2381. お嬢さん乾杯
おっと、意外にもレビュー数が多いんですね! やはり、木下惠介監督の知名度がなせるわざか?! さて、本作は嫌味のない、そしてシンプルに心和ませる作品です。 ほんとに木下監督は幅が広い! 悲劇から喜劇まで撮れてしまう監督さんだ。 原節子って、やっぱり20代の頃が圧倒的に綺麗ですね。 『河内山宗俊』でもそうでしたが、まだこの頃は顔にクセもないし、ふっくらし過ぎてもいない。 まさに清楚な女性の鏡なのであります。 小津作品での原節子はどうも好きじゃありません。 笑顔が不自然で、どこか怖いのです。 作り笑いが過ぎるというか。 ところが、本作での原節子は神々しいほどに、清楚で控えめな美しさを画面いっぱいに発しています。 原節子の魅力を存分に味わえる作品だと思います。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-28 23:27:48)(良:1票) |
2382. DEAD END RUN
《ネタバレ》 浅野忠信、伊勢谷友介、永瀬正敏の3人が、それぞれ別の作品に登場するオムニバス作品。 浅野忠信は3つ目、つまりは最終作に登場。 それまでの2作品がダークな映像だったのに対し、浅野忠信の作品だけは、ものすごく明るい。 というか、まぶしいくらいの映像。 最初の2作品で鬱積していたものが、浅野忠信の登場する3作品目で一気に解放される感じ。 この解放感が、実に映画的で素晴らしい! むちゃくちゃ快感! この作品を評価する人は少ないと思うけど、あの「解放感」に8点を献上したい。 [DVD(邦画)] 8点(2008-05-28 19:24:09) |
2383. 美貌に罪あり
《ネタバレ》 増村保造っぽさはなく、ハッピーエンドな娯楽作である。 何もかもが、丸く納まっていくラストは、気分は良いが、少し都合良すぎの感がある。 話は単純なので、ハッピーエンドと単純な娯楽話を素直に楽しめれば満足できるであろう。 逆に、増村作品によくある毒ッ気を期待してしまうと、何とも居心地が悪くなってしまう作品である。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-27 22:58:51) |
2384. 未知への飛行
あまりに真面目すぎて、決して好みの作品とは言えないが、ラストに至るまでの緊迫感が尋常でなく、“隠れた傑作”と言われる所以を理解できた。 ヘンリー・フォンダの熱演も素晴らしい。 [DVD(字幕)] 7点(2008-05-26 23:19:24) |
2385. 新宿泥棒日記
《ネタバレ》 やっと観ることができた。 でも面白くはなかった。 良くもなかった。 当時の新宿をもっとリアルに細かく描写しているのでは?と勝手に期待していたが、期待はずれ。 新宿の野外シーンがもっと出てくるのでは?と勝手に期待していたが、これも期待はずれ。 紀伊国屋のシーンが多すぎて、当時の新宿の雰囲気とか喧騒とかが伝わってこない。 ところで、1970年前後の新宿、つまりは、野坂昭如辺りがたむろっていた頃の新宿を、ドキュメンタリーに映し出した作品ってないんだろうか? もしそんな映画が存在するのなら、是非観てみたい。 とにかく期待が大きかっただけに、かなり残念だった。 ATGなのだから、考えてみれば予想がついたことだが、前衛的な作風でなく、新宿で当時を起っていた様々な事象を、もっと客観的に描いてほしかったのだ。 唐十郎や麿赤児、そして横尾忠則など個性的な出演陣が出演している。 個人的には、どれも生理的に受け付けなかった。 その辺も居心地の悪さとして、観た後にもマイナスのイメージを遺してしまったようだ。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-05-25 23:35:27) |
2386. 博奕打ち 総長賭博
《ネタバレ》 ヤクザ間の抗争を描いた群像劇であるが、なかなか見応えがあった。 主演の鶴田浩二をはじめ、脇役陣の熱演が光る力作である。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-24 21:34:01) |
2387. 野性の少年
ネストール・アルメンドロスによるモノクロは映像はとても美しい。 話は淡々と進み、まずまず面白いものの、フランソワ・トリュフォー作品ならではの魅力は感じられない。 [DVD(字幕)] 5点(2008-05-24 12:19:10) |
2388. インド行きの船
《ネタバレ》 前半部分は、船長である父親とその息子との確執を描いている。 これが何とも陰惨で、観ていて辛くなった。 しかし、中盤からは恋愛の要素も絡んできて、面白くなってくる。 息子と彼女(父親の情婦)との水車小屋における戯れは、とてもすがすがしく、それまでの暗い展開のせいで、どんよりしていた気分が多少なりとも上がっていった。 それにしても、ベルイマンらしい暗すぎる映像。 これは何度観ても、単に観づらいだけで、どうも好きになれない。 、、とここまでみてくると単なる凡作のようだが、そんなことはなく、ラストがとても良かった。 愛する女性を8年もの間想い続け、8年ぶりに帰郷した息子。 しかしそこには精神的に病んでしまった彼女がいた。 息子は必死に連れ出そうとするが、自閉的になってしまった彼女はそれを拒む。 だが、彼女に一途な愛情を持つ彼は、彼女を救いたい一心で、必死に説得をする。 その想い通じてか、彼女は結局、彼と旅に出る。 女性を愛する気持ちがあれば、どんな苦難でも乗り越えられる。 そして、その女性がどんな状態だろうとも、身を呈して救うことができる。 愛の持つ力が、ストレートに伝わってくる見事なラストだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-22 23:30:39) |
2389. 濡れた二人
《ネタバレ》 わぁー、なんで私がレビュー第一号なんだーーー 普通にビデオ出ているのに、もったいなーい! 、、といいつつ、私も今回やっと観たわけですが。 内容的には、情熱的メロドラマです。 都会の欲求不満な女性(若尾文子)と、熱いだけで子供な青年(北大路欣也)とのロマンスなのです。 若尾文子は二の腕のたるみが気になるものの、足もスラリと綺麗で、美白で、とても色っぽいです。 それに対し、北大路はドラえもんみたいで、全然かっこよくないです。 でも、このドラえもんの様な垢抜けない感じが、見事に役にハマっています。 さすがは増村保造監督という感じです。 それにしても、北大路のバイク運転技術はすごい! 私もバイク乗りですが、あの運転は見事だった。 さて、内容に話を戻します。 北大路の若い情熱が若尾文子に向けられます。 その情熱に若尾文子は吸い寄せられてしまいます。 外見とか世間体とか関係なく、ただただ「自分のことを好きと言ってくれる」ということに惹かれてしまうのです。 もし本当だとすれば、女性を口説くには、一にもニにも情熱ということになります。 いや、情熱が一番に決まってます! 情熱さえあれば、ドラえもん田舎男でも、洗練された大人の都会人女性を口説けるのですから! 決して傑作とは思えませんが、本作はとても味わいのある作品だと思いますね。 「好きだから会いたい」。 この言葉、非常に含蓄があります。 だけど、実際には厳しい現実社会が横たわっています。 現実社会と「好きだ」という感情とが、激しくぶつかり合い、そこにジレンマが生まれ、言葉では言い表すことのできない状況に男と女は巻き込まれる。 そういった様子が、映像的にとても巧く表現されています。 それを巧みに表現してみせた増村監督は、まさに職人監督だと思いました。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-05-20 23:39:14)(良:1票) |
2390. 修羅雪姫(1973)
1973年の作品とは思えない程の映像美! これは素晴らしいの一言に尽きる。 雪が降り、紫紺の着物が風に舞う。 そこに同じく紫紺の和傘。 そこに佇む梶芽衣子。 これだけで十分、画になるのに、映像まで素晴らしい。 ただし、その映像センスに比し、どうも演出が稚拙。 ストーリーもやや破綻気味で、リアリティの欠如は否めない。 しかし、そこが逆に言えば本作の楽しみ所で、それをどれくらい素直に受け入れられるかで、本作の評価は決まってくるであろう。 でも、当時、梶芽衣子は20代中盤。 それにしちゃあ老けてる。 なんか目にクマもあるし。 確かに色っぽいが、もう少しみずみずしさがあったら、もっと完璧なのだが・・・ [DVD(邦画)] 7点(2008-05-19 22:40:20)(良:2票) |
2391. 銀河鉄道999
テレビシリーズや原作漫画の『銀河鉄道999』が大好きなだけに、本作はどうにも納得がいかなかった。 大体、2時間で『銀河鉄道999』をまとめてしまおうという発想自体に無理がある。 又、ラストも投げやりなのかと思ってしまうくらいの酷い展開。 『銀河鉄道999』が大好きなだけに、ショックが大きかった。 [ビデオ(邦画)] 2点(2008-05-19 00:40:39)(良:1票) |
2392. ある結婚の風景
何と言うか、気分が軽くなるような作品ではないものの、とても重厚でいて、いかにもイングマール・ベルイマンらしい作品だ。 「夫婦喧嘩は猫も食わない」というが、前半は夫婦喧嘩のシーンばかりで、正直嫌気がさした。 しかし、観進めて行くうちに、そんな単純な内容でないことに気付かされた。 夫婦というより、一組の男女の生き様をあらゆる方向から描いた力作だったのだ。 まさに凄い考察力。 ベルイマンの凄さを再認識した作品となった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-18 21:07:12) |
2393. 大地の子守歌
『おしん』の様な話はどうも苦手なのだが、ラストは感動できた。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-18 15:25:33) |
2394. 草の上の昼食(1959)
フランスの巨匠ジャン・ルノワールらしい王道的な作り。 小ざかしい技法は一切排し、自然の素晴らしさ、美しさを観る者にストレートに訴えかけてくる秀作である。 本作は、緑の美しさ、小鳥のさえずり、草の根の息吹、母なる女性の美しさ、自然の開放感などを雄弁に語っているのだ。 科学は人々の生活を豊かにするが、それと同時に自然の素晴らしさをお座成りにしてしまっている。 自然の素晴らしさとは何か、科学とはどういうものか、そういったことを考えさせると同時に、自然の気持ちよさを体感できる、非常にバランスのとれた作品である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-17 15:20:20) |
2395. 私のように美しい娘
フランソワ・トリュフォーにしては珍しい作風。 サスペンス風味と探偵モノと犯罪モノとラブストーリーとエロティックな要素が複雑に絡み合った作品。 トリュフォーがいかにジャンルを問わないチャレンジ精神を持っていたかが解る。 同胞のジャン=リュック・ゴダールが自己の形式を確立し、その中にこもり続けるのに対して、対照的であると感じた。 ヒロインの女性よりも、主人公の秘書役を演じたアンヌ・クレイスに目を奪われた。 とてもオシャレだし、とにかく愛らしい。 本作の後、映画に出演していないのが残念だ。 ただし、作品の内容自体はなかなか楽しめるものに仕上がっている。 傑作とまではいかないが、なかなかの良作である。 最後まで飽きずに観ることができたし、ラストの二転三転する展開も良かった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-17 00:59:57) |
2396. シミキンのスポーツ王
題名からして凄い。 なんだ「スポーツ王」って。 日本語の範疇を超えたキテレツな題名。 内容はとにかくハチャメチャ。 ドタバタ喜劇を超えて、ハチャメチャ喜劇。 もうやりたい放題。 バカに成りきって観られれば楽しめる、かも(?)。 ところで、川島作品のキャスト・スタッフ表示って面白い。 とても個性的。 『お嬢さん社長』でもそうだったけど、ナナメに字が流れたり、そもそも字がナナメだったりする。 これは独創的だ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-15 22:33:48) |
2397. 狂熱の孤独
ジェラール・フィリップの魅力あふれる本作。 ダンスを披露するが、これが何とも素晴らしい。 そして長い長い。 見ているこちらが息切れするくらいにハードに長く踊る。 そして、汚い身なりのジェラール・フィリップも、また新鮮。 これが意外と様になっていて、驚いた。 小奇麗な優男イメージがこれで払拭された。 話としてはなかなか深刻な内容だが、劇中でタフに活き活きと生きる主人公を観ていると、とても元気が湧いてくる。 そんな、愛すべきフランス映画だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-14 22:50:28) |
2398. どん底(1936)
《ネタバレ》 本作で根底に流れているテーマは「愛の力」。 愛さえあれば、人はどんな“どん底”からでも這い上がれる。 そんな前向きで楽観的なメッセージが伝わってくる作品です。 その反面、アル中である人間が更生を夢みて前に進もうとするが、ちょっとした一言でその夢は儚くもくずれ、その後首をつってしまうという、「人生、一寸先は闇」といったシリアスな面も描いています。 また、「友情」「仲間意識」「嫉妬」「愛と金と権力」など、様々な人生に関するテーマがてんこ盛りで、人生勉強すらできてしまうという内容。 ジャン・ルノワールに対し、私はブルジョアというイメージを持っていました。 しかし、そんなルノワールが、こういった社会の底辺にいる様な市井の人々の暮らしや気持ちを、ここまで詳細に描けるなんて、とても驚きました。 ルノワールという監督は、何て幅が広いんでしょうか。 本当に驚きです。 この人間的な幅の広さこそが、ルノワールをして、巨匠と呼ばれている所以なんじゃないでしょうか。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-14 22:39:22) |
2399. お嬢さん社長
私的には川島監督の魅力というか、川島作品らしさがよく出ていた作品だと思いました。 確かに美空ひばりの歌ばかりで、どうかと思うシーンも多いですが、川島監督作品らしい人情・喜劇ぶり、そして川島監督の人間に対する愛情みたいなものが良く伝わってきました。 けっして傑作と言える様な作品ではありませんが、愛すべき川島作品の一つだと私は感じました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-14 01:36:49) |
2400. フランソワ・トリュフォー 盗まれた肖像
《ネタバレ》 題名の通り、フランスの巨匠監督であるフランソワ・トリュフォーの人生を綴ったドキュメンタリー。 ちなみに、私の好きな映画の見方は、監督別に作品を次々と観ていって、ほとんどの作品を観終えたところで、その監督についてのドキュメンタリー作品を観る、といったものである。 トリュフォー作品は現時点で20本近くを鑑賞した。 そこでようやく本ドキュメンタリーを鑑賞することにしたのだ。 本作はインタビュー中心で、作品映像はそれほど沢山は出てこない。 その他、ジャン・ルノワールやアルフレッド・ヒッチコックといった巨匠たちの貴重な映像も観ることができる。 特にルノワールが実際に話す映像を観られたのは収穫だった。 トリュフォーという人は、陽気でありながら内気で、男性でありながら女性的で、インテリ風でありながらゴロツキという、常に二面性を持った人間である。 そして、又、本作では沢山の人のトリュフォーに対する意見が出てくるが、それが面白いように相反している。 トリュフォーに対する人間像というのは、面白いくらいに人によって異なっている。 それだけトリュフォーという監督が、人間的に奥深く、魅力溢れる人間だったということだろう。 それにしても『緑色の部屋』に出てきたナタリー・バイは、いつになっても綺麗だなぁ・・・ [ビデオ(字幕)] 6点(2008-05-12 22:31:58) |