2281. 素顔のままで
《ネタバレ》 噂には聞いていましたが、ここまでひどいとは…。公開時に雑誌か何かで「FBI捜査官デミ・ムーアがストリッパーになり済まして潜入捜査」とこの映画の紹介記事があった記憶がありましたが、全然違うじゃん!そのプロットで撮った方が、よっぽど面白い映画になったと思いますよ。まあこの監督じゃ、どっちにしても同じ出来か…。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2009-11-04 00:28:55) |
2282. リストマニア
《ネタバレ》 大作曲家フランツ・リストが主人公のスラプスティック・ロック・ミュージカルです。ザ・フーのロジャー・ダルトリーがリストを演じるのですが、そこは鬼才ケン・ラッセル、時代を先取りしていますが実に悪趣味な映画になっています。まずこの映画の凄いところは、時代考証無視の登場人物の衣装で、ピアノリサイタルのときのリストの衣装などギンギラギンのロック・スターみたいな代物で頭がくらくらさせられます。このリサイタル・シーンは、観客がみんなアルプスの少女ハイジみたいな衣装を着たギャルで、リストのピアノに熱狂するところなどロック・コンサートそのものです。史実でもリストのリサイタルは当時の若い女性たちには大人気で、会場では失神する娘もいたそうです。この映画ではリストの楽曲にロジャー・ダルトリーが歌詞をつけ、ロック調にアレンジされて使われています。リストはカサノヴァ顔負けのプレイボーイで、映画冒頭から伯爵夫人とやりまくり、終いにはロシアの人妻王女ともいい仲になるという節操のなさ。ほんと、観ていただければご理解いただけますが、このロシア王女とのシーンは、画面がモザイクだらけになってほとんどポルノ映画状態になります。確かに悪乗りし過ぎではありますが、この煩悩にまみれたリストは「アマデウス」のモーツァルトを先取りしていることは間違いありません。娘のコジマは夫を捨てリヒャルト・ワグナーと結婚し、夫婦でナチスの様な秘密結社を作り、ユダヤ人を迫害するは人造人間の製造に乗りだすわと大暴れ状態。法王(配役はリンゴ・スター!)より命を受け、リストはワグナーと死闘をくり広げる…。はっきり言って、ラストのくだらなさはにはぶっ飛びますよ。恐るべし、ケン・ラセッル。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-04 00:12:03) |
2283. バーン・アフター・リーディング
コーエン兄弟の映画は、普通人の日常生活に異物(変人)が突如侵入してくるというプロットの作品は面白いのですが、本作のように主要人物が変人ばかりというパターンはダメですね(他の彼らの作品にも似たようなのがありますが)。あと、初期のコーエン兄弟のコメディはもっと楽しめるおバカ映画だったのに、どうしてこんなに笑えないコメディを撮っちゃったのかなあ。やはり、オスカー受賞したことが影響しているのかもね。ブラピのファン以外は、観ない方が良いでしょう。ブラピの使い方だけは面白かったですね。 [DVD(字幕)] 4点(2009-11-03 11:35:33) |
2284. 天地創造
《ネタバレ》 『この作品が製作されるとき、黒澤明も監督候補だった!』とDVDパッケージに書かれていますが、本当ですかね。音楽は黛敏郎が担当しているのであり得る話しなのでしょうが、黒澤明が聖書の映画を撮るなんて想像できますか?それはさておき、このジョン・ヒューストン版旧約聖書物語は、あまり期待してなかったのですが、そこそこ観られる作品です。確かに時間の長さはあまり感じなかったです。知っているようで良く知らない聖書のエピソードを再確認出来ました。一生に一度観ておけば十分でしょう。大作にふさわしい豪華出演陣ですが、やはりその中でもピーター・オトゥールの「三天使」がホラー映画並みの恐ろしいキャラクターでした。マジで、怖いですよ。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-01 23:08:51) |
2285. ライフ・アクアティック
《ネタバレ》 こんなに豪華な俳優を集めてこういうテイストの映画を撮っちゃうって、ある意味凄く贅沢なことです。この監督のドラマ作りはユニークなキャラクターの出演陣に一呼吸外した演技をさせるのですが、悪くはないのだけどちょっとワン・パターン化している感じがします。本作では海洋冒険活劇という若干ドラマ性のあるストーリー展開になっていますが、ウェス・アンダーソン節としてはどこか中途半端な印象です。まあ、ウィレム・デフォーの面白さを再認識できただけ儲けものでした。自分は「ザ・ロイヤル・テンネンバウムズ」の方が好きですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-11-01 20:05:40) |
2286. イズント・シー・グレート
《ネタバレ》 「哀愁の花びら」の原作者ジャクリーン・スザンの伝記映画で日本未公開ですが、こんな映画があったとは意外でした。「哀愁の花びら」は有名なハチャメチャ映画ですが、原作小説「人形の谷」はそれに輪をかけた凄い内容だそうで、ジャクリーン・スザン自身の経験をもとに書かれたとのこと。とにかくスザン役のベット・ミドラーが大爆発状態で、彼女のポジティブ人生に圧倒されました。この映画はベット・ミドラーとネイサン・レインの夫婦愛がテーマで、あまりコメディとして意識しない方が良いでしょう。ところで、本作にはスザンの担当編集者としてデヴィッド・ハイド・ピアースが出ています。彼を観てなんか既視感があるなあと思ったのですが、レネー・ゼルウィガーが女流作家になる「恋は邪魔者」でも出版社の社長を演じていました。そういう風にみると、「恋は邪魔者」と本作にはプロットの共通点が幾つかあって興味深いです。きっと元ネタにしたのじゃないかと私は思います。 [DVD(字幕)] 6点(2009-10-30 23:56:24)(良:1票) |
2287. キャリー(1976)
《ネタバレ》 スティーブン・キングの原作小説がこんなに情感あふれるホラーになったのはひとえにブライアン・デ・パルマの才能の賜物でしょう。登場人物の描写がぎこちないのはデ・パルマらしいところですが、自分としてはキャリー・ホワイトは最も感情移入出来るホラーキャラクターです。いきなりヌード・シーンの冒頭から、プロム・クイーンに選ばれるまでにキャリーがどんどん美しくなってゆくのがとても切なくて悲しい。そしてキャリーの持つ超能力よりも、母親の狂信的な宗教心の方が観ていて恐ろしかったですよ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-29 23:22:19) |
2288. ムーラン・ルージュ(2001)
《ネタバレ》 ムーラン・ルージュのドンチャン騒ぎがとても楽しそう。まるでジュリアナみたいでした。しかし、前半のハイテンションが後半まで持たなかった印象があります。いくら単純なお話と言っても、あそこまでベタなラストにしなくても良かったのではと思います。使われている楽曲は自分たちの世代ではストライクな選曲ですが、そう言えば映像が昔良く観たMTⅤのビデオクリップをスケール・アップしたように感じてきます。MTⅤを観て育った世代が創る21世紀のミュージカルは、ハリウッド黄金時代に製作されたミュージカルとは全く別物であると言えますね。本作のように舞台ミュージカルの映画化ではないオリジナルの場合は、特に斬新な手法が使われる傾向があって私は好きです。この映画で驚かされたのは、名優ジム・ブロードベントの芸達者ぶりです。もっとも、メイクがあまりに濃すぎて始めは誰だか判りませんでしたが。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-29 01:08:42) |
2289. サブウェイ・パニック
「地下鉄を乗っ取ったって?密室の地下鉄トンネル内でどうやって逃げる気なの?」と、この疑問が最後まで解けない警察と市当局のおバカぶりは見事です。実際犯人たちの使う手は、誰でも考えそうな方法でトリックにもなっていません。普通そんなプロットではダメ映画になってしまうのですが、ウオルター・マッソーの警察側とロバート・ショウたち乗っ取り犯グループの内情を丁寧に描く演出で飽きさせません。色々な伏線を劇中ばらまきますが、最後にはきちんと回収してくれるのが心地よいです。最近は伏線をほったらかして終わってしまう映画が多いので、余計に良い印象を与えてくれます。そしてデヴィッド・シャイアのテーマが素晴らしく、緊迫感を盛り上げています。リメイクされた新作は未見ですが、本作を超えることは無理でしょうね。いずれにしても、この映画は70年代を代表する傑作サスペンスです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-25 23:47:46) |
2290. リプリーズ・ゲーム
《ネタバレ》 この映画はパトリシア・ハイスミスの「アメリカの友人」が原作、ということはヴィム・ヴェンダースの撮った「アメリカの友人」と同じ話というわけです(ヴェンダース作品は未見ですが、この映画とは全然雰囲気が違うそうです)。トム・リプリーとくれば「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンがやったキャラだとは知っていましたが、殺人が発覚して捕まったはずのリプリーになんで後日談があるのだと不思議だったのですが、原作ではリプリーは完全犯罪を達成してシリーズ化されたと知り納得。アラン・ドロンやマット・ディモンが演じた役を本作ではなんとジョン・マルコビッチが4代目トム・リプリーを演じていますが、意外にマルコビッチがいい味出していますね。舞台はイタリアやドイツで、ロシア人やウクライナ人マフィアが登場していかにもヨーロッパ風味のサスペンスに仕上がっています。リプリーをパーティの席上で侮辱した一人の小市民が、リプリーの策略にはまって思わぬ事件に巻き込まれて人生を狂わされてしまうのですが、マルコビッチがマルコビッチらしさを爆発させて悪魔のような怪しい魅力を見せてくれます。この映画は全体的にリプリーの背景説明が不足しているので、普通に観るとリプリーの行動が理解できないのですが、マルコビッチの迫力で妙に納得させられてしまいます。リプリーも巻き込まれるジョナサンもそれぞれ妻がいるのですが、だんだん二人の間にホモセクシャル的な雰囲気が感じられるようになるのは原作の精神に忠実なのでしょう。そうじゃないとあのラストは理解できないでしょう。リリアーナ・カヴァーニってかなりの高齢だと思いますが、エネルギーはまだまだ衰えていないみたいです。第二のリーフェンシュタールとなるのかな。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-24 23:45:15) |
2291. トレインスポッティング
救いようのない登場人物たちのどうしようもないストーリーなのですが、不思議と引き込まれてしまいます。レントン以下のダメ人間たちのキャラが丁寧に描かれているからでしょう。それにしても、「明るい絶望」って何なのだろうか。続編を観てみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-23 23:27:38) |
2292. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 イーストウッドにしては珍しく女性が主人公の作品と思いきや、この映画は企画段階ではロン・ハワードが監督するはずだったそうです(彼は製作にまわっています)。とは言え、さすがイーストウッド、アンジョリーナ・ジョリーの素晴らしい演技を引き出してくれました。この映画では彼女えらくスリムになっていて、きつい赤のルージュのせいか何か別人みたいな印象です。これが実話だというんですから、アメリカって本当に変な国ですねえ。観ていて物足りなかったのは、警察が別人をウォルターに仕立てる過程や内情を描いていなかったところで、これがあればもっと盛り上がっていただろうと思います。それにしても、イーストウッドの担当した音楽は素晴らしかったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-18 23:44:12) |
2293. スターシップ・トゥルーパーズ
この映画、予算がないからと製作時に報道されていましたが、P・ヴァーホーヴェンはスプラッターがやりたくてわざと機動歩兵にパワードスーツを着せなかったのだと私は確信しています。リコの出身地をアルゼンチンと設定したり、この映画の中にはアメリカ合衆国が全然出てきませんが、ヴァーホーヴェンは米国の歴史と政策をシニカルにこきおろしていると感じました。全編に漂う安っぽい正義感は観る者の神経を逆なでしますが、この嫌悪感こそ伝えたかったものでしょう。彼はこの後オランダに帰るわけですが、本作を観ればいかにハリウッドと米国に嫌気がさしていたか判る気がします。ただあまりにスプラッター描写が凄いので、賛否が分かれてしまいますが。でもこれが彼の本当にやりたかったことなので、きっと本人は本望ですよ。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-18 22:22:23)(良:1票) |
2294. さすらいの航海
興味深い題材ですが、監督の手腕のなさで冗長な凡作になってしまったのが残念です。確かに上映時間が長すぎ、「タイタニック」の方が短く感じるぐらいです。出演陣は目を見張るほど豪華ですが、やはりリー・グラントが良い演技を見せています。 [映画館(字幕)] 5点(2009-10-17 10:26:55) |
2295. レイジング・ブル
ボクシング映画はあまり好みではないけど、この作品は何度も観ちゃうんだなあ。スコセッシは実在のラモッタをリアルタイムで観ていただけに、単なる伝記物ではなく彼の栄光と没落を一大叙事詩として再現してくれました。同じブロンクス出身だけに思い入れも深かったのでは。キレるところはキレるけど、ジョー・ペシが他の出演作に比べると冷静な役柄でいい味出しています。ペシとデ・ニーロの掛け合いシーンは、まさに名優同志のシンフォニーという感じで魅了されました。ボクシング・チャンプから芸人になったと言えば、日本ではガッツ石松ということですかね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-10-15 23:20:33) |
2296. ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ
ブルース・ウィリスもアルバート・フィニーも一生懸命に演技しているのは判るんだけど、全然面白くない。そもそも原作が映画化困難なのか、はたまた脚本がヘボなのか。カート・ヴォネガットJr.の小説は映像化するには優れたセンスの監督と脚本家が必要です。並み以下の力量では、こんな出来になってしまいます。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-10-13 22:24:40) |
2297. サルバドル/遥かなる日々
《ネタバレ》 オリバー・ストーンの気迫がひしひしと伝わってきます(良い意味でも、悪い意味でも)。ただ自分としては、ゲリラ側の描き方が非常に類型的なのが気に入らないところです。まあ、監督の心情が出ているところなので仕方ないでしょうが。右翼の暴力はダメで左翼の暴力は許される権利だと言っているのと同じですよ。ゲリラが捕虜を処刑するシーンなどとってつけたような印象しか与えません。ジェームズ・ウッズの熱演にプラス2点。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-13 11:49:31) |
2298. ピンクのルージュ
《ネタバレ》 いやー、こんな珍品映画があったとは、まだまだ修行が足りませんでした。この映画は8話からなるオムニバスで、ストーリーはマカロニ映画界お得意の艶笑小話です。4人の女優が2話ずつ主演するのですが、その顔ぶれが凄い!シルビア・クリステル、ラウラ・アントネッリ、モニカ・ビッティ、ウルスラ・アンドレスという豪華さです。でもそれぞれのストーリーが下らなくて笑うに笑えないのです。中には5分もない短さのお話もあって、ほとんど一発芸みたいなものです。タイトルバックもまるで紙芝居みたいなチープさで、とても79年製作とは信じられません。この女優さんたち、監督やプロデューサーに騙されて出演しちゃったんじゃないかと思いたくなります。ちゃんとギャラはもらえたのかな? [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-10-12 00:18:28) |
2299. ハンナとその姉妹
《ネタバレ》 ハンナの亭主は利己的で優柔不断な男なんだけど、マイケル・ケインの名演が人間味あふれるキャラにしてくれました。男なら誰もがわが身を振り返ってしまうのでは。面白いことにマイケル・ケインとウディ・アレンは劇中全く接触がないのですが、三姉妹と二男優の人間模様を巧みに描いた脚本なのであまり意識させられませんでした。そして、この映画ほどNYの街を美しく描いた映画は他にないでしょう。個人的にはウディ・アレンがカトリックに改宗しようとするエピソードが好きで、宗教というものについて考えさせられました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-11 02:51:35) |
2300. CORD コード
《ネタバレ》 凄い、凄すぎる…。ジェニファー・ティリーの壮絶な怪演は「屋敷女」のベアトリス・ダルといい勝負です。そう言えば「屋敷女」も妊婦がヒロインのお話でしたね。ヴィンセント・ギャロもちょっと可哀想でした、まさかあんな風に映画からフェード・アウトするとは…。そして再認識させられたのは、ダリル・ハンナの顔のごついことでした。この顔も、結構怖い…。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-10-08 00:41:02) |