261. キングコング: 髑髏島の巨神
《ネタバレ》 2014「ゴジラ」とも関連のある(モンスター・バース)新作キングコング映画。これまで見たキングコングの映画はリメイクが主だったせいもあって東宝版も含めてオリジナルを踏襲した展開が多かったのだが、本作では舞台となる髑髏島だけで話が展開するのがコング映画では新鮮に感じる。コングの登場も早く、コング以外の怪獣も多数登場するなど、怪獣映画としての醍醐味がこれでもかと詰め込まれていて、まさに王道の怪獣映画という感じの作風(久しぶりにこういう怪獣映画を見た気がした。)で、すごく楽しいし、さきほど書いたように舞台は髑髏島から移動しないので、往年の東宝特撮怪獣映画を見ているような懐かしさや楽しさ(巨大タコとの戦いは「キングコング対ゴジラ」を思い出さずにはいられない。)が感じられるのが嬉しい。2014「ゴジラ」では怪獣どうしの戦いの描写に不満しかなかったのだが、本作ではもちろんその点もしっかりと描写されていて、もう大満足。とにかく最初から最後まで小難しいことを一切考えずに見られる娯楽映画に徹しているのが素晴らしく、あまり期待しないまま映画館に入ったのがウソのようにすごく面白かった。エンドロール後のエピローグに次回作であるレジェンダリーゴジラへの布石が描かれているのだがこの感じだと思わず期待してしまうじゃないか。コングを殺すことに執念を燃やす男をサミュエル・L・ジャクソンが演じているが、見ていて昔「ジュラシック・パーク」に脇役で出ていたことをつい思い出した。 [映画館(字幕)] 8点(2017-04-14 00:55:52)(良:1票) |
262. 白ゆき姫殺人事件
《ネタバレ》 2時間ドラマのようなタイトルからまったく期待せずに見たのだが、殺人事件そのものよりも事件に対するネットの興味本位の書き込みやそれにまた踊らされるマスコミの報道によってもたらされた情報が何の確証もないまま真実であるかのように広まっていく怖さがリアルに描かれたまさに現代ならではの社会派エンターテイメント映画となっていてなかなか面白かった。構成的にはそんなに目新しさは感じないのだが、ネットとメディアを題材にしたことで、話がとても身近に感じられるのが良いし、それがこの映画のリアルな怖さにつながっているのだろう。だからというわけでもないが、ヒロインの城野美姫(井上真央)には感情移入できる部分もあった。ディレクター赤星(綾野剛)が城野の関係者たちを取材していくシーンはフェイクドキュメンタリーを見ているようで面白い。ワイドショーの取材VTRをそのまま流すシーンが二度もあったのはひょっとしたら映画館で見ていたらチープに感じたかもしれないが、あれがあることによって本作全体をワイドショーのように見せるという意図があったのだろうと思う。城野が犯人ではないと分かった後、今度は赤星が書き込みに批判され、今まで批判されていた城野が一転して書き込みに擁護されるようになるのはネット社会というものを痛烈に表していて思わず笑ってしまう。「告白」の湊かなえ原作であるが、監督が違うせいか「告白」ほどのインパクトはない。でも「告白」よりも分かりやすくとっつきやすい感じであるので、本作のほうが他人には薦めやすいかもしれない。城野がいちばん最後に赤星に言うセリフである「いいことありますよ」がなにか皮肉めいて聞こえるのは気のせいだろうか。その前にある実家に帰ってきた城野と小学生時代の友人・谷村夕子(貫地谷しほり)とのロウソクのくだりは別になくてもいいように思いながらも少しほろっとしてしまった。(原作知らないのだが、こういうところがいかにも松竹だよなあ。)それと、本作ではテレビ局がどこも製作に参加していない。別に珍しいことでもないのだが内容が内容だけについ納得できてしまう。まあ、これも憶測にすぎないけど。 [DVD(邦画)] 7点(2017-04-09 01:21:41)(良:1票) |
263. 家族はつらいよ
《ネタバレ》 山田洋次監督が「東京家族」のメインキャスト全員を再び起用して手掛けた映画で、再び家族を描いているが、こちらは「家族はつらいよ」というタイトルが示す通りの喜劇映画。かなり前からもう山田監督は喜劇映画はやらないのかなと思っていたので再び喜劇映画を作ってくれたことがまず嬉しい。もう冒頭のオレオレ詐欺の電話と間違えられるシーンから爆笑の連続で、見ていてまったく退屈しないし飽きない。妻・富子(吉行和子)から誕生日プレゼントに離婚届に判がほしいと言われたときの夫・修造(橋爪功)の表情も笑えるが、富子の浮気を疑って長女夫婦(中嶋朋子、林家正蔵)が用意した探偵(小林捻待)の初登場シーンの描写が完全に寅さんのような描写なのがまた良くてすごく笑えるし、修造の愚痴を言っているときに本人が現れる間の悪さや、両親の離婚についてみんなで話し合っているときにそれを知らない次男(妻夫木聡)が家に恋人(蒼井優)を連れて来るという間の悪さ、家族会議の最中にちょっとしたことでケンカになるのもまるで「男はつらいよ」シリーズのとらやでのやりとりを見ているようなおかしさがあり、思わず懐かしい気分になった。最初に書いたように家族役は「東京家族」のメインキャストが演じているが、「東京家族」と違って団結した家族なのが対照的。でも、本作のほうが山田監督らしい家族の描き方に感じられる。そんな家族が繰り広げる寅さん的な世界を見ていて、山田監督の「男はつらいよ」シリーズへの思い入れの深さや、また寅さんのような明るい喜劇映画を作りたいという気持ちが伝わってくるし、きっと山田監督は肩の力を抜いて楽しんで本作を演出していたんだろうなあというのが想像できる。見ているこちらとしても山田監督の映画を見て久々に心の底から笑うことができたし、同じキャストでも「東京家族」よりこちらのほうが好きだ。そして、どんなにシリアスな映画で評価される監督であってもやはり山田監督は寅さんシリーズの監督であり、喜劇映画の監督だということを改めて感じることができたのも嬉しい。ここ10年ほどの山田監督の映画の中では文句なしにいちばん面白く、本当に楽しい映画だった。 [DVD(邦画)] 9点(2017-04-01 20:45:37)(良:2票) |
264. 僕の彼女はサイボーグ
《ネタバレ》 もし恋人がターミネーターのようなロボットだったらというSF映画で、日本映画ではあるが、韓国の監督が手掛けているせいか、邦画ではないような雰囲気が独特の印象を残す映画になっている。(ほとんど日本映画しか見ず、とくに韓国映画ってまったく見ないんだけどいつもこんな感じなのか。)サイボーグ彼女(綾瀬はるか)が未来から送られてくるシーンは思いっきり「ターミネーター」のそれを彷彿させているし、その後にチンピラをボコボコにするのも同じであるなど、影響を受けているにしてはただのパクリじゃんと思うような部分が少し気になるものの、その後のストーリー展開は漫画的でありつつもそこそこ楽しめるものになっていて見る前に思っていたほどつまらなくはなかった。彼女を演じる綾瀬はるかはハマリ役で、見ていて本当にロボットに見えてくるほど。このあたり日本人の監督だったら中途半端になってしまうかもしれない。タイムトラベルを扱ったSF作品にありがちな矛盾もあるのだが、それを綾瀬はるかの魅力とロマンチックなラブコメストーリーで押し切った感はあるが、確かに気にはならない。地震のシーンはそれまでとは違いパニック映画のような演出だが、今見るとスペクタクルとして素直に見ることができないのは仕方ないことかもしれない。冒頭に登場した彼女そっくりの女の子の正体が最後に明かされるという構成はうまいのだが、ここがけっこうくどく感じたのがちょっと残念で、もう少しコンパクトに終わってほしかった。未来の自分がロボットを開発して過去の自分に送ってくるというのは見ていて「ターミネーター」よりも「ドラえもん」の都市伝説の最終回を思い出した。彼女を開発する未来の年老いたジローを演じているのが「クレヨンしんちゃん」の園長先生役など声優として知られている納谷六朗だったのは別に不思議なことではないかもしれないが、ちょっとビックリ。 [DVD(邦画)] 5点(2017-03-26 14:06:05) |
265. 母と暮せば
《ネタバレ》 井上ひさしが構想していたという「父と暮せば」に対する長崎原爆をテーマとした物語を山田洋次監督(井上ひさしとは「キネマの天地」で一緒に仕事をしている。)が映画化した作品で、「父と暮せば」とは逆に原爆で死んでしまった息子・浩二(二宮和也)が生き残った母親・伸子(吉永小百合)の前に現れるという設定は見事に「父と暮せば」と対になっている。「父と暮せば」と同じく二人の会話劇が中心で進んでいくが、夢や希望に満ちた将来がありながらそれを原爆によって絶たれてしまった息子の無念さや、息子に先立たれた母親の悲しみがよく描かれていて、考えさせられるものがあるし、戦争に対する山田監督や井上ひさしの思いも伝わってくる。あまり回想シーンを使わずにセリフだけで語らせているのも「父と暮せば」同様に舞台的ではあるが、登場人物たちの口から発せられるセリフを聞いていて思わずその情景が頭に浮かんでくる。中でも浩二の恩師(橋爪功)の最期や、浩二の恋人・町子(黒木華)が友人を原爆で失った時のことを話すシーンは思わず胸が張り裂けそうなほどつらかったし、町子の同僚のメンデルスゾーンのエピソードも良かった。山田監督は作品によっては説明過多になってしまう場合もあるものの、映画を見ている人に想像の余地を与えるのがうまいなとあらためて思う。(回想シーンとのバランスも良い。)冒頭の原爆投下シーンの見せ方も決してスペクタクル調になることなく、それでいて原爆の尋常ではない恐ろしさを伝えるにはじゅうぶんな映像になっているのが見事で、直接には生々しさを見せていないのも山田監督らしい。主演の吉永小百合はいつものように演技は微妙ながら「母べえ」ほどの違和感はそれほど感じなかった。ただ、坂本龍一の音楽はやはり少し癖があって山田監督の映画には合わないかもしれない。(このテーマだからこそのこの二人の起用なのは分かる。)それにラストの結末部分がファンタジーに寄りすぎてしまった感があり、とくに伸子が死ぬシーンは完全にホラー映画のようで、全体的にかなり浮いてしまって見えたのが残念。せめて同じ展開でももう少し違う描写の方が良かった気がするし、伸子の死を暗示だけで済ましても良かったのではとも思う。しかし、エンドロールの合唱は多少宗教的ではあるものの、原爆への怒りよりも戦争によって亡くなってしまった人々に対する山田監督の鎮魂の思いがストレートに感じられるエンディングで、同じく長崎原爆を題材とした木下恵介監督の「この子を残して」よりも幕引きとしてはこちらのほうが良かった。(ただ、音だけならもっと良かったような気はする。)「父と暮せば」には劣るものの、全体的には優しい雰囲気で作られた山田監督らしい良作だと思う。7点でもいいのだが、やはり話の結末はもう少し違う展開や描写でもっと余韻のあるほうが良かったと思うので1点マイナス。それにしても山田監督も80歳を超え、そろそろ死を意識する年齢になってしまったが、あと何本新作が見られるだろう? [DVD(邦画)] 6点(2017-03-25 17:14:59)(良:1票) |
266. 出口のない海
《ネタバレ》 山田洋次監督が「釣りバカ日誌」シリーズ以外で久しぶりに脚本のみを手掛けた佐々部清監督による戦争映画。ハデな戦闘シーンを描かずに主人公以下登場人物たちのドラマを描いているのはいかにもホームドラマが主の松竹らしいし、回天という非人道的な兵器を後世に伝えたいという作り手の気持ちはわざわざ主人公がセリフで言わなくてもよく分かる。「釣りバカ日誌」シリーズは末期は脚本の適当さが目立っていたが、さすがに本作はそこまでの適当さはなく、脚本も演出も真面目で良心的。しかし、回天の存在を後世に伝えることに注力しすぎたのか、ほかのドラマ部分は薄いし、なにより主人公である並木(市川海老蔵)の野球への思い入れの強さがほとんど伝わってこないのが良くない。見る前はもっと野球を中心にストーリーが展開する映画だと思っていただけにここが薄っぺらいのは本当に残念。また先に書いた回天の非人道性も出撃時に故障(実際に多かったのかもしれないが。)が頻発するというありさまではかえって間抜けに見えてしまい、回天の恐ろしさというものもあまり伝わってこないのは映画を製作した目的がそもそもじゅうぶんに果たされているとは言えない気がする。出演者が現代的にしか見えない若者ばかりだったり、「この戦争は負ける」という並木のセリフは現代の戦争映画なので仕方ないと思うものの、主演の海老蔵の演技はやる気があるのかと疑いたくなるほど下手(「一命」のほうがまだ演技は気にならなかった。)で、ドラマが薄っぺらいうえにこれでは並木に感情移入することができない。海老蔵だけではなく「嫌われ松子の一生」や「十三人の刺客」ではさほど気にならなかった伊勢谷友介の演技もなにか微妙に感じた。それと、物語の語り手が途中からいきなり変わるのは違和感を感じる。映画としてもなかなか微妙な印象だが、テーマ自体は決して悪くはなく、存在意義もある映画だとは思うのでまあそれを考慮して5点。でも、山田監督が自ら手掛けていたらどんな映画になっていただろうという思いはある。本作と同じく回天を扱った映画である松林宗恵監督の「人間魚雷回天」をずっと見たいと思っているのだが、なかなか機会に恵まれないのが残念。いつか絶対に見てみたい。 [DVD(邦画)] 5点(2017-03-18 22:20:30) |
267. 釣りバカ日誌20 ファイナル
《ネタバレ》 シリーズ最後の作品となる第22作。今回の舞台は脚本を担当している山田洋次監督の映画でも舞台になることの多い北海道で、最後にここを舞台に選んだのはなにか嬉しい。また、末期の作品ではスーさんの出番が少なくなっていたのだが、最後となる今回はスーさんも出番が多く、あらためてこのシリーズの主役は浜ちゃんとスーさんだと感じさせてくれるのも良かった。前半ではいつものように若いカップル(吹石一恵、塚本高史)の恋愛と、ヒロインと母親(松坂慶子)の母娘関係が描かれていて、まさかいつものようにこのまま終わるのではと思っていたらそうではなく、後半にスーさんが倒れてしまうという展開になるのは完結編らしい展開で、いよいよ終わるという一抹の寂しさが漂っている。でもスーさんが亡くなって終わりという風にはならないのがこのシリーズらしく湿っぽくならずに良かった。最後はスーさんの会長退任で終わるのだが、それに続くエンドロールのバックの映像でレギュラー出演者が一同に会し、カーテンコールを行うという演出は今までこのシリーズを見てくれていたファンに対する関係者たちの感謝の気持ち、これがじゅうぶんに感じられ、途中飽き気味になった時期もあったものの、このシリーズをまだ寅さんシリーズを見始めるより前の中学の頃からずっと見ていることもあってか感慨深いものがあり、無性に感動してしまった。確かに寅さんシリーズ同様に初期の頃、寅さんと同時上映していた頃、栗山富夫監督の時代の作品の方がシリーズとしては面白かった気はする。でも、このシリーズは紛れもなく、寅さんシリーズとともに松竹を代表する喜劇映画で、誰もが安心して楽しんで見ることができるシリーズなんだと思う。そんなシリーズを21年間の長い間、支えてきた西田敏行と三國連太郎、浜ちゃんとスーさんにこちらからも感謝したい気持ち、そしてお疲れさまという気持ちが自然と湧いてくる。本当に今までありがとうの気持ちを込めての7点。それにしても、少年時代から長い間見ていたシリーズの最後の回を見るっていうのは感慨深さもあるんだけど、それ以上にやっぱり寂しさを感じるなあ。そういえば最近は寅さんや釣りバカのような毎年必ず作られるような実写のシリーズもの日本映画がないのがまた寂しい。これも時代だろうか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-15 01:21:58)(良:1票) |
268. 劇場版TRICK トリック 霊能力者バトルロイヤル
《ネタバレ》 劇場版第3作。ここまでくるともうやっていることはいつもと変わらないのだが、本作の舞台となる村は万練村。このシリーズのスタッフのこういう自虐的な遊び心はけっこう好きだったりする。今回も山田(仲間由紀恵)と上田(阿部寛)のコンビは相変わらずで、この二人のやりとりは見ていて安心感があるし、このシリーズらしい連発される小ネタも確実にどこかすべっているんだけどそれなりに楽しい。今回の敵役は松平健が演じているのだが、冒頭が時代劇(山田が見ている夢。ちょっと「男はつらいよ」シリーズみたいな始まり方。)だったり、彼が演じる鈴木が唱える「バンサンケツマ」は誰が見てもそれを意識していることは明白だし、なにより鈴木が白馬に跨っているのは「暴れん坊将軍」のセルフパロディで、この松平健の出演自体がギャグみたいなものになっていていかにもこのシリーズらしい。ただ、このシリーズでは山田が「暴れん坊将軍」の大ファンという設定があるので、山田が鈴木を見て興奮するというシーンがあっても良かったかもしれない。「新作スペシャル2」のレビューでネタ切れ気味の脚本でもこのシリーズなら許容範囲と書いたのだが、今回の肝心のトリックのネタに関しては本当にネタ切れを感じさせるようなものがあり、中でも双子のトリックはテレビシリーズ初期のパントマイム殺人事件の回でもやっていたので、容易に予想がついてしまうし、あの回がすごく面白かっただけにさすがにシリーズ内で同じネタを流用しているのは少々残念。今回の事件とシリーズいちばん最初の「母之泉」に関係性を持たせているが、知らないと話についていけないというほどではない。「母之泉」を見たのは一年半ほど前なのだが、終盤回想で登場するビッグ・マザー(菅井きん)につい懐かしさを感じた。シリーズものをずっと見ているとこういうのがあったときに思わず嬉しくなってしまう。 [DVD(邦画)] 5点(2017-03-11 15:07:05) |
269. TRICK トリック 新作スペシャル2<TVM>
《ネタバレ》 スペシャル版第2作。今回はなんとわが地元が舞台という設定になっているが、調べるとロケには来ていないようで少し残念。それは置いておいて、今回も山田(仲間由紀恵)と上田(阿部寛)のとぼけたやりとりは楽しいし、樽の中から死体が発見されるシーンでは上田の科学的理論に基づいた推理もあるのが楽しい。連ドラシリーズから金田一耕助シリーズに影響されたような話(「六つ墓村」など。)もあったのだが、今回は子守唄の歌詞の通りに若い女たちが殺されていくという「悪魔の手毬唄」を模した犯行内容となっていて、犯人の動機も似ていて普通ならネタ切れかと思うような脚本だがこのシリーズであればまあ許容範囲。登場人物の名前が金田一シリーズを意識したものになっているなど全体的にも金田一シリーズのパロディとして作られているのもこのシリーズらしく、(堤幸彦監督らしいところでもある。)中でも市川崑監督の「獄門島」と「八つ墓村」に出演している浅野ゆう子が出演している(犯人役かなと思ったらやっぱりそうだった。)のがいかにも確信犯的。「悪魔の手毬唄」とは逆に犯人である母親が何も知らない実の子に殺されるラストは「悪魔の手毬唄」とはまた違う切なさがあり、印象に残った。久しぶりに「悪魔の手毬唄」見てみようかな。 [DVD(邦画)] 5点(2017-03-02 15:49:45) |
270. 釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様
《ネタバレ》 シリーズ第21作。今回は別府が舞台なのだが、鈴木建設の社員旅行で訪れるというのがちょっと異色。でもその社員旅行にスーさんは参加していないのでシリーズとしてはちょっと物足りなさがあるし、シリーズレギュラーの谷啓演じる佐々木が一度も登場しないのもいくら次長になったからと言ってもなにか違和感がある。(既に谷啓が体調を崩していたのか?。)でも、シリーズ自体をかなり久しぶりに見るのだがストーリーとしては派遣社員や格差といったテーマを取り入れつつも軽い感じで進んでいくのはいつもと変わらない感じで安心して見ていられるのが良い。今回のゲストは常盤貴子演じる鈴木建設の派遣社員の女性と山本太郎演じる浜ちゃんの後輩なのだが、この二人が結婚するまでを描くのももはやパターンと化していてマンネリと言えばマンネリなのだが、多くをこのシリーズに求めているわけではないので、シリーズとしてはコレでいいと思う。でもこのシリーズで山本太郎と竹内力が共演しているのは「バトル・ロワイアル」とかを連想してしまい、少し不似合いにも思えた。ゲスト二人の恋物語が適当なのはいつものことなのだが、今回は鈴木建設の社員同士ということがあってか結婚式まで描かれている。浜ちゃんが考えていたスピーチとまったく同じことを先に総務部長がスピーチで言ってしまうのは10年ほど前に見た「祝辞」(シリーズ初代監督である栗山富夫監督の映画。)とまったく同じ展開で、見ていてつい懐かしくなってしまった。その総務部長を演じているのが佐藤浩市というのがサプライズな見どころで、格差をテーマにしていても結局最後は世襲なのねと強引に納得させられるキャスティングなのがある意味すごい。佐藤浩市の若い頃は三國連太郎との親子関係は悪かったみたいだが、関係が修復してからは共演も多く、一度はこのシリーズでの佐藤浩市のメインゲスト出演、本格的な親子共演を見たかった気がする。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-02-19 12:34:31) |
271. めし
《ネタバレ》 倦怠期の夫婦を描いた成瀬巳喜男監督のいわゆる「夫婦三部作」の最初の作品で、戦後それまで低迷していた成瀬監督がふたたび評価されるきっかけとなった代表作の一本でもある。成瀬作品をかなり久しぶりに見たのだが、成瀬監督らしい味わい深い映画になっていて面白かったし、それだけではなく、ちゃんと人間が生活しているという空気感も大切に、そして丁寧に演出されているところが良く、そういうところに成瀬監督のうまさを感じずにはいられない。結婚五年目の倦怠期を迎えた夫婦を原節子演じる妻の視点から描いているが、その心理描写もうまく、改めて成瀬監督は女性を描くのが本当に上手い監督だと感じさせられる。その原節子も平凡な夫との暮らしに何かしらの不満を抱いている所帯じみた主婦を演じていて、カリカリ、ピリピリした表情も見せるなど、小津安二郎監督の映画での彼女とは違った印象が残り、それが本作の中で効果的に使われているところなど、作風が似ていると言われる成瀬監督と小津監督の作風の違いもこの原節子の違いを見れば分かる。個人的には本作で原節子が演じた三千代という人物は今まで見た原節子が演じた役の中でも見ていていちばん親近感がわいたし、一般的に小津作品でその魅力が語られることの多い女優なのだが、成瀬監督もやはりそれとは別の魅力を引き出している。夫を演じる上原謙のダメ男ぶりもハマリ役で、こういう役が十八番のようなイメージの森雅之とはまた違ったタイプのダメ男を見事に演じていて、間違いなく本作は上原謙にとっても代表作と言っていいだろう。東京から家出してくる主人公夫婦の姪を島崎雪子が演じているが、彼女の芸名は「青い山脈」の原節子の役名をそのまま使ったもので、この二人の共演も見どころのひとつ。それにしても本作の主人公夫婦のような状況は現代でもじゅうぶんにあり得ることだと考えると夫婦というものはいつの時代もあまり変わらないものだと思わされるところもあった。「めし」というタイトルのつけ方も絶妙。 [DVD(邦画)] 8点(2017-02-11 18:33:39) |
272. バケモノの子
《ネタバレ》 細田守監督のオリジナル作品3作目で、初めて脚本も単独で担当している。主軸としては家出してバケモノの世界に迷い込んだ孤独な少年がそこで出会った孤独なバケモノの弟子になり、反発しあいながらもやがて親子のような関係になっていくというシンプルなものだが、脚本はそのほかにいろんなものを詰め込みすぎていて、前作である「おおかみこどもの雨と雪」でも連続テレビシリーズ向けの脚本に思えたのだが、本作はまるでテレビシリーズを再構成した総集編を見ているようで、どこに焦点を合わせて見ていいのか分からない映画になってしまっている。それ故にか、登場人物にドラマが起こっても傍観者状態のままで誰にも感情移入できなかった。「おおかみこどもの雨と雪」でも思ったが、本作もやはり2時間の映画よりは2クールほどのテレビシリーズでやったほうが良かったのではと思えてしまう。後半主要人物として登場する楓の存在などはもしこれがテレビシリーズであればとくに違和感は感じないかもしれないが、単発2時間の映画だとファンタジーなバケモノの世界からいきなり人間世界に戻って進学だの云々リアルな話になってしまい、ギャップが凄すぎて違和感が激しい。そして終盤30分は登場人物の一人がアナキンのようにダークサイドにとらわれていることが判明し、(一応、それまでに伏線らしきものはある。)そこから少年ジャンプに載っている漫画が原作の東映アニメーションのバトルアニメのような展開になってしまうのは支離滅裂な感じがしてメチャクチャな印象しかないし、このおかげで細田監督が本作で何がしたかったのかますます分からなくなってしまった。(細田監督は「ドラゴンボール」のようなものがやりたかったのだろうか。)決して苦手な監督というわけではないが、「おおかみこどもの雨と雪」や本作を見ると細田監督は無理に長編映画を作るよりも一度テレビアニメに戻った方が良いのではと思ってしまうのが正直なところ。 [DVD(邦画)] 4点(2017-02-09 00:48:55)(良:1票) |
273. 獣の戯れ
《ネタバレ》 三島由紀夫原作の映画で主演が若尾文子。となれば増村保造監督の映画かと思ってしまいそうだが違う。話としては決してつまらないというわけではなく、若尾文子演じるヒロインの悪女ぶりもいつものようにハマっていて、彼女が主演の映画を見るのがかなり久しぶりなこともあり、懐かしさもあるが、増村作品ほどのインパクトはなく、あまり生かされてもいない感じでそこが物足りないし、主要人物三人のドロドロした関係は退屈せずに見られるものの、このストーリーもなにか増村監督に向いている気がして、見ながら増村監督がもし手掛けていたらどんな映画になっていただろうと考えてしまった。(絶対に傑作になっていたに違いない。)話自体は悪くないだけになんかもったいない気がする。そんな中で印象に残るのはヒロインの夫を演じる河津清三郎。やな感じで女遊びの激しい前半の社長の姿から、頭を殴られたことで脳に重度の障害を負った後半の姿を演じているのだが、この変わり身がうまく、前半はいつもの憎まれ役という感じだったのに、後半では全く違うどこか哀れみを感じさせる演技で、さんざん弄んだ妻に介護されながら生きる男の皮肉や哀しみを見事に演じていて、後半ではこの夫に感情移入してしまうシーンも何度かあった。この後半の河津清三郎の哀れさがいちばん心に残る。でも本作に関してはやっぱり三島由紀夫原作で若尾文子主演なら増村監督で見たかったと強く思うのが正直なところである。 [DVD(邦画)] 6点(2017-01-26 00:23:02)(良:1票) |
274. 昭和残侠伝 吼えろ唐獅子
《ネタバレ》 シリーズ第8作。今回は高倉健、池部良の風花コンビに加え、鶴田浩二まで登場している。内容は義理や筋を通すことへの苦悩がよく描かれた典型的な任侠映画らしい任侠映画になっていて面白いし、出来としてはそんなに悪くない。でも、マキノ雅弘監督の担当した回と比べると佐伯清監督(本作で監督作初鑑賞)の本作は脇役の描き方がイマイチに思え、そこが物足りなく感じる(単に慣れの問題かもしれないが。)し、話の発端となる風間重吉(池部良)の弟・文三(松方弘樹)の駆け落ちの相手と、花田秀次郎(高倉健)のかつての恋人の二人のヒロインが登場するが、展開上、駆け落ちのエピソードのほうがウェイトが大きくなり、秀次郎のかつての恋人とのエピソードはなにか中途半端な感じ。文三の駆け落ち相手を演じるのが新人ぽい女優なのに対してこの秀次郎のかつての恋人を演じるのが東映専属ではない日活の松原智恵子(に加えて今回の敵役も日活の葉山良二。)だったので、せっかく他社から出ているのにととくにファンでもないのにもったいなく感じてしまい、無理に主人公にもヒロインを出さなくても駆け落ち相手だけで良かったのではと思う。また鶴田浩二が出たことにより、池部良の存在感がちょっと薄くなった感がある気がして、とくにクライマックスの殴り込みシーンに途中から鶴田浩二が助太刀に現れ、いちばん最後のシーンも高倉健と鶴田浩二の後ろ姿のツーショットというのはこのシリーズとしてはさすがに違和感があったのがちょっと残念だった。 [DVD(邦画)] 6点(2017-01-19 20:19:27) |
275. ギャラクシー街道
《ネタバレ》 三谷幸喜監督が去年の大河ドラマ「真田丸」の脚本を担当すると知った時、これで監督映画の新作はしばらくないかなと思った矢先に製作が発表されたのでちょっと驚いたことを覚えている。「真田丸」が面白く、最終回まで全部見てから本作を見たのだが、映画というよりはテレビのコント番組を見ているノリで、しかも三谷監督にしては笑いの部分に下品なネタが多く、見ていて寒いうえに、面白くもなく、三谷監督が本作を製作中も「真田丸」のことで頭がいっぱいだったのではと思えるほど、全体的に適当に作ってしまったような印象が残る。舞台を宇宙のハンバーガーショップ一か所にほぼ限定しているのは「THE 有頂天ホテル」よりも「王様のレストラン」を思い出さずにはいられないが、テレビドラマや舞台と違って映画(それもこういう公開規模が大きいメジャー作品。)という媒体だとスケールの小ささが出てしまっていて、何かこじんまりとしている。やはり映画だと「THE 有頂天ホテル」のような見た目の豪華さが必要になってくるのだろう。三谷監督の映画の中では明らかにいちばん面白くない映画だが、それでも印象に残ったシーンを挙げてみると大竹しのぶ演じるハナが調理場でタバコを吸うのは「王様のレストラン」の山口智子演じる磯野しずかへのセルフオマージュのように感じられて思わずニヤッとさせられた(映画の出来はもちろん「王様のレストラン」の足元にも及ばないが。)し、特撮ヒーローものを意識した防衛隊の三人の三角関係のくだりだけは個人的には面白く見た。あと、TM西川演じるヌルヌル宇宙人はほとんど筋に絡んでおらず、(絡みそうな一幕があるものの。)最後に歌うためだけに出てきたようなものなのが、演者の本業が歌手でありながらもったいなく感じた。あれならエンドロールのバックで主題歌として流したほうが良かったろうに。 [DVD(邦画)] 3点(2017-01-14 00:35:55) |
276. 新・刑事コロンボ/復讐を抱いて眠れ<TVM>
《ネタバレ》 シリーズの常連であるパトリック・マクグハーンが犯人役と監督をつとめていて、彼が犯人役として関わる回はアリバイ工作が徹底していて面白いという印象があるのだが、今回は葬儀屋役で、殺した相手の死体を火葬炉で焼いてしまうという大胆な証拠隠滅で、(アメリカは葬儀場と火葬場が一緒になってるのかな。土葬のイメージ強いけど。)絶対に死体が発見されることのない殺人事件をどうやってコロンボが解決するかというのが凝っているし、見る方としてもそこに注目して見ることになる。展開自体もわりとオーソドックスな「刑事コロンボ」という感じで、最近見た三本ほどが変化球ばかりの印象だったせいもあってか、久しぶりに面白かった。Eメールや携帯電話、パソコンが重要なキーとして登場していて、いかにも90年代末期の作品であることを感じさせている。しかし、さすがにここまでくるとこのシリーズには若干それが不釣り合いで似合わないような気がして、事実、コロンボはそういった近代的なハイテク機器は苦手そう。やっぱりこのシリーズにはアナログな感じが似合う。現場に呼ばれたコロンボがそこで飢えた犬を見つけて早く餌をあげるように促すシーンは、コロンボの愛犬家としての側面がよく出ていて、今回ここがいちばん印象に残った。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2017-01-08 15:16:36) |
277. 人生劇場(1983)
《ネタバレ》 なんと監督が深作欣二、佐藤純彌、中島貞夫の三人もクレジットされていて、オムニバスか何かと勘違いしそうな映画だが、一本の長編映画の群像劇である。どうして三人体制になったか気になって調べたら最初は深作監督が一人で手掛けるはずだったものを企画から公開まで時間がなく、佐藤監督と中島監督が手伝いに駆り出されたというのが理由らしい。大作映画は得てして大味になりがちだが、このせいか何やら統一感に乏しい印象で、見終わって一層大味な印象だけが残る映画になってしまっている。何度も映画化されている名作が原作とのことだが、ストーリーもまったく知らずに初めて見た者としては、話がごちゃごちゃしていてよくわからず、そのうえに永島敏行演じる主人公にこれっぽっちも魅力を感じることができず、むしろ飛車角や吉良常を主人公に任侠映画にでもしたほうがいいと思ってしまう。(これ以前の映画化作品はこの二人を中心にしたものもあるとのことでやはりそっちのほうが見たい。)この時期の東映作品らしく濡れ場も多いが、年明け一発目に見る映画としてはちょっと失敗してしまったかなという感が強かった。主人公の父親を三船が演じているが、使い方がもったいなさすぎる。西村晃演じるヤクザの親分が松方弘樹演じる飛車角を「角さん」と呼ぶのは「水戸黄門」を連想してしまい、なにか変な感じがした。 [DVD(邦画)] 5点(2017-01-03 23:29:50) |
278. 網走番外地 悪への挑戦
《ネタバレ》 シリーズ第9作。今回は網走で刑期を終えて九州へやってきた橘真一(高倉健)が鬼寅(嵐寛寿郎)が働く不良少年の更生施設で働くことになるところから話がはじまり、刑務所帰りの真一が不良少年たちを更生させていく話・・・にはなっていないのがさすがにこの時期の東映の健さん映画。ストーリーとしての見どころは施設を脱走した一人の不良少年(谷隼人)と真一の友情なのだが、これがやっぱり印象に残るものになっていて良いアクセントになっている。川津祐介がメインゲストとして出演していたり、敵役のヤクザの親分を演じるのが東宝専属の田崎潤だったりと、東映ではなじみのない俳優が出演しているのが新鮮に感じられた。(この時期の田崎潤の他社出演は当時の邦画の斜陽を感じなくもない。)不良少年の一人を演じる石橋蓮司も若いが、不良少年たちの中に「男はつらいよ」シリーズで博を演じる以前の前田吟の姿があるのはけっこう貴重だ。それともう一つ、いつもは主人公の仲間として出ている印象が強い田中邦衛がほんのチョイ役なのは意外に感じる。(久しぶりにこのシリーズ見るからかもしれないが。)ラスト、威勢のいいだんじり囃子の聞こえる中で殴り込みが行われるのは演出としてなかなか効果的だったと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2016-12-30 12:49:21) |
279. ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
《ネタバレ》 シリーズ第5作。ストーリー的には5作目ということもあってかややマンネリを感じるものの、所属する組織から追われる身となった主人公というのはありがちに感じながらもやっぱりスリリングで面白い。冒頭の飛行機にしがみつくシーンとか、カーチェイスの階段のところとかどことなく往年のジャッキー・チェンを思わせるトム・クルーズのアクションも迫力があり、見ごたえじゅうぶん。ヒロインが味方なのか敵なのかわからない設定も良かった。(確かにイーサンが苦労して手に入れたデータをあっさりと横取りするシーンは不二子みたいだ。)前作にあったギャグシーンを無くして終始シリアスに展開するのも良い。前作同様にイーサンの一人舞台ではなく、イーサンの仲間たちにもしっかりとスポットが当たっているのも良かった。しかし今回はイーサンの超人ぶりに対して悪役の魅力が薄く、その点イマイチだったのと、ストーリーの細かい部分によくわからないところが多かったのが残念だった。この辺りが引っかかってしまい、1点マイナスの5点。まあこういう映画は細かいことを気にせずに楽しめればそれでいいとは思うけど。次回作も出ればまた見るんだろうなあ。 [DVD(字幕)] 5点(2016-12-23 15:39:59) |
280. 寄生獣 完結編
《ネタバレ》 テンポも良く、娯楽作としてそれなりに楽しめた前編に比べると、確かに特撮などは引き続き見ごたえがあるものの、ストーリー展開としてはかなりもたついていて、特に中盤の新一(染谷将太)と里美(橋本愛)のラブシーンは唐突で、すぐ近くに敵がいるかもという状況下ではリアリティがなさ過ぎて冷めてしまうし、どうしてあの流れでという疑問がわいてくる。(せめて「ターミネーター」のように何らかの意味を持たせていれば良かったのだが、ないわなぁ。)市役所での機動隊とパラサイトたちの戦いと、動物園での新一、田宮(深津絵里)、倉森(大森南朋)のやりとりを交錯させながら描いているが、意図として分からなくはないものの、それによって緊張感が分散してしまうのが残念だった。それに市役所での戦いで後藤(浅野忠信)が機動隊を捕食するシーンは想像に任せるよりも直接描いたほうが後藤の脅威をもっと印象づけることができたのではと思う。田宮の最期は深津絵里の熱演もあって印象に残るのだが、山崎貴監督のあざとい泣かせ演出が鼻についてしまった。新一とミギーが後藤に追われるシーンや、焼却炉での後藤との最終決戦は「ターミネーター2」を思い出さずにはおれず苦笑いをしてしまった。焼却炉に放射性物質が落ちているというのもご都合主義すぎて興ざめ。そのあとのミギーとの別れも見どころのはずだが、思ったよりもあっさりしていたのは良かった。でも、ここにも唐突感がある。最後の20分ほどは原作にはあるんだろうけど、映画の流れからいうと完全に要らないような気しかせず、このおかげでラストが冗長に感じた。素直にミギーと新一の別れで終われば良かったのにと思ってしまう。とにかく前編はうまくまとまっていた印象だったのだが、後編は詰め込みすぎで散漫な映画になってしまっていて結局実写映画よりも原作の漫画やアニメを見た方が面白そうと見終わった後思ってしまった。ただ、三部作とかだったらまた印象は違ったかもしれない。 [DVD(邦画)] 5点(2016-12-16 23:55:44)(良:1票) |