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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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201.  ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-
リドリー・スコットやマーティン・スコセッシといったハリウッドの巨匠達から愛される脚本家ウィリアム・モナハンの監督デビュー作ということで期待の大きかった本作なのですが、案の定、よくできたクライムサスペンスでした。ヤクザの世界から足を洗いたい主人公と、それを許してくれない闇社会というありがちな物語でありながら、キレの良いセリフ回し、印象に残る選曲、スコセッシ譲りの暴力描写によって水準を超える仕上がりとなっています。俳優陣の配置も絶妙で、ヤクザのボスをレイ・ウィンストンに演じさせて重量級の存在感を発揮させる一方で、デヴィッド・シューリスの飄々とした個性によって作品に独特の軽さを出しています。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの終了とともにめっきり見なくなったキーラ・ナイトレイが引退した元スター女優というセルフ・パロディのような役回りで出演しているのですが、「脱ぎの仕事も文句を言わずに引き受けていた」という自虐的なセリフで笑わせます。。。 問題に感じたのは、主人公が元スター女優のボディガードであるという設定が本筋とうまく絡んでいないという点。結末から振り返ってみて、主人公の恋の相手がセレブリティである必要性が感じられません。彼女に張り付いているパパラッチを利用した反撃作戦でもあれば面白くなっただけに、もうひと捻りが欲しかったところです。 
[DVD(吹替)] 7点(2012-07-16 01:49:52)(良:1票)
202.  ツリー・オブ・ライフ 《ネタバレ》 
『地獄の逃避行』も『天国の日々』も『シン・レッド・ライン』も肌に合わなかったので覚悟して鑑賞したのですが、今回のテレンス・マリックはイケました。わかったようなわからんようなポエム、あまりに長くクドすぎる環境映像と今回もマリック節は全開なのですが、父と子の対立と和解というわかりやすいドラマが横糸に入ったおかげで随分と腹に落ちやすい映画となっています。。。 この映画のテーマは神の存在なのですが、神とその創造物である人類との関係を極限にまで凝縮し、ある親子の関係を通して神の存在を描いています。「男の子にとって父親は神に等しい存在である」という言葉そのままに。神とは全知全能ではあるが必ずしも人格者ではなく、良い決断もするが、時に気まぐれな決断もする厄介な存在であるとマリックは考えているようです。我々人類はそんな神の気まぐれに付き合わされ、正しい方向へ導かれたり、野放図にされた悪に苦しめられたり、訳の分からん試練を課せられたりして右往左往しているわけです。あたかもそれは、主人公ジャックが父オブライエンに振り回されているかのように。オブライエンはあまりにクセの強い思考回路を持っているため、子供達にとっては頼もしい父親であると同時に巨大な脅威でもあります。ジャックはこの圧倒的な脅威に対してまず恐怖心を抱き、次に反発を覚え、最終的に和解するのですが、この流れは人類の信仰プロセスと合致します。。。 このドラマにおいて、テレンス・マリックは素晴らしいストーリーテリングの技術を披露しています。ジャックとオブライエンの関係は決して特殊なものではなく、多くの男子が共感できる普遍的なものです。裏を返せば何の変哲もない少年の成長物語なのですが、それをここまでドラマティックに仕上げ、おまけに哲学的なメッセージも込めている。これは圧倒的な仕事だと思います。願わくば、訳の分からん環境映像やポエムは控え目にして、見る側の生理に配慮した作りにしてくれれば最高だったんですけどね。 
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-06-30 19:20:37)(良:1票)
203.  マネーボール
オスカー大量ノミネートも納得の仕上がりで、欠点らしい欠点がないほどよくできた映画でした。この映画がうまかったのは野球映画として作られていないところで、変革者の苦悩や人生における決断の重要性といった普遍的なテーマを中心に扱っているおかげで、間口の広い映画となっています。野球をまったく観ない方でも楽しめるのではないでしょうか。。。 本作が興味深いのは、スターの存在を否定するマネーボール理論とは正反対の方法論で製作されていること。なんせ、主演は世界一のスターであるブラッド・ピットですからね。脚本は、これまたハリウッド一の脚本家であるスティーブン・ザイリアン。金満ディノ・デ・ラウレンティスをして「ザイリアンは良い仕事をしてくれるが、その分ギャラが高い。本当に高い」と言わしめたスター脚本家が本作を手掛けているわけです。監督は『カポーティ』のベネット・ミラーが担当していますが、当初は、これまたスター監督であるスティーブン・ソダーバーグが予定されていました。マネーボール理論を扱った本作が、マネーボール理論の根本的な発想を否定しているという構図は非常に興味深いと思いました。
[DVD(吹替)] 7点(2012-06-28 00:27:14)(良:1票)
204.  トランジット
この映画、序盤はとにかくつまらんです。主人公一家はどいつもこいつも面倒臭い性格で好きになれないし、強盗団は安っぽくてまったく怖くありません。しかし、いよいよ強盗団が一家に接触すると突如として緊張感が高まります。それと同時に主人公一家に愛着を覚えるようになり、最後には「親父がんばれ!」と力いっぱい応援してしまうのでした。クライマックスで突如ランボー化するお母さん、異常に機転の利く長男などジョエル・シルヴァーならではのやりすぎ感も不思議とアダになっておらず、それどころかどんどんエスカレートしていく展開からはかなりのカタルシスが得られました。。。 カーチェイスや銃撃戦などの見せ場も意外と細かく作りこまれています。田舎道を2台の車が走っているだけという貧相なシチュエーションでありながら、撮影や編集の丁寧な仕事のおかげでスリリングな見せ場を作り上げているのです。この辺りの手慣れた仕事もさすがジョエル・シルヴァーといったところです。。。 この映画、ジョン・キューザックとモーガン・フリーマンが共演した「ザ・スナイパー」という映画とまんま同じ話なのですが、退屈で死ぬかと思った「ザ・スナイパー」と比較すると本作の面白さは際立っています。スタッフの仕事の手際の良さや適材適所のキャスティングなど(長男役の子供はどこで見つけてきた?)、B級アクションに必要な下準備がきちんとできているのです。決して傑作ではないが、観て損のない小品だと思います。 
[DVD(吹替)] 7点(2012-06-20 10:12:54)
205.  リミットレス
かなり満足できたサスペンス映画でした。魔法のアイテムを手に入れて浮かれていたら後で大変なことになったというのび太チックな物語なのですが、本作の監督と脚本家は基本設定がとにかく雑であることをきちんと認識していたようで (財界の大物が欲しがるアイテムをなぜ街のチンピラが持っている?そして、なぜそれを主人公に飲ませた?etc…)、設定を深掘りせず主人公のサバイバルに物語の焦点を絞っています。この戦略が吉と出ていて、90分の勢いあるサスペンス映画としては年に数本出会えるかどうかというレベルの面白さとなっています。特殊な設定のおかげで先読みの難しい物語に仕上がっているのですが、同時にこの設定のアラを観客に見透かされる前にさっさと話を終わらせているのです(これ以上設定をいじくっていれば、映画は空中分解していたことでしょう)。観終わった後から振り返れば、主人公が執筆した小説、今カノと元カノ、主人公の殺人容疑等、投げっぱなしのネタがいくつも見つかるのですが、スピーディな語り口のおかげで観ている間は特に気になりません。ブラッドリー・クーパーの飄々とした個性も設定のアラを隠すことに貢献しており、これは映画化の勝利だと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-06-17 03:13:59)(良:1票)
206.  テイカーズ
固い絆で結ばれた金持ち強盗団vs仕事一筋の鬼刑事という典型的な「ヒート」症候群の一作ですなのですが、マイケル・マンのようなディティールに対するこだわりはほとんど感じられません。ひたすらに見てくれのゴージャスさ、カッコよさを追求した画面はトニー・スコットを思わせ、さらにはキャラクター造形も雑なので男臭さも皆無に等しい状態です。ドラマパートはジェイソン・ステイサムが出るような作品群と大差のないレベルで、ロクな見せ場もない前半部分にはかなり退屈させられました。。。 しかし、物語が折り返し地点に差し掛かり、目玉である銀行輸送車襲撃がはじまると、映画は凄まじい勢いで疾走をはじめます。二転三転する怒涛の展開に、スピード感ある見せ場の連打。製作費3,200万ドルという中規模予算のアクション映画としては、恐ろしいぐらいにサービスしてくれます。これにはお腹いっぱいになりました。決して出来の良い作品ではありませんが、大きな期待をしなければ十分に楽しませてくれるアクション映画です。。。 なお、本作のDVDジャケットには「全米No.1大ヒット!」とデカデカと書かれていますが、本作が全米1位を獲れたことには理由があります。アメリカでカリスマ的な人気を誇るヒップホップアーティストT.I.とクリス・ブラウンが強盗役で出演しており、さらにポール・ウォーカーとヘイデン・クリステンセンという2人のイケメン俳優が彼らをサポート。若い人が好むキャスティングをしたことがヒットの要因であり、決して作品の質が評価されたわけではないという点にはご注意ください。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-13 17:15:52)(良:1票)
207.  5デイズ
「ドリブン」を大コケさせて以降は小規模なサスペンスアクションを細々と撮ってきたレニー・ハーリンですが、久々のアクション大作である本作では堂々たる演出力を披露しています。現役のヘリや戦車がバンバン登場するスケールの大きな見せ場のまとめ方は手慣れたものだし、アップと俯瞰の使い分け、援軍が到着するタイミングなど、アクション映画の基本となる演出力はまったく衰えていません。トニー・スコットやマイケル・ベイ同様、ある程度以上の予算規模の企画の中にあってこそ、この人は才能を発揮できるようです。アクション大作としてはとにかく満足の仕上がりでした。あくまでアクション大作としては。。。本作を鑑賞する上で頭に入れておかねばならないことが2点あります。それは、本作がグルジア軍の全面協力で撮影されていることと、レニー・ハーリンは歴史的にロシアからの被害を受け続けているフィンランド出身であること。本作は徹頭徹尾反ロシアの姿勢で作られており、国際問題を学ぶ社会派作品として鑑賞すると、大きな間違いを犯します。確かにロシアは傍若無人な国家ではあるのですが、本作の内容はあまりにグルジア寄りで、フェアな姿勢で作られてはいません。グルジアと南オセチアの関係にまったく言及していないし(グルジアは被害者であると同時に、加害者としての側面も有している)、南オセチア紛争の最初の一発はグルジアから放たれたことが国際的な認識であるにも関わらず、「ロシアの攻撃が先だった」というグルジア側の一方的な主張が採用されています。ロシア軍の残虐ぶりも低俗に誇張されており(南オセチア紛争で残虐行為を行ったのは南オセチア義勇軍なのですが、本作ではあたかもロシア軍が残虐行為を行ったと勘違いさせる描写がなされています)、80年代に香港で量産された反日映画と同じ類の作品として鑑賞するのが正しいと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-04-23 11:58:46)(良:1票)
208.  メカニック(2011)
超大作「コン・エアー」でデビュー。3作連続で興行成績が1億ドルを突破し、デビュー後数年はハリウッドの頂点にいたものの、「ブラックホーク・ダウン」の企画をリドリー・スコットに横取りされてからはパっとしないサイモン・ウェスト。そんなウェストが本格アクションの世界に帰ってきました。この映画、脚本はイマイチなのですが(殺し殺されの因果な物語であるにも関わらず、そんなドロドロを全然描けていない)、監督の手腕によってアクション映画としてはそこそこの品質を保っています。マイケル・ベイ、デビッド・フィンチャーと同じくプロパガンダ・フィルムズ出身だけあって画作りがいちいちかっこよく、些細な会話シーンであっても目を飽きさせません。アクション演出に入るとウェストの手腕全開で、迫力のある見せ場を楽しむことができます。クライマックスのアクションなどは相当に荒唐無稽なのですが、見せ方がうまいお陰で「そんなアホな」となる一歩手前で踏みとどまっています。このバランス感覚はお見事でした。本作での仕事を評価されてか、サイモン・ウェストは「エクスペンダブルズ2」の監督に抜擢。本作で披露してくれた手腕があれば、相当に面白いアクション映画に仕上げてくれるはずです。
[DVD(吹替)] 7点(2012-01-02 16:04:36)(良:1票)
209.  世界侵略:ロサンゼルス決戦
2012年一発目の映画には何か景気の良いのを観たいなというわけで、やたら勢いのあるタイトルの本作を鑑賞しました。悪評が多く聞かれた作品だし、主演は「ザ・コア」のアーロン・エッカートだし、内容に大した期待はしていなかったのですが、映画は自分の目で見るまでは分からないもの。意外にも満足できる作品でした。エイリアンと海兵隊による市街戦という設定は、ゲームではありがちなのですが実写では本作が初。なかなか目の付けどころの良い企画だと思います。内容は事前の予想よりも遥かに硬派で、海兵隊員の大半が有色人種という現実的な設定になっていたり、「自分を見捨てないでください」と言う部下を「戦場では何も約束はできない」と切って捨てるホットなやりとりがあったり、敵エイリアンの急所を見つけるために瀕死の敵ソルジャーをナイフで突きまくる場面があったりと、本気モードで練り上げられた脚本には好感が持てました。「テキサス・チェーンソー ビギニング」で素晴らしい腕前を披露したジョナサン・リーベスマンのビジュアルセンスも爆発しており、「ブラックホーク・ダウン」を思わせる戦闘シーンには大興奮なのでした。役者はよくトレーニングされていて、銃の撃ち方など非常に様になっています。本作は決してバカ映画ではないのです。逃げ遅れた市民を連れて基地までの10kmを移動するのみというシンプルなプロットは効果的で、前半は奇跡的なまでに面白く仕上がっています。残念なのは、主人公達が戦争の大勢にまで手を突っ込みはじめた後半になると話が途端に面白くなくなったことで、彼らは戦争の当事者ではなく、あくまで体験者の一人に留めておくべきだったと思います。宇宙人の侵略目的云々に言及しはじめてから途端につまらなくなったスピ版「宇宙戦争」と同じ理屈ですね。徹頭徹尾、傍観者の視点で「クローバーフィールド」を作ったJ・J・エイブラムスは、やはり偉大なのです。
[DVD(吹替)] 7点(2012-01-01 18:39:57)(良:1票)
210.  アジャストメント
ある日、私は行く予定のなかったある場所に思いつきで足を運び、そこで現在の妻と出会いました。妻もまたその場所には行く予定がなく、友達に誘われてたまたまその日・その場所に足を運んだということで、本当に偶然の出会いで私達の人生は決まってしまったというわけです。私は赤い糸や運命といったものは信じないのですが、偶然により人生は決定するということはかの経験から身に染みて感じています。そんな偶然と運命をテーマにしたラブストーリーが本作なのですが、重くなり過ぎず軽くなり過ぎず調度良い塩梅の娯楽作に仕上がっていて、2時間はきっちり楽しませてくれます。。。 本作のお話や雰囲気は「普通じゃない」や「ジョー・ブラックによろしく」に似ているのですが、ユニークなのは天使の設定です。彼らは人格的に優れているわけでもなければ、超越した知見を持っているわけでもない。神の指示通りに淡々と個人の運命を管理しているだけで、時として管理の目的すら見失い、凡ミスも犯してしまうという人間臭い設定は映画を面白くしています。彼らの能力には制限があって、物理的な事象はコントロールできるが、人間の心に直接影響を与えることはできない。そこで人間の出会いを管理することで、その人生を運命通りに導いているという設定となっています。「愛とは偶然なのか?それとも運命なのか?」というテーマや人間の心の扱い、扉を用いた見せ場はSF映画の傑作「ダーク・シティ」と酷似しているのですが、天使の設定の特殊性により差別化は図れています。「この恋を諦めればお前の夢は叶うが、その女性を選択すればお前の人生は平凡なものとなる」という定番のジレンマもばっちり決まっており、映画は非常にうまくまとまっています。。。 理解できないのは本作を「マイノリティ・リポート」のようなSFサスペンスとして売り込んだ日本の宣伝戦略で(本国ではラブストーリーとして宣伝されています)、配給会社の人達はSFサスペンスを期待して鑑賞した人達を落胆させるということが分からなかったのでしょうか?
[DVD(吹替)] 7点(2011-11-01 22:59:30)(良:3票)
211.  マイティ・ソー
痛快なアクションと能天気な笑いの絶妙なブレンド、これぞアメコミ映画の王道といった仕上がりで大変楽しめました。現代アメリカにやってきたムキムキが頓珍漢な行動で騒ぎを巻き起こす前半は「ミラクルマスター7つの大冒険」や「マスターズ超空の覇者」といった80年代B級映画を思わせる軽い作りで安心して楽しめるし、彼が力を取り戻してからのバトルは21世紀ならではの素晴らしい視覚効果の連続で目を釘付けにします。父と子の確執、兄と弟の確執、父の愛を得ようとした弟の歪んだ愛情表現等のドラマも重すぎず軽すぎず無難にこなせており、ケネス・ブラナーを監督に起用するというサプライズ人事が見事に功を奏しています。クリス・ヘムズワースは完璧にソーになりきっていて、力自慢の傲慢な王子であるが、同時に仲間思いの良いお兄ちゃんという愛嬌あるキャラクターをきっちりモノにしています。オーディン王やジェーン・フォスターのキャラはやや弱いように感じたのですが、それらの役柄をそれぞれアンソニー・ホプキンスとナタリー・ポートマンという実力ある俳優に演じさせたことで、こちらもまた奇跡的に何とかなっています。地味~にホークアイも初お目見えし、いよいよ「ジ・アヴェンジャーズ」への期待も高まるところなのですが、神様であるソーって他のヒーローと比べて力がありすぎやしませんか?キャプテン・アメリカなんて単なるムキムキですからね。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-31 19:50:53)
212.  クレイジーズ(2010)
ロメロをプロデューサーとして迎えているだけのことはあって、オリジナルをかなり尊重したリメイクに仕上がっています。細かいエピソードにはオリジナルから引用したものが多くて、「ゾンビ」とは似ても似つかぬ映画になってしまった「ドーン・オブ・ザ・デッド」などと比較すると、その製作姿勢には大変好感が持てました。その一方で、ただオリジナルをなぞるだけではなく21世紀版としての適度な改編がなされている点でも本作は評価できます。細かいネタはオリジナルから拾いつつもその味付けを変えており、オリジナルとはまた違う楽しみが出来る作品に仕上げているのです。オリジナルはかなり体制批判的な作品でしたが、その作風は公民権運動やベトナム戦争を経た70年代という時代背景を反映したものであり、そんな作風をそのまま現代に復活させても時代錯誤なリメイクが仕上がるだけ。そこで本作は体制批判的な面をバッサリ落とし、ソリッドなサバイバルアクションとして「クレイジーズ」を再構築しています。最大の変更点は軍隊の指令系統をまったく描かなかったことで、これにより社会派作品としての魅力は失ってしまったものの、映画の視点を逃げる主人公のみに絞ったことでアクション映画としての面白さは倍増しています。主人公は、自身がウィルスに感染するという脅威だけでなく、感染者による襲撃と軍による追跡という複数の脅威と戦うこととなるのですが、描写を限定したおかげで主人公の苦境がオリジナル以上に鮮明となっています。アクションの面白さやショックシーンの作り込みはオリジナルを凌駕しており、電ノコを持った感染者、鍬で人を串刺しにする校長先生、洗車場での襲撃等、気合いの入った描写が目白押しです。アクション映画として作り直したことで映画全体のテンポも変わっており、序盤からサクサクと話が進んでいく点でもオリジナルより見やすい娯楽作となっています。オリジナルを尊重しながらも時代に合わせて作風を変える、これは理想的なリメイクの形であると思います。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-21 01:13:36)(良:2票)
213.  ザ・ファイター
本作に含まれるアイコンは貧困に麻薬に刑務所、「レイジング・ブル」並みに暗く重く作ることもできた題材なのですが(最初に監督を依頼されたのはマーティン・スコセッシだった)、そこをあえてユーモアを交えたポジティブな作りとしています。底辺でもがく人々がボクシングを通してひとつになるという物語は現代版「ロッキー」であり、「ロッキー」同様、本作は脚本も演出も正攻法です。正攻法であるが故に安心して見られる仕上がり、見応えには若干欠けるのですが、それでも2時間はきっちり楽しませるドラマとなっています(当初の予定通りにダーレン・アロノフスキーが監督を務めた場合には、どのような仕上がりになったのかが気になるところですが)。そんな感じで脚本・演出は水準並みなのですが、一方で演技のレベルは非常に高く、特にクリスチャン・ベールが凄いことになっています。弟の足を引っ張る不真面目なヤク中であるが、同時に天性の無邪気さによって誰からも好かれる明るい人物という厄介な役どころなのですが、ベールはこれを完璧に演じています。ディッキー・エクランド本人が登場するエンドロールを見るにもはや憑依の域に達しているほどベールはディッキーそのものに成りきっており、これは何か賞をやらねばと思わせるほどの熱演を披露しています。ディッキー役はブラッド・ピットが演じる予定だったもののスケジュールが合わずに降板し、ウォルバーグよりも歳下のベールが演じることとなったのですが、このキャスティングは正解でした。一方お気の毒だったのがウォルバーグで、ひたすら真面目にボクシングに取り組むミッキー役という役者としてはあまりおいしくない役どころを引き受け、案の定、ベールの引き立て役に徹しています。ただしウォルバーグの演技は決して悪くはなく、クセの強いキャラクターが入り乱れる物語の軸の役割をきっちりと果たしています。彼までが自己主張の強い演技に走っていれば、映画は空中分解していたことでしょう。思えば、かねてからウォルバーグは脇役を引きたてることを得意とする俳優でした。過去にはバート・レイノルズ、ティム・ロス、チョウ・ユンファらから素晴らしい演技を引き出しており、受けの演技をさせると彼は非常に巧いのです。巧くはあるが、本人は評価されないことが悲しいところですが。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-20 19:30:47)
214.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 
さすがは21世紀のジョン・フランケンハイマーことポール・グリーングラスだけあって、余裕で水準を超えるアクション大作に仕上がっています。細かいカットを積み重ねて構成される銃撃戦は臨場感に溢れているし、現場を走る兵士の視点と、それを上空からナビゲートするヘリの視点を交互につなぎ、観客に対して戦況をスムーズに伝えるという神業的な編集には脱帽するしかありません。「ボーン・スプレマシー」の大ヒット以降は手ブレ映像や細かいカット割を採り入れるアクション映画が急増しましたが、やはり本家が一番です。また、硬派な題材をエンターテイメントとして味付けするという稀有な才能も全開。オリバー・ストーン作品のような重厚なテーマがアクション大作の皮を被っていて、それらが水と油にならずにうまく共存しているのです。こんな器用な芸当ができる監督は他に見当たりません。。。と、監督は相変わらず良い仕事をしているのですが、奇跡的な傑作だったジェイソン・ボーンシリーズと比較すると脚本が弱く、そのことが、ジェイソン・ボーンの何倍も野心的な本作を傑作にしていない原因となっています。まず、主人公が陰謀に挑むこととなる動機付けが弱く、一方で「イラクを良くしたい」と願って積極的な行動をとるイラク人フレディの扱いが軽く、キャラクターの動かし方がうまくありません。また、秘密主義のCIAが現場指揮官に過ぎない主人公に接触する理由も弱いし、陰謀の黒幕となるパウンドストーンはどう見ても小物で、映画のスケールを背負って立つ悪役になっていません。アメリカ政府のウソを無検証でタレ流したマスコミへの批判もなされるのですが、ここで登場するジャーナリストも本筋とうまく絡んでおらず、いてもいなくても大差ない存在となっています。そして大きなミスだったのが、「大量破壊兵器はウソだった」という話を謎解きの中心に持って来てしまったこと。2003年当時ならともかく、現在では全人類が知っている話です。今さら「なんと、イラクは大量破壊兵器を持っていなかったんですよ!」と言われても、見ているこちらとしては「そりゃそうだろ」としか思えません。陰謀の背景などはさっさと暴露してしまって、イラク軍元将軍の口封じをしようとする米軍上層部と、それを阻止しようとする主人公との攻防を核とした方が盛り上がったのではないでしょうか。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2010-10-28 20:06:38)(良:1票)
215.  ソルト 《ネタバレ》 
フィリップ・ノイスと言えばジャック・ライアンシリーズを一旦終了させてしまい、その後は冴えない映画をいくつか撮った後にハリウッドから姿を消していた、私の中ではあまり評価の高くない監督さんです。またアンジーと言えば人気や知名度の割に残念な作品に多く出演し、オスカー女優であることをすっかり忘れ去られている女優さん。その二人が組んでおり、おまけに作品選びのセンスのあるトム・クルーズに断られた企画だけあって「微妙かな」と思っていたのですが、夏の大作アクションに求められるクォリティには十分に達していました。監督を支えるスタッフを見ると、セカンドユニットの監督にヴィク・アームストロングとサイモン・クレイン、編集にスチュアート・ベアード、脚本の手直しにブライアン・ヘルゲランド。この鉄壁の布陣を準備してきた映画会社の勝利でしょうか。【ここから大きくネタバレします】本作の前半は圧倒的な面白さです。「あらぬ陰謀に巻き込まれた主人公が、孤立無援の中、真犯人を捜し当てる」という展開を予想していただけに、アンジーが旧ソ連の暗殺者でしたという展開には驚きました。アクション映画に対する観客の先読みをうまく利用したサプライズであり、本作の予告等も観客の先入観を形成する仕掛けの役割を果たしています。面倒なドラマは回想でコンパクトに処理し、物語はのっけからフルスロットル。この辺りでは編集のスチュアート・ベアードの手腕が如何なく発揮されています。また、アクション映画界の重鎮ヴィク・アームストロングが手掛ける壮絶な見せ場の数々は十分に目を楽しませ、前半のみで言えば9点を付けても良いほどの出来でした。しかし、後半になると映画は月並みなものとなります。他国の工作員がホワイトハウスを制圧し、核ミサイルのスイッチを握るという荒唐無稽な展開にそれなりの説得力を持たせた脚本や演出の力は評価できるのですが、圧倒的な面白さだった前半と比較すると物足りなさを感じました。脚本上、前半のサプライズほどの山を準備できなかったため(後半のサプライズは観客の想定の範囲内のものでした)、物語は尻すぼみにならざるをえなかったようです。また、縦横無尽に都市を走り抜ける前半のチェイスと比較すると、ホワイトハウスの地下が舞台となる後半は視覚的にも地味なものに。「次回に続く」という形で締め括られますが、続編があるかは微妙だと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-01 15:59:41)
216.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
本作と「1」は、「エル・マリアッチ」と「デスペラード」の関係みたいなもので、リメイクと続編の中間のような感じです。さすがはロドリゲスだけあって「1」へのリスペクトが十分に感じられる脚本に仕上がっていて、随所に「1」を思わせる場面が見られます。本作の血がたぎるようなラストバトルは必見なのですが、その盛り上げ方・作品の息づかいまでが「1」に似せて作られており、そのリスペクトは相当なものです。音楽も「1」の勇猛なテーマ曲をそのまま使っており(しかし、今回はなぜかアラン・シルベストリが担当していない)、あの景気の良い音楽を最新作でも聞くことが出来て、それだけで興奮してしまいました。一方で「2」や「AVP」シリーズはなかったことにされており、この辺りのガンコさもオタク監督ならでは。物語は基本的に「1」と同じ流れで進行していくのですが、プレデターにも複数の種族があって、種族間で性格が異なるというのが本作の新機軸。今回相手となるのは我々の知っているプレデターではなく、より野蛮で凶暴そうな奴らです。こいつらの見た目の怖いこと!いつものプレデターを見るとホッとしてしまった程です。性格もより残忍であり、地球に来ていた高潔な狩人とはわけが違います。ラストでは、種族間の敵対関係を利用して我々の知っているタイプのプレデターが味方に付くという燃える展開まであって、シリーズ化に伴うバージョンアップとしては、この新機軸はなかなか良かったと思います。。。こうしたプレデターズに対する人間キャラクターもよく作り込まれています。特殊部隊員からヤクザから性犯罪者までをズラっと揃えた異色の顔触れなのですが、内輪揉めや仲間内の友情なども月並みだが自然に盛り込まれており、キャラクターで勝負させると、やはりロドリゲスは良い仕事をします。役者で特に良かったのはエイドリアン・ブロディで、彼が演じるのは「1」のシュワに相当する役柄なのですが、肉体派のイメージのなかったブロディが知性と残酷さとサバイバル能力を兼ね備えた、シュワと比較しても見劣りしない立派な戦士となっています。この化け方は全盛期のデ・ニーロ並みで、オスカー俳優の底力を見たような気がしました。一方でフィッシュバーンは作りすぎ、やりすぎで、彼の登場場面では物語が一時的に失速します。このキャラさえいなければ、より引き締まったアクション映画の佳作になったはずです。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-12 20:25:52)(良:2票)
217.  アイアンマン2 《ネタバレ》 
序盤は最高でした。無許可の強力兵器が好き勝手に飛び回っているのでは、国はその規制に乗り出すはず。さらに、ライバル企業や軍事独裁政権はこれと同等のものを作ろうとし、もし自前で作れなければテクノロジーを奪おうとするはず。そんな、「もしアイアンマンが登場したら、世界はどう反応するか?」を突き詰めた視点はよく考えられています。マスクによって匿名性を維持していた従来のヒーローとは異なり、自分はアイアンマンであると公表しているトニー・スタークは公聴会に召喚されますが、ここでの振る舞いもスタークらしく、またスタークの不遜な態度をマスコミや市民が拍手で迎える様からは、アイアンマンがみんなのヒーローとして認識されていることが伝わります。こうした、第二作の世界観を伝える場面をきちんと入れてきている配慮は評価できます。また、モナコにおけるウィップラッシュ登場シーンも強烈でした。只者ではないオーラを漂わせて表舞台に乱入するや、F-1マシーンを真っ二つに切り裂くという尋常ではない力技を披露。悪役登場場面にはインパクトが必要ですが、この登場は百点満点だったと思います。さらに、携帯式アイアンスーツという意表を突いたアイアンマン登場にも大興奮。逃げ惑っていた観客達が、アイアンマンが登場するや身を乗り出して彼を見ようとする細かい演出も最高です。しかし、モナコの場面が終わると映画は急激に失速します。複数のドラマが詰め込まれているものの、そのどれもが描き込みが不足していて中途半端。スタークの病には苦悩や絶望感が少ないため「どうせ治療法が見つかるのだろう」という妙な安心感が漂っているし、ウィップラッシュの狂い方も「俺の鳥」だけでは全然足りていません。突然社長に就任したペッパーの戸惑いや、親友を裏切ったローディの苦悩、ブラックウィドウの謎の美女としての煽り、どれもが不足しています。しかし、終盤になると映画は再び息を吹き返します。ザクキャノンを思わせるハマーロボ、そしてフルアーマーガンダムを思わせるウォーマシンら、ハマー社製の無骨さ!そしてラスボスはヒートロッドを扱うグフ!これ考えた奴は絶対ガンプラ好きですよ。これらハマー社製を迎え撃つは、新エネルギーによってパワーを増したアイアンマンMk-6。この上さらに、スターク社製のMk-6とハマー社製のウォーマシンとの共闘を見せられたのでは、ロボット魂に火を点けられまくりです。
[映画館(吹替)] 7点(2010-07-08 08:41:19)(良:3票)
218.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
【注意!猛烈にネタバレしています】 ルディ・コランダーを名乗る人物は北米に4人おり、そのうちの一人がアウシュビッツの元看守なので一人ずつ訪ねてターゲットを探し出すという『ターミネーター』みたいなお話に、奥さんが死んだことすら覚えていられない主人公という『メメント』みたいな設定がくっついた映画なのですが、本物のボケ老人にしか見えないクリストファー・プラマーの熱演もあって、この復讐行脚がなかなかの緊張感でした。 ただし、襲い掛かってくる元ナチの息子とその犬を急所直撃の見事なガンさばきで撃退した辺りから大オチの察しがついてしまい、そこから先は答え合わせのような見方しかできなくなってしまった点は残念でした。 また、これはおかしな見方なのかもしれませんが、アウシュビッツの元看守とは言え、国家からの指示で動いたことで個人が罰せられる。しかも事件から70年も経った後に自宅を訪問され、娘や孫の前で処刑されるということが、果たして正義と言えるのかという点には違和感を覚えました。その善悪を説いた作品でないことは承知なのですが、それにしても一方的すぎる正義だなぁと。
[インターネット(吹替)] 6点(2018-05-24 18:43:26)
219.  マンチェスター・バイ・ザ・シー 《ネタバレ》 
主人公・リーが人を拒絶しながら生きている現在パートと、快活な性格で友人も多かった過去パートが交互に映し出され、リーを変貌させたものは一体何だったのかというミステリーが提示される序盤の引きはかなり強く、また2つの時制の物語が両方よくできていることから、前半はかなり集中して見ることができました。 しかし、ミステリーの正体が明かされ、時制も一本化される後半は間延びしており、実際の上映時間以上に体感時間を長く感じました。リーとパトリックの関係性がこのパートのメインであるものの、両者にさほど変化がないまま似たようなイベントが何度か起こるだけなので、とても単調なのです。 ただし、ラストは意義深く感じました。リーが心を開いて終わりかと思いきや、パトリックのことは好きだしなるべく要望には沿ってあげたいけど、それでも過去が重すぎてマンチェスターでの生活は無理だわと言って去って行くのですが、人間の感情はそう簡単に折り合えるほど単純なものではないというある意味での真理を突いたオチとなっています。 あと本作で失敗だったのは、配信が字幕版のみだったので字幕での鑑賞になってしまったことで、会話はリアリティを重視してか、ある人物が話し終わらない時点で他の人が話し始めたり、複数の人物が同時に話していることもあったりと、字幕の情報量が原語の情報量をまったくカバーできておらず、吹替版を選択できるメディアで見ればよかったと後悔しました。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-03-24 02:17:59)
220.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 
押井版の主人公・素子が「ホンモノかニセモノかなんて大した問題ではない。そこに思考する意思・魂が存在することこそが真理なのだ」というデカルト的な結論に至ったのに対して、当実写版の主人公・ミラは本来の自分は何者だったのかという点に最後までこだわり続けます。彼女は新たな電脳生命体への進化どころか、人間へ戻ろうと必死なのです。これでは押井版において観客の知的好奇心をくすぐっていた要素がほぼ切り捨てられた状態だと言えるし、そもそもこの内容では「抜け殻(シェル)に魂(ゴースト)は宿るのか」というタイトルが意味を為していません。本作に対する悪評って、こうした浅さに対する違和感なんだと思います。 ただし、この改変への評価はなかなか難しくもあります。当実写化企画が成立する前に、同じく押井版の影響下にあってデカルト的な実存主義を娯楽アクションに落とし込むという企画で大成功を収めた怪物『マトリックス』が存在しています。同じ母を持つ兄とも言える『マトリックス』の存在こそが、当企画に課せられた重大な制約条件だったのです。そして当の『マトリックス』自身も続編で行き詰ったことからも分かる通り、この分野は『マトリックス』第一作がほぼやりきっており、これ以上のものはおそらく出てこない。さらには、主演のスカヨハは『LUCY』で電脳生命体の進化論をやっちゃってるし、ならば全然違う方向へ走るというのも、一つの有効な打ち手だったと言えます。私は、本作の監督・脚本家の判断はあながち間違ってはいなかったと思います。 実際、ミラの自分探しと、その隠蔽を図る大企業との対決という単純な図式にまで落とし込まれた後半パートは娯楽映画としてちゃんと面白くなっているし、ミラの正体は日本人・素子でしたというオチには意外性があったと同時に、原産国・日本や押井版への敬意も感じました。桃井かおり演じる母親が、ミラという器に代わってもその内部に存在する娘・素子の魂を感じ続けているというドラマも感動的であり、これはこれでありではないでしょうか。
[インターネット(吹替)] 6点(2018-01-27 02:28:19)(良:1票)
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