2261. ストリート・オブ・ファイヤー
《ネタバレ》 お話の展開はまるっきり西部劇なんですけど、不思議と引き込まれてしまう迫力があります。特に冒頭15分は映画史に残るカッコよさで、ダイアン・レインのパフォーマンスは今観ても鳥肌ものです。リック・モラニスがあの顔で気障な台詞を連発するのには笑っちゃいます。 [DVD(字幕)] 7点(2009-12-06 18:01:59) |
2262. マチネー/土曜の午後はキッスで始まる
《ネタバレ》 この脚本書いた人、凄いなあ。キューバ危機でパニック状態に陥っている街でホラー映画をめぐって繰り広げられるドタバタコメディで、しかも『ギミックの帝王』ウィリアム・キャッスルへのオマージュになっている。こんな重層構造のプロットなのに、本作は違和感なく楽しめる作品として仕上がっています。音楽がいい、ジョン・グッドマンを始め役者がいい、しかも『B級映画愛』に満ち溢れている。こんな良作なのに知名度が低いというのは残念です。間違いなくジョー・ダンテの最高作でしょう。 [ビデオ(字幕)] 9点(2009-12-03 20:14:04)(良:1票) |
2263. ディーラーズ
《ネタバレ》 主人公のダニーは、シティーの投資銀行に勤める凄腕債券トレーダー。このダニーのヤッピーぶりがまた凄い。田舎の自宅からなんと自家用水上飛行機でシティーまで通勤するのです。飛行機はテムズ川に着水して駐機させるのですが、こんなサラリーマン見たことない!彼は生き馬の目を抜く投資銀行でも腕のいいトレーダーとして評価されているのですが、同僚トレーダーが勝手に大きなポジションを作って大穴をあけて自殺してしまいます。ダニーの理解者だった部長は当然クビになり、後任には重役と愛人関係にあるバリバリのキャリア・ウーマンがやってきますが、この大損をとり返さないと銀行がつぶれてしまう、さあダニー、どうする? 当然のように二人は恋に落ちるというベタな展開ではありますが、過酷な債券トレーダーの仕事ぶりは良く描かれています。同じ世界で仕事したことがある自分の目から見ても、ダニーが損をとり返すために大博打を打つ息詰まる緊張感はリアルでした。投資銀行がする債券投資は丁半バクチ的要素が強いのです。90年代にはベアリング事件や大和銀行事件が実際に起きていること考えると、ちょっと時代を先取りした映画かなとも思います。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-12-02 21:55:10) |
2264. インデペンデンス・デイ
ここまで“アメリカ万歳!”を見せつけられると、もう突っ込む気にもなれません。公開当時アメリカでは、大統領が出撃するところで観客がスクリーンに向かって歓声を上げたと聞いて気が萎えました。 [ビデオ(字幕)] 2点(2009-11-29 23:16:46) |
2265. トラフィック(2000)
《ネタバレ》 この作品は脚本が秀逸。シンシナティ・サンディエゴ・ティファナで同時進行するストーリーですが、各エピソードの登場人物は最後まで他のエピソードの登場人物とはリンクしない(唯一画面上で交差するのが国境検問所というのがまさしく『トラフィック』)のですが、観終わるまで全然違和感が起きないところが凄い。三つの別々のお話を観せられたとは感じませんよね。重い題材の社会派映画ですが、重すぎも軽すぎもしない絶妙なタッチの演出手腕で、ソダーバーグを見なおしました。やはりそれはデル・トロが見せてくれるあの素晴らしいラスト・シーンがあるからでしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-28 21:55:14) |
2266. クロムウェル
《ネタバレ》 クロムウェルは英国でも歴史的評価が分かれる人物で、彼が主人公の映画は珍しい(本作の他に“To Kill a King”というティム・ロスがクロムウェルを演じた作品があるそうです)。彼は護国卿在任中に病死していますが、王政復古後に墓を暴かれて斬首されその首は25年(!) もさらしものにされたというのだから凄い話です。本作では清教徒革命の細かい部分はオミットされて、クロムウェルとチャールズ一世の確執に焦点を合わせたストーリーになっています。クロムウェルはやたら宗教がかった人で、彼の火の出るような演説はリチャード・ハリスの熱演でだんだん暑苦しく感じてくるほどです。対するチャールズ一世もアレック・ギネスが威厳に満ちた堂々たる演技で、どうしても王の方に感情移入させられてしまいます。クロムウェルが護国卿になるところでお話が終わっちゃうというのが中途半端な印象ですが、『ネーズビーの戦い』などの合戦シーンでは両軍のきらびやかなコスチュームに魅了されました。それにしても、虐殺を伴う大弾圧をアイルランドに加えたクロムウェルをアイルランド人のリチャード・ハリスが演じるとは皮肉です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-11-27 23:35:14) |
2267. ビクター/ビクトリア
《ネタバレ》 実は期待しないで観たのですが、結構面白かったですよ。細かいギャグが連発されますが、この監督にしては上品な展開で、粋なコメディとなっています。それにしてもジュリー・アンドリュースの芸達者なこと!そして、ロバート・プレストンがまた可笑しくて、完全にジェームス・ガーナーは喰われていました。ラストシーンは抱腹絶倒です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-11-24 23:17:40) |
2268. プレッジ
《ネタバレ》 回収しない伏線が多い映画はあまり好きじゃないのですが、本作は力技で押し切られたという感じでしょうか。確かにあのカタルシスからはあまりに縁遠いラストはショーン・ペンらしいところですが、でも普通の人生ではありふれて起こっていることなのですよ。あんな結末を観たくて映画に金払っているわけじゃない、と思う方もいるでしょうが、ちょっと大げさに言えば人生について考えさせてくれる良作だと私は思います。ジャック・ニコルソンは『アバウト・シュミット』とかぶるところが多い役柄ですが、どちらも同じ時期に製作されていますので役作りは楽だったのでは。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-11-24 20:45:52) |
2269. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 初めて観たときは、いい歳した大人だったのに本当に怖かった。本作が世に出たことで『モダン・ホラー』というジャンルが確立したと思います。もう製作されてから30年経とうとしていますが、『洪水のように血が噴き出すエレベーター』や『廊下の奥にたたずむ双子姉妹』といった衝撃シーンは全然色あせていません。この映画を観てシメントリーが人間の本能的な恐怖心を刺激することを初めて実感しました。超自然現象などこれっぽちも信じていないキューブリックがキング原作を映画化すれば、こういう映画になることは当然でしょう。伝説の『100回テイク』は一説では本作でシェリー・デュバルが体験したそうですが、インタビューで彼女は『キューブリックの映画にはもう出たくない』と真顔で語っているので笑ってしまいます。 [ビデオ(字幕)] 9点(2009-11-22 00:00:01) |
2270. 遠すぎた橋
《ネタバレ》 この作品は、戦史の知識がないと物語が良く判らないという欠点はありますが、ひとつの作戦をテーマとした戦争映画としては良作だと思います。兵器類の考証の正確さは、最高の部類に数えて良いでしょう(特に陸戦兵器は。航空機はちょっと不満ですが。)。戦争映画や時代物映画はやはり時代考証が大事ですね、『神は細部に宿る』という金言もありますし。各エピソードはC・ライアンの原作に登場する史実がほとんどですが、そのために却って連合軍の負け戦なのに映像から実感が得にくくなってしまいました。特筆すべきは戦闘シーンの映像表現で、手持ちカメラを使った落下傘降下シーンの臨場感や、ドイツ兵の視点で砲撃がだんだん近づいてくるところを描く緊迫感あふれるシーンなど、それまでの戦争映画になかった斬新なものです。そして連合軍(特に英軍)の作戦立案過程がいかに愚劣で、組織が官僚的だったかを赤裸々に描いたことも意義が大でしょう。英国では長らく『マーケット・ガーデン作戦』をメディアが取り上げることはタブーだったのですから。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-21 01:19:09) |
2271. いつか眠りにつく前に
《ネタバレ》 女性の目線で鑑賞するとまた違うのでしょうが、私にはちょっとストーリーが薄くてピンとこなかったです。すでにご指摘済みですが、ハリスとバディの関係は明らかにゲイですね。だとすると、二人のキャラが掘り下げられていないので、作品全体の印象がイマイチになってしまったのでしょう。女優陣は実力派ぞろいですが、ちょっと男優陣は力量不足だったと思います。クレア・デインズが結婚式で歌うシーンは良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-11-21 00:19:55) |
2272. サロメ(1987)
《ネタバレ》 ちょっとこれは一度観たらクセになります。劇中劇としてオスカー・ワイルドの『サロメ』が上演され、これがどれだけ原作戯曲に近いのか判りませんが、ヴィクトリア朝時代では上演禁止になるのも納得するなまめかしさ。中でもサロメ役のイモジェーン・ミライス・スコットという女優は、「こいつは一体何者だ?」と言いたくなるほど不思議なキャラです。クライマックスのサロメのダンスも、思わず『あっ』と声が出るような仕掛けがありびっくりしました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-19 23:39:14) |
2273. ミシシッピー・バーニング
《ネタバレ》 やや冗長気味のところはありますが、社会派映画としてはサスペンスの盛り上げかたは上手い。ラストはカタルシスがあるようでないような微妙な終わり方です。米国ディープ・サウスの価値観が大嫌いな自分ですが、それにしても地元住民の卑しく醜いこと、これが実態なのかそれとも誇張されているのか。ジーン・ハックマンは『フレンチ・コネクション』のポパイ刑事を彷彿させるキャラだが、より人間味をました深みのある演技でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-11-19 21:23:06) |
2274. タワーリング・インフェルノ
《ネタバレ》 良くも悪くもアーウィン・アレンの映画。『ポセイドン・アドヴェンチャー』を当てたアレンが、フォックスとワーナー合作という当時としては破格の製作費をかけて製作した大作です。オープニングタイトルで、アレンのクレジットが出ると、「ジャーン」とシンバルが鳴らされるのはご愛敬。実は初見のときから感じているのですが、製作費の割にはセットや特撮が貧弱なのです。ニューマンとマックイーンのギャラに使い過ぎちゃったのでしょうか。ビルのミニチュアも「グラスタワー」というより「アクリルタワー」と呼ばれかねない質感です。『ポセイドン・アドヴェンチャー』の使いまわしの様なシークエンスも観られますが、スペクタクルシーンやアクションシーンは『ポセイドン・アドヴェンチャー』の様な緊迫感やスリルはありません。これはアレン自身がかなりの部分メガホンをとったためでしょう。またドラマ部分も薄っぺらでありきたりな展開で、全体にリズムが悪いですね。『ポセイドン・アドヴェンチャー』が「水の中で火と戦う」ドラマとすれば、本作は「火の中で水と戦う」プロットで物語を閉めるのがなんか面白いですね。ちなみに、クレジットではニューマンとマックイーンが並列していますが、良く観るとニューマンの方が一行高くなっています。 [映画館(字幕)] 5点(2009-11-16 21:42:57) |
2275. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 スピルバーグの軍事マニア魂が全開で、おそらく本作を超える戦場描写はしばらく出てこないのではないでしょうか。とにかくこの映画は「音」に対するこだわりが半端じゃなく、銃の発砲音はもちろん、兵士が被弾するときの音まで実際に肉塊へ銃弾を撃ち込んで採録していて、ここまでやるとはスピルバーグの「狂気」さえ感じます。ドラマ自体は兵士各人のキャラが丁寧に描かれているので、ちょっとあり得なさそうなストーリーですが説得力はあるかなと思います。何度観てもいらいらさせられるのはアパム伍長の戦闘時の行動で、「なんでそこで撃たないんだ!」と叫びたくなりますよ。最後はちゃっかり生き残ってるし。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-15 22:00:36) |
2276. ジーア/悲劇のスーパーモデル<TVM>
《ネタバレ》 日本未公開のTVMですが、これは掘り出し物です。「ファッションは芸術でも文化でもなく、ただの広告だ。」という台詞が劇中ありましたが、ちょっと極論すぎますがスーパー・モデルが生まれる背景を良く描いています。撮影中に麻薬吸引用のパイプが見つかっても、そばにいる関係者が誰も気にもしないというシーンは考えさせられます。ジーアは結局、常に自分のそばにいてくれて見守ってくれる人間が必要な人格として描かれていますが、この映画を見る限りジーアの母親がとても不愉快な人物に感じられ、ジーアを救える唯一の人だったのに肝心なところで彼女を見捨ててしまった気がします。アンジェリーナ・ジョリーの脱ぎっぷりは本当に見事ですが、なんでこんなにヌード・シーンが多い映画がTVMなのか?でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-15 17:35:34) |
2277. スター!
《ネタバレ》 ガートルード・ローレンスという人を本作で知りましたが、「王様と私」の初演でヒロインを演じたりしたミュージカルの大女優です。男出入りは激しいは、大酒のみだは、金遣いが荒くて破産するはで実像は結構破天荒なのですが、ジュリー・アンドリュースが『サウンド・オブミュージック』の「清く正しい」役柄から一変して堂々と演じています。十代から晩年まで同じメイクで通しちゃってるのは、ちょっと苦しいところですが。ミュージカル場面は舞台シーンだけでジュリー・アンドリュースの歌と踊りは文句なしですが、ロバート・ワイズにしてはドラマ部分の出来がイマイチなのが残念です。娘やノエル・カワードとのエピソードが膨らまず中途半端なのが目立ちます。最も製作時には二人とも存命なのだから、仕方ないかもしれませんが。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-13 21:09:49) |
2278. HELP!四人はアイドル
確か小学生の時TV放映された本作を観てビートルズを知り、それ以来熱狂的なファンになりました。今観直してみると、ドラマ部分はリチャード・レスターお得意の笑えないスラプスティックですが、色んなシチュエーションでパフォーマンスされる七曲のナンバーはいいですね。とにかく四人が若々しい!アーチストのビデオ・クリップのさきがけして貴重な作品でしょう。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-10 20:14:59) |
2279. ボディ・ダブル
《ネタバレ》 久しぶりに観直してみると、こんなにボロボロの映画だったのかと改めて驚きました。デ・パルマが本作を撮る動機がヒッチコックへのオマージュを作りたいということだから多少のプロットの甘さは目をつぶるとしても、サスペンスなのだから主人公がここまで大馬鹿者では話が成り立たないでしょう。「スカーフェイス」次に撮ったのがこれって、ほんとデ・パルマという監督は不思議な人です。ただ観るたびに思うのですが、エンド・ロールの「ボディ・ダブル」のやり取りは楽しいですね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-11-07 19:07:49)(良:1票) |
2280. ニューヨーク・ストーリー
《ネタバレ》 「N・Yストーリー」と銘打っている割には、「パリ・ジュテーム」の様な街へのこだわりが三作共にみられないので、どうしても三監督のストーリー・テリングが楽しめるか否かということになります。そうなると、やはりウディ・アレンに軍配が上がります(コンクールじゃないって!)。久々にウディ・アレンの映画で大笑いさせていただきました。スコセッシ編は、ロザンナ姐さんの魅力大爆発で後には何も残りませんでした。そしてコッポラさんは、これ本当にフランシス・コッポラの映画なの?というのが正直な感想です。まるっきりソフィアの監督作みたいでした、脚本も書いてるし。 [DVD(字幕)] 5点(2009-11-06 22:19:40) |