201. 白ゆき姫殺人事件
《ネタバレ》 この作品はミステリーの部分を楽しむ映画ではない気がします。 車の鍵は慌ててたから開いてたとしても、どうやって車のエンジンかけた? と突っ込まずには居られません。 人々の証言・記憶は自分の都合の良いようにアウトプットされそれを受け取る側も 自分の都合の良いようにインプットしていく。小さなズレど思い込みと 願望が事実を少しずつ、現実の物と違う物にしていく。 それに加えてマスコミの意図を持った切り口で編成された放送だけを見れば 多くの人が憶測とどこか知りながら、勘違いや思い込みを加速させて行く。 人のずるさ、無責任なマスコミの商業主義を小気味良く皮肉って居て それが何ともツボでしたね。 また、蝋燭のシーンで終わらず、赤星雄治が城野美姫に車でひかれかけるシーンがあります。 赤星が城野の顔に気がつかない、あるいはしらない?というのをどういう意図で作ったかは分かりませんが あんな見通しの良い場所で突っ込んで行って「当たってないですよね?」で立ち去ろうとし 呼び止められた答えが「良いことありますよ」って、優しさで言ったようにも見える反面 ある意味、他人事の上から目線で言ってるように取れなくもない。 自分にはあのシーンは、城野を勘違いが重なった可哀想な被害者だけで終わらせない 心の奥底にある黒い部分を見せたかったのではないかと。 赤星は城野の親に謝罪に来てる訳ですから赤星が町に居る事を城野が知って居てもおかしくはない訳で 自分の運転で転倒させてる訳ですから、例え接触が無くとも本当にいい人なら まず謝罪があってしかるべき。なんですよね。 城野は赤星に対して「こいつのせいで・・・」とわざとギリギリの方法で一発カマしたとも取れなくもない。 殺人に関しては白かもしれませんが、芹沢ブラザーズに関しては、 故意で無かったとしても傷害を負わせた逃げた責任は? 謝罪も責任も負ってないとすると、ちょっとずるくない? もしかすると、犯人が殺人を犯す事を察知した城野が車のドアわざとロックせず 鍵もおいておき全て見越して誘導した・・・なんて。 さすがにちょっと考え過ぎですかね(笑) 久しぶりに自分的には当たりの作品でしたね。 [DVD(邦画)] 9点(2016-09-30 16:06:38) |
202. ボビー・フィッシャーを探して
《ネタバレ》 最初から最後まで飽きる事無く見られる作品。でも、ただそれだけかもしれない。 スパルタが良いのか、それとも個性を伸ばすのが良いのか。 一つの事に打ち込むのが良いのか、それとも色々な分野で見識を広げるべきか。 持って生まれた性質と才能を元に成功者が語れば、それら全てが正解になる。 雰囲気で見れるものの、内容としてはちょっと肌に合わなかった。 チェスの師の考え方を否定され決別したが認定書を持って来る演出の所は この物語において重要なシーンのはずなのだろうが、認定書を否定した後の フォローのシーンが無いまま、あのシーンに持って行くのは描き方が雑過ぎる気がする。 少年の成長を描きたかったのならば師と別れた後の家族とジョシュの気持ち、 別れた後の師の気持ちはどうだったか、そこをもう少し丁寧に見せてくれたら良かったかなぁ。 [地上波(字幕)] 5点(2016-09-30 15:08:08) |
203. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 この作品の争点は石神が取ったトリックが本当に意味があったのか?と言う点。 まず正当防衛について。遺体の状況からコードで首を絞められている事に娘が荷担していることが明らかなことから 明確な意思がないと難しい犯行に殺意があったと思われても仕方なく正当防衛を主張するのは難しかったと思います。 加えて、親子共に逮捕される事になれば仮に正当防衛が認められても開放されるには数年がかかるでしょう 裁判費用、あらぬ噂により親子は今まで通りの生活を送る事は困難と思います。 また他の犯罪を犯さずとも"現時点"でバレてないじゃないか シンプルに最初の遺体をバレないように処理した方が早いとの考え方もありますが 確かに犯罪組織のように完全に遺体の出ないやり方があり確実でしょうがそれ言ったら物語になりません。 処理をする特別な環境を持たない一般人が短時間に、かつ自分一人の力で遺体を処理できる方法考えるなら 遺体をバラバラにし海や山に捨て時間稼ぎをするぐらいが落とし所でしょう。 時が流れ遺体が発見された時、腐敗が進んで居れば殺害日や殺害方法は判別できない可能性が高い。 しかし科学捜査から遺体の身元が割れる可能性は否定できず、もし身元が判明すれば 交友関係や行方不明当日前後の行動からいつか、あの親子に捜査の手が忍び寄る可能性は完全に否定出来ない。 そうなれば意思が弱く自供するかもしれない、それではあの親子を守る事ができない。 だからこそ石神は、あえて新たな殺人を犯し"最初から"自分が出頭する事で完全にあの親子を守る策を練ったって事です。 つまり親子には一定期間捜査追及から逃れるだけのアリバイを与え、その間に自分は計画通りに出頭して 罪を認め裁判の一審で上告せず罪を受け入れ一事不再理により、あの事件で親子が法で裁かれる 可能性を完全に無くす事ができる。一度死んだも同然の命。残りの命をあの親子の為に捧げる決意の犯行。 つまり最初の段階でどうにか隠せば逃げ切れる可能性が高かったねって話では無く 犯罪から逃げ切れる可能性の追及よりも、自ら罪をかぶり親子を完全に守ろうとする話なんです。 ただ、そこに湯川や花岡親子の心など微妙なバランスの上にしか成り立たないこのシナリオは最後に崩壊を迎える。 それがこの物語の大筋ではないでしょうか。 石神はなぜ人生に絶望していたか、それは具体的には語られて居ませんが華々しい活躍をする湯川とは対照に 好きだからやっていた数学とは言え有り余る才能を受け止められる受け皿はなく 誰にも才能を評価されず、誰も彼の本当に語りたい事に耳を傾けない環境は 孤独と絶望の灰色の世界で生きていたのだろうと容易に想像する事ができます。 人との繋がりが無い世界は自分の存在価値を消し去る理由になり得るでしょう。 そんな中、隣に引っ越して来てくれた親子が自分に少しだけ接してくれた。 弁当を買うとき不器用な自分に声をかけてくれる、屈託のない生活の物音が それまで孤独で灰色だった世界に、ほんの少しの色を与えてくれた。 もちろん親子は石神に普通に接しただけで特別な事は何もしていない。だが、その事が生きる上でどれほど大きいことか… そんな僅かな色を与えてくれた環境が、殺人により終わりを迎える事が解った時 せめて、この親子だけは色を失わずに居て欲しくて、自ら捕まる事で 自分一人が、また色のない環境に彼は戻って行く決意をしたのでしょう。 留置所の天井の傷やシミで四色問題を解くシーンは秀逸です。 もう親子と会うことは許されず、また色のない世界で孤独に色を付ける作業だったのではないでしょうか。 湯川は冒頭で愛などと言う非論理的な物は誰にも解けない。考えるだけ時間の無駄だと。 石神と再会した時、若々しさを羨ましがる彼は「恋をしている」そう導いたが求める答えにはほど遠い。 本来、犯罪動機に興味のない湯川が始めてそれに向き合い苦悩する。雪山で事件について石神に迫った時 「本当は最後まで証明できていないんじゃないか?」と問われ答えられない湯川。 後日、取調室で雪山で出来なかった話の続きを始めるが 「なぜそこまでして彼女を守る…」と問いかける湯川に石神は答えずドアを閉めて出て行く。 学者である湯川には非論理的難問を最後まで解くことが出来なかったように思える。 そして、それは石神もまた同じ。完璧だと思った計画は花岡の心によって破綻する…。 「石神は罪を犯してしまうほど深く人を愛せた」と語る湯川に内海は「石神は花岡靖子に生かされていた」とそっと呟く。 それを聞いた湯川の表情は、ようやく真の答えに一歩迫る事が出来たように思えた…。 [DVD(邦画)] 10点(2016-05-30 16:51:22)(良:3票) |
204. ソロモンの偽証 後篇・裁判
《ネタバレ》 自分に関わった人が死ぬという直視できない事実に直面した時、責任を感じずには 居られないのは人の逃れられない性だろうとは思うが、 柏木君の死の過程が余りに酷くて。それが全く感情移入できない原因になっている。 このシナリオだと、柏木君の死に同情・または共感出来る 要素がもう少しは必要だったのではないか。 どう考えても独りよがりの柏木君じゃある意味、死んで当然としか思えず、 神原君や藤野さんがそこまで背負うべき事では無いと言う考えから逃れられないので。 「理由をつけて誤魔化す術をしらない思春期の話・・・」言うだけではいかんせん弱いかと。 それだったら、まだ匿名の告発状を出した三宅樹里とマツコちゃんの話を 広げた方が良かったんじゃないかな。 [ビデオ(邦画)] 5点(2016-05-30 15:41:13) |
205. るろうに剣心 伝説の最期編
殺陣はハイスピードでいい。アニメからの配役も悪くないし世界観を壊すことなく実写化に成功している。 凄く良い・・・。のだけど、ちょっと中途半端に長い。2作目3作目は30分ほど短く再構成して テンポ良く進んだ方がより殺陣の爽快感が出たと思うので惜しいね。 原作にとらわれず、カットする所はカットして、話しもリアル過ぎてつまらなくならない程度に リアルにしても良かった気がする。中途半端にアニメ要素出すから「えっ?」となる。 あと音楽をもう少し和にして欲しかった「飛天」って曲がアバターの 「Shutting Down Grace's Lab」みたいで世界観に合ってない。長時間見た上でこの曲を聴くと疲れる。 良い曲が当てれないなら映画オリジナル曲にこだわらずアニメの曲をアレンジして使ったらと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2015-09-01 01:05:15) |
206. LUCY ルーシー
《ネタバレ》 ちょっと期待してただけに、がっかりでした。 物語の入りは良いんだけど、脳が覚醒されて行くにつれて 凄い事が起こると思いきや、得に何か凄い事が起こる訳でもなく。 使い古されたエスパー演出の果てに脳の覚醒で得られたものがコンピュータって?? それで最後に残した物が意味深USBデータ端末?って。なんだそりゃ。 それらは所詮人間が20世紀に想像した産物。くだらない。 30年前に同じ設定なら新しいかもしれないが。もっと何か思い浮かばなかったの? そしてせっかく脳の覚醒の話しなのに、最後は韓国?マフィアが 銃を乱射して戦うというのが何とも原始的で作品にマッチしてない。 B級映画として割り切って見れる人ならどうぞ。 [DVD(吹替)] 3点(2015-08-03 23:22:20)(良:1票) |
207. かぐや姫の物語
《ネタバレ》 昔話・伝承話というのは特定の原作者が居ないだけに、 様々なひとによって継ぎ足され削られる事により表現が曖昧で不親切であったり、 特定の人物一人の思想ではないだけに、得体の知れない空気感が不気味さを感じさせたり 時を経て価値観や表現方法も変わったりで、それらもあって深くは理解出来ない。 その理解できない所を受け取る側が憶測で埋めて行く事で深みを与える部分もあるのだろう。 そんな昔話の想像の部分、監督解釈では「こういう話ですよ」と言うのを映画化した訳ですから 同じような所に情緒的な物を感じる人にとっては、ドンぴしゃではまるだろうが、 そうでない人には全くはまらないと思う。個人的には全くはまらなかった。 今まで語り継がれて来ている、かぐや姫や竹取物語も理解できないが まだ違和感を感じないのは、荒い故に、自分の解釈で勝手に埋める余地があるからだろう。 30分・・・いや引っ張っても1時間で終わる話を、引き延ばしても正直退屈してしまう。 この映画のオリジナルの部分(捨丸と幼少期からの成長)こそが監督の表現したかった所だろうと思うが、 姫が捨丸と過ごした幼少期の輝いた思い出が心のどこかに引っかかっり、 歳を取ることで汚れていく大人の世界、求婚者や帝に嫌悪感を抱き月に帰りたいと願ってしまう。 それを引き立てる為に、爺さんや帝はより悪者に描かれ、そしてすでに結婚し妻子ある身の捨丸と 心の中?で再会し空を飛び回る演出が人間の世界の業に自らも汚れてしまって居る事を 表現したかったのではないかと想像するがそれが、何とも少し昔にありがちだったストーリー。 いつかどこかで見た話に感じる。若い世代にはある意味新鮮で、またそのような多感な時期を送っている あるいは送って間もない人は共感できたかもしれないが、若いとは言えない私には何とも 表現しすぎで逆に薄く感じてしまう。これらの話は現代劇に近く、今の時代では 理解出来ないさせない気高さがある、神々しい神秘の存在の従来のかぐや姫の方が自分には合っている。 そういう意味では、今回の作画演出はどこか不気味さのような、得体知れない雰囲気を出す事に 成功していると思える所は素直に凄い。あの空気感を2時間を超える映画で出すのは大変だっただろう。 この話を現代風の絵で描いていたら、もっとストーリーが薄味に感じられる物になって 居たのではないだろうか。 [地上波(邦画)] 4点(2015-03-19 11:25:41) |
208. プラチナデータ
《ネタバレ》 原作は面白いのかもしれませんんが映画のこれはストーリーの基礎がグズグズで魅力なし。 プラチナデータが何かと思えば大げさに言ってるだけで単なるDNAのデータベース。 しかも法案が可決される予定なら先走っただけで何がプラチナなのか意味不明。 そもそも、犯行現場からDNAが採取しDNA情報から犯人像を、仮にプロファイル出来た所で、 DNAが何時何分に犯行を起こすと指令している訳じゃあるまいし、 例え現場からDNAが出たとしても犯罪を立証できる訳では無く無意味。 まして主人公に二重人格と言う設定をした時点でプラチナデータのプロファイルを 真っ向から否定してしまうという。それが意外性など良い効果を与えてるなら良いが…。 また、監視カメラ情報の顔や動作などから現在地を割り出す 強力なシステムがあるにも関わらずそれが生かされたのは前半部分のみで、 後半は追われる事も無く顔も隠さず堂々と好きな場所に移動してるし、 あんなスタジアムに移動できるわけもないし、何の説明もない。粗すぎる。 人間ドラマも陳腐で勿体ない。 [地上波(邦画)] 2点(2014-04-08 16:12:20) |
209. 悪の教典
《ネタバレ》 知能犯が周囲に犯人が知られないよう、様々な方法で一人、また一人と徐々に生徒を消していく。 そんなサイコサスペンスをイメージしていましたが、どちらかと言うとホラーに近かった印象。 一見知的に見える犯人だったが、結局、最後は無関係に惨殺していくのだが。 そこに深い、生徒との心理駆け引きは無く、次々と手当たり次第殺していくだけ。 生徒の側も、犯人に立ち向かう訳でもなく、ただ逃げ惑い次々とやられるだけ。 最後に何かオチがあるのかと思って見ていたが 最終的に、何のどんでん返しもなくあっけなく逮捕されて終わるだけ。 内容が乏しいので、振り返るとつまらない映画だったと言う印象しか残らない。 無差別殺人としての恐怖感の演出は、そこそこ出来ていたと思いますが それを目指すなら、もうちょっとリアリティが欲しかった。こまかなツッコミ所も多く気になります。 そもそも散弾銃は鳥などの小動物の素早い動きを止める為の物でしょ。 つぎつぎ遠距離のターゲットをほぼ一発で次々と即死に至らしめる殺傷能力はないでしょう。 教室から校庭に離れた生徒を打つシーンがありますが、あの距離なら 小動物でも死んでないでしょう。そもそも弾帯も無いのに、あれだけの玉が次々と。 手品師かとツッコミたくなります。見た目がホラー主人公ならその時点で現実離れした 世界観なので良いですがジェイソンなどと比べてリアリティがあるだけに、 どうしても細かなところを突っ込みたくなる。 もっとも、理由無き殺戮で残虐な部分を、これ以上リアルにされても 胸クソの悪さが残るだけの映画になりそうだが。 あとどうせ過激なバイオレンスを描くならセットでもうすこしエロ要素が欲しかったかな。 [DVD(邦画)] 4点(2013-12-24 16:09:13)(良:1票) |