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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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221.  ブラッド・ワーク
(注意!:激しくネタバレしてます。未見の方が読まれると必ず後悔します。自己責任で読んで下さい) 地道な捜査を重ねて行くあたり、本物のサスペンスって感じでうれしかったです。こういうの書かせるとブライアン・ヘルゲランドはうまいですね。確かにツッコミどころもいろいろあって、冒頭、あのシチュエーションで犯人が逃げおおせたのは不自然だし、銃撃した車に逃げられても何のフォローもなし。あの車、早く警察で追跡しろよ。ラストだって、イーストウッドひとりで助けに行く前に、早く警察に連絡しろよって思ったし。しかし、全体としてはなかなかに上質なサスペンスだったと思います。心臓移植された元刑事というヘンテコな設定もちゃんと活きていて、イーストウッドが発作で死にはしないかと終始ハラハラしながら見ることができました。ジェフ・ダニエルズがよくないという意見もありますが、私はよかったと思いますよ。確かに後半、キ○ガイがバレた後の演技は月並みでしたけど、気のいいごくつぶしの演技はピッタリきてました。「Mrダマー」とか「スピード」とか、相変わらず相棒役が似合いますねと思いながら見てました。そのおかげでドンデンは結構衝撃的でしたよ。イーストウッドもこの意外性を狙ってキャスティングしたんだと思います。そして最後に残る印象は「ダーティーハリー6」。そう思えば、ジェフ・ダニエルズもスコルピオに見えてきます。
7点(2004-09-10 23:34:51)(良:1票)
222.  ドリームキャッチャー
恐ろしいまでに不完全で、それを楽しむか怒るかは完全に各個人に丸投げされたというセルフサービス映画です。ちなみに私は楽しみましたが、嫌いになる方の意見は十分理解できます。というより、好きになる方がおかしいと思います。この映画ではスティーブン・キング作品の悪い面がドバっと出てますね。スティーブン・キング最大の特徴は、前半のネタふりがやたらうまいわりに後半の尻すぼみ加減が尋常ではないことですけど、この映画はまさにそれ。これが嫌いと言う方でも、前半の盛り上げ方のうまさは認めると思います。うまく伏線を張っていくし、アイデアがおもしろいので先読みさせないし、印象的なビジュアルがいくつもあるし。しかし、一転して後半では「本当にそんなオチでいいの?」と思わせるのがスゴイところ。「あそこまで伏線張っといて、まさかこれはないだろう」みたいなことを堂々とやってきますからね。シャマラン映画と同じと言えば同じなんですけど、一方巧妙な脚本で想像力をかきたてないのがシャマランのうまいところ。しかしキングは容赦なく想像力をかきたて、期待を膨らませるので、後半の脱力感は高級フランス料理のデザートがガリガリ君だったみたいな感じです。4人の特殊能力や宇宙人の生態など、拾い切れてない伏線も山ほどあるし。みなさんこれに怒ってるんだと思いますけど、「イット」「ランゴリアーズ」「ザ・スタンド」などを経験してしまえば、「あ、またか」程度で許せるようになります。それどころか、その破綻ぶりが楽しみにもなります。そんなわけで、お客さんを選ぶ映画ってわけですね。これだけ豪華なメンツでそれをやってくれるってのが、好き者としてはまたうれしかったりするわけですけど。
7点(2004-09-07 11:19:39)(良:2票)
223.  レッド・ドラゴン(2002)
マイケル・マン、ジョナサン・デミ、リドリー・スコットと来てブレット・ラトナーには正直「?」だったのですが、案の定作品からは深みが失われ、良くも悪くも娯楽作となっていました。この映画の悪いところは、前作にあったような怖さがなくなっていること。レクターも普通のおじさんになってたし、ダラハイドからは恐怖を感じませんでした。常識や損得を越えて何をしでかすかわからない恐怖がサイコサスペンスのキモだと思うので、その点はかなり不満。やっぱりレイフ・ファインズがサイコを演じたのが悪かったんだと思います。誰もが顔を知っていて、しかも男前の彼では、「何をしでかすか」な怖さが出ません。無名で、しかも「そりゃ盲目の人にしか愛されないだろ」ってくらいブサイクな人が演じれてば、その狂気を十分に表現できたと思います。リドリー・スコットがえらかったのはその点で、ゲイリー・オールドマンを特殊メイクでメタメタにしたのは大正解でした。一方良かった点は、娯楽作としてかなりバランスのいい映画となっていること。盛り上げるタイミングがいいし、謎解きも混乱なく無難にこなしていて、「うまくまとめていくなぁ」と感心しながら見ました。豪華キャストの配置もよくて、とくにハーベイ・カイテルは存在感抜群、画面に映るだけで文鎮のように話をしっかりと引きとめていました。単品として見れば十分に面白い映画だと思います。
7点(2004-09-04 16:04:13)
224.  マトリックス リローデッド
ウォシャウスキー兄弟は映画学科の名門大学を中退した後に大工などをしながら脚本家業を開始し、社会に対する憤りの中で執筆したのが「マトリックス」でした。そのため第一作は「社会のルールに黙って従っている我々は、自分の人生を生きていると言えるのか?」という主張が中心の作品であってマトリックスやザイオンはメタファーに過ぎず、兄弟も世界の全体像についてはっきりとしたビジョンを持っていなかったようです。しかし、一転して続編の本作では世界観の深化が要求されており、後付けで未来世界を構築せねばならなくなった兄弟の苦労が見てとれます。ザイオンは第一作で「伝説の都市」と言われていたほど凄いものではなかったし、洞窟でのレイブシーンなどは正直言って趣味が悪いです。マトリックスについて語るセリフは一度の鑑賞では理解できないほど意味不明で、世界観の脆弱さをセリフの分かりづらさで隠そうとしているように思えます。そんなこんなで苦しい続編となっているのですが、私は本作について悪い印象は持っていません。本作はテーマが良く、前作のテーマが「選択」であれば、続編のテーマは「理由・目的」。マトリックスのような代物はなぜ存在しているのか?ネオは救世主を名乗っているが、何のための救世主なのか?第一作における選択の先にあるものが問われる内容となっています。そしてネオが救世主としての自己の存在やマトリックスの目的を追求した結果得た答えは衝撃的で、救世主もザイオンもマトリックスの延長であり、ネオの登場も機械によって企画されていたものであることが明かされます(こんな美味しい展開を、わかりづらいセリフで説明してしまったのが残念)。機械は、ランダムな動きをする人間心理を完璧には理解することができず、そのためマトリックスには一定の例外が発生してしまう。その受け皿がザイオンであり、例外となった人間達の希望が反映されるのが救世主である。機械がその救世主を分析することで、より高度なマトリックスを作ることが出来るという仕組みのようです。第一作からは想像もつかなかった展開へとなだれ込むクライマックスには、かなり興奮させられました。また、ビジュアル面が圧倒的に強化されていることも本作の魅力で、カンフーやワイヤーワークはかなり改善されています。最大の見せ場であるカーチェイスの派手さは他に類を見ないほどで、この場面は何度見ても飽きません。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2004-08-16 23:18:41)(良:2票)
225.  マトリックス レボリューションズ 《ネタバレ》 
第一作が「選択」、第二作が「理由・目的」と来て、本作のテーマは「信じること」。「信じること」をテーマにした映画なんて掃いて捨てるほどありますが、そこはさすがマトリックスだけあって一筋縄ではいきません。前作のラストでネオは完全に手詰まりとなっており、さらに予言者もスミスに取り込まれてしまい、すべてが不確かなものに。おまけにセンチネル軍団があと半日でザイオン攻撃を開始するため、ザイオン防衛のために一隻でも多くの戦艦が必要とされているという逼迫した戦況。その状況で、ネオは「理由は説明できないけど、とりあえず俺のために戦艦を一隻貸してくれ」と言い出します。何をムチャ言い出すんだというシチュエーションなのですが、ここでキャラクター達はネオを信じるか信じないかの判断を迫られます。ネオを信じることにも大きなリスクが伴う、かといって奇跡でも起こらない限り今の状況は打破できないという極限状態においては、前線でも司令部でも現実派と超常派が対立。「実態の分からないものに身を委ねられるか」という信仰の本質に迫った内容であり、「信じること」がここまで重い映画は滅多にありません。その先にある展開は燃えさせるもので、前作のラストでマトリックスの設計者の元に行ったものの話にならなかったため、なんとネオはアーキテクトよりも上の存在である機械の親玉と直接話をつけに行きます。「マトリックスが破綻すればあんたら機械も困るだろうから、俺が解決してやる。その代わり、ザイオンには手を出さないでくれ」。「これのどこがレボリューションなんだよ。単なる手打ちじゃないか」と思わなくもないのですが、ともかくネオは自分の身を犠牲にしてマトリックスを正常化し、機械文明とザイオンの両方を救います。ここで終われば一応ハッピーエンドなのですが、さすがはウォシャウスキー兄弟だけあって物語をタダでは済ませません。サーガのファイナルカットに登場するのはプログラム4人だけで、人類はひとりも登場せず。そのプログラム達が「危険な賭けだったけど、何とかうまくいったねぇ」と話し合っているのです。ネオによるレボリューションすら機械によって計画されていたものだった。映画は朝日と共に清々しく終わりますが、解釈次第ではバッドエンドとも考えられる、ある意味でとても怖く、後味の悪いラストでした。私は、シリーズのこういうところが大好きです。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2004-08-16 22:27:14)(良:2票)
226.  ザ・コア
はっきり言って、いいとこなしの映画ですね。展開は「アルマゲドン」の完コピ、しかも質は落ちてるし。キャラも平凡。設定はマイルール多すぎ。でもでも、私は嫌いになれないんです。「ボルケーノ」を見たときの感覚に近いですね。作りがなんだか不器用で、でもサービスしようと必死な姿が目に浮かぶんです。キャストの地味さのおかげで、「金に物言わせた大作」ってよりも「がんばって作りました」みたいな感じだし。なんだかダサいメカデザイン、微妙にチャチなVFXは東宝特撮映画を彷彿とさせます。こんなバカ映画、私が好きにならなきゃ誰に愛されるってぇーのって感じですよ。なので大甘の7点です。
7点(2004-08-04 16:26:00)
227.  シルミド/SILMIDO
あつーい映画でした。「特攻大作戦」から「アルマゲドン」までならず者部隊の映画は数あれど、これほどに熱いのは他にはありません。ハリウッドクラスの技術を用いてド演歌をやるってのが韓国映画の特徴ですね(けなしてるわけじゃありませんよ)。前半は素晴らしかったです。地獄の訓練やその中で成長していく兵士の姿が熱くさせました。しかし中盤以降は一気にペースダウンし、さらに韓民族ならではの熱演がかなり胃に重くなってきました。とはいえ、この映画にはそれ自体に熱い闘志がみなぎっており、件のもたつきすら製作陣の息吹のように感じます。脚本上の計算や、演出的な効果を狙ったのではなく、製作側が心で作った映画なのだと思えるんです。これぞハリウッドが失ったものであり、代わって韓国映画がそれを復活させようとしているのかもしれません。香港も「インファナル・アフェア」を生み出すまでに成熟しているし、それにひきかえ日本映画ときたら・・・。
7点(2004-07-02 01:17:36)
228.  ドーン・オブ・ザ・デッド
この映画はアクションですね。(ゾンビとは言え)群集に向かって銃を乱射する、情けをかけず殺しまくるなどなど、通常の設定では倫理的にいかがな描写も、ゾンビ相手ならOKとばかりにやりたい放題。ゾンビ映画の醍醐味のひとつってこれなんですよ。大勢で、しかも単品では弱い連中をとにかく殺しまくると。こういう正直な映画、アクション好きとしては奨励したいと思います。そしてクライマックスは「マッドマックス2」!プロパン大爆発、誰もが思い描くナイスな作法でチェーンソーを振り回すなどなど、とにかくわんぱく放題です。しかしこれがかの「ゾンビ」のリメイクとして見た場合には、確かに問題もあるわけで。ゾンビの存在以上にオリジナルのキモだったドス黒い世界観が継承されておらず、その点で言えば「28日後」の方がオリジナルに近いんですよね。そしてやっぱりゾンビはユラユラ歩きの方が不気味でいいです。殴られようが撃たれようがユラユラ歩いて来る、目的がわからないから怖いんですよね。でも目標めがけて全力疾走してしまうと、その怖さがなくなってしまいます。それに走ってしまうと、どうしても人間に見えてしまうんですよね。全員陸上選手みたいにいいフォームだし。でもゾンビが走ればアクションの緊迫感は高まるわけで、やっぱりこの映画はアクションとして評価すべきなんです。なのでこの点数で。
7点(2004-06-03 22:29:26)(良:1票)
229.  イノセンス 《ネタバレ》 
一流のアニメーターを3人も雇い、制作準備に2年、制作に3年をかけたという異常な作品だけあって、ビジュアルの迫力は圧倒的です。それは、ファーストカットの時点で「これは普通の映画とは別次元の作品だ」とすぐに分かり、その感動がラストまで持続するほどのレベル。さらには、『地獄の黙示録』から直近の『レヴェナント/蘇えりし者』までを手掛るハリウッドトップのサウンドデザイナーを雇って音響にも力を入れており、映像体験という点ではかなり充実しています。 本作のテーマとは一体何だったのか。それは、「人間はなぜ己のコピーを作ろうとするのか」ということでした。このテーマは序盤にワンシーンだけ登場した女性検視官・ハラウェイの「愛玩用アンドロイドはなぜ人の形、それも人体の理想形を模して造られる必要があったのか」という問いと、終盤に登場するハッカー・キムの「真に美しい人形があるとすれば、それは魂を持たない生身のことだ」という回答により説明されています。人間は自分がどう見られるかを常に意識し、よく見られようと努力をします。しかし、そうした目的を持って生み出された美は所詮まがい物であり、無意識に・無目的にそこに存在する美こそがホンモノである。人が自然や野生動物に魅了されるのはその無目的さの中に美が宿っていることへの感動なのですが、自意識を持つ人間にはそれができない。だからこそ自意識を持たない人形に究極の美を託しているのだと言うのです。 「人は魂(ゴースト)のない抜け殻(シェル)を求めている」というこのテーマは、「抜け殻(シェル)にも魂(ゴースト)は宿り得る」という前作『ゴースト・イン・ザ・シェル』のテーマと対をなすものであり、これはこれで興味深いと感じたのですが、他方で感じたのがその語り口のマズさでした。前述の通り、本筋とはあまり関係のない脇役2名がこの主題のほぼすべてを説明してしまっており、その他の膨大な引用台詞は主題とは無関係な、ただ観客を混乱させるだけのノイズになってしまっています。難解なようでいて、よくよく聞けばすべての台詞が主題と密接に絡み合い、結論へと繋がっていることが理解できた前作と比較すると、本作にはどれだけ熱心に聞いてもその意図を理解できない台詞が多く、随分と洗練されていないという印象を受けました。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-01-27 02:29:44)
230.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 
トランプ大統領の政策の大きな柱のひとつとしてアメリカの不法移民問題が脚光を浴びていますが、遡ること10年以上も前にこの問題に取り組んだ作品があったんですね。 本作が良心的だと思ったのは、政治的な正しさには特に言及していない点です。特に昨今の議論では不法移民がかわいそうという点のみがクローズアップされていますが、これを取り締まるアメリカ側にも、そうせざるをえない事情があるわけです。本作はその構造上、不法移民に寄った視点でのドラマにはなっていますが、これを取り締まる国境警備隊を過度に敵視したり、「アメリカ社会はもっとこうあるべきだ」というお節介な主張を挿入したりせず、人間性というレベルのみでこれを取り扱っています。 銃撃を受けたメルキアデス・エストラーダの死体が発見されたが、不法移民だからという理由で当局は真剣に捜査しないし、国境警備隊員のマイクが撃ったということが判明しても、みんなその事実を有耶無耶にし、さっさと遺体を埋葬して事件と一緒に葬り去ろうとしている。これを受けた主人公・ピートはメルキアデスを故郷に埋葬してやろうと行動を開始しますが、その動機って犯人であるマイクに対する怒りとか、アメリカ社会への失望とか、メルキアデスに対する友情とか、そういうものではないように思います。 それは人としてのマナーというか、彼の遺体を隠滅すべき邪魔な証拠程度にしか考えていないアメリカにメルキアデスを葬っておくのはあまりに忍びないから、彼の尊厳が守られる場所に埋葬してやろう。そして、アメリカでメルキアデスにもっとも近い立場にいたのは自分だから、この自分がやるしかないと、この程度の動機だったように思います。だからピートはメルキアデスへの思いを口にしないし、殺されたことへの怒りの素振りも見せません。行動を共にすることが多かったためメルキアデスとの思い出こそあったものの、個人的な思い入れはさほどなかったのではないかとすら感じました。 そんなこんなで旅を始めたのですが、生前のメルキアデスが語っていたヒメネスという土地はなく、家族写真も赤の他人のものであり、ピートが伝えられてきたメルキアデスの人生は彼による夢想の産物だったことが判明します。メキシコでのメルキアデスの人生は本人が封印を望む程度のものであり、だからこそ彼はたった一人でアメリカにやってきたのであろうことをピートは認識します。これ以上、生前の状況を詮索するとかえって故人の尊厳を傷つけてしまうという状況に直面し、おそらく内心では「お節介なことしてごめんなさいね、メル」なんて思いながら、なんとなく良さそうな場所を見繕って遺体を埋葬します。このドラマがまさかこんな終わり方をするとは思わなかったため、この結末には良い意味で呆気にとられました。 身寄りのない人間の死と尊厳というテーマには意外と普遍性があり、例えば私は日本の独居老人に当てはめて考えました。独居老人の遺体は社会的には処理に困る厄介な代物であり、何の思い入れも無くひっそりと荼毘に付されますが、一人の人間の最期においてこの扱いはあまりに悲しすぎます。他方で、身寄りがない人にはそうならざるをえなかった負の歴史もあり、例えばヒューマニズムに燃えた他人がそうした負の歴史を詮索して回ることは、かえって故人の尊厳を傷つけます。一人の人間の死とどう向き合うのかという問題について、本作はなかなか意義のある考察をしているのです。 そういえば、本編中には旅の最中のピートが突然思いついたかのように主婦売春をしているレイチェルにプロポーズするというくだりがありましたが、これは旅の過程で人の尊厳を守ることの大変さに直面し、翻って自分が死んだ時にこれほど手を尽くしてくれる人がいるという自信がなくなったピートの不安の表れだと解釈しました。結局、このプロポーズは断られましたが、その過程が、ピ「いつも俺が一番って言ってくれてるじゃん」レ「それは客と風俗嬢という関係があってのことで…」みたいな悲しい風俗あるあるだった点には笑わされました。それまでクールだったピートにもこんな無様な一面があるという点が、後に明かされるメルキアデスの情けなさにも繋がるわけです。 上記の通り非常に優れた趣旨を持つ作品ではあるのですが、多くが語られない内容に対して上映時間が妙に長く、見ていて退屈させられたこともまた事実。意義のある映画ではあるものの、面白い映画ではありませんでした。また、主婦売春をしていたマイクの奥さんが(ジャニュアリー・ジョーンズが超美人!)生前のメルキアデスと関わっていた件など、何かの伏線かと思いきや後の展開に一切影響を与えない無駄な要素もあって、上映時間が無駄にかさ増しされているような印象も持ちました。
[インターネット(字幕)] 6点(2017-09-01 18:21:18)
231.  イエスマン "YES"は人生のパスワード
ダメな奴が人生を変える話かと思いきや、変化前の時点から主人公がそんなにダメな奴ではないんですよね。確かにひねくれてはいるものの、それについては離婚やら職場での冷遇やらで陰に入った時期にあるだけで、本来の彼は普通に楽しい奴だという前提が存在しているわけです。その証拠として、彼にはちゃんと友達がいるし、ご近所付合いもあり、飲みの席にしつこく誘われたりもします。本当に性根の部分からダメな奴なら友達なんていないし、周囲からも期待されていないから何かに誘われたりもしません。 上記の結果、振れ幅の小さな内容となってしまったためにドラマとしてもコメディとしても劇的な部分がほとんどなく、ハリウッドが得意とする「笑い込みのちょっといい話」というジャンルの中で埋没する仕上がりとなっています。豪華なメンバーが顔を揃えながらもこの程度の出来かと、少なからずガッカリさせられました。 とはいえ、良い部分もあります。物事に善悪をつけないニュートラルな作風が時に心地良いのです。ハリウッドではネガティブに扱われる傾向の強い自己啓発セミナーについて(『ゲーム』『マグノリア』『リトル・ミス・サンシャイン』etc…)、その功罪両面を描いているという点には特に興味を引かれました。妄信的にその方法論に頼ると失敗するものの、人生のある一局面を打開する劇薬にはなりうるという描写になっているのです。 また、恋人役のズーイー・デシャネルがこの役に完璧にハマっている点も評価できます。観客の誰もが美人と認識できる顔や雰囲気でなければラブコメとして成立しないが、かといって突出した美人だと作品に馴染まない。この点において、ズーイー・デシャネルは街で偶然出会ってもおかしくないレベルの美人さんであり(褒めてます)、かつ、このサイトのレビューにおいても顕著な通り、ほぼ満場一致で「かわいい」と認識されています。観客の側における顔の好みには結構なバラつきがある中で、ここまで全員からの支持を得ることって、実は大変なことだと思います。 そういえば、ジム・キャリーの才能のひとつとして、共演女優を魅力的に見せるという点が挙げられます。『マスク』のキャメロン・ディアスから『エターナル・サンシャイン』のケイト・ウィンスレットまで、それぞれからのキャリア史上最高の魅力を引き出している点は、もっと評価されていいと思います。
[インターネット(吹替)] 6点(2017-08-05 02:06:26)(良:1票)
232.  大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 《ネタバレ》 
子供に付き合っての鑑賞でしたが、大きなお友達への配慮も随所に見られる良作でした。 ベリアル単騎でのウルトラ大虐殺はシリーズ史上最高ともいえるほどの盛り上がりを見せます。「こいつに勝つ方法はないのでは」と観客を不安に陥れるほどのベリアルの無双ぶりは、大ボス登場場面として百点満点ともいえるほどのインパクトの強さ。さらには、その過程ではグレート・パワードといった10年以上ほとんど無視の状態が続いてきた戦士達がモブとしてきちんと登場するというネタの細かさ、また、父・ゾフィ・タロウといった身内でも特に強いとされてきた戦士達がベリアル相手に善戦するという描写も気が利いており、私が幼少期より児童書等で読んできた情報がすべてブチ込まれたゴージャスな見せ場となっています。ここだけでも本作は見る価値がありました。 ただし、後半になるとやや失速します。虐殺時点で光の国を不在にしていたウルトラ戦士達が結集し、ベリアルへの反撃を開始するのですが、最後の最後、ウルトラマンゼロ参戦でウルトラ側に不利だった戦況が一気に逆転するという結構いい加減な展開には脱力させられました。しかもゼロ、修行を終えたばかりの新米戦士ですからね。ゼロと、ゼロに稽古をつけていたレオさえ光の国にいれば初戦の時点でベリアルを排除できていたのではないかという超展開で、その他のウルトラ戦士達は一気に立場を失ってしまいます。それまでヒーヒー言いながら飛び回っていたメビウス(一応はゼロの先輩)なんて、主人公としての立ち位置すら奪われてしまうという不遇ぶり。これをカタルシスと捉えるか、梯子外しと捉えるかは微妙なところですが、私はあまり好意的な評価をできませんでした。前半の出来が良かっただけに、後半の粗さがやや目に付きます。
[インターネット(邦画)] 6点(2017-04-24 13:35:36)
233.  トラフィック(2000) 《ネタバレ》 
まず、麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任した判事とその家族の物語。本作中最大のビッグネームであるマイケル・ダグラスが主演している関係上か、はたまた観客にもっとも近いアメリカ人家族の物語であるためか、作品中もっとも力点の置かれたエピソードとなっているのですが、これがまったくのダメダメでした。何がダメかって、マイケル・ダグラス演じるウェークフィールドの行動が出鱈目なこと。彼の権力を総動員すれば失踪した娘なんて簡単に見つけ出せるはずなのに、麻薬撲滅活動のトップにいる自分がスキャンダルに晒されてはならないからと個人で問題解決に当たっているうちに、事態はどんどん悪化していきます。また、娘が見つかったら見つかったで、今度は最悪のタイミングで「個人的な問題を抱えている自分では任を全うできません」と言って職務から逃げ出してしまう。あんたは一体何がしたいんだと呆れてしまいました。 次にベニチオ・デル・トロが主人公を務めるメキシコパート。デルトロのオスカー受賞から察するに、世間的にもっとも評価されているパートがこのエピソードのようなのですが、テレビドラマ『ナルコス』などを見てしまうと、本作の描写は完璧にパンチ不足。15年も後に制作された作品と比較するのは酷と言えば酷ですが、それでもメキシカンマフィアのヤバさはかなり控えめだし、サラザール将軍を売るという危険な決断に至る過程に存在したであろうデルトロ捜査官の葛藤も不足しており、「ちゃんと描いていればもっと面白くなったはずなのに」と残念になってしまう点が多々目につきました。 最後に、夫が麻薬密輸業者であることを知った有閑マダムとDEA捜査官の攻防を描いた西海岸パート。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、デニス・クエイド、ミゲル・フェラー、ドン・チードル、ルイス・ガスマンと知名度も演技力もある俳優が多く配置されたこのパートがもっとも勢いがあり、娯楽性も高くなっています。追う者と追われる者の双方の視点で描かれることでドラマもサスペンスも絶好調に盛り上がるし、家族を守るという絶対正義の下で悪事に手を染めざるをえなくなった有閑マダムの存在によって、作品は善悪二元論に収まらない広がりを見せます。本作で評価されるべきはデルトロではなく、ゼタ・ジョーンズであったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-20 03:05:33)
234.  レッドクリフ Part I
お恥ずかしいことに三国志の知識は皆無に近く、国名と主要登場人物の名前を知っている程度での鑑賞です。物語の基礎知識を持たない状況での鑑賞には不安があったのですが、その点、国内での配給を担当したエイベックスは懇切丁寧な説明を冒頭にくっつけたり、場面転換の度に登場人物の名前と役職名をテロップ表示してくれたりといった親切設計で対応しており、一見さんにも問題ない鑑賞環境が整えられていたことは有難かったです。本作が劇場公開されたのは洋画に観客が入らなくなり始めた時期でしたが、そんな中で一般客をどうやって呼び込むかという点に配給会社が気を配り、結果として興行的に大成功を収めたのだから見事なものです。 有名な歴史ものには後世での自由奔放な脚色が含まれていることが常であり、これを素直に実写化すると「ありえねぇ」の連続となり(例『300/スリーハンドレッド』)、かといって説明可能な形にまとめようとすると「古典の面白さを台無しにした」とケチをつけられ(例『トロイ』『エクソダス』)、なかなかサジ加減が難しい素材だと言えます。そんな中で本作は基本的に”素直に実写化”路線に向いているのですが、かといって完全な歴史ファンタジーの領域に足を踏み込むこともなく、「昔、こういう戦争がありました」という歴史活劇として一定のルックスを作り上げることに成功しています。劉備軍の将軍たちはまさに一騎当千の活躍を見せるものの、物理的にまったくありえないというレベルに突入する手前のギリギリの描写で踏みとどまっており、生身の人間が戦っているという感覚を残せているのです。この辺りの演出は素晴らしかったと思います。 また、配役も絶妙なものでした。劉備軍の将軍たちの個性豊かすぎるルックスの再現度は高いし、超人的な頭脳を持つ諸葛孔明役にキャスティングされた金城武は、その浮世離れした個性により役柄に説得力を与えています。また、絶世の美女とされる小喬のキャスティングにも困難性が伴ったと考えられますが(見る人によって美醜の基準は異なるため、「誰の目にも絶世の美女として映る人」というキャスティングはかなり難しい)、そこに女優経験のないモデルのリン・チーリンを持ってきた判断も神がかっています。こちらもまた、国を動かすほどの超絶美女にきちんと見えているのです。また、彼女については難しい演技を要求される場面がなく、経験の少なさゆえのボロを出さずに済むよう脚本や演出レベルでも調整がとれています。 以上、本作のルックスは素晴らしいのですが、肝心のお話には面白みが感じられない点は残念でした。ジリ貧の劉備軍が、まだ戦禍に巻き込まれていない呉をどうやって同盟に引き入れるかが本作のスポットだと思うのですが、この交渉の困難な部分はどこにあって、どうやって呉を説得するのかという観客に対する情報の整理ができておらず、孔明と周瑜が弦楽器のセッションで意気投合したことで交渉が進み始めるという、なんとも面白みに欠ける展開となっています。弦楽器の件以外にも、馬の出産・虎狩り・牛泥棒などの面白みのないサイドストーリーの積み重ねにより本筋が進められていくため、中盤が本当に面白くありません。こうした中盤のグダグダの割を食ったのが孫権であり、これは優柔不断な孫権が為政者としての本分を発揮するまでの物語でもあったはずなのに、そこにあるべき感動が見事に失われています。熱い男を描かせれば天下一品だったジョン・ウーが男の成長ドラマでコケたことは意外でした。
[映画館(字幕)] 6点(2016-09-21 20:05:48)(良:1票)
235.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 
かなり深刻な題材を扱いながらも、たまに笑いを入れて重くなりすぎないよう微妙な温度感まで調節された脚本と演出が素晴らしく、高評価にも納得の作品となっています。 ただし、面白かったかと言われると微妙。ラースの抱える心の闇がほとんど描かれておらず、また、ラースの異常行動に対する住民たちのリアクションも行儀が良すぎて、もうひと山を作れていないような印象を受けるのです。ドロドロの葛藤を描くべきとは言いませんが、たまにラースを傷つける人が現れて、順調に進んでいた治療が逆戻りするかもしれないというハラハラ感を出してもよかったのではないかと思います。 また、ラースの心境にフォーカスしても、マーゴとの距離が近づいた途端にビアンカを葬るという解決方法には違和感を覚えました。彼にとってラブドールのビアンカは現実の女性と同等の存在。都合が変わったからと言って、ビアンカを殺してしまうという選択肢はモラルに反しているように思いました。ビアンカはラブドールであることをラースに認識させた上で、次のステップに進ませるという解決にした方が、個人的にはスッキリしたと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2016-01-26 16:20:03)
236.  機動戦士ZガンダムII 恋人たち
3部作全体の評価については『星を継ぐ者』にてレビューした通りで、私としては新訳Ζに対して肯定的な立場をとっています。語り口が荒っぽい点については目を瞑り(そもそも、50話を費やしてもわかりづらい話だったのですから)、リファインされた映像面に注視しましょうというのが、本3部作に対する私の姿勢です。 その点で、もっとも評価が苦しいのがこの『恋人たち』です。戦闘シーンに際立ったものがなく、テレビ版のダイジェストを見ているだけという印象なのです。映像面での恩恵が少ないため、評価はやや低めにせざるをえません。 ただし、良かった点もあります。もっとも評価できるのは、フォウ・ムラサメをスードリで殺したこと。テレビ版ではスードリの爆発を生き延び、後にキリマンジャロで再登場するのですが、カミーユの成長物語として考えれば、フォウはスードリで死ぬべきでした。新訳版ではそうした自然な形に修正されたことで、私としては腹落ちの良い展開となりました。また、作品の緊張感がピークに達したところでアクシズが仰々しく現れ、「この先、どうなるんだ」という期待と不安を抱かせたところでブツっと終わるという幕引きには興奮させられました。3部作の中編という立ち位置をうまく使い、映画らしい展開を作れているのです。完結編への期待を煽る、見事なクライマックスだったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-10 17:19:12)
237.  エレファント 《ネタバレ》 
目隠しをして象の皮膚を触らせたところ、誰もそれが象だとは分からなかったという昔話がタイトルの由来だとか。本作はコロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにしつつも、あの事件の原因や影響等の分析をすることには意味がないという姿勢をとっており、ただ漠然と続くだろうと思っていた人生がある日突然終了した高校生達のドラマを描くことに注力しています。その基本姿勢ゆえ、映画に明らかな結末を求める客層にはあまりオススメできない仕上がりとなっています。私自身、本作を興味深く見ることができませんでした。80分程度の上映時間ながら、途中で何度も寝落ちしそうになったし。。。 とはいえ、ガス・ヴァン・サントによる演出には非凡なものを感じさせられました。シナリオらしいシナリオは書かず、映画の大枠だけを決めて撮影に入り、その撮影も素人のアドリブを中心に撮っているため雑然とした影響を受けるのですが、同じ場面がアングルを変えて何度も何度も繰り返された辺りから、今まで写っていた登場人物達はこれからの銃撃に巻き込まれる被害者達なのだと気付かされて、急に怖くなります。全体としては雑然と作っているように見せかけて、必要な部分では高度なストーリーテリングの技術を駆使して観客を誘導していくという隠し味の効かせ方のうまさ。これには感心させられました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-09-17 00:31:52)(良:1票)
238.  屋敷女
『マーターズ』と並んで、近年のフレンチホラーを代表するとされる凶悪作品。ハリウッドホラーのショック演出、イタリアンホラーのグロ描写、ジャパニーズホラーの湿っぽい空気感、ジャーマンホラーの変態性等、世界中のホラー映画を丁寧に研究し、それらの尖がった部分をすべて吸収して作られた結果、暴君怪獣タイラント並の強力な映画が仕上がったわけです。「これ以上やっちゃいかんだろ」というレベルを軽々と越えてくる残酷描写の過激さや、短時間に多くのイベントを詰め込んでくるという展開の素早さ、そして底抜けに陰惨な結末など、従来のホラー映画が牧歌的に思えてくるほどの容赦のなさには腰を抜かしました。普段はボカシを無粋だと感じる私も、本作のクライマックスでボカシがかかった時には、「これを見ずに済んでよかった」とホっとした程です。。。 ただし、被害者と加害者双方の動きに合理性を欠く面があったり、中盤に登場した刑事3人が、どう考えても現場を制御できる状況にあったにも関わらず、一人のキ○ガイ女によって全滅させられてしまうという展開にイライラさせられたりと、いくつかの場面で不自然さが見られた点は残念でした。こうした点をうまく処理できていた『マーターズ』と比べると、作りはやや洗練されていないと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-05-18 10:23:49)
239.  GAMER ゲーマー
『300』や『マシンガン・プリーチャー』に出演し、肉体派のイメージの強いジェラルド・バトラーですが、同時に彼は法学部を首席で卒業した後に名門法律事務所での勤務経験も持つという超インテリであり、どんなB級映画に出てもどこか知性を感じさせるという点が、俳優としての彼の強みとなっています。また、良い意味で生活感を感じさせるという点も彼の個性であり、実際、演じる役柄の大半は妻子持ちという設定となっています。肉体と知性と生活感、これら3点を併せ持つ俳優は非常に稀であり、今後は、かつてのメル・ギブソンがいた位置に収まっていくのではないかと個人的には期待しています。。。 以上の魅力を持つジェラルド・バトラーを得たことで、本作はB級映画ながらも、単純なバカアクションにならずに済んでいます。高い戦闘スキルを身に付けた経緯が不明だったり、妻子に対する愛情の深さを示す場面が欠けていたりと、主人公・ケーブルについては描写不足が目立つのですが、それでもジェラルド・バトラーが本来持つ個性によって、そうした穴がきちんと埋められているのです。同時に、銃撃や格闘等の動きも非常に様になっており、本作には『300』以上にバトラーの魅力が詰まっています。。。 本作の脚本と監督を務めたのは『アドレナリン』のコンビですが、このコンビの画作りは相変わらず卓越しています。私は『コール・オブ・デューティ』等の洋ゲーをたまにプレーするのですが、あのゲームを生身の人間にやらせたら?という仮定を、きっちりと映画として成立させてみせたことには感心しました。戦闘シーンの迫力は非常に素晴らしく、アクション映画として見るべき点は多い映画だと思います。ただし、本作についてはコンビ監督の悪いところもドバっと出ています。まず、この人達は観客が退屈することを必要以上に恐れているのか、撮影や編集が常に動きまくっていて、非常に見づらくなっています。ひとつひとつの場面は面白くできていても、これを100分ぶっ続けでやるとウンザリされるということが分からなかったのでしょうか?また、ド派手な戦闘を前半に固め、後半には地味な謎解きと盛り上がらない殴り合いを配置するという構成にも首を傾げました。この人達に技術はあるのだから、もっと観客の生理に配慮した映画作りを目指すべきだと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-01-02 02:51:46)(良:1票)
240.  劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇 《ネタバレ》 
テレビシリーズ視聴済です。マジンガーZとガンダムとエヴァンゲリオンと宇宙戦艦ヤマトと勇者シリーズの良いとこ取りをして、その上、オタク臭い小理屈を抜いて子供でも理解可能なアニメを作る。そんなことが可能なのかと思いますが、それをやってのけたのが『天元突破グレンラガン』なのでした。それだけ充実した内容だけあって、テレビシリーズはどのエピソードも濃厚100%。通常のアニメであれば3~4話を費やすであろうエピソードを1話に詰め込むという展開もザラであり、すべての回が1秒たりとも捨てる場所がないほどに作り込まれていました。。。 そこに来て、この劇場版です。テレビシリーズの前半13話を2時間に編成し直した内容なのですが、当然の如く、これ単品で『グレンラガン』を理解することは不可能です。製作側も一見さんお断りの姿勢を明確にしており、黒の兄妹やロシウといった重要人物との出会いをダイジェスト処理で済ませるなど、なかなか思い切った端折り方をしています。では、この映画の存在意義は何なのかと言うと、それは、サブキャラのエピソードを大幅に切り捨ててシモンの成長物語に特化したことで、テレビシリーズ以上に男気溢れる作品となったこと。さらには、ドルビーデジタルによりブラッシュアップされた音響や、クライマックスにおける四天王の合体ダイガン「ドテンカイザン」の登場など、映画版ならではの楽しみも追加されており、ファンサービスも程々になされています。テレビの視聴ありきの不完全な総集編なので全面的な支持は与えられませんが、これはこれで楽しめる映画ではあると思います。
[DVD(邦画)] 6点(2013-11-13 01:26:33)
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