201. ムカデ人間3
《ネタバレ》 まさかの同窓会ネタ。監督トム・シックス氏はムカデ2でやりたいことを全てやり切っているのは明白でしょう。驚いたことにパート1でハイター博士の役者だった方はコメディもOKなんですね(笑) 所長の囚人への態度が最悪ですが、ある意味この映画のように「ムカデの刑」を国策にしたらマジで犯罪者が減るかもしれないなと、真剣に考えてしまいました(笑) この「ムカデ3」ですが、新宿のシアターでロードショーしたらしいですね。配給会社の人もバカだねぇ・・(笑)ただ、個人的には123と通して見た感想としては結構笑えましたので甘めの点数にしておきます。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-12-14 17:46:23) |
202. ムカデ人間2
モノクローム版で視聴しましたが、ただただ意味不明でキモい。この手の悪い趣味に一切興味が無い自分にとっては心に響くものはありませんでした。モノクロで意味不明といえばデヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」を思い出しますが、あちらにはある種の芸術性みたいなものがあったように感じますが、ムカデ2はただただキモくてエグイだけでした。特に終盤のエロいシーンはエロもキモも通り越してただただ不快なだけでした。(でもリアルマーティンさんは日本びいきで結構優しそうな普通の方みたいですけどね) 単に主人公マーティンが映画(ムカデ1)に感化されて真似したかっただけな内容ですが、これを理解・共感できる人間は少ないと思われます。ある意味「キモくてエグくてエロい」を追求している人にとっては最高の映画になるのかもしれませんが、そうじゃない人には意図がつかめず困惑すると思います。正直、何度も見たいとは思いませんが、カラー版に関しては一度見てみたいと思いますね。(ソウなんか目じゃないくらいのトラウマになりそうな気もしますが) [インターネット(字幕)] 5点(2021-12-14 17:42:50) |
203. ムカデ人間
ついに視聴できました。博士が施術を説明するだけでおぞましさが100%伝わるのは素晴らしいです。スリラー的な要素も含め、B級を通り越して結構良い映画に仕上がっていますが、一言でいってしまうと「変態の極致」といった印象しか残らないのは題材があまりにも突飛なせいだと思われます。 この映画、日本人にとっては結構大きなマイナス点があり、先頭が日本人やくざになっているので、どうでもイイ罵倒&ダミ声が常に耳に入ってきて物語に集中できません。女性を真ん中にしたい意図からすると仕方がないのかもしれませんが、アレはちょっと喧しいだけでいただけませんでした。 反面、ハイター博士はなかなかの役者で、インテリっぽくも脳内がクラッシュした雰囲気が上手く表現できています。庭での調教シーンとかおぞまし過ぎる。ただ、警察が訪ねてきた後のグダグダ感は残念でしたが、尺の関係から致し方ないのかもしれません。(警察無能すぎるだろってツッコミは無しで) よく考えたら鉄腕アトムのお茶の水博士もハイター博士とそんなに違っていないのかもしれません。犯罪者側が天才的な医者なだけに、やろうと思えばやれちゃう感は怖いです。もし自分が捕らえられていて、あの説明を受けている側だと想像したら・・ [インターネット(字幕)] 7点(2021-12-14 17:40:34) |
204. ボーダー 二つの世界
《ネタバレ》 原作がヨン・アイビデ・リンドクビストということで、ぼくのエリ的なものを期待しましたが遠く及びませんでした。(原作本は読んでいないので、あくまで映画としての比較) いっちゃ悪いがやはり見た目に美しくないと見ていて耐え難い。ぼくのエリは二人の子供が素敵だったから哀愁を感じた訳で、心の清いトロルが森を裸で走っていてもイマイチ響きませんでした。そういう意味では原作小説を読んだ方がより本質を理解することができるのかもしれません。 まあ、深読みすればマイノリティーとしての生き方など色々考えさせれらることもあるのかもしれませんが、ちょっと現実離れしすぎていて感情移入しにくい作品でした。虫を食べたり泥んこになったり特殊な性的描写なども含めて、、あまり美しい映画ではないので複数回の視聴はないかな。。原作者のファンなので少し甘めの点数ですが、正直少々ガッカリした作品です。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-09-17 12:20:56) |
205. ミッドサマー
《ネタバレ》 高得点が多くて意外でした。個人的には全くハマりませんでした。プロットは素晴らしいものの、最初っから見せ方が気に入りません。おそらく対比のつもりでしょうが、導入部からやたら暗くて鬱屈した表現の数々。つまらなくて気が滅入りました。 中盤以降、白夜で美しい北欧の天気を見せられても最初のつかみで失敗しているものだからどうにも退屈します。そして飛び降り以降、異様な人たちの異様な行動と異様な性的描写の数々やトリップした映像表現等は素敵でしたが、なんだか現実離れしすぎていて見ている側(私)の心には迫ってきませんでした。(あの状態でエッチなことして「イって」と言われたら俺なら萎えるわww) 終始ホラーの基本を無視した表現で、これにハマれば恐ろしい感覚が味わえるのかもしれませんが、私の場合は見終わった後「やっと終わったか」という感じでした。美しいロケーションに免じてこの点数ですがかなり長く感じた映画です。 [インターネット(字幕)] 3点(2021-09-17 12:08:31) |
206. ウエストワールド
《ネタバレ》 TVドラマ版のウエストワールドを全て鑑賞したので元ネタであるこちらも見てみました。結論からいうと全体的にチープ過ぎてダメでした。まあ48年も前の映画なので致し方ないといえばそれまでですが、2001年宇宙の旅やゴッドファーザーなどが同年代に公開されていることを考えると、年代の古さだけではないと思われます。 監督(脚本)的には「HAL 9000」のような怖さを目指したものと思われますが、イメージ的には遠く及んでいません。まあやりたいことは理解できるのですが、この時代にはAIやマイコンといった概念が無いので、言ってしまえば「扇風機が誤作動して指がちょん切れた」的な方向の怖さしか表現されていないように感じました。後のジュラシックパークやツイスターなどの例もありますので、映像表現自体が進歩すれば監督が望むようなリアルな映画が撮影できたのかもしれませんが、まあそれにしてもちょっと脚本が雑だったような気がしますね。顔を酸で焼くより足を狙えよと・・ 当時の感性で見たらもっと感激できたとは思いますが、アンドロイド(AI)モノを企画するにはあまりにも時代を先取りしすぎた作品です。発想自体は大変素晴らしいので甘めの点数です。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-09-09 15:54:40) |
207. 風立ちぬ(2013)
金曜ロードショーにて鑑賞。元々アニメはあまり好きではないのですが、最初から大人向けを意識した雰囲気で一度見始めると止められなくなってしまいました。 最初から静かな流れと空想描写が多く、かなり意味深な雰囲気を醸し出しています。カプローニの「飛行機は美しくて残酷な夢だ」というセリフの答えを二郎自身が開発した自分の飛行機をもって、「出かけていったパイロットは誰も帰ってこなかった」という形で観客に語ります。受け手の感受性によって異なる答えが出てきそうな意味深な問いかけで深いです。また、全体的に多くを語らない作風も素晴らしくて「結核」や「山で療養」など、モノを知っている人にはより深く考察ができる作りになっている点も素晴らしかったです。少々異質に感じた主人公のセリフ周りと感情の無さも、これはこれで慣れれば”多くを語らない”という作風には合っていたように感じました。 堀達雄の「風立ちぬ」は読んでいませんが、あの時代特有の死の病(結核)を題材にした重たい小説です。彼らの悲しい生き様を宮崎アニメ風に美しい部分だけをかいつまんで見せてくれたことは評価に値するかもしれません。ただ、今の時代の女性には「旦那さんに美しい部分だけ見せて、彼の為に自分自身(菜穂子)が身を引くシーン」はほとんど理解不能かもしれません。 問題はゼロ戦の設計士、堀越二郎の物語です。堀越二郎の歴史の中に菜穂子を落とし込んだせいで、飛行機への情熱と妻への深い愛情が両立しなくなってしまったように感じました。また物語上は二郎が大きな失敗をして逃避という形で軽井沢につながっていきますが、軽井沢での流れが冗長で時間を割いた割りに菜穂子との恋愛要素がウマく流れていなかったように感じました。もう少し二人が心を通い合わせる丁寧な描写があれば良かったのですが、これを紙飛行機のやり取りでやってしまった点がイマイチでした。あと、ドイツ人カストルプとの会話もイマイチ浮いており、ほとんどカットしても良かったような状態になってしまっています。(時代背景を組んだ形でかなり深いことは言っているんですけどね・・) 最後まで静かな流れと空想描写で意味深な流れを作った割に、結局はよく判らずに終わってしまったような作品です。実際、あの時代は結核が流行った時代だし、戦争や震災など、彼らのように短い幸せを噛みしめて生きた人たちもたくさんいたハズです。随所に素晴らしい描写・表現があっただけに本当に惜しい、名作に一歩届かずといった作品でした。(ただ、もう一度落ち着いてスクリーンで見てみようとは思っています) [地上波(邦画)] 7点(2021-08-28 12:42:06) |
208. ハドソン川の奇跡
個人的にはイーストウッド監督があまり好きではないこと、さらにトム・ハンクスの演技があざとすぎてあまり好きになれないということで、見たい映画としては全くチェックしていませんでした。今回TVでノーカット放送されるということで、ついに録画して鑑賞するに至りました。 今回のトム・ハンクスは演技をかなり抑えてくれていたので案外悪くなかったです。でも相変わらずイーストウッドの演出は暗く重たい感じで、途中で何だか疲れてしまいました。ただ、事実の列挙だけでこの映画が成り立っているとするならば、それはそれで非常に素晴らしいなとは感じました。 深く感動するということはありませんでしたが、それなりに映像が綺麗で、それなりに感動できて、それなりに話がまとまっていて、誰に見せても無難な作品ではあります。先ほども書きましたが事実を最低限記録してあるとするならば、事実保存という意味では非常に有意義な作品だと思います。個人的にはチョット地味な映画で退屈する部分もありましたが、奇跡の208秒間の音声と共に着水までの映像が流れるシーンは素晴らしかったのでこの点数にしておきます。 【追伸】TV放送ということで当時のニュースや実際の映像、生還した本人たちのコメントなども併せて放送されていました。これらが無かったら-1点といった感じで、非常に地味な作品なのは否めません。あと、邦題のつけ方は悪くないです。本国でしたら「Sully」といえば知らない人はいないのでしょうが、日本ではなんのこっちゃですから。 [地上波(吹替)] 6点(2021-08-06 15:04:00) |
209. ボヘミアン・ラプソディ
触手が動かず、TV放送を機にやっと録画鑑賞しました。20年ほどバンドマンだったのでクィーンも一応それなりに本物を知っているという前提です。まずブライアン・メイがそっくりで笑っちゃうレベルです。あとフレディ・マーキュリーがちっさいおじさん(ナイン〇〇〇インの〇〇)にしか見えず、最後まで別の意味でニヤニヤしてしまいました。 内容はよくあるミュージシャン系・バンド系お決まりの流れです。というか、ミュージシャンを映画にする場合はこれ以外ありえないのですが、とにかく無難&綺麗にまとまっているので少しでもクィーンの曲を知っていれば十分楽しめます。ただし、世間の評価は高めですが「曲の評価」と「映画の評価」がごっちゃになっているようには感じました。映画自体の出来はハッキリいってまあ普通の出来映えで、終盤で感動できるのはあくまで「曲」のおかげであることを理解すべきです。エイズで生い先が短いことも含め、フレディのこれまでの人生を重ねた歌詞&曲をライブエイドで見せられたら感動するに決まっています。(まあ口パクなんですが) 映画としては、長い割りに当たり障りが無さすぎて、イマイチ何が言いたかったのか、フレディが伝えたかったことなどもほとんど描かれていなかったように感じます。でもまあ悪くない作品です。余談ですが、、もうひとりのビートルズにスポットを当てた「バック・ビート」という映画がまた見たくなりました。(マイナー過ぎてほとんど見かけませんよねコレw) [地上波(吹替)] 6点(2021-06-24 18:06:10) |
210. 間違えられた男
BSでやっていたので再鑑賞しました。昔見た記憶ではまあ大して面白くなかった印象でしたが、改めて見てみるとやたらと細部の完成度が高くて驚きます。改めて思いますがヒッチコックとチャップリンの才能には驚愕させられると同時に、その後やはり彼ら以上の監督は出てきていないんだなと感じます。 この映画はチョット重たくて暗い流れですが落ち着いて見てみると、、伏線の貼り方や主人公マニー(ヘンリー・フォンダ)の目線がいちいち素晴らしいです。彼が見た先の情景で自身の心情や絶望を感じさせる演出は本当に、本当に映画と小説が融合したような素晴らしさです。 時代背景もありますが、警察のずさんな捜査、善良な一般市民の身勝手さ、そして当の本人(マニー)のお人よし加減(馬鹿さ加減というべきか)、などなど、色んな意味で怖い映画です。 [地上波(字幕)] 7点(2021-06-24 17:50:51) |
211. ジオストーム
まあ・・ ね・・ いいんじゃないですかね(ふぅ)。 予想通りのB級展開、というか、予想の遥か斜め下をいった映画でした。どれだけ潤沢に予算があったのかは知りませんが、よくまあOKが出たものです。多額の予算を使ってコレを作ろうなんて、ある意味では凄い映画なのかもしれません。確かに褒められる点もあります。やたらと豪華な出演陣とやたらと派手なCG映像。これはなかなか凄かった。皆さん、サラ(アビー・コーニッシュ)の流れがお気に入りのようですが、アレも陳腐すぎてマンガ以下の展開に半笑いでしたし、エド・ハリス、アンディ・ガルシアのパートも言葉にならないくらいで・・ とにかく、暇つぶしにもならない映画でした。ワーナーがバックについていたようですが、NASAまで全面協力してこの出来ではチョットNASAにも失礼なのでは?なんて思ってしまいました。真面目な話、子供っぽいのはインディペンデンス・デイあたりに任せておいて、この手の話題はもう少しリアル路線でやってもイイのではないでしょうか。ディザスター系は極めて映画向けの題材なので、こんな適当な作品にせず真面目に取り組んでほしいですね。残念。 [地上波(吹替)] 2点(2021-05-20 12:31:53) |
212. ルーム
《ネタバレ》 軽くなりすぎず、かといって重たくなりすぎない、バランスの取れた社会派系エンタメに仕上がっていました。主役親子の雰囲気からインテリジェンスが感じられて、意外とオシャレな感じにもなっていて見やすい作品です。 ただ、冷静に考えたら非常に非常に、非常に重たい事件を扱った作品なのは事実です。この親子やこの親子を取り巻く周りの人達は、どんなに折り合いをつけようとしてもこの事実(事件)からは絶対に逃れられないし、一生涯、彼らの足を引っ張り続けるのが現実です。そう考えると、可哀そうすぎてズッシリ重たい気持ちになります。 ママが自殺未遂を起こしますが、むしろ子供が自分の状況が理解できる年齢に達してからが本番だと思われます。おじいちゃんの気持ちがこの事件の本質を的確に表していて、どんなにあがいても絶対に変えることができない現実=「この子が生きている限り事件が一生風化しない」のがこの事件の本質で、極悪非道極まりない事件なのがこの作品の本質です。これをいかに消化していくかが彼らの一生の課題になるのでしょうが、考えれば考えるほど重たすぎるし、この親子には何にも責任がないのが更に哀しみを増幅しています。 男の子が素直で真っすぐに育っていることだけが、、この映画唯一の救いです。前半の脱出劇も非常にスリリングで上手い演出でしたが、後半、男の子が髪の毛を切った後の、この男の子の振る舞いがとても愛くるしいのが更に涙を誘います。全体的に印象的なシーンが多く、ラストの余韻も含め素晴らしい作品に仕上がっています。心に残る素敵な作品。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-18 14:33:43) |
213. Swallow スワロウ
トライベッカや批評家から高い評価を得ているとのことで、一抹の不安を覚えつつも割高なレンタル料金を支払って鑑賞してみました。きっと大当たりか大ハズレのどちらかだろうと予想していましたが、それすらもハズレる斜め上をいった難しい作品でした。。(高評価も低評価も付けにくい感じ) 異食症の女性の話なのか、特殊な境遇(過去)を持った女性の話なのか、旦那に虐げられた女性の話なのか、間違いないのは女性の話であるということですが、イマイチどこに話が向かっているのかが理解できません。そこへもってきてフィンチャー的攻めまくった感じのオシャレ画風が追い打ちをかけていて、画面から俳優たちの気持ちを一生懸命くみ取るだけの映画になってしまっているような印象でした。 勿論機微を読み取るのはとても大切なことですし、飲み込む前の葛藤や全体的なトーンは非常に良く描かれています。しかし全体的にちょっと重たくノンビリしすぎていて娯楽性という意味では全く物足りませんでした。ハマる人はハマるのでしょうがそうでない人にはただただ退屈な映画、そういった印象が強く残りました。結末もあまりはっきりしないし、旦那のほうはそれなりに一生懸命頑張ったのに振り回されただけのようにしか見えないしで、結局終わってみたらなんかよー判らん映画だった。と、終始そんな感じです。(実際には旦那家族側は無自覚でかなりきついパワハラを行っていますが、ハンターのほうが変人すぎてそう見えないのは残念) フィンチャーを意識したような洗練された作風でスリラー的なドキドキ感もありましたが、なかなか見る人を選ぶ作品です。もう少しエンタメ寄りのほうが気軽に楽しめたと思うので、そういった意味ではとても惜しい映画です。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-05-08 00:01:21) |
214. ゴールデン・リバー
今最も脂がのった人気俳優を複数使ってこの程度の内容になってしまったのは、とにかく脚本家と監督の力量のなさでしょうか。大した抑揚も無いまま散漫で退屈な流れの後、ラストの「The Sisters Brothers」の文字に脱力感も半端ないものでした。 日本版の予告編が悪すぎましたが予告編だけが悪い訳じゃなくて、本編のほうもオープニングからあまり良くありません。いきなり真っ暗で何をしているのかよくわからない感じで激しい撃ち合いが始まります。その後は丁寧な説明と雄大な景色を織り交ぜて落ち着いた流れになるのですが、とにかく内容がどうでもイイ感じなのです。この「雰囲気重視路線」で行くなら登場人物4名のバックボーンをもっと深堀したTVドラマ化のほうがずっと面白かったのではないかと感じます。(裏を返せば良くなる可能性は十分に秘めている) ただし、フランス人監督が西部劇を描いたわりには全体的な雰囲気はなかなかで、そういった意味では監督の力量も発揮されているといっていいでしょうか。(でもツマンネ) 点数はイーライ(ジョン・C・ライリー)の雰囲気と頑張りに免じて少し甘めにしてあります。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-04-29 17:36:32) |
215. おとなの恋は、まわり道
《ネタバレ》 原題は旅先や今後など掛けた題名だと思われますが、邦題はちょっと退屈な映画を連想させてしまっていて残念。内容のほうはビッグネームの成れの果てという感じであまり期待せずに鑑賞しましたが、思った以上に会話が洗練されていてとても楽しめました。会話は序盤から既に面白いのですが、開かないスナック菓子のシーンでこの映画の虜になってしまいました(笑) プロット自体は無理やり設定も目立ちますが、二人の変人具合の設定は妙にリアルで生々しい。耳鳴りなのか痰が絡むのか判らないが奇声を発する男、植物に自分の息(二酸化炭素)を吹きかけるメンドくさそうな女。アラフォーこじらせ男女をイメージしたキャスティングかと思いましたが、おそらくリアルに50歳前後のかなり終わっている男女を見せたかったのでしょうか。撮影時、リアルキアヌは55歳くらい、リアルウィノナは45歳くらい。二人とも年齢の割にはかなり見た目が若くて頑張っていますね。 他の方も書いてらっしゃいますが二人の絵だけで90分持たせる脚本は素晴らしいし、彼らが語る昔話や持論は妙に納得&目に浮かぶしでなかなか面白いものがあります。他キャストの会話を全て無しにしてあって、語りが主演二人の口からだけなのもよく考えられていて面白いです。野っぱらでのあのシーンは痛々しいですが、この難しいシーンに面白い会話を入れてあるおかげでなかなか笑わせてくれます。(こじらせた後の恋愛ではSEXに持ち込むのが本当に難しいんですよねえ) フランク(キアヌ)の異父の愛人の件、フランクが実父から撃たれた話からリンジー(ウィノナ)が自分の幼少期を振り返る件など爆笑モノの話がてんこ盛りです。 結果的に「だから何なの?」の典型的な作品ですが、妙な哲学を持ち込んでいないのは映画としては本当にハナマルです。チョット長めに差し込まれる風景も素敵ですし、主演二人のファンでなくても会話劇や屁理屈が好きな人・アラフォー以上でリアルにこじらせてる人にはかなりお勧めな一本です。(あ、当然のことですがこの映画は完全なる会話劇ですので吹替版がお勧め。字幕と比較しましたがやはり吹替のほうが断然面白かったです) [インターネット(吹替)] 8点(2021-03-12 15:44:23) |
216. ライフ(2017)
《ネタバレ》 リアルな描写と真面目な方向性で「見た目的」にはなかなか楽しめる作品です。個人的に乗れなかった一番の理由は「音」があったことでしょうか。やはり宇宙といえば無音にこだわっていただきたかったところです。まあ、「エイリアンシリーズ」もその辺グダグダな訳ですが、あちらはとても重厚で好意的に捉えがちです。本作もかなり真面目に作ってはいるんですが、なんなんでしょうねこの軽さ。 意外にも最近あまりなかった「地球外生物が人間を襲ってくる」という王道のSFモノですが、なんか全体的に軽さばかりが目立ちます。CG技術が発達しすぎた弊害とでもいいますか、襲われる恐怖というものがあまり感じられないのです。どこのシーンを切り取ってもあんまり違和感もなくて本当に良くできた映画なのですが、なんか軽い。この一言に尽きるような気がします。ラストのどんでん返しも結構軽くて心に響くものがありませんでした。(足の不自由な科学者さんの手があんなことになってしまったことを考えると、ギレンホールの手がどんな風になるのかもおよそ想像がついてしまう) 個人的にはツッコミどころ満載だった「サンシャイン2057」のほうが圧倒的に重厚でSFモノとしてはかなり好きでした。人間の感性って不思議なものです。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-02-05 17:47:49) |
217. ベイビー・ドライバー
《ネタバレ》 コレ系(ミュージカル風味)の映画は大嫌いです。しかし本作は選曲のセンスが良かったのと、音楽=ダンス=主人公の心境(小躍り)となっていて、ミュージカルの方向に行っていないのが良かったです。 でもツッコミどころは多く、「耳鳴り設定」が早々におざなりになってしまっているのは残念でした。また「ボスの心情」が変わり過ぎていて、ラスト絶対裏あるでしょ?とすら感じてしまうほどのご都合主義(適当?)感はどうかと思ってしまいました。 また「買収してある警察との武器取引」に関しても、普通ならボスから「絶対手を出すなよ」としつこくクギを刺されてお使いに出されるべきなのに、子飼いだということを伏せてお使いに行かせる意味が判りませんでした。(バッツ=ジェイミーフォックスに行かせたら、ああなるに決まってる) あと、主人公とバディ(ジョン・ハム)が心を通わせるシーンがありますが、アレも意味が判りませんでした。あれだけ敵対するなら二人で音楽を聴いて心を通わせるようなシーンは必要なかったと思います。 良い点としては、ベイビー&デボラの恋愛がとんとん拍子に進み過ぎてて素敵でした(イイなあ若いって)。まるで高校生みたいで可愛くて素敵です。また、随所にちりばめられている”主人公のイイ人設定”がラストで効いていて、現実的でキレイにまとまったエンディングは素晴らしかったです。かなり甘めですがこの点数としておきます。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-02-05 17:33:02) |
218. フライト
《ネタバレ》 本作に関しては何を伝えたかったのかよく理解できませんでした。酒がダメなの?嘘がダメなの?真っすぐ生きてないのがダメなの?ちょっと判り難いオープニングから、まさかのヤンキー機長&あり得ない飛行技術で無事?に墜落。「これファンタジーなの?」そう思ったとたんに暗く重たい流れに突入します。 墜落後の流れは比較的綺麗にまとめられていますが、前述の通り何を伝えたいのかよく判らないのでイマイチ話に引き込まれません。結局自滅してゆき、最後に何とか踏みとどまるだけの映画だったように感じてしまいました。(せっかくのヤンキー機長&凄腕&依存症&美女が上手く交わっていません) ほとんど語る部分もなかったように感じますが、しいて挙げればニコール役のケリー・ ライリーが良かったです。目が覚めるような美女ではないのですが、なんだかリアルに生々しく、幸薄い感じの彼女がフレームインしてるだけでなんか映画的で素敵でした。個人的にはもう少し画面にとどまっていただきたかったところですが、この幸薄い感じのニコールも早々にフレームアウト。てか、彼女の存在理由もよく理解できませんでしたが。。(調べてみましたが、彼女、あんまり売れてないんですな・・) 監督の悪い面が全体的に出てしまったような映画でしたが、まあしかし、もしかしたらフォレストガンプやBTTFシリーズが単にまぐれアタリだっただけかもしれませんので、この感じがデフォなのかもしれません。(酷評した割には妙に心に残っている映画だったりしますが) [地上波(吹替)] 4点(2021-02-02 18:14:18)(良:1票) |
219. グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
この題名から高貴なモノを見せてくれるとワクワクしましたが、極めて単調で退屈な映画でした。オープニング10分は素晴らしい仕上りですが30分が過ぎる頃にはもうあくびが。。彼女の美しさを伝えたいのは理解しますが、アップを多用した抑揚のない仕上がりにはガッカリを通り越して眠たくなる始末。 他の方も書いてらっしゃるように、グレースの切り札じゃなくてグレースが切り札でしたね(わら)。この題材でいくなら本当にもっともっと脚本を頑張ってもらわないといけません。ティム・ロスの苦悩もあまり伝わらず、ヒッチコックや神父さんもイマイチ使いきれていない印象でした。 政治的な深みがほとんど描かれておらず、淡々と彼女の立場にのみスポットライトが当たっていた印象です。もしかしたら監督は彼女の美しさのみ記録したかったのかもしれません。ある人物の裏切りなどは安いTVドラマ風情ですし、肝心のラストのスピーチにも全く深みが無く、早く終わってほしいとすら感じました。(その後のPVも失笑もの) 「エディット・ピアフ~愛の讃歌~ (2007年)」の監督さんなので、作風自体は真面目で正統派です。 ひょっとしたら脚本が良かったら化けた映画なのかもしれません。題材が良かっただけに非常に残念な作品でした。 [地上波(吹替)] 4点(2021-02-02 17:56:58) |
220. TENET テネット
《ネタバレ》 【ネタバレあります】 ノーラン大好きの私ですが、さすがにこの作品は納得できませんでした。考察サイトも読み漁りましたが複雑で難しいから理解できないのではなく、単に破綻してるから理解不可能なのではないか?そう感じる作品です。 ノーラン映画=ご都合主義&デカい穴が存在するのが定説ですが、それを華麗にスルーするのが暗黙のルールでした。しかし今回はさすがに矛盾や穴が多すぎてスルー以前の問題、初回鑑賞後の訳の判らなさはちょっと酷いです。(観客に脚本の筋道を示すことすら放棄してしまったのか・・) 正しい解釈があるのかもしれませんが、この映画のルールはほぼ破綻しているような気がします。まずニールが死にに行く時点で話が矛盾しているように感じるし(事情が分かった上で戻る訳だから死なない方法を考えるべきだし、起きたことは変えられないのなら戻る必要もないのでは?)、そもそもラストの大作戦自体、順行と逆行が同時進行する必要性があったのか大いに疑問です。 また、最初の研究員の女(バーバラ)が自分で説明してしまっていますが、順行状態の中で弾や物だけが逆行する現象を見せて「弾をキャッチする気持ちで・・」などと説明しますが、この仕組みと過去に戻る仕組みとは全く別の事象ではないかと思われます。(普通に時間が流れる順行の世界で、一部の人や物が反対向きに動いただけなのが正解ではないのか?)だいたい、逆行中は酸素ボンベが必要なのもご都合主義で、言葉が反対に発せられている訳ですから空気も吐けば吸ったことにならないとオカシイような気がしますし、炎が凍るとかの現象も物理を完全に無視していてイミフ。(個人的には宇宙船レッドドワーフ号の13話の逆再生のほうが楽しめた) あと、1/1の時間で過去に逆行していくのがアリだとすると、ある時点では少なくとも年齢が異なるもう一人の自分が存在している訳で、で、後から来た自分は順行に戻った時点でまあ別の人生を歩むことになるのでしょうが、それを誰かに目撃されてしまったり同じクレカや携帯電話などを使ってしまうとオカシなことになりそうですね。 キャットが船からダイブする一連のシーケンス(カラクリ)の美しさ、結果が判っていて最後の挨拶をするニールなど、素敵なシーンもありましたのでこの点数にしておきますが、個人的には非常にガッカリした映画です。(三回鑑賞済み) ※考えたら考えるほど???が増えてしまう映画です。。 2023年再度鑑賞しましたが、熱も冷めてしまうと全く面白くなかったです。3点に訂正いたします。 [ブルーレイ(吹替)] 3点(2021-01-09 16:07:47) |