木則文監督が脚本を手掛けているが、舞台が運送屋で高倉健の役柄がトラック運転手であったりするのはこの間まで何本か見ていたためか思わず鈴木監督の「トラック野郎」シリーズを思い浮べてしまいそうになるのだが、もちろん「トラック野郎」のような話にはなっておらず、マキノ雅弘監督らしい任侠映画になっていて、先週見た「雷門の決斗」より面白かった。高倉健ももちろんカッコイイが、やはりマキノ監督の映画は脇役陣がイキイキとしていて、長門裕之、大木実はもちろん、砂塚秀夫も印象に残るし、東映任侠映画には珍しい気がする伴淳も良い味を出している。今回も悪役は天津敏だが、その演技は見ていて本当に憎たらしくなってくるし、高倉健演じる主人公がいかにしてこの悪役を倒すかというのがこのシリーズの見どころなのだが、マキノ監督はそのあたりの見せ方がうまく、ここがしっかりしているからラストの殴り込みシーンに大いに盛り上がることができるのだと思う。ドラマとしてはやや湿っぽく感じる部分も多く、少し気になるものの、それでもマキノ監督の演出は安定感があり、安心して見ていられるのが良い。高倉健の妻役を藤純子が演じている(出番がそれほど多くないのがちょっと残念。)が、このシリーズで主人公が妻帯者なのは初めて見たような気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2018-09-05 23:18:50)
213.  日本侠客伝 雷門の血斗 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。今回は足を洗って演劇一座になった元ヤクザとかつて対立していたヤクザとのいざこざを描いていて、芸能とヤクザという観点からすれば興味をひくし、シリーズを順番どおりに見てきて、今までは錦之助や鶴田浩二といった大物スターが脇で助演していたのが、今回はそういった助演がないのも高倉健がいよいよ本格的に売れはじめたというのが分かるのだが、マキノ雅弘監督の演出はこの監督らしいにぎやかさはあるものの、どこかおとなしい気がしたし、全体的にも面白いことは面白いのだが、なにかパッとしない部分も多かったか。藤純子も久しぶりに見るのだが、これも役柄的にちょっとイマイチ。それでも脇役陣が良いのがマキノ監督らしいところで、藤山寛美がクライマックスで健さんと一緒に殴り込むという役なのは珍しいし、またマキノ監督のこのシリーズではおなじみの長門裕之の登場が後半からというのも珍しい感じがする。(その分、今回はあまり目立っていない気がするが。)元ヤクザとしてのさすがの貫ろくとすごみを見せる島田正吾も良い。若干の物足りなさもあるのだが、それでもなんだかんだ言って楽しめる映画にはなっており、娯楽映画としての水準はじゅうぶんにクリアしていると思う。でも、マキノ監督の良さが出た任侠映画はもっとほかにあるとも感じる。
[DVD(邦画)] 6点(2018-09-01 17:37:24)
214.  アウトレイジ 最終章 《ネタバレ》 
前作で完結とうたっておきながらまだ続きがあるような終わり方だったのでどうかなと思っていたら、やっぱり出たシリーズ第3作。しかし今回は今までと比べるとかなりおとなしく、このシリーズの魅力の一つであった激しい罵り合いや殺しのシーンも迫力やインパクトに欠け、印象に残るシーンも少なく盛り上がらないし、逆に前作からの数年間で病気をしてしまった西田敏行と塩見三省が見ていて痛々しく感じた。とくに中田を演じる塩見三省は前作で迫力のあるドスの利いた演技を見せていただけにあまりの変わりようにビックリ。たけし映画としてもかなり平凡な出来で今まで感じたことのないようなやらされてる感じがして物足りなかった。それに本作のあとしばらくしてたけしの事務所独立騒動が起こったが、そのあとになって本作を見るとやはりたけしは乗り気がしないまま作ってしまったと思えてならないし、シリーズとしても三本全部見て最初の作品が一番面白かったという、シリーズものにありがちな感想になってしまう。やはり映画監督としてのたけしには好きなように映画を作っていてほしいと思う。それでもラストの虚無感は既成感はあるものの、やっぱりこういうところがたけし映画らしさを感じる部分ではある。「アキレスと亀」以来久しぶりに大杉漣がたけし映画に出ているのが嬉しく、やっぱり大杉漣はどんな作品に出ていてもたけし映画に出てるイメージが強く、本作でも堅気から先代(神山繁)のあとを継いだ花菱会の会長を演じているが、その勢いだけの小物というキャラが良く合っていた。結果的にこれが大杉漣にとって最後のたけし映画出演になってしまったのは残念だが、やっぱり大杉漣は寺島進と並んでたけし映画に無くてはならない存在だったと思う。あらためてご冥福を。そして独立したたけしが今後、どんな映画を作るのか、ちょっと気になるし、不安ももちろんあるが、楽しみでもある。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-25 18:16:03)
215.  恍惚の人 《ネタバレ》 
小説もテレビドラマもまったく見たことがなく、この映画で初めてこの物語に触れたのだが、最初は少しボケているだけだったおじいちゃん(森繁久彌)が最後には子供のようになってしまう認知症の恐ろしさと、そのおじいちゃんの介護をする家族(主に嫁)の姿がかなりリアリティを持って描かれていて怖い映画だった。豊田四郎監督の晩年の作品だが、脚本を担当した松山善三監督の作風の色が濃く、「名もなく貧しく美しく」もそうなのだが、本作も当時まだ今ほど理解が進んでいなかっただろう認知症を真正面から取り上げた社会派映画となっていて今見ても考えさせられるし、テーマ的にも今日に通ずるものがあり、古びていないとまでは思わないが、現代においても本作の価値はじゅうぶんにあると感じる。おじいちゃんを演じる森繁久彌は当時60歳と認知症の老人を演じるにはまだ若干若い気もするが、その演技がものすごくリアルで、まるで本当に惚けてしまったかのような演技に圧倒されっぱなしだった。そんなおじいちゃんの介護を一人で背負う嫁が徐々に神経をすり減らしながらも献身的に介護を続けるという姿が見ていて痛々しいのだが、それを見事に演じ切っている高峰秀子の演技力もやはりすごく、主演のこの二人の存在が本作の完成度を一層高めている。白黒スタンダードという73年当時既に古めかしい映像もよく、汚物をこねくり回すシーンなどのリアルさを抑えるためもあるのだろうが、おじいちゃんが花を見ているシーンの美しさはまさに白黒ならではだろう。ラストの孫のセリフも良かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-08-12 23:56:25)(良:1票)
216.  内海の輪 《ネタバレ》 
岩下志麻と中尾彬が不倫のカップルを演じる松本清張原作の映画。この二人といえば極妻を思い浮かべてしまいそうになるが、それ以前にこういう役で共演してたのねと思うとなんだか妙な気分になるのだが、同時に新鮮でもある。斎藤耕一監督といえば「旅の重さ」の高橋洋子の瑞々しさや、「無宿」の梶芽衣子の違った魅力を引き出した美しさが印象的で、女優を撮るのがうまい監督というイメージなのだが、本作の岩下志麻は確かにきれいなんだけど、それは監督の力では無い感じだし、内容は脚本の問題もあるのかもしれないが、事件ものというよりはこの二人の道行不倫が中心の昼ドラにでもありそうな展開で話自体は見どころといった見どころもなく正直言って退屈。冒頭の刑事たちが事件のあった旅館で捜査してるシーンとか、白骨死体が発見されたエピソードも投げっぱなしという感じなので、不倫話一本でいくならこれら中途半端な部分はバッサリカットしたほうが良かった。中尾彬がまだのちの面影があまりなく、見ていて容姿的にも若さを感じるのに対し、岩下志麻は奥ゆかしさがありながらもこのころから既に貫ろくがあり、見ていてなにかどこか得体の知れない怖さを感じさせているように見えるのは気のせいだろうか。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-04 16:33:24)
217.  コント55号とミーコの絶体絶命 《ネタバレ》 
今回は55号のふたりが同じ市役所の同じ課に勤める兄弟という設定で、欽ちゃんが弟、二郎さんが兄なのだが、筋金入りのケチな兄に小言を言われまくっていた弟が係長になった途端に兄に上司風を吹かせて仕返しをする最初の展開がいかにもコント的な感じで、二人も兄弟という設定上か先週見た「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもさらに息の合ったコンビぶりを見せている。ストーリーは胃の痛い兄の自分はガンではないかという勘違いから膨らんでいき、それをきっかけに起こるすったもんだが描かれているが、それがありがちながらも笑えるし、弟がひょんなことから知り合った女性(太地喜和子)が県議の娘で、見初められた弟が彼女と婚約するエピソードはちょっとした風刺もあって良い。(太地喜和子のワガママぶりがなんかカワイイ。)旅行に出かけた兄が旅先で知り合った朱美(倍賞美津子)の旦那(田中邦衛)が寅さんのような風貌で笑えるのだが、この倍賞美津子というキャスティングもおそらく寅さんのパロディーを意識してのことでそれを思うとよけいに笑える。(そういえば田中邦衛、この年に公開された「男はつらいよ」の一本に出てたな。)海に飛び込んだ兄を助けたのが弟が恋をしている女性 秀子(由美かおる)だったというのはちょっと強引に感じるものの、兄を死んだことにして香典を集める後半の展開はなかなかの見もので、ここがいちばん笑えた。全体的に「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもペーソスのある作風だが、ラストは市役所を辞めた二人が屋台のラーメン屋になっている姿が描かれていて、そこで秀子にも振られてしまうのだが、それでも前を向いて生きていこうとする姿に思わず勇気づけられた。ほかの出演者では病院で兄に話しかける患者役に三木のり平が出ているのが嬉しい。薬局の店員を演じている和田アキ子が若いながら今とほとんど印象が変わらない感じなのはすごかった。医者役はあんまり見たことがない人だなと思っていたら俳優が本業ではないなかにし礼だったのもビックリ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-29 16:25:46)
218.  トラック野郎 男一匹桃次郎 《ネタバレ》 
シリーズ第6作。「トラック野郎」シリーズはベテランもマドンナに起用されることが多い「男はつらいよ」シリーズに対してマドンナ役には当時の若手女優が起用されるのが常だが、今回のマドンナ役は前年にテレビドラマでデビューしたばかりで、これが映画デビュー作の夏目雅子というのがずいぶん思い切っている感じがする。しかし、出来としてはそろそろ息切れが始まったのか、今まで見た4本(5作目まだ見てない。)と比べると、面白いことは面白いんだが、普通の喜劇映画になってしまってる印象でちょっと物足りないし、夏目雅子は役名も雅子でいかにも売り出し中の新人という感じで初々しいのだが、先に「瀬戸内少年野球団」や「魚影の群れ」を見てるせいか、本作での演技はセリフが棒読みで硬く、かなりぎこちなく思えてしまうのは仕方がないか。鈴木則文監督が脚本を担当していた「緋牡丹博徒」シリーズでコメディリリーフの熊虎をレギュラーで演じていた若山富三郎がライバルのトラック野郎(通称子連れ狼というのがこのシリーズらしいなあ。)を演じているのはなにか感慨深いが、あまり生かし切れていないのが残念。フグを食べて毒にあたった桃さんが毒を抜くために首だけ出して地面に埋まってるところは「北陸代理戦争」のパロディっぽく感じてしまったのだが、以前に見た「座頭市」のテレビシリーズでも同じようなシーンがあったので、実際にある迷信かなにかなんだろうなあ。いつものようにチョイ役は印象に残る人が多く、中でも堺正章や左とん平が出ているのはマドンナが夏目雅子ということもあってこれに西田敏行と岸部シローがいれば「西遊記」じゃないかと昔たまに再放送を見ていたことを懐かしく思い出した。それにしても夏目雅子、出演している映画を見るたびにもし、病気で若くして亡くならずに今でも元気ならどんな女優になっていただろうと思うし、「男はつらいよ」シリーズのマドンナ役で見たかった女優のひとりでもあるのだが、ひょっとしたらそれも実現していたかも知れないと思う。寅さんでの夏目雅子、本当に本当に見たかった。
[DVD(邦画)] 6点(2018-07-28 18:31:57)(良:1票)
219.  コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ 三百六十五歩のマーチ 《ネタバレ》 
野村芳太郎監督によるコント55号映画、見るのはこれが2本目なんだが、以前に見た「びっくり武士道」が原作のあるものだったため、オリジナル脚本ののコント55号映画を見たのはこれが初めて。亡くなった母の残した大金を持って上京した二郎と、彼と出会って意気投合した板前の欽ちゃんのコンビを描いているが、55号世代ではない自分が見てもこの二人のやりとりは見ていて楽しいし、二人とも若く(特に欽ちゃん)実にイキイキとしていて、実際の二人もこんな感じだったのではと容易に想像できる。マドンナを演じる水前寺清子が二役で演じる落語家を語り部にしている点や、冒頭、二郎が新幹線でスリに遭うシーンが野村監督の「白昼堂々」の冒頭部のセルフパロディになっているところも面白い。(ひょっとしたら本作は「白昼堂々」の冒頭で出会った55号二人の物語ともとれるのかな?)ストーリーのメインとしては欽ちゃんが母親と住んでいるアパートの立ち退き問題があって、それに欽ちゃんと二郎の新しい店を出すために奮闘する姿や、マドンナ清子に惚れた二郎といったエピソードが並行して描かれているが、まとめ方がうまく、安心して見ることができるし、野村監督の職人監督としての安定感も感じることができる。脇役も豪華で、花沢徳衛が悪役を演じているほか、清子の父を演じるのが西村晃(欽ちゃんの母親を演じる桜むつ子とのいがみ合いが楽しい。)、喜劇俳優としては財津一郎と谷幹一、当時人気だったボクサーの沢村忠まで出演している。終盤に前田武彦が登場するが、その使い方がなかなか利いていて面白い。しかしいちばん驚くのは清子の恋人を演じているのが「仮面ライダー」に抜擢される前の藤岡弘で、このころからすでに藤岡弘という感じは出ているものの、まだどこか青臭い感じがして、若いなあと思った。ちなみに「仮面ライダー」の開始は本作の2年後のこと。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-22 17:51:50)
220.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
邦画のホラーものというと基本的に霊を題材にしたものというイメージが強く、まして本作のようなゾンビを題材にしたものは邦画ではちょっと無理があるのではと思っていたが、本作はその邦画ではなじみにくいゾンビという題材を扱いながらもかなり完成度の高いものになっていて、途中飽きることなく最後まで退屈することなく面白く見ることができた。とにかく開始20分過ぎたあたりの主人公 鈴木英雄(大泉洋)の恋人であるてっこ(片瀬那奈)がゾンビ化して英雄を襲いはじめるシーンからかなり気合いの入った怖さで目が離せなくなった。この手の大作系邦画にありがちな安っぽさやハリウッドかぶれのような感じも無く、ゾキュン発生の経緯や、よけいなドラマを一切排除した脚本も潔い。とくにゾキュン発生の経緯が一切描かれないことによって、見ていて登場人物たちと同じ目線になることができるし、またリアリティーも感じることができる。(街がパニック状態になってテレビが報道特番に切り替わる中、一局だけアニメを放送しているところが細かくて笑える。このシーンを見ていて「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」を思い出した。)確かに後半アウトレットモールが舞台になってからは少し失速した感があるが、それもそれほど気にはならなかった。趣味でクレー射撃用のライフルを所持している英雄がこんな状態になっても銃刀法違反をずっと気にしているというのが思わずそこかよと突っ込みたくなるのだが、本作はこの英雄(えいゆう)と書いてひでおと読む冴えない主人公がいかに本当にヒーローとして覚醒するかも見どころで、それを最後まで溜めているので、クライマックスの英雄とゾキュンの戦いが半端なくカタルシスのあるものになっているのが最高だった。ラストシーンで藪・小田つぐみ(長澤まさみ)から名前を尋ねられた英雄がそれまでと違い、「ただの英雄です」と答えるのは彼の成長とこれからゾキュンから彼女たちを守って行くという決意が感じられてすごく印象に残る。原作漫画未完の頃に作られているので終わり方としてはやや中途半端な感じがするのだが、個人的にはこの終わり方で良かったと思う。もしも続編が作られたら見たいと思うのだが、ちょっと出来が怖い気も。
[DVD(邦画)] 7点(2018-07-21 18:56:23)(良:1票)
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