2621. ラスベガスをぶっつぶせ
《ネタバレ》 もっともらしい頭脳戦の体をとっていながら、肝心の頭脳戦がまったく描写されていない。席に着いたときの思考回路のプロセス、ディーラーとの心理戦、監視側がそれを見破る知識や技術といったものがことごとくすっとばされ、ただ勝って喜び、見破られて慌てているだけ。しかも、冷静な頭脳戦の粋を集めてこそ登場人物が格好良くなるはずなのに、お約束のように酔っ払って暴走するメンバーは出てくるし、中途半端な恋愛沙汰で技術の切れが止まっているし、最後は全部をぶち壊すようなださい追いかけっこだし。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2014-06-25 00:59:56) |
2622. 略奪愛
《ネタバレ》 この作品は、もともと、フジ系の2時間ドラマ「となりの女」として放送されたものなのです。あまりに出来が良かったので、脚本を一部修正して映画化されたということです。「となりの女」は、原田美枝子・奥田瑛二・南條玲子というキャストで、「危険な情事」的展開をベースとしつつも、主人公が段々とおかしくなっていき、かつその中でも孤独と哀切を感じさせる描写が実に見事で、ビデオに録画したのを何回も見ました(DVD化してほしい)。さて、「となりの女」と本作の最大の違いは、こちらでは、本妻が夫の浮気に途中で気づき、しかもその相手も特定し、夫に対してそれを明確に追及しているということです。そのため、三者間の心理的やりとりの綾の部分が削がれることになり、結末のインパクトを弱めています。また、「となりの女」では、ラストのところで、主人公が包丁を手に歩み寄る→夕方、夫がいつものように帰宅する→返り血まみれの主人公が洗濯物をたたんでいる→カメラが一人称で動き、血まみれの包丁と本妻の遺体が視界内に入る、という流れ(しかもこの間台詞なし)のフィニッシュが強烈だったのですが、こちらでは、主人公と本妻が延々ともみ合いになったり、不審を感じた夫がただちに家に急行したりと、三流のサスペンスもののような締め方になってしまっています(何でそんな改変をしたんでしょうか)。というわけで作品としては大きく落ちてしまうのですが、「となりの女」の存在を後世に残した価値はあまりにも大きいので、それも含めてオマケ。 [DVD(邦画)] 7点(2014-06-22 01:51:41) |
2623. 春との旅
仲代達矢にあえて身勝手我儘老人をさせるとか、カメラ固定長回しを多用するとか、ちょっと違ったことをやってみようという意図は見えるんですよ。しかし、キャラクター側の個別の物事に対する反応や変化が平坦でありきたりなので、結局は作為的にしかなっていません。あと、脚本上の説明台詞も、やっぱりあっちこっちから滲み出てしまっているんだよなあ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-06-20 03:04:27) |
2624. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
巨大ポップ・スターのマイケルといえど、パッケージ化されたステージがすでにどこかに存在しているわけではなく、またお膳立てされた上でただ歌って踊っているだけでもなく、自ら綿密な準備とリハーサルを重ねてステージを完成させている。そのことを明確に伝えただけでも、この作品は意味がある。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-06-16 01:01:39) |
2625. ソナチネ(1993)
《ネタバレ》 ヤクザものの皮を被っているが、中身は鬱屈挫折系裏青春映画。例えば港の沈めシーンなどは、クレーンの向こう側とこっち側との切り返し、無表情なオッサンたちが密着して直立している構図など、ただならぬセンスを感じさせるのだが、他方において、ぶら下げられている彼は、死の恐怖に直面している演技はまったくつけられていないし、1回目に沈められる前と後でも、違いが見えない。この辺に象徴される詰めの甘さが、何とももどかしい。肝心なところでのインパクトを結局は銃声音と爆発音に頼っているのも、ちょっと惜しい。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2014-06-15 00:58:11)(良:1票) |
2626. こわれゆく女
怖いですよ怖いですよどうです怖いでしょおおおおと制作側が語りながら作ってしまっているから、逆に何も怖くない。そうすると、ただ同じやりとりを繰り返す長いだけの作品にしかならないのです。 [DVD(字幕)] 3点(2014-06-15 00:43:19)(笑:1票) |
2627. 天国の門
異常に頑張りまくった美術や撮影関係とか、湯水のように果てしなく湧いて出てくるエキストラ群とか、とてつもないパワーだけは嫌というほど感じられるのですが、まあそれにしても、長すぎですね。しかもその割に、各登場人物のキャラクターは、びっくりするほど底が浅く、作り込まれていない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-06-12 01:10:27)(良:1票) |
2628. ありふれた事件
そりゃ導入部分はインパクトがあるんだけど、結局は同じような表現方法を延々と繰り返しているだけなので、途中からは退屈にしか感じない。ギミックとしての映像だけがあって、一番怖いはずの「人の心」が表されてない作品は、怖くないのです。 [DVD(字幕)] 3点(2014-06-11 20:45:36) |
2629. カティンの森
《ネタバレ》 この素材を対象として選択したということ自体が、ポーランドのプライドとアイデンティティを感じる、志高い作品。ただし、映画としては、視点がやたらあっちこっちにぶれているのと、必要性のよく分からない登場人物が頻出しているのが気になった。あと、軍人も民間人も服装がぴかぴかで、苦闘の跡が見えないのも、何とかしてほしかったかな・・・。しかし、事件を再現したラストの20分はいうまでもなく強烈で(そのまま無音の暗黒につながるフィニッシュも凄い)、このためのそれまでの100分だったということがよく分かる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-09 03:32:36) |
2630. L.A.大捜査線/狼たちの街
何かこう、これまでとちょっと違ったオシャレでスタイリッシュな刑事物を作ってやるぞうという意図は見えるのだが、脚本や演出が全然それについていっておらず、輪をかけて今聴くと脳天気なだけの音楽が邪魔をしまくっているという、悲しい作品。まさにこのダサさは85年ならでは。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-06-08 02:09:14) |
2631. 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
《ネタバレ》 あさま山荘事件をそれ単体で突出させるのではなくて、その前にあった大量リンチ事件、さらにその前にあった60年代闘争と、きちんと順を追って進んでいるのが、作品に意義を与えている。また、中身の空虚さを押し隠そうとする森の空威張り的な独裁、永田のじとっと光るような眼と粘着質な追い込み、坂口の妙に落ち着いたふてぶてしい態度と、中心人物の特性を端的に押さえているのも、作品を引き締めている。ちょっと残念だったのは、リンチ被害者の扱いが途中から露骨にぞんざいになっていることと、終盤に至っても登場人物のお肌つるつる、髪つやつやだったこと。メイクでどうにでもできたはず。 [DVD(邦画)] 7点(2014-06-04 03:51:53) |
2632. 地平線から来た男
前作と比べると、変な方向に安定してしまって、ギャグの部分の切れ味があまりにも緩い。結果、あってもなくてもいいようなシーンが積み重ねられるだけになっているのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-06-04 00:01:36)(良:1票) |
2633. ジーザス・クライスト・スーパースター
《ネタバレ》 オルガンやパーカッションやホーン・セクションの使い方など、バリバリの初期70'sサウンド炸裂の楽曲群でまずKOなのですが、それらにヴォーカルの分担やコーラスなどのアレンジを施すことによって、きちんとミュージカルの表現手段として機能しているのが素晴らしい。また、不毛の荒野をどこまでも撮りきっていく映像の迫力も十分です。宮清め事件はまるでヤクザの殴り込み、他方最後の晩餐は意表を突いてフォーキーな音楽を施したハイキングのランチ風味など、主要な場面に演出のこだわりがあるのも嬉しい。プールサイド(?)のデブオヤジは余計だったと思いますが。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-05-31 02:09:36) |
2634. 夕陽に立つ保安官
《ネタバレ》 鉄格子も扉もない独房という超絶的なシュールさと、それを作中で正面から堂々と使用してしまう素晴らしさ!そんな美味しいネタを後々まできちんと引っ張ってくれる懇切さ!もうこの作品はここだけでOKです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-05-28 03:21:18) |
2635. あ・うん
筋をそのまんま脚本に落として追っただけで、解釈や表現といったものが存在していない。観念だけで作られた作品は、つまんないです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-05-26 02:54:58) |
2636. 終着駅 トルストイ最後の旅
ヘレン・ミレンとクリストファー・プラマーは安定した演技力なんだけど、制作側が逆にそれに寄りかかって、そこから何を引き出すかというところまで手が回ってないんだよなー。いろんなシーンを継ぎ接ぎのように最後までつないでいるだけで、この二人の何を表現したかったのかというところが見えていない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-05-23 01:48:55) |
2637. レッド・バロン(2008)
とってもとっても真面目に作っていることはよく分かるのですが、誰が何をしたいのかをきちんと構築せずに細部の再現にばかり地道を上げてしまったため、見ていて面白くないという可哀想な作品。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-05-19 01:32:27) |
2638. 大西部への道
《ネタバレ》 全体の構造としては、ひたすら幌馬車隊が西に向かって行っているだけ。それはそれで1つの軸を通してはいるのだが、絞首シーンなどいくつかを除けば、そんなにドラマの上下動があるわけではないので、時折単調に感じてしまう。また、ダグラス・ミッチャム・ウィドマークの3本柱も、もうちょっと個性を立たせるなり、絡ませてぶつからせるなり、使い方はあったと思うけどな。それにしても、実はこれ目当てで見た若き日のサリー・フィールドは、何とも初々しく、この人がそうだと言われなければ絶対に分からない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-05-17 04:25:35) |
2639. わが母の記
主演の3人のキャスティングが決まった段階で制作者が安心してしまい、その後の創造や表現を止めてしまったのがまる分かり。その3人以外の扱いの雑さ、1つ1つのシーンの妙な軽さなんかにも、そういったスタートの低さがもろに表れています。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2014-05-16 01:21:02)(良:2票) |
2640. 悪人
何か強力なドラマがもう少しで起こりそうなのに、そのまま何も起こらず最後まで到達してしまうという、困った作品。あと、全編九州弁なのは頑張ったと思うが、細かいところで詰めの甘いところが多く、違和感ありまくり。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2014-05-15 03:14:46) |