2281. マイ・ライフ(1993)
もっと感動できる作品になり得たと思いますが・・・。全体的に、同じようなトーンの同じようなシーンが多く、主人公が人生についてどのように迷い、どのように決断していったのかという点があまり表れていません。ビデオという一本で最後まで引っ張るのではなく、それを通じて主人公の心理の何を表したいのかという視点こそが必要だったのではないでしょうか。なお、「可憐で控えめで慎み深いニコール・キッドマン」というものが見られるという点については、貴重かもしれません。 [DVD(字幕)] 5点(2009-02-14 00:34:46) |
2282. ハリーとトント
《ネタバレ》 あまりにも淡々としすぎで、そんなに大きなドラマを感じ取ることはできませんでした。娘にしろ初恋の相手にしろ、わざわざそこまで行ったんだから、もう少し背景の掘り下げようもあったと思うけどな・・・。ただ、タイトルの片割れにまで挙げていながら猫を必要以上に画面に登場させないセンスは素晴らしい。下手な監督だったら、何かあるたびに猫のリアクションを入れたり、主人公から猫に再三話しかけさせたりして、世界を台無しにしているはず。ラストの「えっもう?」という感じのあっさりした別れ方も印象的。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-10 02:04:04) |
2283. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
何とも消化不良気味の作品。この夫婦は、当初はハッピーだったもののどこからかすれ違いが生じてそれが亀裂につながるというのが問題の所在なのだが、肝心の日常生活のディテールの描写を省略しているため、そもそも2人が何をそんなに悩んでいるのかが実感できない。むしろ、勝手に先回りして悩んでそれによって紛争を拡げているだけに見えてしまう。また、このような未熟さこそが本質である夫婦の役柄に、レオやウィンスレットは合いません。もっと若手の人にさせるべきだったんでは? [映画館(字幕)] 5点(2009-02-02 01:59:46) |
2284. 五線譜のラブレター/De-Lovely
各シーンは何かを表現するという段階に至る以前でブツ切りになり、次々に楽曲がかぶさってくる。結局、楽曲ありきで作られ、ストーリーや人格表現はそれにつじつまを合わせているようにしか見えません。あくまでも映画なんですから、きちんと俳優に演技をさせて下さい。年老いた主人公が画面に出てきて回想するという手法も、必然性があるわけではなく、成功しているとはいえません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-19 01:04:00) |
2285. あなただけ今晩は
《ネタバレ》 河に荷物を投げて殺人事件と勘違いされるところまでは面白く見ましたが、そこから後は収拾つかなすぎでしょ。元の設定だけでコメディとして成立する素地は十分あるのですから、普通にめでたく着地して問題なかったはず。せっかくのセンス溢れる邦題も霞んでいます。なお、今度誰かが作るときは、警官と娼婦という立場を維持させたまま、完全片想い純愛バージョン(立場上正体を明かすことができない)でリメイクしてほしいものです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-01-17 21:53:05) |
2286. 失われた週末
《ネタバレ》 このネタ一発だけで作品を一本作ってやろうという初期衝動性が凄い。ただし、過剰な演出に走ることなく、主人公のちょっとした行動や台詞、ちょっとだけ出てくる幻覚などで、作品に現実性を持たせ、地に足のついた恐怖を見る側に与える手法は、現在でも参考になります。ただ、ラストは今の作品だったら主人公が拳銃自殺してエンドなんだろうし、そっちの方がインパクトがあったと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2009-01-16 12:44:02) |
2287. ビヨンド the シー/夢見るように歌えば
ケビン・スペイシーの気合の入り方は十分伝わってきますが、肝心の内容が、未整理の断片を順々につなげただけという感じで、どこで何を伝えたいのかがはっきりしていないのです。楽曲の数々がもったいないです。センスのかけらもない邦題も、何とかならなかったのだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-15 02:42:41) |
2288. ミツバチのささやき
どうにも難解というか中途半端で、私にはよく分かりませんでした。死の世界の概念をダイレクトに受け止めてしまった少女心理というものを表現したいのであれば、もっと純度の高い、したがって常識を突き抜けるような、大人から見たら到底受け容れがたいかもしれないような描写が必要なのではないでしょうか。作品の構成そのものは大人視点なので、その辺が分かりにくいです。 [映画館(字幕)] 5点(2009-01-11 23:23:41) |
2289. 出逢い
《ネタバレ》 この役はレッドフォードではなく、もっと本当に枯れかかったオッサンにやらせるべきでした。そうでないと、使い古されたカウボーイの悲哀、そこからの最後の意地というものが出てきません。ステージから街中へ馬で堂々と出て行くシーンと、馬と車のカーチェイス(?)の部分は面白かったです。ただ、大半のシーンはありがちで平凡、というか初期設定から予想される範囲内という感じ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-10 03:20:48) |
2290. 序の舞
制作者がこの素材のどこに注目したのかが分かりません。ほとんどが説明台詞ばかりで、思いついた場面をそのまま並べただけのような感じ。しかも、慣れない京都弁のせいか、俳優陣の喋りもみんなぎこちないです。主人公も、いろいろな体験を経ているはずなのに、成長や変化というものが見えません。少なくとも後半は、もっと逞しさや凛々しさを備えた人間になっているはず。美術関係の頑張りに5点。 [DVD(邦画)] 5点(2009-01-05 01:08:07) |
2291. Kids Return キッズ・リターン
《ネタバレ》 余計な演技をさせずに地道な日常生活の描写を積み重ねているのと、ボクシングのシーン(練習含む)をきっちりと撮っているところには好感が持てる。大事件が起こりそうで起こらない、またポイントとなる部分も最低限の説明だけであるのが、登場人物の心理を暗に表現しているようで印象的。ただ、主人公2人の部分はきちんと骨があってドラマにもなっているのに比べ、サブの漫才師とかタクシー運転手の部分が、全然機能してないのですよね。本筋と絡んでもいないし。 [DVD(邦画)] 5点(2009-01-01 03:34:39) |
2292. サルサ!
《ネタバレ》 普段は耳にしないサルサ・ミュージックがたくさん聴けるのはいいのですが、肝心のストーリーが、ベタを通り越して「陳腐」です。音楽でごまかしきれないほどの粗さが目につきます。冒頭のピアノのシーンと、ラストのライブシーンのそれぞれの迫力で何とか印象が保っている感じ。室内部分でのカメラの揺れも気になりました。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-31 01:51:17) |
2293. 地上より永遠に(1953)
《ネタバレ》 特にひねった工夫があるわけではないのですが、殴り合いのシーンにしろシゴキのシーンにしろ女性絡みのシーンにしろ、対象を単純に忠実に写し撮っているのが良い。それによって、各俳優のキャラクターが生きています。陰湿な上官に対してもどこかで盛大に復讐、と思いきや、ごく淡々と組織的対処によって処分がなされるというのも、逆に目新しい。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-31 01:25:10) |
2294. 二十四の瞳(1954)
物語としてはしっかりしていてつまらなくはないのですが、全体に共通する妙な「ほのぼの感」がどうにも受け付けられませんでした。学校唱歌の繰り返しも、最初は新鮮だったのですが、最後の方はしつこいと感じてしまいました。子供たちが泣きながら先生を訪ねていくシーンの単純な説得力に4点、笠智衆先生の堅実な存在感に1点。 [DVD(邦画)] 5点(2008-12-30 03:07:10) |
2295. 野火(1959)
言わんとするところは分かるのですが・・・平坦で流れのない演出と、危機感や切迫感の感じられない各演技が何とも気になって仕方がない。登場人物は飢餓と疲労で追いつめられているはずなのに、表情や台詞や会話はえらくしっかりしているのです。結局、原作の力とロケの映像力に寄りかかってしまったのではないかという感じ。 [DVD(邦画)] 5点(2008-12-23 01:14:36) |
2296. さすらいの航海
《ネタバレ》 せっかくこれだけの登場人物を投入しておきながら、全然生かされてないというか、ドラマがないというか、同じような描写の繰り返しというか・・・。やたら長く感じました。あるいは、実話だからこそ、かえって縛られてしまったのでしょうか。ただし、ハッピーエンドと見せかけて実はその先はそうではなかったというラストの重さは印象的。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-14 02:44:07) |
2297. ホワイトナイツ/白夜
亡命した一流ダンサーが不時着で故国に戻る羽目になったなんて、凄く面白いことになりそうな設定なのに、やってることというか作品の作り方は青春王道系そのまんまなんです。おまけに、挿入曲はベタベタの80'sUSミュージック丸出し。バレエシーンの入れ方はかなり強引。このミスマッチぶりがたまりません。素材の方向性に反して、重たさが足りなすぎるんですよね。ソ連人が100%一方的な悪役というのも、時代を感じさせます。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-07 02:05:29) |
2298. ワンダー・ボーイズ
えらく画面が暗いような気がしたのですが、気のせい?終始うじうじしたやりとりの描写ばかりで、目を引くところがありませんでした。マイケル・ダグラスも、こういう陰気な役とか考え込む役は合ってないですね。彼はやはり常にギラギラしていてほしいです。2000年にもなってディランがオスカー受賞という愉快なオプションに+1点。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-04 04:00:16) |
2299. アイ・アム・デビッド
《ネタバレ》 難関が来たと思わせてすぐ次に行ってしまう急ぎ足の展開には少々面食らいましたが、よく考えたら、容量の少ない子供の視点から見た世界は、むしろそっちに近いのかもしれませんね。変にありがちな手法で引っ張られるより、よほど潔いです。また、目まぐるしい中にも過去を徐々に明らかにしていったり、それなりに伏線は張ってあったりして、意外に引き込まれます。ただ、ラストはやっぱり唐突すぎるよなあ。あそこだけはもうちょっと引っ張ってくれなくては。 [DVD(字幕)] 5点(2008-11-27 03:23:46) |
2300. 天使のくれた時間
《ネタバレ》 いかにもファンタジックでロマンチックな初期設定なのに、その後の展開ややりとりがえらくありがちで工夫がなく、平坦な描写になってしまった。元に戻るときの別れ方が切なくてよかったくらいかな。点数はそこに対して。やはり、この種の「現実にはありえない話」は、虚実を織り交ぜてうまく独自の世界をつくってくれないと、ひたれないんです。 [DVD(字幕)] 5点(2008-11-13 04:53:39) |