261. 私の男のロマンス
そろそろ結婚を考えている相手の男が、いきなり大女優に見初められて、さあどうなる・・・というまさにラブコメ王道の出だし。のはずなんだけど、導入部はえらくとっちらかっているし、その後もどうしたいのかが分からない継ぎ接ぎシーンの連続です。しかし、そんなことよりも一番まずいのは、サブキャラを含めたどの登場人物も、さっぱり魅力的でないという点です。ラブコメでこれは致命的でしょ。また、笑わせようとしたり驚かせようとしたりする、つまり「引っかけ」シーンも、えらくネタの一つ一つが下品なのが目につきます。 [DVD(字幕)] 2点(2023-09-20 01:21:11) |
262. 手紙(1997)
《ネタバレ》 亡くなった夫から手紙が来ました、というのが主題のはずでありタイトルでもあるんだけど、そもそも夫が亡くなるまで1時間以上。最初の手紙が来た時点で残り20分。いや、その時点でおかしいと誰か気づきましょう。もともとの夫婦の描写自体、表層的な断片の連続でドラマも何もないんだけど、肝心の手紙が来てからは、単に来ましただけで終わっています。しかも最後はビデオレターって、それならひねりも謎も何もないじゃん。作品の全体を壊しかねない締め方です。つまり、設定だけで制作者が満足してしまって、その後を何も考えなかったということです。 [DVD(字幕)] 3点(2023-09-19 00:16:14) |
263. こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
《ネタバレ》 タイトルが宣言しているように、主人公の聖人君子ではないワガママぶりと、ボランティアたちの綺麗事ではない本音ぶりが中心テーマの1つなはずなんだろうけど、導入部こそそれを感じさせるものの、途中からはえらくみんな善人っぽくなっているし、ものすごく相互理解が進んでいる。安定はしているんだけど、優等生的制作に収まってしまったという印象です。特に病院関係のやりとりにおいては、一気に人物関係の描写がありがちになってパワーダウンしています。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-16 01:18:00)(良:1票) |
264. リベンジャーズ・トラジディ
《ネタバレ》 近未来の荒廃した都市です的な街周りの中で、婚約者を殺害された男が、ボスキャラに復讐する。となればハードボイルド&バイオレンスっぽい雰囲気を想像し、しかももしかしたらB級一直線ではないかとも予想します。しかし、この作品のポイントは、元は17世紀の舞台劇であるという点です。よって、品が良いとはおよそいえない(というか揃って頭も悪そうな)登場人物連中が、台詞だけは回りくどくて仰々しいというギャップは、存分に楽しめます。また、寝室侵入のくだりとそこからの展開とか、処刑をめぐる行き違い(!)とか、復讐は途中で成功するもののその後が、とか、展開も意外に捻っています。最後は急に詰め込みすぎで、舞台ならまだしも映画ならもうちょっとじっくり描写して欲しいと思いますが、まあ仕方ないか。というわけで、全体としては一本の筋できちんとまとまってはいますが、やはり一貫して漂うB級感+低予算感は、どうにも拭いがたいところでした。 [DVD(字幕)] 5点(2023-09-15 01:04:26) |
265. 探偵はBARにいる3
《ネタバレ》 前2作がほとんどコンセプト倒れのグダグダ作品だっただけに危惧していたのですが、今度は予想外に良い内容でした。単なる人探しという導入の依頼がいかにもこの作品世界に合っているし、その後も、各登場人物に、何というかB級のうらぶれた雰囲気が共通しているのが良い。北川景子も、いかにも幸薄そうな感じを適度に醸し出していて、過去作のヒロインよりもこの探偵にフィットしています。人探しのところを解決したら、今度はそのファム・ファタールが課題の本丸としてのしかかってくる、という語り口も上手くバランスがとれています。●作品としてのキズは、「出会っちゃった」のくだりを再三繰り返してしまっていること。それと、誕生日の云々をやたら台詞で説明していること(これまた回想付)。もっと見る側を信用しましょう。あと、ヒロインの病気設定はいらなかったんじゃない? [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-09-12 00:29:08) |
266. 曼陀羅(1971)
実相寺監督らしい独特のカメラワークや暗黒背景映像は堪能できましたが、見どころはそこだけでした。どうでもいいような内容を、さしたる筋書も展開もなく、延々2時間以上も見せられると、さすがにこれは何かの我慢大会なのかという気になってきます。 [DVD(邦画)] 2点(2023-09-08 01:15:37) |
267. 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
《ネタバレ》 主人公は探偵ということになっているが、やっていることは行き当たりばったりに素人レベルの当て推量を展開しているだけであって、探索も発見も何もない。また、BARにいると言っていながら、バーにはほとんどいないし、作品上の主要な場所として機能させようという配慮も見当たらない。その時点で見どころがないわけですが、あと付け加えれば、意味ありげに登場する尾野真千子も、結局横にいるだけで、物語上は何もしていませんね。作品の価値としては、麻美ゆまちゃんにしっかり出番を与えているところでしょうか(それも導入部の目立ちポジションで)。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-09-06 00:43:17) |
268. 処女
《ネタバレ》 美人の姉と太った妹がいて、処女喪失をどうしようと考えている、という初期設定。姉の方は一線を越えるにはこだわりがあり、一方妹の方は誰でもいいと考えている、ということにはなっています。しかし、実際の描写は、延々と続く姉のベッドシーンか(あそこだけで15分以上あった?)、姉妹のそっけない会話か、あと終盤に母のヒステリーが入ってくるか、というくらいで、特に目新しいところはありません。そもそもこの設定なら、妹がいかに動くかの方が重要なはずなのですが、この妹が、存在自体は強力である反面、それほど意味ある行動をしていないので、設定の意味がないのですね。まあ、姉の長いHが、実は妹と同じ室内で目と鼻の先だった、という小オチは、漫画チックで面白かったのですが、そこくらいでした。ラストもひねってはいますが、単にひねりたくてそうしただけのように見えます。 [DVD(字幕)] 4点(2023-09-05 00:45:24) |
269. 酔拳2
《ネタバレ》 半分ふざけて作ったような(そこが良かったとも言えるが)1作目と比べて、数段真剣でシャープになっている。ジャッキーのアクションの純度という点から見れば、数ある彼のキャリアの中でもトップクラスなのではないかと思う。その上で、序盤では次々に設定やキャラクターをぶち込んできますから、異様に濃い世界が形成されるわけです。ただそれを制作側が自分で処理できなくなったのか、終盤はそのほとんどが置き去りで、完全にアクション頼みになってしまいました。例えば、せっかく印章という重要ツールを持ってきたのだから、最後の決戦も、その取り合いをめぐって繰り広げられる、とかできなかったのかな。 [DVD(字幕)] 6点(2023-08-31 00:25:47) |
270. 探偵はBARにいる
《ネタバレ》 和物でハードボイルドな探偵ものというのは貴重ですし、アクションシーンに気合が入っているのも分かるのですが。筋立て自体は、導入部の切り込み感で期待させておきながら、いざ探偵が動き出すと、妙にごちゃごちゃしていて節々が見えてこない。松田龍平の相棒も、画面の中では面白そうなキャラなのに、中盤からは活躍場面が何もありません。あと、ヒロインが小雪というのはやっぱりミスだったのではないかな。この人だと、あまりに落ち着きと安定感がありすぎて、出てきただけで何でも自分で解決しそうな気がしてきますし、探偵をじわじわ引き込んで幻惑するファム・ファタールにも見えません。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-30 00:34:33) |
271. GIGANTIC ギガンティック
《ネタバレ》 3人組の若者のロード・ムービー的なあれこれを描いた作品です。台詞なしにグッと食い込んでくる導入部で期待は高まったのですが、その後が、単にいろいろ散りばめましたという感じで、妙に散らかっている。まあ、子供用のようなサッカー・ゲーム対決など、優れた場面もありますけどね。で、ダラダラ引っ張らずに余韻を残すラストは上手く締まっています。というわけで、最初と最後が出来が良いので妙に印象に残ってしまうという、困った作品。 [DVD(字幕)] 5点(2023-08-29 02:38:19) |
272. プリティ・ライフ パリス・ヒルトンの学園天国
《ネタバレ》 セレブサークルのリーダーが傲慢で高飛車で、それでそのうち復讐される・・・という筋立てのはずなんだけど、その復讐とやらが出てくるのは最後の10分くらい。そこまでは延々と主人公(パリス)の陰湿言動が続きます。このバランスがすでにおかしいのですが、いざ復讐もどきがちょろっと出てきたら、途端に主人公が改心してハッピーエンド。何じゃそりゃ、と思ったら、パリスは製作総指揮までしてるんですね。そりゃ、自分が格好悪い場面は極限まで切り詰めたかったんでしょうけど、だからって映画の中身をなくしてはいかんよ。また、中身のなさもさることながら、編集が細切れ映像の飛ばし飛ばしを見ているようで、その意味からも見るべきところがありません。 [DVD(字幕)] 1点(2023-08-28 01:05:46) |
273. Sダイアリー
《ネタバレ》 ヒロインがかつての自分の日記を見て、3人の元彼への恨みを思い出して復讐に行くという設定なのですが・・・いや、この元彼たちって、十分アホではあるけど、復讐されるほどではないんじゃない?しかもヒロインがやっていることって、えらくしょぼいというか、こぢんまりしているというか、わざわざもっともらしい前フリをしてまですることではありません。というか、第三者目線から見たら、むしろヒロインの方が未練ストーカー扱いされるだけなんじゃないでしょうか。というわけで、何とも中身に乏しい内容でした。そして最後は何かいい話だった的に無理矢理まとめているのも驚きです。 [DVD(字幕)] 2点(2023-08-26 00:10:08) |
274. グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~
《ネタバレ》 偽物の妻を伴って愛人巡りをする、という設定だけで実に魅力的なのに、いきなり前提をすっ飛ばしてその行動に入ってしまう導入部にがっかり。それなら設定のための設定というだけじゃん。また実際の愛人たちも、医者とか画家とかいう肩書で動いているだけであって、かつては主人公とどういう関係だったのかという背景が見えてきません。終盤入口のトリッキーなひっくり返しのインパクトはなかなかで、遺影を前にキャストが勢揃いするシーンは面白かったのですが、見どころはそこだけでした。しかも、その後の着地部分(記憶が復活して以降)は、逆に作品の中で一番陳腐なくだりになってしまってるし。結局、それまでとは全然別の話になってしまってるよ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-08-25 01:14:06) |
275. 座頭市物語
期待したほどでもありませんでした。まず、軸となる二家の対立が、言葉で「あの一家の野郎」とか言われているだけで、何が理由でどう対立しているのかも分からない。また、親分はもちろん周辺人物も、キャラが立っているわけでもなく、そもそもみんな同じような芝居をしています。よって、肝心の座頭市も引き立っていません。それから全体的に、各人の殺陣がやっぱり迫力不足じゃないのかな・・・振り方や打ち方だけではなく、前後の見せ方なんかも含めて。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-08-24 23:06:28) |
276. ミラクル・ニール!
《ネタバレ》 単純明快でかつ無理矢理な導入部を、自信満々に進める態度に好感。その後も、軸は「期せずして主人公に降ってきた万能力」というシチュエーションからずれません。笑いの部分は、ところどころ面白くもありつつ、もう一歩で広がらないまま最後まで行くのですが、余計な脇道に逸れずに進んでいくのが、60年くらい前のクラシック作品のようでいい感じです。ヒロインが初めて主人公に迫るときに、能力の源が一瞬途切れるのですが、特に伏線になっているわけでもないのにあえてそうしているところに、制作者のさりげない配慮を感じます。●難点は、ケイト・ベッキンセールのキャスティングかなあ。若い頃ならともかく、この時点での彼女は落ち着きと風格がありすぎて、ストーカー男やセクハラ上司にあれこれ振り回されるようには見えません。それと、騒ぎが済んだ後のレイのフォローも何か欲しかったかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-22 22:52:27) |
277. 猛獣大脱走(1983)
《ネタバレ》 動物園の猛獣たちが脱走して街中で暴れまくる!という、あまりにも単純すぎて逆に誰も考えなかったようなプロットを、堂々と実行しています。まあ全体のチープ感は拭えないのですが、それでも、これだけの動物を揃えて実際に撮影してしまう根性はなかなかです。後に某作品が「街中で暴れる動物大行進」をCGで作って話題になりましたが、こちらは実写ですよね?一方で、その辺に力が入りすぎたのか、脚本とか役者の演技にはかけらも配慮されていません。主演の彼なんかはのんき度100%です。シロクマが廊下を走るシーンで、誘導するスタッフの道具(エサ袋?)がしっかり写り込んでいるのもご愛嬌。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-08-21 01:27:31) |
278. ゴーストライター
《ネタバレ》 中盤くらいまでは割といい感じなのです。落ち着いた進行の中にも適度にそれっぽい手がかりが撒かれていて、じわじわとスリルが増していきます。また、若すぎず老けすぎず、善人すぎず悪人すぎないというユアン・マクレガーのキャラクターも、作品に合っています。キム・キャトラル&オリヴィア・ウィリアムズの適度な自己主張ぶりも、スパイスとして効いています。●ただ、終幕に向けて、結局はありがちパターンに収まってしまったというか、広げた風呂敷を畳めなかったというか・・・ひねりたかったからひねった、というだけのオチになってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-20 20:42:41) |
279. 皇帝のいない八月
《ネタバレ》 渡瀬恒彦はせいぜい現場の下士官くらいにしか見えず、数千人規模の「クーデター」とやらを精緻に準備して実行するリーダーにはとても見えない。●吉永小百合の役がこの話に何で必要なのかがさっぱり分からなかったのだが、やはり、彼女が登場するたびに思いっきりブレーキになっており、スリルが削がれている。●高橋悦史の出番多めなのは良かったのですが、三國連太郎をアゴで使うというのは、どう考えても違う気が・・・。●丹波哲郎を制服組トップくらいの扱いで出しておいて、さてどんな活躍をするのかと思いきや、何と、解決には何も関わってないどころか、その後出番がまったくなしとは!●いい感じで登場する神山繁先生&健作の記者コンビは、その動きが危機の解決に作用して・・・と想像していたら、ただ「それだけ」でした。●乗客で渥美清&岡田嘉子(!!!)が登場したときは、車両の中でも乗客のドラマが展開して・・・と想像していたら、ただ「それだけ」でした。●というわけで、全体的に豪華キャストの無駄遣いなのですが、見どころがあったのは、どこまでいっても画面内構築力を発揮する山本圭くらいでしょうか。ただ、結局は車内でオロオロしているだけで、何もしていませんが。後は、短時間で美味しいところを持っていった山崎努かな。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-08-19 01:06:48) |
280. ウォールフラワー
《ネタバレ》 よくある学園下層カーストものかな、と思いながら見始めていたら、作中の主人公の生活同様、サム&パトリックのコンビ登場によって、映画も大きく動き始める。登場人物それぞれのちょっとした行動が、予想しない方向に、しかし必然性をもって物語を進めていく。そのやりとりが、ありがちなようでちょっとだけ突き出ている、あるいはずれているという匙加減とバランス感覚が絶妙です。その中で、主演の3人は、特に際立ったアクションを要求されないというむしろ難易度の高い演技に、きちんと対応しています。80年代のジョン・ヒューズ周辺の青春モノを品良くレベルアップした内容、と言ったら褒めすぎかな?最後の過去のトラウマ云々のところは、ちょっと詰め込みすぎかなとも思ったのですが、もともと原作を書いた人が脚本と監督をしているので、どうしても切れなかったのでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-18 01:12:46)(良:1票) |