2581. あらくれ(1957)
《ネタバレ》 映画館で鑑賞。 フィルムの劣化によるコマ飛びがヒドかった。 それにしても、キャストがあまりに豪華すぎ! 高峰秀子、上原謙、森雅之、志村喬、仲代達矢、加東大介、沢村貞子、東野英治郎、宮口精二という布陣。 というより、上原謙と森雅之が共演している時点で既にヤバすぎ。 ここまで豪華な作品は、そうはない。 この豪華キャストながらDVD化されていないのは、前述した劣化によるコマ飛びが原因であろう。 実に勿体ない話だ。 本作で最も光っていたのは、高峰秀子と加東大介の夫婦喧嘩のシーンだ。 コミカルなアクションが、もの凄いテンションで行われる。 これを観れるだけでも、本作には一見の価値があると思われる。 それと上原謙の陰険ぶりも凄い。 上原謙と言えば、優男で色男というのが定番的な役柄だが、本作では全く違う印象。 今まで優男役の上原謙しか見たことがなかったので、非常に興味深く観ることができた。 ラストシーンも、なかなかの素晴らしさ。 雨の中、傘も差さずに歩いていく高峰秀子。 これは圧巻だった。 [映画館(邦画)] 8点(2007-12-10 21:30:20)(良:1票) |
2582. 銀座化粧
本作は地味ながらも、実にいい味が出ている。 銀座を中心とした風景描写も素晴らしい。 成瀬監督は、ほんとに風景描写がうまい。 そして香川京子。 成瀬監督の『おかあさん』では溌剌とした魅力をふりまいていたが、本作でもそれに匹敵する魅力を感じた。 特に、堀雄二と目を合わせた時の、あのはにかんだ表情。 あれは、当時の香川京子にしか出せない、とてつもない魅力を含んだ表情だった。 「香川京子の周りにだけ爽やかな高原の風が吹いている」 まさしくその通りである。 本作は、一般的には特別に評価の高い作品ではない。 しかし、ここでの平均点数が示す様に、本作は地味ながらも紛れもない傑作であった。 [DVD(邦画)] 8点(2007-12-08 12:02:58)(良:2票) |
2583. 出来ごころ
いやー、凄い、とても良いお話だった。 小津の巧さもとことん冴え渡り、そして江戸っ子風情がビンビンに伝わってくる、まさに傑作! 小津のサイレントの中ではナンバー1かも。 若い女を演じた伏見信子が、これまた良かった。 現代日本では絶滅したであろう、本物の“古風で純情可憐な”女性なのだ。 そういった女性を実写にしたら、まさしくこれ、みたいな感じの女性。 それがこの伏見信子であろう。 そして飯田蝶子。 本作の時点では36歳のはずなのだが、何故だかおばあさんに見える! 「あの飯田蝶子の若かりし頃を見れる!」と意気込んで観てたのに、結局見れなかった。 いやはや、飯田蝶子にはやられました。 みなさん、「音が聞こえてきそうなサイレント」と本作を評していらっしゃいますが、まさにその通り。 サイレント作品は相当数観たが、本作ほど「音が聞こえてきそう」なサイレントは観たことがない。 つまり、本作は完成されたサイレント作品なのだ。 小津はやっぱり凄かった。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-07 22:21:51) |
2584. 黄昏(1981)
観ている間、なんか不思議と心が安穏としました。 安心して観ることのできる作品です。 実際にも不仲だったフォンダ父娘が、本作を通して和解したというエピソードがとても素敵です。 映画ってやっぱり素晴らしいですね! [DVD(字幕)] 7点(2007-12-06 23:32:44)(良:2票) |
2585. 妻として女として
《ネタバレ》 いや、これって成瀬監督の作品の中では比較的マイナーな方ですが、傑作なんじゃないでしょうか。 高峰秀子と飯田蝶子の掛け合いの面白さ、話が次々と展開されていき全てが分かっていくというストーリー展開の巧さ、女同士のバトルの凄み、相変わらず「イライラする男」を演じると素晴らしく巧い森雅之、仲代達矢の意外な(?)清々しさ、そしてラストの“親はなくとも子は育つ”的な終わらせ方など、全てにおいてハイレベルな本作です。 高峰秀子と森雅之が共演しているせいもあって、成瀬監督の代表作『浮雲』を連想してしまいました。 『浮雲』は救いようのなさ加減がまた逆に良かったんですが、それに対し本作は、最後に「子供は子供」みたいな救いがあって、とてもバランスが取れていました。 そういう意味でも、本作は『浮雲』より自分の好みに合った作品となりました。 結局「不倫」というものや、「浮気」という名の裏切りは、「悲劇」しか生まないということを本作は語っている様な気がします。 それと同時に、男女の仲というものは、なるようにしかならない、理屈では割り切れない、そういう“やるせなさ”も主張されているんではないかと思うわけです。 それらを観る者に散々訴えかけた後で、上にも書いた様な「親はなくとも子は育つ」的な救いのあるラスト。 いやぁ、実に味わいがあって、しかもバランスの取れた傑作ですね。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-05 22:54:40)(良:1票) |
2586. 暗黒街の顔役(1932)
ギャング映画の原点にして、ギャング映画の最高峰といわれる本作。 やっと鑑賞できました。 「顔に傷のある男はヤクザ(マフィア)」という常識(?)って、本作から生まれたんでしょうか?! だとしたら凄い影響力ですね。 70年以上前の作品とは思えぬ程、そつなく楽しめました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-12-05 14:05:46) |
2587. 四つの恋の物語(1947)
豊田四郎監督の第一話が圧倒的に良かった。 こういう純愛モノには弱い。 久我美子が若くてびっくり。 池部良も、相変わらず前髪が垂れていて良い。 二人のロマンスは、純情の極みで、観ていて清清しい気分になれる。 終り方も素晴らしく良い。 木暮実千代が魅力を発揮している成瀬巳喜男監督の第二話も、なかなかの出来栄え。 しかしながら、喜劇風な第三話やミステリーじかけの第四話は、「恋の物語」と銘打った本作からすると期待はずれ。 全体としては全くまとまりがないが、第一話が良かったので満足はできた。 改めて、豊田四郎監督の力量を感じたオムニバス作品であった。 そして、成瀬巳喜男監督の安定した底力を再確認できたのも、一つの収穫であった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-12-03 21:49:11) |
2588. 戦争のはらわた
どうも苦手な系統なので、難癖つけながら鑑賞していたが、まんまとしてやられた。 特に、ラストの二人の駆け引きによるオチは凄い。 アッパレ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-12-01 16:07:00) |
2589. 第十七番
列車アクションモノのヒッチコック作品としては、後の『バルカン超特急』より面白いと感じた。 ただ、全体的に分かりにくい部分が多いのがネックではある。 登場人物とか、実は渡した物がダイヤではなく鎖だったとか。 映像的に分かりづらいのもあるが、単純に登場人物の顔つきが似通っているという部分にも要因がある様に思う。 ただし、1時間という尺の短さによるスピード感は、非常に魅力的。 長すぎる映画が多い中、本作の様なスピード感あふれる作品がもっと評価されてもいいのではなかろうか? ヒッチコックのイギリス時代の作品としては、最高傑作だと個人的に思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-11-30 18:41:41) |
2590. 女だけの都
ジャック・フェデーは『ミモザ館』がそれなりに良かっただけに、本作にもそれなりに期待したが、かなり退屈だった。 同じく苦手なルネ・クレール作品に通ずる独特の遅いリズムが体に合わなかった。 [ビデオ(字幕)] 4点(2007-11-30 14:54:36) |
2591. 徳川女系図
石井輝男監督の、一連の“徳川モノ”は、どうも面白さが理解できない。 そして、むやみに疲労感も残る。 本作では、橘ますみが出ていない分、見所もなく・・・ [映画館(邦画)] 5点(2007-11-30 10:00:47) |
2592. 徳川女刑罰史
東京は池袋の「新文芸坐」で鑑賞しました。 吉田輝雄と橘ますみが兄弟愛の末に近親相姦の罪を犯し、残酷で異常な刑に処されるという過激で非常な興味をソソる内容となっています。 橘ますみですが、本作ではことのほか美しいです。 着物姿で、実の兄を演ずる吉田輝雄と情事を交わしますが、これが何とも淫靡で魅力満点。 橘ますみが、石井輝男監督作品以外にはあまり出演していないというのが、非常に残念でなりません。 [映画館(邦画)] 6点(2007-11-30 09:56:35) |
2593. 東京行進曲
1920年代の溝口作品としては、結構しっかりとした形でフィルムが残存しており、とても貴重なる本作。 それでも途中で欠落している箇所があるので、ストーリーを追うのは少し厳しい。 だが、なかなか雰囲気のある作品だ。 東京の風景が、成瀬巳喜男作品のごとくリアルに切り出されている。 “ミルクホール”などの暖簾も出てきたりして興味深い。 [映画館(邦画)] 6点(2007-11-30 09:53:10) |
2594. 最後の人
さすがに字幕を一切排されていると、分かりにくさがあった。 特に前半から中盤までは、よほどの集中力をもって画面をにらんでいない限り、容易には理解できない。 少なくとも私はそうだった。 ところが、終盤に入ったところで、がぜん話は盛り上がる。 とても分かりやすくなるのだ。 そしてラストシーン。 自らが辛い経験をしたことがあるからこそできる、トイレの掃除夫への心遣い、そして理解。 下積みを経験しないと、ろくな人間にはなれない、それを雄弁に語った作品だ。 苦労した時には、「今の苦労は必ず後々の役に立つ」と自分を勇気付けて踏ん張る。 本作は、そうした気持ちをもって前向きに生きている人々への讃歌なのではないだろうか。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-11-29 20:37:24) |
2595. 犬神家の一族(1976)
小さい頃にTVで観て、怖くて最後まで観れなかった・・・ それをこの歳になって、敢えて観てみる楽しさよ。 「うわー、スケキヨの母親って高峰三枝子が演じていたんだー」といった様な驚きと楽しさを、映画好きになった今だからこそ堪能できる不思議さよ。 (純粋に内容について) 話は良くできていますが、基本的に複雑になりがちで、ストーリーを追うだけになりがちの推理モノは苦手なだけに、まあ普通に満足といったところでしょうか。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-11-28 22:37:49) |
2596. 少年ケニヤ(1984)
小さい頃、映画館で観ましたね。 懐かしいです。 登録がなかったので、ポチっと登録させて頂きました。 [映画館(邦画)] 5点(2007-11-28 17:19:18) |
2597. 朝日は輝く
フィルム・センターにて鑑賞。 観るだけで価値のある貴重な溝口作品。 こちらでの登録も、私めがさせて頂き光栄であります。 内容は語るほどのものではありません。 というか、ヒドイです。 朝日新聞社か何かの広告映画だったと思いますが、しょーもない作品でした。 [映画館(邦画)] 3点(2007-11-28 17:16:23) |
2598. 新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争
三池監督お得意の“タイトル負け映画”の代表格に位置する凡作です。 椎名桔平、田口トモロヲ共に、ショボイ演技をみせています。 “新宿黒社会”というタイトルをつけたなら、リアリティを欠いてでも、ヤバすぎる新宿歌舞伎町を描いて欲しかったのですが・・・ 新宿を昔から知る者としては、そういったあり得ないくらいのダークな新宿の幻想を見てみたいな、とも思うものです。 幻想化し、デフォルメした歌舞伎町を実写化して欲しかったんですが・・・ 何とも、タイトル付けのうまい監督さんですね、三池監督は。 [ビデオ(邦画)] 4点(2007-11-28 17:13:48) |
2599. 実録・安藤昇侠道(アウトロー)伝 烈火
タイトル的には、かなりの興味をおぼえたのですが、実際観てみたら大した内容ではなかったのを記憶しています。 “アウトロー伝”まで言うなら、もっとハチャメチャな内容にして欲しかったものです。 [ビデオ(邦画)] 5点(2007-11-28 17:10:36) |
2600. 残酷・異常・虐待物語 元禄女系図
同じく石井輝男監督作品『徳川女刑罰史』と混同しがちな本作。 というか、自分が混同してるだけかも。 本作も橘ますみの魅力が全開! それを観れるだけでも十分だ。 [映画館(邦画)] 6点(2007-11-28 17:02:19) |