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コメント数 923
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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261.  運命じゃない人
やられた。第1章は何てことないのだが、第2章、第3章と格段に面白くなっていく。全編とぼけた味でコンパクトに纏まっている分、満足度が高い。邦画において、緩めのサスペンスコメディを描くなら右に出る者がいなんじゃないかと思うほどに。長らく新作が出ていないが、オリジナル脚本の難しさ故だろうか?
[DVD(邦画)] 8点(2021-04-16 22:32:51)
262.  冬冬(トントン)の夏休み
少年と妹のひと夏の思い出。日本にも似た台湾の田園風景が懐かしさを呼び覚ます。ところどころに緊張感の走るシーンが挿入され、誇張なく淡々と描かれている分、人々の見えない変化を印象付ける。祖父の厳格さと叔父の甲斐性のなさに揉まれながらも、少年は少しずつ大人になっていく。可もなく不可もないが、過去に台湾に行った時の懐かしい空気が堪らない。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-04-16 22:13:03)
263.  ノマドランド 《ネタバレ》 
暗く厳しいロードムービー。一見、俗世間から解放され、自由で人生を謳歌しているように見えて、一歩間違えば保証もなく死亡リスクも高くなる。年金だけでは暮らせない高齢者なら尚更だろう。望んでノマドになったわけでもない。季節労働者として、雇用の調整弁として大企業から使い潰しにされる。我々の安価で便利な生活は彼らの犠牲によって成り立っているのだ。そして、働けなくなれば野垂れ死の運命が待っている。デイブのように家族の元へ帰ることが出来たら違った結末もあるかもしれない。それでも、ファーンを含めノマドたちは責任と誇りを最後の希望として日々を生きていく。自分の居場所は"ここ"しかないと。普段見ることのないアメリカの厳しい大自然を詩情あふれる映像で捉えた撮影に、人の小ささ、立ち向かう強かさを感じる。日本でも車中ホームレスを取り上げた特集が放送されており、アメリカだけの話ではない。格差の固定は人も社会も支配しやすくする。
[映画館(字幕)] 7点(2021-03-27 10:57:02)
264.  ミナリ 《ネタバレ》 
移民を扱った映画は数あれど、韓国系アメリカ人家族が主人公なのが異色。暴力も差別も描かれず、常に穏やかで静かなトーンで進んでいくが、映画では描かれない苦難もたくさんあったはずだ。それを象徴するのが"ミナリ"。芹のことで、厳しい環境で育ち、二度目の収穫が美味しいことから、したたかに生きる家族の姿と重なる。父親が成功に邁進しようとすればするほどドツボにハマっていく悪循環の中、祖国から来た祖母によって一家に変化が訪れる。勿論、エキセントリックなキャラクターなだけに災厄も訪れるが、絶望の中にひとかけらの希望があった。キリスト教信仰が背景にあり、達観した心境すらある。映画監督になった少年が捧げる祖母への感謝。
[映画館(字幕)] 7点(2021-03-20 01:22:24)(良:1票)
265.  Fukushima 50 《ネタバレ》 
低評価の理由に納得した。 実話であるなら事実を淡々と客観的に描けばよいのに、 ヒーローもの、青春ものの要素を恥ずかしげもなくぶっこみ、 プロパガンダたっぷりの美談に仕上げてしまったこと。  後半は失速し、米軍のトモダチ作戦に、関係者家族のドラマを流す厚顔無恥っぷりで要るか、これ? そうなると事実と映画が分離され、余計に集中できなくなる。  震災によって得するのは他でもなく利権を貪る政治屋であり、 東京オリンピックと称した「パンとサーカス」で批判から目を逸らそうとしているわけだから、 吐しゃ物の臭いしかしない。 コロナ禍によって、化けの皮は完全に剝がされたけどね。 さらなる甚大な被害を食い止めようと奔走した現場関係者には頭が下がるが、 こんな形で利用されたら本当にいたたまれない。 ただただ後味が悪い。
[地上波(邦画)] 2点(2021-03-20 00:42:18)(良:3票)
266.  音楽(2019)
楽器に触れたことのないヤンキー三人組が何となくバンドを始め、地区のロックフェスに参加することに。 捻りもなく本当にそれだけ。 裏を返せば、音楽への純粋で原始的な衝動を突き詰めたと言える。 技巧とか理屈とかは要らない。 それを表現をするためにロトスコープという手法を取っており、7年かけた労力に見合った没入感が半端ない。 シンプルすぎる絵柄にシュールな笑いが物語に独特のリズムを生み出し、71分の短い尺だからこそ鋭い切れ味を感じる。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-03-14 18:42:46)
267.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
『スター・ウォーズ』の外伝として見るなら物足りなさがある。主役がハリソン・フォードに似てない、本来の人物像からの矛盾、本伝ストーリーとの整合性云々だ。ただ、独立した映画として見るなら冒険活劇あり、恋愛あり、意外な展開ありでそれなりに楽しめる。必要以上に特殊効果を前面に出したスペクタクルシーンが控えめで、'70年代を意識した作りが良い。でも、それだと『スター・ウォーズ』でなくても良いわけで・・・
[地上波(字幕)] 5点(2021-03-10 21:56:27)
268.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 
何の感慨深くもないまま完結。もっとも前作の迷走から何とか軌道修正した感はあるけれど、視覚効果に馴れた以上、最終決戦は結局同じことの繰り返しで全く新しさがない。ダースベイダーに匹敵する悪のカリスマも不在で、空気が引き締まることなく、あっさり決着した感じ。ep7以降、話や人物相関図をあまりにも後付けで広げすぎたし、ディズニーのことだから、これからもスピンオフ作品が量産されることを考えるとそっとして欲しい。
[地上波(字幕)] 4点(2021-03-05 09:16:45)
269.  サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ- 《ネタバレ》 
ミュージシャンにとって聴力を失うということは死んだも同じで、 追体験するような音響効果が否が応でも恐怖を与える。 環境音のみでBGMは一切なく、まるでドキュメンタリーのようである。  聾者のコミュニティはたいへん興味深かった。 当事者の誰もが自分を見失い、少しずつ受け入れて、 それでもまた迷っての繰り返しだっただろう。  再起のため楽器もキャンピングカーも売り払い、高額の手術も受けたが、 機械音が混ざった音しか拾えない絶望。 そして彼は人生の全てだった音楽を捨てた。  果たして障害を持つことは不幸なのか? 他人事とは思えず、一切の甘さもない結末だが、 健常者視線のモノサシと依存からの解放でもある。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-02-28 14:22:38)(良:1票)
270.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
消費社会に警鐘を鳴らした世紀末より問題が深刻になっているからこそ、作品の先見性に驚かされる。あれから20年、消費社会が深化してデジタル消費社会になり、マイノリティの発言力が大きくなり、多様性の広がる世界になったと思いきや、閉塞感に覆われる矛盾。どう見られているかという管理社会になったことで、"去勢された"男性はより無気力になり社会の隅に追いやられる。そう、何も持っていない男が理想の自分(男性性の象徴)に囚われ、痛みという通過儀礼によって現実を受け入れ、アイデンティティを獲得するまでの映画なのだから。欺瞞の社会に疑問を持たなくて良いのか。己を騙して生きていないか。理念は立派であるが折り合いをつけられず、そこを拗らせてしまうと、ポピュリズムの台頭を許すことになる。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-02-19 23:58:44)
271.  岸辺の旅 《ネタバレ》 
ぬっと暗闇から失踪した夫が現れる。死んで幽霊になったという。妻は夫と共に、彼が世話になった人々の元を訪れる・・・。この設定で奇妙なのは、幽霊でありながら触れることができるし、他の人も実体を認識しているところ。しかし、その真相は一切明かされない。知れば知るほど夫が分からなくなるように。そういう意味では、死者と如何に向き合い、未練を果たし、どこで区切りを付けるかに重点を置いている。恩人の新聞配達の老人、中華料理店の女性のエピソードが印象的だったが、後半からいろいろ次ぎ込んで失速した感がある。もう少し短くできなかったかと思ってしまった。短い出演時間ながら、夫の浮気相手だった蒼井優の切り替えっぷりが恐い。安直な回想とVFXに頼らない監督の演出力が確かなだけに残念。
[地上波(邦画)] 5点(2021-02-12 23:12:33)
272.  メッセージ 《ネタバレ》 
ヴィルヌーヴ監督らしい一筋縄ではいかぬ、静謐で芸術点の高いSF大作である。淡々としながらも最後まで引っ張る演出力は認めたいところ。ところが、回想だと思ったら、未来予知だったというギミックに拘りすぎて、一周回って、宇宙人によって掻き回されただけの話になってしまった。宇宙人側の3000年後の事情なんて知ったことかで、一か月間も社会は大混乱のはた迷惑。解読された言語で世界がまた一つになるどころか、むしろ未来予知を悪用する輩が出てくるだけかと。未来の夫との離婚、娘の死が待っている件にしても、それを受け入れなければならないというわけでもない。ヒロインに感情移入できるか否かで、突貫工事な設定に意見が真っ二つに分かれるだろう。
[地上波(字幕)] 5点(2021-02-12 22:34:29)
273.  女は女である
もう60年前の映画なのか。古臭さは否めないものの、遊び心あふれる演出とアンナ・カリーナの魅力で全編瑞々しい。ゴダールらしい難解さはほぼ皆無、コメディテイストの敷居の低い映画に仕上がっていた。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-02-06 09:58:03)
274.  夢二
ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』の"元ネタ"で、大正時代の画家、竹久夢二を題材にした伝記でもない完全なフィクション。白昼夢を見ているような支離滅裂な展開と淫靡な映像美が広がっていく。駆け落ち相手を尻目に人妻と奔放な恋愛を繰り広げる男の心象風景、時代の反逆者としてアーティストの矜持をただ眺めることしかできない。掴みどころのない飄々とした軽やかな雰囲気が良きアクセント。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-02-03 00:09:51)
275.  東京流れ者
初めての鈴木清順。ありきたりの任侠映画に、ポップな色彩感覚とチープでコミカルでアンバランスな造りが却って独特の雰囲気を醸している。良くも悪くも前衛的で、その嗜好に合致するかと言えば否。スタイル優先で話は二の次なのは分かっていたが、睡魔を催すくらい魅力を感じられない。それだけ彼に影響を受けたクリエイターが増え、物足りなくなった証か。出直してきます。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-02-01 23:19:00)
276.  アナスタシア
ディズニーっぽいというレビューが散見されるが、そのスタッフを引き抜いて作ったのがこれ。どうりで似ているわけだ。問題はオリジナリティがなく、ただの劣化コピーで終わってしまったこと。予想通りのまま展開するのはともかく、脇役も悪役のラスプーチンもあまり活かされず、構成のバランスが悪くて退屈だ。随一音楽は素晴らしかった。あれからDNA鑑定によって、アナスタシアがボリシェヴィキに殺害されたことが正式に証明され、ロマンの欠片もなくなってしまった。そして、製作した20世紀フォックスがディズニーに買収され、本作がディズニープラスで配信されていることに皮肉を感じる。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-01-27 22:35:19)(良:1票)
277.  ミッドナイト・スカイ
終始退屈で単調な映画。金が掛かっているだけあり、大作感も宇宙船のディテールも期待は裏切らない。内省的で余命わずかの科学者の心の旅を描いたのは分かるが、並行的に描かれる宇宙船のクルーのパートも十分に比重を占めており、どちらも均等に描こうとして却って中途半端になってしまった印象。映画としては分かりやすい部類だが、2時間で描くほどの濃密さがないので、世界の終末に想いに馳せることもままならない。少女の正体も何となく分かってしまうし、「言いたいことはそれだけか?」で終わってしまった。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-01-23 10:49:16)
278.  #生きている 《ネタバレ》 
ゾンビ映画お決まりの限定空間サバイバル劇だが、SNSとドローンを駆使するネットゲーム好きの高校生が主人公というのが極めて現代的。映画の大半は自宅マンションに篭もらざるを得ない状況で、コロナ禍でステイホームにならざるを得ない現実の世界とリンクする。食料がなくなり、水も電気も止まる。その割に風貌があまり変化しないし、噛まれても仕方ない状況なのに最後までヒロインと助かるご都合展開が目立つが、適度な恐さと緊張感と勢いで飽きずに見られたことを評価したい。98分の上映時間で気軽に鑑賞できるのも良い。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-23 10:22:44)
279.  ソウルフル・ワールド 《ネタバレ》 
『インサイド・ヘッド』を手掛けたピート・ドクターだけに、哲学的・宗教的世界観が強めながら、噛み砕き分かりやすく違和感なくアニメーションに落とし込む。ただしストーリーの詰めの甘さが目立つ。数が合わないのは過去に一度もなかったのかな? ジョーみたいなイレギュラーは過去にもいただろうし、22番を救った特例で元の世界に戻れるのは都合良すぎ。穏便に済ませることができる話を拗らせている悪癖も目立つかと。それならもっと尺を割くべき個々のエピソードもあったはずだ。何気ないシーンの美しさ、かけがえのなさを切り取る手腕が素晴らしいだけに残念に思える。夢を叶えても破れても、生きる理由は問わない、ただここにいるだけで良い、はありきたりだろう。分かってはいるけど、それを言ったら負けな感じすらある。それだけ勝ち組社会に洗脳されている、自己肯定感低すぎて満たされなかったというのもあるけれど。
[インターネット(吹替)] 6点(2021-01-12 19:35:02)(良:1票)
280.  マ・レイニーのブラックボトム 《ネタバレ》 
"ブルースの母"と呼ばれたマ・レイニーとバックバンドの、あるレコーディングの一日を描く。表題になっているマ・レイニーは実在する人物だが、出演場面は"彼"ほど多くなく、戯曲を基にした完全なフィクション。その"彼"とは、チャドウィック・ボーズマン演じる野心家のトランぺッターであるレヴィーだ。感情豊かに変幻自在に密室劇を掻き回す。そして身勝手で馴れ馴れしい。彼とは別のベクトルでマ・レイニーも傲慢で横柄な態度を取る。ひたすら押されるだけで大人しい白人のマネージャーとプロデューサーに、何も知らない人から見れば同情したくもなるが、マ・レイニーもレヴィーも差別が横行する世界で生き残るために虚勢を張っているとも言える。ただ成功者であるか否かの違いでしかない。レヴィーはひたすら白人に媚びへつらうしかなく、作曲しても安く買い叩かれる。逃げ場のない鬱屈がひたすら積み重なっていき、そしてちょっとした諍いが悲劇に繋がってしまう。黒人の音楽であるブルースが白人の所有物としてすり替わっていく最高に居心地の悪い結末が後を引く。この世界には神なんていないのかという嘆きは、黒人の地位向上のために戦ってきたチャドウィック・ボーズマンの心象そのものなのか。夭折ながら遺作に相応しい。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-12 19:32:11)(良:1票)
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