2381. 化石の森(1936)
アランとガブリエルの一期一会をメインにデューク一味、チザム夫妻が絡む密室劇。デュークが野蛮でも酷薄でもないので緊迫感がなく盛り上がりません。アランのとった行為は愛情よりも厭世観が色濃く滲み出ているように見えました。その後の彼女を観たかったので尻切れトンボな結末も残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2009-12-20 23:47:16) |
2382. 海の上のピアニスト
1900のタラップに佇む姿から、その世界に実際に身を置き味わう喜怒哀楽と頭の中で思い描く世界の喜怒哀楽は違う事を痛切に感じます。彼の決断に対し、非難はしませんが残念さで一杯です。他は、メリハリのない展開とジメッとした描写に物足りなさが募る作品。 [DVD(字幕)] 5点(2009-12-12 23:28:59) |
2383. アパートの鍵貸します
安物の人物が織り成す安物の事の成り行き。しかし、ジャック・レモンが演ずる、譲れない一線は何があっても譲らないバドの姿勢と、台詞の一言一句、仕草の一つ一つ全てに心血を注ぎ込む監督の姿勢が本作の輝きを永遠のものとしているのでしょう。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-12-08 17:05:18) |
2384. ブーメランのように
監督が殊更に強調する、父性愛、更生者の苦渋、警察権力の非情は「暗黒街の二人」とは異なる独り善がりなもの。ラストシーンに、題名の絶妙さと短気を起こしてしまった父の悪あがきの浅はかさを見ました。監督は父子をどう捉えているのでしょうか?役にピタ-ッとはまっていたドロンには満足しました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-06 01:45:57) |
2385. ガントレット
悪役長官の性根と頭脳がお粗末過ぎる事による荒唐無稽なストーリー、新味のないバスシーン、強引にも程がある結末に唖然とさせられます。しかし、ゲーム感覚で観るロードムービーとしてそこそこ楽しめる作品で、雨あられの銃声から、昔、ガンバレットにはまって夜毎に撃ちまくって熱くなっていた事思い出しました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-12-04 04:45:10) |
2386. 網走番外地(1965)
《ネタバレ》 初見。期待外れ。唐突な脱走で興が一気に醒め、そこからラストまでの冗長さにウンザリとなり、ラストにガッカリさせられました。健さんのオフクロを思う描写がくど過ぎて鼻につき、南原宏治(爬虫類のようなねっとりとした演技は見事)までが口にするに至っては安っぽさに白け返ります。わずかな出番でありながら役者としての格の違いを見せ付けた嵐寛寿郎との絡みをメインとし、彼との別れをラストとした作品であれば名品に仕上がった気がします。 [DVD(邦画)] 4点(2009-11-30 16:59:14) |
2387. ビーグル犬、シャイロ
ビーグル犬大活躍コメディの期待に反した点は物足りないものの、親が子供(小学生くらい)の願いや困難に、「安易に」応えたり手助けしたりはしませんが、その親子関係は強い絆で結ばれている、というしっかりしたストーリーは観るべきものがありました。どっしりしたロッド・スタイガーが作品にも重みを加えています。 [DVD(字幕)] 4点(2009-11-30 04:55:21) |
2388. 狼(1955)
《ネタバレ》 マスコミに「群狼」と名づけられた五人組。「狼の皮を被った羊」達が「羊の皮を被った狼」達に翻弄される過程が実に実に丹念に描き出されています。時代の被害者であり且つ加害者であるという彼等に対する監督の視線に、胸が詰まってしまう作品です。 [DVD(邦画)] 7点(2009-11-29 14:35:09)(良:1票) |
2389. 007/ムーンレイカー
《ネタバレ》 徹夜明け、眠気覚ましに観ていると、殆どのシーンに、「そういえば、あったよ、あった、このシーン」と記憶が甦り、観終わった後に当時映画館で観た事を思い出しました。アクションは破壊っぷりがアッパレだったガラス博物館シーンを筆頭に楽しいものですがハラハラもワクワクもしない。このぬるさが作品全体としての記憶が残らなかった原因で、ジョーズが好々爺になっちゃったのがぬるさの決定的な要因となっています。 [DVD(字幕)] 4点(2009-11-26 11:16:48) |
2390. ナインスゲート
《ネタバレ》 重厚で端正、僅かな空気の動きの如く漂う不穏さ、死体の描写の生々しさ。ポランスキー特有の映像に満足。ジョニー・デップはその世界に、久々に観たエマニュエル・セイナーのやはり濃いキャラクターはストーリーに、それぞれマッチしています。悪魔の手の上で踊らされる人間の欲望が描かれる中で、金の亡者がその門をくぐるラストは良いとして、バルカンの最期の陳腐さに監督の集中力が途切れたのかと思いました。また、金儲けの商品としての書籍に対する扱いがぞんざいであるのが始終気になりました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-23 03:25:50) |
2391. スウィート・ノベンバー
前半部分は結末への興味を持てたのですが、後半は結末が見えるつまらなさと、サラの身勝手さへの腹立たしさでサッパリでした。彼女にかかわる男性は皆寛容であり、音楽・映像と併せてカラリとした心模様も窺えるのですが、それ以上にうそ臭さを感じてしまいました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-11-23 02:31:56) |
2392. プライベート・ライアン
臨場感は凄いです。確かに。リアルさを窮めて悲惨さを訴えようとしているのでしょうが、そこは人殺しの道具を持った者同士が殺しあう、言うまでもない狂気の場。これみよがしで執拗過ぎる描写。ミッションはおらが軍の人道主義を誇示するプロパガンダ。二つの相乗効果で味わう不快さが特筆に価します。 [ビデオ(字幕)] 0点(2009-11-22 03:07:51)(笑:1票) (良:4票) |
2393. シンドラーのリスト
7,8年前の年明け早々の深夜に一人で観ました。子供がトイレに逃げ込んだら子供で満員状態、その中の一人が「出て行け」と言うシーンに泣きそうになりました。このシーンのために以降一度も本作は観ていません。所長を始めとするナチスの行為。平時ならごく普通の精神の持ち主が戦争という状況ではどんなことでも何とも思わずにやってのける事を、数ある戦争ものの中でもイヤというほど見せ付けます。そのような皆を狂わせる戦争の空間に於いて、聖人君子でないシンドラーが自らの立場で精一杯自らの意志を通した事に千金の重みを感じるのです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-20 02:21:08) |
2394. ボルサリーノ2
《ネタバレ》 摑まってアルコール漬けにされてヨレヨレになるところに悲しみ、3年(2年だったか?)後に復活して舞い戻る「ボルサリーノ号」に大喜びし、大暴れに喝采し・・言う事なしの作品です。 [地上波(吹替)] 7点(2009-11-19 03:30:41) |
2395. ボルサリーノ
マネキンにも勝る完璧な着こなし、ドロンのビジュアルのかっこ良さは本作が一番。陰気臭さ、悲惨さとは無縁の痛快な物語にマッチしていました。テーマ曲も同様で、忘れじの名曲です。 【2023.12.10追記】 満を持しての劇場鑑賞。 記憶が全く残ってないのが幸いしたか、他愛ないギャングものであっても、音楽同様にカラリとしたドロン&ベルモンドの青春模様が心地よく、ほろ苦い結末と共にこの先忘れる事は無いでしょう。 素敵なひとときに大満足。 余談ながら、魚市場に放たれる猫軍団に、何時も見ている野良猫動画の面々が浮かんで声出して笑っちゃいました。両隣の方ゴメンナサイ。 [映画館(字幕)] 8点(2009-11-19 03:22:41) |
2396. 失われた週末
《ネタバレ》 重苦しくヤキモキ、イライラさせられる作品です。彼女の献身的なところは映画ならではですね。自身の痛い、苦しいは、誰にも分かってもらえないばかりか、鼻で笑われるものなのです。ハッピーエンドにうそ臭さを感じます。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-18 01:55:02) |
2397. 007/ダイ・アナザー・デイ
《ネタバレ》 長期間捕虜になったボンドがロン毛になっただけでピンピンしているのですから、ストーリーなどハナからどうでも良いのです。ドッカン・バッタンのアクションと数々のお笑いグッズを気楽に楽しめるのですが、少年のようなハル・ベリーには興醒め。ボンドガールは重要な部分なのでミスキャストは痛いです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-11-18 00:12:12) |
2398. ゴッドファーザー PART Ⅲ
《ネタバレ》 腐れ外道の因果応報な末路、廃人の如きパチーノにカタルシスを得ました。「他人の痛みが少しでも分かったか」 [ビデオ(字幕)] 4点(2009-11-17 16:53:34) |
2399. 八甲田山
《ネタバレ》 無能な者の誤った判断のために、多くの部下が苦しみにのたうって死んでゆく。正視できない酷さです。山田少佐の自決にプラス5点。明治の人は恥を知っていたようです。 [地上波(邦画)] 5点(2009-11-17 16:16:12) |
2400. トニー滝谷
原作未読。予備知識なし。緩やかに流れる画面がトニーの幼少時からの歳月の過ぎ行く様と合致します。独りから二人に、そして独りに。感情の機微が滲み出るイッセー尾形の演技は見事。音楽は不要に思いました。 [DVD(邦画)] 5点(2009-11-16 22:41:10) |