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 > 枕流 さん
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プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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241.  ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
日本公開に向けて署名までしたのに、居住地域では公開の予定がなく、危うく観られないところだった。上京の際に鑑賞。鑑賞中はただもうひたすら笑っていた。署名した甲斐があった! 結婚式を翌々日に控え、バチェラー・パーティーで泥酔してしまった4人の男たちだが、翌朝気づくと新郎がいない。酔っ払って誰も昨夜の記憶をなくしている中、必死に新郎を探す3人だが、酔っている間にかなり無茶をやらかしたようで、次から次にトラブルが舞い降りてくる。 登場人物3名(新郎を除いて)のキャラがあまりにも立ちまくっている。一緒にいさせて面白い絶妙のキャラ設定と言えるだろう。モテる色男、マジメな男、ちょっと精神的にぶっ飛んだ男。なかなかすぐ仲良しにはなれそうにない3人だ。この凸凹トリオが新郎を翌朝以降必死に探すのだが、探している最中の3人のやり取りが傑作である。会話の噛み合わなさ、気持ちのすれ違いがたまらなく可笑しい。 加えて、イベントもてんこ盛りだ。僕は予告編を観てしまっていたのだが、予告編は観ずに観た方が良いだろう。まさにあっと驚く展開の連続。ラストも爽快で、シモネタが大丈夫なら(そんなに多くはないが含まれる)、絶対に観たほうがいい映画だ。最近観たコメディでは「ホット・ファズ」に次いで面白かった!
[映画館(字幕)] 8点(2010-09-20 22:39:55)(良:1票)
242.  ブルーノ
僕がサシャ・バロン・コーエンの映画を好きなのは、彼が僕の考える「笑いの極北」に到達しているからだ。だから、前作の「ボラット」も今回の「ブルーノ」も映画のつくりとしてはまずい部分があり、完全に成功してはいないネタが含まれていても、少し甘めの点数をつけている。人種・性的嗜好・宗教等、極めてデリケートな問題にも体を張って突っ込んでいく彼の意気込みは買わざるを得ない。 人は誰しも自分の拠り所にしている部分がある。例えばそれはキリスト教だったり、民族運動だったり、恋人に対する愛だったり、既存の制度(家父長制とか一夫一婦制とか)だったりする。そこに他人が干渉することを人は嫌う。特にその拠り所に疑義が差し挟まれるような体験は絶対にしたくないはずだ。それは彼らの今までの人生における一つ一つの行動や感情の正当性が突き崩されることを意味するからだ。 「同性愛では子供が生まれません。だから同性愛は神に背く行為です」という議論が通じる人もいれば通じない人もいる。子供が生まれるのが「正しい」性愛である理由は何か?そもそも神は実在するのか?と問い詰めれば、そこに具体的な証拠は何も出てこない(出せない)。最終的には生理的に受け付ける・受け付けないという話になるし、それは人によって異なり、時代とともに変わっていく。彼の映画はその深刻な議論に笑いにくるまれた一石を投じて、嫌がる僕らに現実やその矛盾を直視させるから好きなのだ。生理的な嫌悪感を感じさせるレベルにまで踏み込んで、僕らに「常識」を疑わせるのである。 現代の日本では、比較的人々の宗教心が薄いため、深刻な宗教問題は発生していないが、例えば嫌中・嫌韓感情や天皇の存在といった事柄については、人によって大きく考え方が異なり、よく爆発の火種となっている気がする。彼が日本に来たら、まず何をやらかしてくれるだろうか?そして、僕はその問題提起にアレルギーを起こさず、冷静にその問題を直視できるだろうか?見苦しい態度を取らないように、もっと自分や他人や社会を疑いながら生きていきたい。首尾一貫した考えを追求していきたい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-19 14:47:56)
243.  特攻野郎Aチーム THE MOVIE 《ネタバレ》 
輸送機から戦車で湖に着水!って聞いて「ちょwww」ってならない人には向かない映画だと思う。僕はなるタイプだから結構楽しめた。序盤からご都合主義で無駄にテンションが高いハリウッドアクションが怒涛の勢いで畳み掛けてくる。大体、場所が「メキシコのどこか」っていうアバウトさからしてシビれる。なんとなくメキシコっぽいところで、敵役がスペイン語しゃべってればそれは最早メキシコなのだ。で、メキシコは汚職とバイオレンスでできてる国なのだ。こういう大雑把な考え方でも全然ついていける映画もたまには悪くない。 あとは、主役4人の魅力が最高。フェイスやBAの「成長」を裏テーマに据えているのも悪くない。個人的には成長しないマードックが大好きなのだが。 それだけに、終盤の失速が惜しい!コンテナがガンガン落ちてくるのは、それなりの迫力だが、同時にCGが丸わかりでちょっと気持ちが萎えた。リンチも馬鹿すぎるしなあ。頭を使わないもっとはじけたラストがよかったのに。
[映画館(字幕)] 6点(2010-09-06 22:52:12)(良:1票)
244.  ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
よくあるミステリーものの範疇を出ない作品。リスベットという女性のキャラクターはそれなりに面白いのだが、全体的に演出が地味で、物足りない印象だった。ナチスだの性的虐待だの、陰影の濃い、どす黒いストーリー展開は比較的好みだが、主演二人や脇役にぐっと惹きつけられるものがないのが残念。特にラストでリスベットが普通の女っぽい格好をしていたのにはがっかりした。それじゃ全然かっこよくないじゃん。
[DVD(字幕)] 5点(2010-09-06 22:42:01)(良:1票)
245.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
映画館で再映された際に鑑賞。  期待が大きかっただけに、少しがっかりした。まずは、やはりガランス役のアルレッティがそれほど美しくないこと。いや、美しいのだが、少なくとも若くはない。情熱と自由奔放さを表現しきれていない。また、恋とはそういうものかもしれないけれど、彼女の生き方にもあまり共感できない。「自由を貴ぶ」と言いながらも、第一部の終わりでは、誇らしげに伯爵の名刺をちらつかせ、案の定囲われ者になってしまっている。裁判で争ってでも身の潔白を証明すべきで、結局、彼女の主義主張もその程度かと思っちゃった。  また、どうしても尺が長すぎる。役者陣の熱演で、あまり長くは感じなかったけど、もっと登場人物を削って、言いたいことをまとめられそうな感じもした。ただし、演劇に対する役者の思いを撮りたかったのだろうから、ある程度長くなるのは仕方ないのかもしれないが。  一方で、役者陣の演技にかけるエネルギーとセットやエキストラの大がかりさにはびっくりした。特にルメートル役の俳優の演技はすごかったし、バティストのパントマイムも情感たっぷりで胸を打たれた。また、ラストシーンも忘れられない。最初のシーンと呼応しているんだろうけど、僕は漱石の小説「それから」のラストと印象がかぶった。あてもなくガランスを探しに行くという行為が、バティストのこれからの人生の不確かさを暗示していて、何ともいえない気持ちになった。そもそもナタリーと結婚したのが間違いだったわけで、個人的に「自分も妥協してはいけない。本当の愛を貫くことを追求しなければ」と思った。
[映画館(字幕)] 6点(2010-08-29 20:07:54)
246.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
すさまじい完成度のアニメ映画。子供が笑い、大人が泣くポイントをきちんと押さえていながら、カッチリ作りこんだという優等生的な嫌らしさを全く感じさせない。3にしてシリーズ最高傑作が生まれた。  本作は、テーマを「仲間の大切さと持ち主への忠誠心」の分かりやすい一点に絞り込み、それに勧善懲悪の要素を加えるという非常にシンプルな構成になっている。この明快さのおかげで、限られた時間の中で、うまく遊びの要素も取り入れることが可能になっている。個性豊かな玩具達のキャラクターが制限時間内で遺憾なく描けている。1と比べるとウッディもバズも成長したなぁ(バズは一時退行するが(笑))と感じさせるシーンも多く、成長物語としても秀逸だ。  ちなみに3Dで鑑賞。特にこのアニメは遠近感がはっきりしているシーンが多いので、3D向きだと感じる。また、吹替で観たのもよかった。せりふが多いし早口なので、字幕では追いきれなかっただろう。  同じアニメ映画でも、日本では作れないジャンルの作品だと感じた。日本のアニメは、全般的にもっと複雑で陰影の濃い世界をシリアスに写すのが得意だが、ディズニー(ピクサー)はその真逆を行く。分かりやすいテーマに、絶妙なユーモアや擬人化により笑いのスパイスを振りかけて、観た後に素直に笑える映画に仕上げてくる。僕はどちらかというとこういうアニメが好きだ。アニメはやっぱりこうじゃないと!
[映画館(吹替)] 9点(2010-08-29 19:35:38)(良:1票)
247.  カラフル(2010)
もう少し大人向けの映画かと思ったけど、かなり子供向けだった。「生き直す」というテーマは悪くないが、作品のバックボーンとなるべき死生観が軽すぎる。そもそも生きる意味なんて、あるのかどうか不明だが、そこにもっと踏み込んだ内容にして欲しかった。   ネタバレしないために簡単に言うと、よくある安易な方向に流れてしまった映画だと感じる。難しいテーマを適切に軟着陸させたとは感じるが、正直物足りない。人生をそんなに簡単にポジティブに捉えられれば苦労しない。   ただし、良い意味でも「軽い」映画なので、中学校の道徳の時間などで放映するには良い映画だと思った。人にはそれぞれいろんな事情があるということ、それはそれとして気の持ちようで楽しく生きていけるということ、不必要に悩まなくていいということ、友達は大切だということ。陳腐だがどれも大切なメッセージだと思う。真剣に死を考えている中学生がこの映画で救われるとは到底思えないが、肩の力を抜いて観れば、じんとくるものもあった。   最後に。意外にも声優としては、アッキーナがベストという衝撃。
[映画館(邦画)] 6点(2010-08-28 17:12:36)(良:1票)
248.  コララインとボタンの魔女 《ネタバレ》 
近年のティム・バートン作品には失望していただけに、この映画がよい出来だったのはなおさらうれしく思えた。「ナイトメア」や「コープスブライド」などの傑作の系譜をきっちり引き継ぎ、魅惑的な世界を構築している監督の手腕がすばらしい。 2Dで観たが、映画館で3Dで観るべきだったと後悔した。もちろん2Dで面白くないわけではないが、この世界の中に入り込むためにはやっぱり3Dがよかったな。 ストーリーは他愛も無いが、それは全然マイナスにならない。ただもうこの美しさやグロテスクさに浸れればそれでいい。「バットマン・リターンズ」と並んで、子供には是非見せたい映画だ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-08-28 17:08:17)
249.  ローラーガールズ・ダイアリー
もう何というかエレン・ペイジがかわいいかどうかにかかっている映画なのだが、これがかわいいのだからこの映画は勝ち組なのだ(と思う)。彼女の不思議な魅力は「JUNO」でも遺憾なく発揮されているが、それを超える圧倒的なキュートさで完全にノックアウトされた。同性にも異性にも好まれるタイプであるところがまたすごい。決して絶世の美女でもないし、ナイスバディでもないのだが、一家に一台欲しいような小動物的なかわいさだ。「絶対に勝ってやる!」と気合を入れるところとか彼氏をプールに誘うところとか、特にかわいすぎる!観てしばらく経った現在のほうが、観る前よりも、さらに観たくなっているという状況だから、これは最早恋に近いのかもしれない。  と、ひとしきりエレン・ペイジを絶賛した後で言うのもなんだが、映画の脚本や演出ももちろん悪くない。若干ストーリーが陳腐で、シーンごとの繋がりに唐突感がある部分もあるなど編集の粗さも残るが、それ以上に心に一服の清涼感を残す快作。印象的なシーンを積み重ねて、確かな選曲でまとめたドリュー・バリモアの才能に拍手!自分も楽しそうに脇役を演じているのがまた良いね!
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-26 00:39:38)(良:4票)
250.  破戒(1962) 《ネタバレ》 
原作は大好きで、読むと必ず泣いてしまう感動的な話ではあるが、この作品については、それほどぐっとくるものはなかった。市川雷蔵の顔が、すこし優男に過ぎるのが気になったし、ベースが暗くて内省的なストーリーだけに少し長く感じた。もっと生徒との交流を多く描いても良かったのではと思う。告白のシーンはすごい迫力で、思わず涙したが、やはり原作のほうが数倍優れているので、原作を読んだ上でこの映画をあえて見る必要は無いだろう。
[DVD(邦画)] 6点(2010-08-25 00:58:47)
251.  おくりびと 《ネタバレ》 
全編を通じて、人間のいのちに対する真摯な思いが感じ取れる佳作。抑制されたユーモアを交えながら、死を旅立ちと捉える前向きな死生観にも好感が持てる。主演の二人はもちろんだが、周囲を固める脇役陣の演技も光る。一癖ありげな山崎努と余貴美子が特に良い。やり過ぎる少し手前で止まっているバランスが見ていて心地よい。ともすれば、日本の映画は低俗な漫画のようなキャラクター描写になりがちだが、この映画の登場人物はどれもちょうどいいバランスを保っている。 広末涼子の演技や「けがらわしい」という台詞回しには一部で批判もあるようだが、それほど悪くは感じられなかった。ただし、笑顔がどれも画一的で、やはりアイドル出身だけに笑顔慣れしているなあという印象は受けたが。 この映画がアカデミー賞外国語映画賞を受賞したことは喜ばしい。「Shall we ダンス?」とも通じる日本的なユーモアが国境を越えて受け入れられたということだろう。個人的にはドタバタの才能は日本人には薄いと思う。日本のコメディは、この映画のように、シチュエーションが生み出すそこはかとないおかしみを大切にしていって欲しいものだ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-25 00:10:13)
252.  虹の女神 Rainbow Song 《ネタバレ》 
いわゆる純愛モノ(というか片想いモノだが)としては、自分には珍しく楽しめた。筋立てがあと一歩の印象だが、少し甘めの7点にしたい。  まず、主人公2人をはじめ、酒井若菜や蒼井優、佐々木蔵之介らの演技は良かったと思う。個人的にはあおいにアメリカ行きをけしかけた翌日の佐々木蔵之介のどぎまぎした演技に一番笑った。  ただし、千鶴(相田翔子)とのくだりが周りから浮いている印象がある。女性を外見や年齢で判断する主人公に対して痛烈な一撃を与えるエピソードと考えるにはちょっと弱い。少し陳腐になるが、千鶴をあおいと正反対のキャラクターにして、そこから何かを学ぶようにした方が良い。また、終盤の小道具使い(携帯電話やラブレター、一万円札など)も少しくどい。  一方で、この映画の片想いの描写は素敵だった。片想いするあおいはとても魅力的だった。そして、その片想いについてだが、僕は智也はあおいの想いに薄々気づいていたんだと思う。でも、彼はずるかった(たいていの男はずるいが)。彼女の愛を正面から受け止める準備も無いままに、彼は歩道橋の上で彼女にカマをかけたのだと僕は解釈した。人は誰だって他人から愛されたいし、愛されていると知りたい。たとえ、それが真剣に好きな相手ではなくても。その愛されているという満足感を彼はちょっと味わいたかっただけなのではないか。しかし、あおいの想いは予想以上に強く、彼女の愛は瞬間的に怒りに変わってしまった。会社の屋上でのやり取りも、彼が片想いに気づかなかったのではなく、気づいていながら彼女を受け止めきれなかったと理解した。  ラストで智也があおいの手紙を読んで泣いたのは、彼がそこであおいの想いに初めて気づいたからではなく、あらためて彼女の想いの「強さ」を知ったからなのではないか。そして、その想いに応えられなかった自分が結果的に彼女の運命を決めたことを思って泣いたのではないか。彼が「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」を皆と観たがらなかったのも、彼女の秘められた想いが込められた映像であることを知っていたからではないか。「優柔不断」というあおいの手紙の中の文句も、彼が実はあおいの想いに気づいていたことをあおいも知っていたということを暗示してはいないか。この映画はお互いに理解しあった片想いだからこそ哀しいのではないか。こんなに哀しいから、やっぱり7点です。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-11 01:04:33)(良:1票)
253.  スコルピオンの恋まじない
どれを観ても、ウッディ・アレンは面白い。この作品でも、肝心のからくりは観客に完全に教えておきながらも、次に話がどう展開するのかやきもきさせる手法は流石だ。途中で若干中だるみする部分もある(2件目の窃盗のあたり)が、ラストのオチは僕の予想のもう一つ上を行っていて、すっかり騙されてしまった。 字幕では彼のせりふ回しを完全には理解できてはいない気もするが、それでも笑っちゃうんだから仕方が無い。男の持つ滑稽さを冷静に見据え、さらに絶妙なシチュエーションを設定することでその滑稽さを最大限に増幅して観客を笑わせるのは、毎度ながら本当にすごい職人芸だと思う。小品なれど安定した一作。シャーリーズ・セロンの使い方がもったいないのが、アレン映画らしくてまた良い(笑)
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-08 23:29:58)
254.  あの夏、いちばん静かな海。
いい映画だとは思うけど、ちょっと静かすぎるかな。  北野映画独特の映像美、雰囲気、間は健在なのだが、いかんせん静かすぎる。主人公が聾唖者であり、言葉がほとんど無いだけに仕草や表情など外形的な体の動きが、普通の映画より強いメッセージを持っていて、それはそれで興味深いのだけれど、やっぱり台詞回しのない映画は寂しい。テクニカルな面では、周囲の人の口の動きと声が微妙に合っていないのも違和感があった。この映画を好きな人の気持ちも分かるが、僕には少し芸術レベルが高すぎたようだ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-08-06 00:07:51)
255.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
聖書のカインとアベルの挿話を基にしたスタインベック作品の映画化。親子・兄弟・男女関係が深く掘り下げられたシリアスドラマ。  個人的にはアブラが自分の父親の葛藤をキャルに話すシーンが印象的だった。父親と後妻の結婚に反抗した彼女は大切な指輪を川に投げ捨て、父親に怒られる。父親の気を引こうとしての行為だったが、結局その後も特に父親は優しくならなかったと彼女は言う。しかし、それから彼らは「普通の親子関係」になることができたのだとも言う。親からの愛情が足りないと感じる子供は親の気を引きたいがために更に問題を引き起こす。そして、それをきっかけに状況は好転することもあれば暗転することもある。  この映画はこの「暗転」を題材にしたわけだが、最後に一抹の希望を描くあたりがうまく作られている。はまり役であるジェームス・ディーンの名演と相俟って味わい深い作品になっている。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-01 23:55:37)
256.  パニック・フライト 《ネタバレ》 
ウェス・クレイヴン御大が監督したサスペンス・スリラー。確かに飛行機が舞台だけど、パニックではない。邦題がまずい。  有名な俳優が出ていないせいか、日本ではDVDスルーだったようですが、小粒だけどピリッとしたいい映画でした!こういうタイプの映画を作るとアメリカはうまいですねー。ヒッチコックを彷彿とさせます(ほめすぎかな?)。これぞハリウッド・クオリティ!
[DVD(字幕)] 7点(2010-07-25 23:27:46)
257.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
一人ひとりが秘密を抱える家族がゆっくりとバラバラになっていく過程を丁寧に描いた作品。という次元に止まっていれば、もっと面白い映画になったと思うのだが、強盗事件以降の終盤がかなり全体を台無しにした感もある。  それまでは、キャストの好演もあってなかなか面白かった。ユーモラスなシーンを挟みながらも少しずつ狂っていく家族の様子はリアルで怖かった。家族全員で夕飯を囲むなんて、本当は微笑ましい光景であるはずなのに、それが全然楽しくないように見えるところなどは、思わず意地悪な笑いをしてしまった。黒須の携帯電話のくだりと黒須家を訪問するシーンも印象深い。また、小泉今日子さんの演技は今まであまり観たことがなかったのだが、優しく、時に威厳のある母親の雰囲気をとてもよく出せていたと思う。正直、「お父さん」がしょぼすぎて、長男の台詞じゃないけど離婚すればいいのにとも感じた。香川照之さんのそのしょぼさを出す演技も良かった。威厳を示そうと思って理不尽なことを言うから更に威厳は失墜するのだ。  それが、強盗が入るシーン以降、一気に面白くなくなる。一人ひとりが一旦「家出」をして戻ってきて「家族」を再構成するというのは面白いストーリーだが、お母さんの場合、強盗に頼る必要は無かった。もっと他の「家出」の方法もあったはずだ。自発的な家出でも良かった。映画の進行上、強盗が入る必要性が無い。更に言うと、お父さんが交通事故に遭う必要性も次男が天才児である必要も無い(いくらなんでもあんなに短期間で「月の光」マスターは不自然)。途中まではリアリティ溢れる展開だっただけに理解に苦しむ。8点ペースだったが、ラストで2点引いて6点としたい。  それにしても、日本の映画に出てくる「お父さん」ってこういうキャラが多いけど、未だにこんなに父権主義的な家庭があるのかね?僕も父親には結構叩かれたけど、ピアノをこっそり習ったから殴るとか意見を枉げないくせに議論を尽くせと言うとか、こういう理不尽なことで叩かれたことは無かったなあ。本当におっさんという生き物はしょうも無い連中だと思っているおっさん予備軍です。  最後に疑問点が1点。なぜタニタが協力を了承したのか?解せません(笑)
[DVD(邦画)] 6点(2010-07-25 18:03:46)
258.  17歳の肖像 《ネタバレ》 
1950年代イギリス。思春期真っ只中の優等生ジェニーは毎日が退屈で仕方が無い。俗物の父親、女子高の厳格な先生、まだまだお子ちゃまなボーイフレンド。彼女の夢はフランスに行き、シャンソンを聴き、芸術や愛を語ること。デイヴィッドと出会い、恋に落ち、夢のような毎日が始まるはずだったが…。  自分の思春期を思い出すと、性別は違えど色々と重なる部分があり、ストーリーの序盤においては主人公に共感できた。親や学校との軋轢は誰しも通る道だろう。また、キャリー・マリガンの演技力も確かで(見た目も若いし)、はまり役と感じた。しかし、デイヴィッドが出てきて以降の彼女の行動にはちょっとびっくりしてしまった。いくら毎日が楽しいからって普通泥棒とは結婚しないだろうよ!もっと優等生キャラかと思ってたら、意外とぶっ飛んでてこっちがついて行けなかった。確かにデイヴィッドとの出会いを経て洗練されていく彼女を観ているのは楽しかったんだけれども、ちょっと脚本に難があるかもなあ。もう少し愛が深まっていくその過程を説明してほしかった。  また、最終的な結論が結局学校の元に戻ることだったというのも、肩透かしを食らった感がある。ジェニーには是非「第三の道」を進んでもらいたかった。スタッブス先生の自宅を訪問して「意外といいじゃん!」って、ジェニーの人を見る目が無さ過ぎだろう。厳しいけど芸術には造詣の深そうな先生だと観客の僕が先に気づいているのではおかしい。周りが見えていない思春期を良く表せているとも言えるけど…。まあ、でもベースは実話だからしゃあないか。総合すると演技は○で脚本は△という印象でした。
[映画館(字幕)] 6点(2010-07-25 17:26:01)
259.  マイ・ブラザー(2009) 《ネタバレ》 
良くも悪くも原作(「ある愛の風景」)を、うまいことアメリカナイズしたなーという印象。物語の起承転結、遺書などの伏線、そして超絶美人が新たに付け加わった点。より観やすい映画になった。ただし、ナタリー・ポートマンは美人すぎて、少し作品のリアリティを殺ぐ勢いだし、原作にあったのにこっちに無いものもあった。特に原作では冒頭にある兄弟喧嘩シーンが無くなったのは惜しい。原作にあった深刻な喪失感も幾分嘘っぽくなっているのも確か。原作と比べてプラスかマイナスかは正直判断に迷うので同点としましょう。 ただしキャストの力演ぶりは素晴らしい!主役の3人(特にトビー・マグワイア)はもちろんだし、イザベル役の子が凄い。なぜ外人の子役はこうも演技が上手いのか。ちょっと怖くなるくらい上手い。それにひきかえ日本は…。演出が悪いのか、演技力が無いのか。 【補足】キャリー・マリガンはこれにも出てたんだ!良いキャリアメイクしてますね。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-19 20:35:27)
260.  インセプション
一度観ただけでは細部まで理解することができない複雑な映画だが、それを補って余りある中毒性を持った映画だった。予告編で流される今までに観たことのない映像とドラマチックな音楽。それの実物を確認するだけでも、映画館に足を運ぶ意味がある。期待を裏切らない新感覚の映像体験だった。 ネタバレしないためにはどこまで書いてよいのか線引きが難しいが、「主人公のコブと5人の仲間が、ある男にあるイメージを植え付けるための夢を見せようとする」ことがこの映画の骨子になる。より正確に言うと、「彼の夢に入り込み(イコール皆で同じ夢を見るということだが)、その世界でそれぞれがそれぞれの与えられた役割を演じて、その男がその内容を啓示として受け取るように画策する」ことだ。この時点で、説明はかなり複雑なことになっているのだが、この映画の中では夢を共有すること自体は意外と簡単で、専用の機械をお互いに接続して一緒に寝ればいいだけだ。そして、この映画の面白い点は筋ではないので、これ以上の説明は差し控えたい。 この映画の魅力は「独特の」映像世界にあると思う。近年「アバター」など3Dの映画が多く公開されているが、2Dでも十分に堪能できた。その世界は派手なのではなくて、まさに「夢の世界」で、無重力だったりアジアだったり銀世界だったり土砂降りだったりする。背景がコスプレのごとく変化する映画と言っても差し支えないだろう。たとえば「007シリーズ」は色んな場所でアクションが展開するのが面白いのだが、これを観ていたら思わずそれを連想した。でも、できればIMAXで観たかった! 予想通り、評価が分かれているようだが、僕は好みなので、是非問題点が改良された続編をお願いしたい。筋を観るべき映画ではないと言いつつも、設定が複雑なので色々と説明不足な部分もあるような気がするし。確かに監督の肩に力が入りすぎた感じもするし。たとえ失敗作と言われようとも、僕は「少なくとも前に倒れている!」と擁護したい。来週もう一度観る予定だ。  【追記】映画館で字幕版を再鑑賞。上のレビューでは「説明不足な部分がある」と書いてましたが、よく観てみると作品中できちんと説明されている部分も多いですね。ただし、情報量が多すぎて、字幕で追うのはちょっと限界があるかも。次は吹替えでも鑑賞したい。とにかく何回も観たい作品。この映像は何度観ても興奮する。1点プラスで9点!
[映画館(字幕)] 9点(2010-07-18 22:46:19)(良:1票)
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