201. 不思議惑星キン・ザ・ザ
日本題名のとおり、不思議な映画。設定、脚本、演出ともになんだかおかしく、チープなセットにとぼけた音楽も明らかに駄作系なのだが、それが狙ってるんだか真面目なんだか判らず、突っ込んで良いんだか、脱力していいんだか判らないうちに、だんだん引き込まれて、最後はなんかチョット感動させられてしまう。SF物でB級をわざと狙った脱力系映画はいくつかあったが、この映画はこれまでのどの映画とも方向が違い、今まで見た映画には全くない感覚というか手法というか、一言で言うとやっぱり「不思議」。これは、ひょっとして凄い芸術的大作?、、、でも、違うような気もする。 [DVD(吹替)] 7点(2009-07-23 01:29:56) |
202. ザ・マジックアワー
《ネタバレ》 これは文句なく面白い映画。公開前にテレビでやたらに宣伝しまくってて、ちょっと鼻についていたけど、これだけ面白ければ許してもいい気になる。しっかりした脚本に昔の名画の様々なテイストが詰め込まれてて、監督はじめスタッフの映画愛がたっぷりと感じられる。セットや小道具にも大変凝っていて見事なもので、どれもこれも映画が好きで好きでたまらない、映画のためなら手抜きはしない、という意気込みが感じられて、単なるコメディーではなく素晴らしいコメディー「映画」でした。リアルと非現実の中間みたいなセットやモデルガンなどの小道具が、劇中劇、騙す騙されるという展開の中でうまく使われていて、見ているこっちもその世界観の中に完全に引きずり込まれてしまった。コメディーの中の銃撃戦で、こんなに「危ない」とハラハラしたのは初めて、、、というか、むしろ普通の「映画」の銃撃戦よりハラハラしたかも。普通のコメディーではガンアクションも爆破シーンも多少ショボくても味として成立させることは可能だが、この映画ではストーリー上、現実以上に派手でなければ成立せず、それを見事に見せ切っているこだわりが、この映画の面白さを倍増させている。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-23 01:24:02) |
203. ジャージの二人
《ネタバレ》 不思議な雰囲気の映画。登場人物の持つ人間関係や悩みを、解決もしないし苦しみもしないで、淡々と緩やかにごく自然に包み込んでいく感覚が何か微笑ましく心地よい。淡々として、飄々として、ゆったりとして、多くは語らず、大きな感動はないのだが何故か心に染み込む。それぞれの持つ悩みは結構深く、前向きにがんばってもいないのに、のんびりと、ゆったりとしていて、見ているこっちがのんびりと癒されてしまうよう心地よさがある。いろいろ感想を書こうと思っても、うまい言葉が出てこない。細かいことをあれこれと理屈で解釈する映画ではなく、雰囲気や映像を感じる映画だと思う。その感性を揺さぶる映像、演出、演技は見事である。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-23 01:20:17) |
204. アンツ
《ネタバレ》 ディズニーじゃないだけあって、キャラが可愛くなく、ストーリーも完全子供向けではない。尺が短いのでテンポは良く最後まで飽きずに楽しめたのだが、子供向け娯楽に徹しきってない分、見終わった後によく考えると、各キャラの設定、アリ社会の捉え方とストーリーの整合の粗が気になってしまう。独裁体制対弱者民衆で、体制に疑問を持つ一部の民衆がヒーローとなり民衆を解放するらしいストーリーなのだが、結局ヒーローが支配者側に回っても、アリ社会では一般弱者民衆は何の変化もないのではという疑問が残る。そもそも、アリの社会構造に独裁体制批判を象徴化すること自体無理があったのではないかと、娯楽映画に不要なテーマ性まで考えてしまうのは、中途半端な映画だったということか。 [DVD(吹替)] 5点(2009-07-22 18:43:51) |
205. 地球が静止する日
《ネタバレ》 一市民がキーマンとなって、極めて個人的な事情を世界規模の危機と絡ませて、クライマックスに持ち込むという、いかにもアメリカンなパニック物にありがちなストーリーは、もう古いとしか言いようがない。1951年の「地球の静止する日」(「が」と「の」が違う)のリメイクらしいが、題材や基本的な設定が古いのは仕方がないとしても、CGで映像の迫力を出すことばかり金かけて、ストーリ展開が使い古したパターンじゃ駄目でしょ。しかも、原作物(見たことないけど)の突飛な設定や理詰めでない展開を、リメイクで説得力を持たせるとか息をも付かせぬテンポで乗り切るような脚本にするというような詰め方が全然されていないように感じられ、納得いかないストーリー展開だらけで、日本の怪獣特撮映画並みの理不尽さを感じる。日本の怪獣特撮は、そういうものだとはじめから割り切って見られるから、そういうところを含めて楽しめるのだが、こっちは、コミカルなシーンが全くなくシリアスな大作風に作ってある分、見終わった後のがっかり感が大きかった。シリアス路線で比較しても、平成ゴジラや平成ガメラのほうが充分にクオリティは高いだろう。この設定、展開は、コミカルアクション路線の脚本で作らなきゃ駄目だと思う。 [DVD(吹替)] 3点(2009-07-22 18:34:53)(良:1票) |
206. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 ジャパニーズファンタジーを、アニメの特性を存分に生かして大胆な構図、ダイナミックな動き、印象的な色彩とタッチで見せ付けるこの企画力や手法は、日本が誇る映画分野の完成品という他はない。脚本や演出?的にはところどころ練れてないなと感じる部分もあるし、背景が日本のとある港町というリアル感と生活感をベースとしているだけに、ファンタジー部分の中に垣間見えるリアルの描き方に誇張しすぎの違和感がある場面もなかったわけではないが、圧倒的なファンタジー部分の映像としての存在感があることで、ほとんど欠点ではないと思う。(ファンタジーとリアルの配分加減が絶妙だったのが「トトロ」かな。)お子様向けではあるのだが、ディズニーや他のアニメにはない独特の世界観を維持し続けてくれているのは、日本映画の発展のためにもうれしい限り。町が水没してしまうシーンは、昔、ニュース映像で洪水で家が水没してボートで住民を救助するのを見て、被害のこととか生活困るとか考えずに、不謹慎にも楽しそうだと思っていた子供の頃のわくわくする感覚がよみがえった(^^; 。宮崎アニメの初期作品「パンダコパンダ 雨降りサーカス」でも、同じようなシーンがあり、監督も、きっとあのわくわく感が好きで、現在のアニメ技術で再現したかったんだなあ、と勝手に解釈。あ、そういえば、千と千尋・・にも、水没シーンがあった。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-22 18:28:00)(良:2票) |
207. 足にさわった女(1952)
実にテンポ良く、サクッと楽しめる。シナリオ、演技、テンポの良さは一級品で、市川監督ってコメディの名監督だったのか!と唸ってしまった。まさに、日本のビリー・ワイルダーです。 今まで、ビルマの竪琴とか横溝正史シリーズとかの重く暗い方向の巨匠というイメージしかなかったのは間違いでした。 ドタバタシーンもドタバタ過ぎず、きっちりとしたシナリオと画面構成で、まさにこれぞコメディ映画という感じ。 1952年の時代を白黒で撮った画だけを見ると、暗くて貧くて重いイメージしかないのだが、このように、いいシナリオでいいテンポで見せられると全然明るく感じる。 フィルムの質は悪いし、音声は聞き取りづらいし、多分今より全然低予算で作られてるんだろうけど、今見ても面白い。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-07-22 13:31:49) |