2461. ドレッサー
《ネタバレ》 座長とオカマちゃんの掛合い台詞がほとんど全てと言っていい内容の作品なんですけど、それだけで最後まできちっと飽きさせる事なく見せてくれる演技とウィットに富んだシナリオはとても素晴らしいものがあります。嵐の再現シーンは思わず爆笑してしまい、ラストの昇天シーンでは、ぐっと胸に詰まるものがありました。喜怒哀楽を一点に集約したような、大げさに言うと「人生の凝縮」ような作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-11 23:15:38) |
2462. 鉄コン筋クリート
《ネタバレ》 鉄コン筋クリートの世界観、街の色彩や空気感が凄くいいですね。とても汚らしいのに、また同時に綺麗で美しくもある。美醜一体となった街並み。クロとシロの声を二宮和也と蒼井優がやってるそうですけど、両方とも凄くうまい。特に蒼井優はドンピシャですよ。ただ、前半と後半でだいぶ展開が違うんですけど、その後半の観念的な世界がね、ちょっとついていけなかったですね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-01-06 23:08:30) |
2463. ニクソン
《ネタバレ》 オリバー・ストーン自身、ベトナム戦争を経験している身ですから、社会派である彼がケネディとニクソンを取り上げるのはいわば必然といえるでしょう。「JFK」も「ニクソン」もやたらと長い大作ですけど、率直に言ってこの作品はその長さに値するほどの重みは感じなかったですねぇ。やたらとコラージュが多くてね、あまり必要性を感じない「映像の波」が多い様に思います。全体としても、焦点の定まってない、まとまりのない印象を受けました。ニクソンが苦悩する個々のシーンはそれなりに面白いんですよ。例えばお母さんが亡霊のごとく出てきてその姿に脅える様だとか、あるいはキッシンジャーと二人で暖炉の前に跪き、神に許しを乞いて涙を流すシーンとかね。だけど、家族と同僚、ベトナム戦争とウォーターゲート事件、描かれ方がどれも中途半端で、芯の通ったストーリーラインが見えてこない。ニクソンが行った外交政策や内政を考えると、それが良かったのか悪かったのか、まだ判断しにくいものが多い。そういう悩ましい人物の半生を描くのは確かに大変ですけど、だからといって作品までブレて、なんとも判断しにくい出来映えになっちゃうのはどうなのかね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-01-06 22:23:15) |
2464. HERO(2007)
《ネタバレ》 まぁそれなりに面白く見れたことは事実だけど、法廷でのキムタクの長台詞、カミカミじゃなかった?キャラを活かした笑いはなかなか楽しいものがあるけれど、どうせならもっとアクションをふんだんに盛り込んで、視覚的にスケールアップしないと、「これじゃあテレビで十分だ」という意見も頷けてしまう。ただしかし、現にこの作品は2007年の邦画興行収入ランキングでトップだったそうで、ドラマを見ていない私の様な一映画マニアには、なんだかしゃくぜんとしないものが残る。思えば今の実写邦画で売れるものは、テレビドラマを映画化したものばかりではないか!この流れは当分廃れようもなさそうだ、、、。 [地上波(邦画)] 6点(2009-01-06 18:14:57) |
2465. 黒い雨
《ネタバレ》 皆さん書かれている通り、風呂場で髪が抜け落ちる様を目撃するシーンはもの凄くぞっとしますね~。原爆が投下された広島の光景をリアルに描いた点も勿論秀逸ですが、なによりも原爆症の大変さを世に知らしめるという教育的観点からいってもこの作品には有意義さがありますよね。そりゃ確かに、今村さんの作品の中では異色かもしれませんよ。だけど、それでも自身が監督されたというのは、他の誰も撮らないから、自分がやってやるんだ、後世に伝えなきゃならないんだっていう、そういう使命感みたいなものがあったからなんだと思いますね。もの凄く重たい作品ではありますが、見応えは十分です。ただ、武満さんの音楽は正直言ってストレートすぎるかな、という印象も持ちましたね。画であれだけ恐ろしさが存分に出てるのに、さらに音楽であんなに煽らなくても十分じゃないのかなぁと。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-30 21:47:01) |
2466. ローマ帝国の滅亡
《ネタバレ》 もの凄い数のエキストラを使って、物量作戦で凄みを醸し出そうとしてるのはわかるんですが、正直言ってあ~んまりお話に面白みがないですよねぇ。いやまぁ戦車での闘いや、ラストの一対一の槍での対決なんか、それなりに緊張感あるんですけどね。ただ下の方も書いてるように、私もテンポが少々遅いかなぁ、て思っちゃいましたね。ローマ帝国がなぜ崩壊したのかは諸説ありますが、この作品ではアウレリウスの時代までは真っ当な治世が行われていたのに、その息子のコモドゥスがどうしようもない野郎で、虐殺が行われ世は混乱し、その後300年かけて滅亡へと至ったきっかけなのだと言う事で締めくくられる。どの程度史実に忠実なのかはさておき、一国が滅びる要因は、外的原因よりも、まず内側から瓦解し、そして外圧で滅ぼされるという、その点は凄く納得出来る。最大の敵は自分自身であるというのは、国家も一人の人間にとっても、同じなのかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-29 23:26:53) |
2467. うなぎ
《ネタバレ》 今村さんの晩年の作品は、よくも悪くも一般的なストーリーラインに乗っ取った、まとまった映画になってるけど、これはやっぱり息子の天願さんが脚本に関わる様になったからなんでしょうね。独特な笑いや、UFO青年なんかにそういうものを感じます。こういう、過去に影を持った男が再出発を図るも、その呪縛からうなぎのごとくもがいて逃れようとしながら、いろいろあって前進していくという、そういう生き様に私はシンパシーを感じますし、また、どれだけ泥にまみれようとも、その姿を慈愛溢れる目で見つめ続ける今村さんの一人の作家としての寛大さが見て取れる様な気がします。それにしても、今村映画に出てくる女性というのは、やっぱり「男の目から見た女」という印象が強い、いわば古風なタイプですよね。こういう風な古風な女性像というのは、もう今の映像作家が作る作品にはまずお目にかからない。なんだか時代の違いみたいなものを感じてしまいました。 [DVD(邦画)] 8点(2008-12-29 22:44:03) |
2468. トレーニング デイ
《ネタバレ》 この作品の一番の持ち味はやっぱりリアリティですよね。アロンゾはとんでもない悪徳警官で、後半からジェイクは彼に闘いを挑む事になるわけだけど、もしこの作品にリアリティが欠けてたら、ただの安っぽい勧善懲悪ハリウッド映画で終わっちゃってると思うのよね。だけど撮影場所も実際のロスのもの凄く治安の悪い区域で、それもギャングも本物出して撮影してる。そしてまたデンゼル・ワシントン扮するアロンゾもキャラとして嘘くさくなく、ジェイクを説得しようとするその屁理屈も、いちいち不思議な説得力があって思わず納得しちゃいそうになる。そういうリアリズムを持つ背景としてあるのは、デンゼルの俳優としての力量も勿論あるわけだけど、そういう真っ当なキャラを作るために、きちんと一人の刑事の成り立ちを考えてキャラ作りしているからに他ならない。つまりは、アロンゾ自身は、元々はジェイクと同じように、正義感溢れる真っ当な刑事だった。だけど潜入捜査をやっているうちに、自身も段々と悪に踏み込むようになってきて、そしてついには逃れられず、それが常態化してしまった。こういうプロセスは現実に、大いにあり得ることじゃないかと思うのよね。それで法を盾にして、いつしか自分が王様みたいな気持ちになってしまう。そういう人間の内面のリアルな様を、有能な俳優がリアルに演じ、リアルな場所で演じているからこそ、例えば親友殺し&金銭ネコババのあまりに理不尽な展開や、ジェイクがゴロツキに殺されそうになる時、いとこの財布を持っていたから助かるというご都合主義展開も、そういう「映画的嘘」を「映画的リアリズム」が凌駕してるから、この作品は緊迫感を持った一級のサスペンス映画として成り立ってるんだと思う。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2008-12-28 23:21:33)(良:1票) |
2469. タクシデルミア ある剥製師の遺言
《ネタバレ》 映像表現がもの凄く斬新でして、内容も含め、今までに見た事もないようなタイプの作品だなというのが正直なところ。なんといいましょうか、超現実と現実のせめぎ合い、あるいは混沌とでもいいましょうか。例えばオエ~オェ~とゲロを吐くシーンなんかは、その吐き方が実に漫画っぽくて下らないんだけど、でもやっぱり見ていて気色悪いなと思うし、○液をピュっと放出してそれがお星様になるシーンなんて、その発想自体があまりに馬鹿馬鹿しいんだけどでもやっぱり見ていて気持ち悪いなぁ、て感じる。伸びきったスライムみたいになっちゃった超デブのお父ちゃんが銀紙のままチョコ食いまくるシーンもめちゃ笑えるんだけど、息子の自己剥製シーンは見てると嫌悪感を抱く。そういう下らない超現実と、グロテスクなリアルの一体感。ストーリー自体は親子3世代に渡る話で、心を通わせるような台詞もほとんどなく、つまりはアイデンティティ追求型の内へ内へと向かっていく作品。だからソフト面でもハード面でも、一般的な映画とはかけ離れており、一言で言い表すと「究極の内省型お馬鹿グロテスクムービー」とでもいえばいいだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-27 01:14:01)(良:1票) |
2470. カンフー・パンダ
《ネタバレ》 このパンダ君は全国のちびっこ達、意志薄弱な青年達、メタボ症候群のお父さん達に勇気と希望を与えてくれます!「特別な材料なんてないんだ」のメッセージはシンプルでいいですね。古代中国の風景とか小道具のファクターとか、ああいうのをフルCGで見るとまた新鮮な魅力があってよろしい。まぁ、ピクサーのアニメには劣るものの、ドリームワークスもそれなりにがんばってるなという印象。 [DVD(吹替)] 6点(2008-12-25 01:48:15) |
2471. ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
《ネタバレ》 ふぅむ、マミーというよりは泥人形でござるな。悪役の将軍もどっかで見た事あるなと思ったら「インファナル・アフェア」の刑事さんじゃありませんか。こんなお馬鹿な映画なのに、あんなにマジ面で演技してるのが笑えます(笑)。ヒマラヤではイエティが出てくるし、皇帝はなぜかキングギドラに変身する始末。中国が舞台なんだけど、シャングリラの光景は、横になって寝る大仏さんといい宮殿といい、見た感じタイ風。最初の方では忍者みたいな格好した女も出てくるし、とりあえずアジアンな要素は全部ぶち込んどきましたよ~、みたいな。「呪われた皇帝の秘宝」なんて固いサブタイトルじゃなしに「アジアの化け物大集合!」とかにすればよかったのにね。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-24 21:39:14) |
2472. 山のあなた 徳市の恋
《ネタバレ》 70年前の作品のシナリオや構図をそのままに、それでいてフルカラーでやってるわけですけど、このリメイクは見事に成功してると言っていいですね。ゆったりとしたテンポで進み、独特の台詞回しやユーモア、微笑ましさなど、その当時の映像作家の感性をそのまま見事に蘇らせていて、今こうやってこういうスタイルを見ると実に新鮮に感じます。芝居がかった演技や、温泉街のCG臭さなど、普通はマイナスにとらわれがちなこれらの要素も、個人的にはむしろこの作品の「御伽話」的雰囲気に一役買ってるような気がして、好意的に見れました。白く輝くお天道様の下、温泉の煙もくもく湧き出る鯨屋の宿。郷愁な雰囲気たっぷりでよかったです。 [DVD(邦画)] 6点(2008-12-23 21:32:09) |
2473. サンタクローズ
《ネタバレ》 さすがはアメリカ。サンタという職業も契約社会なのね(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-23 00:01:26)(良:1票) |
2474. ギャンブル・プレイ
《ネタバレ》 一応サスペンス映画ってことでジャンル分けされてますが、全然サスペンスじゃありません。派手さもなければ巧妙なトリックも無い。あるのはボスニア娘のエロさのみ。ハスキーボイスと限りなく素に近い演技。そう、彼女を見る為だけにこの作品の存在意義はある、と言ってもいい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-17 23:09:56) |
2475. 庭から昇ったロケット雲
《ネタバレ》 男なら誰だって自分の「夢」を持ちますもんね。だけどそれを実現させるとなると、いろいろな困難がある。まずはお金の問題。それから法律や国家の壁。周囲の無理解に家族の崩壊。主人公のファーマーは、一度は宇宙飛行に失敗してしまう。「俺は馬鹿だった、、、」と夢を諦める彼に、妻はこう寄り添う。「家にはロケットが必要なの。息子には夢は叶うんだということを教えてやって」夢か家族かの二者択一だったものが、一つになった時、ついに宇宙飛行は実現する。まぁこの点がこの作品の唯一の「ぐっとくる」ポイントなんですけどね。ただ、全体的にあっさり風味で軽薄で、感動度のレベルで判断すると凡作だな、と言うのが正直なところ。最初に宇宙飛行に失敗した時、宇宙船が転がるその様がまるで漫画みたいな画だったのが残念。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-15 22:15:40) |
2476. お姉チャンバラ THE MOVIE
《ネタバレ》 原作がゲームだからというのもありますけど、バッシュバッシュ人を斬っていく様はまさにゲームをプレイしているような感じそのものですよね。女の子達のコスチュームもキャラそのものだしね。ただ欲を言えばね、主人公の彩なんか、もっと露出度が高くてもいいと思うのよね。というかそこが一番の売りなんじゃないのと。そこをもっとがんばんなさいと。言いたいわけですよ、ええ。あと終盤の姉妹対決がね、ちょっと長く感じたな。 [DVD(邦画)] 5点(2008-12-14 00:40:27) |
2477. 予期せぬ出来事
《ネタバレ》 出演陣の豪華なメロドラマといったところですかね。特にオーソン・ウェルズなんてかなりのちょい役。群像劇として、それなりに見せてはくれますし、ラストで結局ヨリを戻す展開が気持ちいい裏切りで上々の締めなんですが、まぁこれといって派手さも無く、全体的には並の作品かなぁと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-14 00:29:56) |
2478. ウォーリー
《ネタバレ》 いや~、さすがはピクサーですね。毎回見る度に思いますけど、彼らが作るアニメーションは、人間の原初的な部分、心の一番奥深いところに訴えかける力を持ってますよね。もぅ~、とにかくウォーリーが可愛いのなんの。「ウォーリーくん、こっちおいで~」と呼んで思わず頭ナデナデしたくなるような、そんなキュートさ。ラストで彼の記憶が喪失してしまったのか、と思いきや、再び蘇り二人で手をつなぐシーンで、私の目から汁が2滴ほど垂れ落ちてきてしまいました。きっちり感動させてくれる、憎い演出ですよまったくもぅ!ただ、宇宙船に乗り込み、ぶよぶよのマシュマロマン状態になった人間がわらわらと出てくるシーンあたりから話が少々中だるみしている様な気がします。中盤をもっとシェイプアップして笑える要素を多く散りばめたらさらによくなったかな、と思います。なにはともあれ、このロボット達は私たちにいろいろなことを教えてくれます。さぁ皆さん、手をつなぎましょう!視野を広く持ち、自分の力で道を切り開き、そして心に思いやりの草を植えましょう!もちろん、体を動かす事をお忘れなく。あぁ!文章にすると、なんて陳腐で説教クサい代物になってしまうのでしょう、、、。でもこの作品はそれをストーリーで伝えてくれるから、全然説教クサくないんだよ!とにかくこれだけは言える。ピクサー社は今、世界で最も良質なアニメを作り出すスタジオです。たとえディズニーに飲み込まれても、彼らの精神は全く変わっていなかったことに、私は安堵の胸を撫で下ろしたのでした。 [映画館(吹替)] 7点(2008-12-04 22:05:33)(良:2票) |
2479. チェスト!
《ネタバレ》 序盤から繰り広げられる笑いがあまりにベタだったもんで、こりゃひょっとして内輪向けの映画かしら、と不安を持って見ていたが、ストーリーが進むにつれシリアスな内容も含みだし、見終わった頃には爽やかな余韻を残す青春ものの良作であった。子供にとってはやはり家庭環境が一番重要で、大人達によって振り回され、悩ましいこともありながらしかし最後には自分たちで克服し成長していく。それにしても、桜島・錦江湾間の遠泳大会というのは実際に行われていて、小学生が4.2kmも泳ぎ切るというのは相当大変だろうに、と映画そっちのけで素直に感心してしまった。 [DVD(邦画)] 6点(2008-11-30 21:03:22) |
2480. ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛
《ネタバレ》 前作はいい意味でも悪い意味でも低年層向けと言う感じでしたが、今回は割とダークな色合いを深めてより大人向けな作風になってますね。格段によくなったなと思えるのは「見た目」。1作目は全体的にセット臭い感じがしたものですが、今回はどのシーンも絵画の様に美しく、壮大であります。ただ戦闘シーンは独創性に欠けるなと思うし、登場したアスランの説明もいまいちよくわからない。甲乙両方ありますけど、次への期待も込めて7点ということにしておきましょう。このシリーズで僕が一番気に入ってるのは、イギリスの現実世界からナルニアの世界へと移行するその様がとても素晴らしいって事。本作では地下鉄から美しい海と遺跡のあるナルニアへとシームレスに展開され、そしてまた冒険から帰って始めの地下鉄へと戻る。出発の時の「これからなにが始まるんだろう」というわくわくした感覚と、帰還した時の「あぁ、冒険はもう終わっちゃったんだ」というなんともいえない切なさ。この感覚が見事に表現されていて、これぞファンタジー映画の醍醐味だな、と、ふと童心に戻る自分がいるのでした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-27 22:55:22) |