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プロフィール
コメント数 730
性別 男性
年齢 34歳
自己紹介 初心者です。7点を中心に見事な二次曲線を描く点数分布。しかし映画の評価は点数に還元しきれぬもの。点数と心中の差をいかにレビューで表現できるか。とはいえ適当なレビューも多数(笑

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241.  ワイルドバンチ
時代に追い抜かれた男たちの哀しさ、というようなセンチメンタルなものは微塵も感じさせない。むしろ時代に規定されない生き方そのものが浮かび上がるように思う。この映画は哄笑が全編に渡って響き、それが彼らの生き方を表している。良くも悪くも俗で、現世的で高利的な彼らの生き方は、究極的なまでに純粋であり、それが魅力になっている。同じ1969年に、モデルを同じくする「明日に向かって撃て」が公開されたのは驚くべき符牒である。最後の西部劇、と呼ばれるにふさわしい映画であった。
[DVD(字幕)] 10点(2011-06-22 00:07:53)
242.  浮雲(1955)
この映画は音が支配している。室内のシーンの前には必ず屋外の音を伴うシーンがあり、その音が室内の雰囲気を規定している。拍子木や獅子舞の音楽、雨の音、新興宗教の儀式の音、犬の鳴き声、踏み切りの音等々挙げればキリがない。これらの音が室内の情感を豊かにしている。フラッシュバックや回想が挟まれるなど、少し珍しいような気がしたが、唯一の明るい日差しがインドシナであったことが象徴的であった。
[DVD(邦画)] 8点(2011-06-20 15:32:39)
243.  死霊のはらわた(1981)
イーライロスの「キャビンフィーバー」と同様に、この映画も定番さを隠れ蓑にした珍奇な映画である。勿論ホラー描写も面白いが、明らかにつながっていない編集や無理やりさは、逆にこういったところをおざなりにしてでも優先したいものが他にあったことを逆説的に証明する。血の効果や鏡、時計のファクターに非常に凝っているからだ。この映画の気持ち悪さはホラー的な要素ではなく、実は他の、ストーリーや定番さに還元できない部分に由来しているのだ。例えばオープニングの手を振る二人の老人、家をどんどん突くブランコ、ことあるごとに後ろに映り込む時計、何度か重要な局面で登場する鏡(最後は水になる?)、赤いジュースをミキサーで混ぜるところでも暗示されている血、そして木、森という要素。これらは「これはこういう意味である」と単純に還元、説明できないものであり、それがあまりにも多いことに改めて気付かされる。これらはこの映画でサムライミがどうしてもこだわrった、作品の核なのである。
[DVD(字幕)] 7点(2011-06-19 00:25:10)
244.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 
走る。この動作をこの映画は描き続ける。決して類型化された逃走や疾走ではなく、愚直なまでの走るという動作をここまで徹底して描いた映画は他に無いだろう。カメラも一緒になって走っているように画面は揺れる。少年たちの無邪気な走りをカメラも完全に把握することは不可能だ。走る彼らの手や足がこの画面の枠に収まらず、そこからはみ出すような感覚こそがこの作品を躍動感あるものにしており、それこそがいみじくも原田演じる祖父が「あの火山は生きている。だから時々エネルギーを外に出さないといけない」という趣旨で言ったように、灰の正体なのである。「わけわからん」と灰の意味をずっと問うていた兄は、まさに生きることの意味を問うていたのであり、それが「世界」であるという解答を得るきっかけが新幹線であった(勿論「世界」とは何か、などという野暮な疑問は無用である)。彼が授業中に朗読した詩が「生きる」であったことは偶然ではない。その意味でこの映画は紛うことなきロードムービーであり、帰るべくところに帰るストーリーは必然的で自然であった。アニメやいかにも映画「らしい」演出など、ドキュメンタリータッチの是枝風と呼ばれていたものは影を潜めているが、時折インタビューのようなぶつ切り編集(勿論わざとであろうが)や光の透明度など、随所に「らしさ」がみえた。といっても光や花火やらダンスはまるで岩井俊二だと思ったのは自分だけであろうか。良作。
[映画館(邦画)] 7点(2011-06-12 21:45:57)
245.  誰も知らない(2004)
この映画はまた再評価というか、再検討されるべき映画だと思う。一年というスパンでの撮影や、映画ともドキュメンタリーともつかない絶妙なバランスなど、映画そのものを捉え直す契機になりうる作品。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-06 14:21:22)
246.  ブルース・ブラザース
リアルタイムで観てたら8点つけてたかな。面白い、も一歩引いた面白いになってしまうが、完成度でいうと6点。でも楽しさ、気軽さ、音楽は素晴らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2011-06-05 00:51:22)
247.  ブラッド・ワーク
ダーティハリー6と呼んでもいいが、監督メインになってから、彼の生命に対する謙抑的な姿勢が目立っていたのに、ここで「ダーティーハリーのような」という形容詞がつくということは、逆にこの作品は2000年以降のイーストウッドにとっては特異なものなのかもしれない。オープニングの大俯瞰や、相変わらずの十字架のモチーフはイーストウッド節。質としてはまぁまぁ。
[DVD(字幕)] 6点(2011-05-31 01:02:27)
248.  マイ・バック・ページ 《ネタバレ》 
学生運動と60年代、70年代初頭を描くという強烈な「わかりやすさ」が物語の推進力となり、映画をエンターテイメントとして成立させている一方で、果たして彼らが目指していたものは何だったのか、あの時代はどこに向かおうとしていたのか、なぜ、そして何に対して彼は泣いたのか、というような強烈な「わかりにくさ」が映画を奥深いものにしている。沢田のキャラクターや唐谷と梅山との対比、映画のポスターや放浪生活など、脚本の妙にうならされる一方で、さまざまな技法や構図を駆使した山下監督の確かな画が、この映像を映画たらしめている。梅山をただのインチキ思想家だと非難することは簡単そうだが、沢田をインチキジャーナリスト呼ばわりする者は誰も居ないだろう。しかしそんな梅山に共感してしまった沢田自身は自分をジャーナリストとして合格だとはまったく考えていない。彼もまた自らの拳を通して語りうる思想を持ちえなかった、行動しえなかったという点において敗残者であるが、最後の一線(取材源秘匿)だけは守った。それは主体的な行動ではありえず、沢田は種類は何であれ、思想の先頭に立ち、それに殉じたかったに違いない。梅山もそれは同じで、ひとかどの人物になりたいという出世欲がうまく時代の潮流に沿わなかったのだろう。時代に合わなかった人物という点で彼らは同種の仲間である。総合的には、山下監督のエポック、ここまでの集大成としての代表作になりえている。もっと簡単にいえば、彼は「山下の映画」というだけの一種のブランドを確立したといえると思う。それだけこの映画には無数の仕掛けがあり、奥行きがあり、素晴らしく完成されている。まとまりのないまま書いてしまったが、一度観ただけではこの映画は測れそうもない。もう一度観てくることにしよう。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-30 00:28:59)(良:1票)
249.  シェルタリング・スカイ
映像美。ポートの死をはさんで前編後編に分けられるとしたら、前半の饒舌に比べて後半のなんと寡黙なことか。そして後半はいやというほど茫漠とした砂漠が描かれる。まるで御伽噺のようでもあり、素晴らしい映像世界。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-25 13:56:32)
250.  みんなのいえ
普通にコメディとして楽しめました。期待通り。ただ、壁にペンキをぶっかけた理由がよくわからず…。自分の問題ですから、を契機にぶっかけて喧嘩になるけど、そこんとこどうなったの?って疑問に思ってるところに土砂降りのストーリーが入るから結局よくわからん。全体としては無難にまとまっている佳作。
[DVD(邦画)] 6点(2011-05-25 05:57:09)
251.  それでも生きる子供たちへ
オムニバスは得点がつけづらい。ジョン・ウーの映画はあまりに類型的かつメロドラマっぽくてあざとい演出が目に付き、まったく受け付けなかった。分かりやすすぎる。最初のタンザ、ブルージプシー、イエスの子らはとても面白かった。個人的にはビルーとジョアンがロードムービーになっていて、好み。ジョナサンは正直よくわからなかった。チロはフェリーニの81/2を彷彿とさせるような賛歌となっていて思わず笑みがこぼれる。突き抜けた圧倒的な作品はなかったが、同じ目的のなかで単なる募金映画というか啓発映画に終わらなかったところは評価できる。
[DVD(字幕)] 6点(2011-05-21 12:11:01)
252.  父親たちの星条旗
普通はこちらのほうを先に観るようだが、日本人であれば先に「硫黄島」を観てからこちらを観たほうが、自国側そしてそのいわば舞台裏(アメリカ側)という意味でしっくりくるような気がする。そして兵士の葛藤や、イーストウッドの扱う「死」、それも単なる死ではなく、「生」の下に埋もれる無数の死を描く本作は見ごたえがあった。ハリボテの山に星条旗を立てる、というこの上ない茶番の際に三人がフラッシュバックとして死を思い出すのは偶然ではない。どんな茶番であれ、生きていることは無数の死体を土台とするのだという教訓の象徴としてあのシーンは存在する。逆に言えば、生を規定しているのは過去の死であり、それは誰も覆すことはできない。「英雄なんていない」というセリフを、「硫黄島」に当てはめるならば「英霊なんていない」とするのがぴったりであるし、そうすることがイーストウッドのしたかったことであろうと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2011-05-19 00:08:57)(良:1票)
253.  硫黄島からの手紙
無難にまとまっている。
[DVD(字幕)] 6点(2011-05-17 00:11:13)
254.  イン・ハー・シューズ
役者の演技を観るだけでも楽しめる。キャメロンのああいう役は言わずもがな、トニ・コレットもうまい。コミカルかつシニカルなセリフが小気味良い。ストーリーとしては別にどうっていうことはないが、教授と詩を読むシーンが最高。
[DVD(字幕)] 6点(2011-05-14 11:10:44)
255.  JSA
傑作だと思う。最初にある程度の結末はわかるが、その過程の謎を追いながら、彼らの友情とその悲劇が浮かび上がってくる。一度決着がついたと思いきや、実はウジンを殺したのは違う人だった、という点も一筋縄ではいかない構成で、素晴らしい。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-13 14:28:28)
256.  男はつらいよ 寅次郎忘れな草
初寅さん。ピアノのくだりがけっこう好きです。
[DVD(邦画)] 6点(2011-05-12 00:48:33)
257.  舞妓Haaaan!!!
なぜこれほどの役者陣をそろえて(そして演技はまったく悪くないのにも関わらず)、これほどつまらないのか。当然脚本と監督が悪い。全てが思いつきとノリによって構成されており、全体を貫く構想が無い。逆にいえば、首尾一貫した思想がなければ個々の要素はギャグであろうがシリアスなシーンだろうがバラバラになるし、ただの思いつきにしか見えない。近年稀に見るひどい映画だった。
[DVD(邦画)] 1点(2011-05-11 05:17:18)(良:1票)
258.  嫌われ松子の一生
傑作。これがゼロ年代の鬼才。このストーリーでここまでのポップさとフラッシュバックのようにシーンを繰り返すなどの手法の斬新さ、そして映画らしさを失わない映像感覚、天才だと思う。一人の女性の一代記というある意味単純なストーリーだが、絶妙に時間軸をクロスさせ、最後まであきさせない。脚本のうまさが光る。時間軸だけではなく、伏線がしっかり張ってあるところも見所。中谷美紀の熱演は勿論最高だった。ただ最後の太った松子だが、中谷美紀の顔は太っていないのでどうしても違和感が残った。エンターテイメントに徹しているかと思えばラストのグライダー滑空のようなカメラワーク(どうやって撮ったのだろう)で川や土手を映し、家、階段まで持っていくあの美しさ、芸術性も見逃してはいけない。
[DVD(邦画)] 9点(2011-05-10 01:18:06)
259.  まほろ駅前多田便利軒 《ネタバレ》 
瑛太と松田龍平がかっこよくって、久々に観たあとにミーハー気分になった。特に松田龍平は素晴らしい持ち味を発揮しており、仰天をもっともっと観ていたい、と思わせる演技。何でも屋が何でもやっていくうちに自分の抱えた傷と向き合っていくというストーリーなのだが、相棒となる仰天に自分が小指に怪我をさせてしまったという事実がうまい。これは後々まで引っ張り、ラストに大きな意味を持つことになる。構造としては親子の愛情を描いているのだが、そのさまざまな在り方が、親子の多様性と許容性の広さを暗喩している。多田は幼い子供を亡くしており、しかもその子供は血がつながっているかどうかわからない。仰天は同性愛のカップルに人工授精の精子を提供している、すなわち血だけはつながっている子供がいる。そして親に虐待を受けていたことがわかる。山下は、血のつながっていない母親と二人暮らし。駅前の弁当屋も詳しくはわからないが、幼児と二人で暮らしているようだ。ゆら公は母親と二人暮らしだが、ほとんど母親にかまってもらえない。親に関心を向けてもらえない。これらの親子関係というものが、次第にほぐれていく。重要なのは多田と仰天のエピソードだが、他のエピソードも単なるサイドストーリーに終わらず、しっかり二人の話に絡んでくる。多田はゆら公に「生きていればやり直せる。愛を与えられなくても自分が与えることはできる」と断言し、フランダースの犬のラストシーンをハッピーエンドだという仰天を否定する。しかしその段階では彼もその言葉に確信を持てていない。だからこそ自らの過去を仰天に話した後に、仰天に出て行ってくれ、と言う。それに対して仰天は、「多田が言ってたじゃん」と多田につぶやき、自分の小指を多田に触らせる。かつて多田が傷つけた小指は元通りになっている。演出の妙である。子供を亡くしてしまった事実はやり直しようがないが、これから愛を与えることはできる。彼らの絆もまた修復される。くすりと笑えるところも多く、仰天のキャラクターがおかしい。特に多田がトラックのガラスを粉々にされたときの「なんじゃこりゃー!」、松田龍平の「誰それ? ぜんぜん似てないよ」というくだりには爆笑。原作にはきっと入っていないだろう。松田龍平だからこそできる演出である。そして優作といえば走る姿だが、松田龍平の走り方はぺたぺたとしていてコミカルだ。その対比を楽しむのもおもしろい。
[映画館(邦画)] 7点(2011-05-09 00:20:03)(良:2票)
260.  死霊の盆踊り
笑えるレビューをこれだけ書かせる映画は他にはない。この映画はこれ本体ではなく、これを観た人同士の交流をより深めるコミュニケーションツールとして理解されるべきだ。このつまらないものを観たおかげでコメントがさらに笑えるものになるという不思議。何がつまらないかを知ることこそ、何が面白いかを知ることになるという逆説。素晴らしい哲学的映画でした。0点だけど。
[DVD(字幕)] 0点(2011-05-08 00:53:32)
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