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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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301.  ハンター(2011) 《ネタバレ》 
絶滅種タスマニア・タイガーを仕留めろと命じられたあるハンターの物語と聞かされた時には「え?そんなものが映画になるの?」と不安に感じたのですが、それは無用な心配であり、意外にも本作は真っ当な映画として成立しています。父親のいない家庭があって、その家庭は好戦的な他の住民とのトラブルを抱えていて、そこにやってきた流れ者が用心棒兼父親として家を守るという筋書きは、まさに王道のウェスタン。観ていて「なるほど、これがやりたかったのか」と納得がいきました。ハンターと一家の交流は丁寧に描写されているし、対する他の住民達の悪辣ぶりもなかなかのもので、このドラマにはかなり引き込まれました。同時に、両者の対立構造は一面的ではなく、開発と環境保護という大きなテーマを観客に投げかけている点でも見応えがあります。さらには失踪した父親の謎の絡め方も良く、非常に端正なシナリオだと感じました。また、これを支える演技も素晴らしく、ウィレム・デフォーは生涯最大の当たり役ではないかという程ハンター役にハマっています。彼の相手となる子ども達の演技も非常にナチュラルで、子役特有のわざとらしさやイヤらしさをまったく感じさせられませんでした。。。 と、前半パートは良い感じに進行していたのですが、後半になると映画は突如として方向転換をします。前半の問題が何らの解決もしないまま一家は退場させられ、同時に憎まれ役だった住民達も映画から姿を消してしまいます。代わって、会社から送り込まれた他のハンターとの戦いや、タスマニア・タイガーとの出会いが描かれるのですが、前半のドラマを断ち切る形で後半パートが開始されるので、この構成には大きな違和感を覚えました。ラストに主人公がとった行動も分かったような分からんような微妙なものだったし、後半パートはまるで楽しめませんでした。前半のドラマを貫徹すればウェスタンの傑作になっていた可能性もあっただけに、謎の方向転換が悔やまれます。
[DVD(吹替)] 6点(2012-09-15 14:33:51)
302.  顔のないスパイ 《ネタバレ》 
『ウォンテッド』や『3時10分、決断の時』の脚本家、マイケル・ブラントの監督デビュー作。これまで優れた脚本を書いてきたブラントが、自分の手で監督したいと思った渾身の作品だけあって、本作の脚本はかなり魅力的です。ポールの正体を早々に暴いて観客の視線をポールに集中させておいて、第2のトリックを密かに仕込んでおくという周到な構成には恐れ入りました。また、男性映画の傑作『3時10分、決断の時』の脚本家だけあって、男の友情物語としても非常に優れた物語です。残念なのは、監督としての腕前がまだまだ不十分で、脚本の魅力を十分に引き出せていないこと。プロの監督に委ねていれば目の覚めるような傑作になる可能性もあっただけに、結果としてB級アクションに終わってしまった点は惜しいと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2012-09-09 14:15:08)
303.  恋の罪 《ネタバレ》 
公開時には3人の女性の物語と宣伝されていましたが、実質的な主人公は神楽坂恵演じるいずみ。夫から女性扱いされず人生の目的を見失っていたいずみが、生の実感を求めて新たな行動を起こしたことから地獄を垣間見る前半部分はなかなか楽しめたのですが、完全にイっちゃった後半は何がなんだかでした。自分の女房を主演にしてここまで激しいことをさせるのだから、この監督は特殊な感性をお持ちなのだと思います。凡人の私では付いていけない部分が多々あって、2時間半という長尺はちょいと厳しく感じました。。。 と、全体としてはイマイチだったのですが、才気あふれる監督による作品だけあって、部分的には魅力的なものもありました。特に興味深く感じたのは美津子といずみの関係性。いずみと初めて対面した時、美津子は「この世界に足を踏み入れるな」と言っていずみを突き放すのですが、いずみから旦那の名前を聞かされると、それまでの態度を翻して彼女はいずみを受け入れました。このやりとりの意味がわかるのはクライマックス近く。いずみの旦那も愛欲の世界にどっぷりと浸かっており、美津子はいずみに”戻る場所”がないことを悟ったからこそ、彼女は地獄の案内人役を引き受けたのです。登場人物達の運命を分けたのは、この”戻る場所”の存在でした。美津子は母親から憎まれており、彼女にとって家は戻る場所ではありませんでした。美津子の母親は、表面的には「血筋が悪い」と言って美津子を疎んでいるのですが、実のところは愛する夫を娘である美津子に奪われたために、殺したいほど娘を憎んでいます。大方斐紗子による怪演も手伝って、老いてなお燃え上がる女の情念には圧倒されました。一方、”戻る場所”の存在によって何とか踏みとどまったのが、水野美紀演じる和子。ラストは曖昧なようですが、よくよく考えれば監督の言いたいことははっきりとしています。一心不乱に走っているうちに家から遠く離れてしまった和子が、「どこにいるのか?」と聞かれて「わからん」と答えるラスト。「わからん」とはその場所に違和感を覚えていることを表しており、この後彼女は愛する夫と娘の待つ家庭に戻ることが推測されます。。。 この映画はドロドロでグロテスクなのですが、込められたメッセージは意外とポジティブ。愛とは厄介なものだが、愛する人との関係性を間違えていなければ、意外と何とかなるもんだと言っているようです。
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 19:00:23)(良:2票)
304.  電人ザボーガー 《ネタバレ》 
私が産まれる以前の作品なので、オリジナルは未見です。ウルトラマンでも仮面ライダーでもないほぼ忘れ去られていたヒーローを復活させるという企画に関心を持ったので鑑賞しました。。。 ザボーガー登場からテーマ曲までの演出は完璧。バカバカしくもカッコいいヒーローものの醍醐味をわずか数分で再現しており、鳥肌が立つほど興奮させられました。しかし、そこからはグダグダ。終始くだらないギャグでお茶を濁していて、ただの一度も映画が引き締まることがないのです。映画中盤においては、それまでΣ団を倒すことこそが正義だと信じてきた大門に迷いが生じ、そのために愛するミスボーグとザボーガーの両方を失うという劇的な展開を迎えるのですが、その場面すら真剣に描かれていないという有様。失意からもぬけの殻となっていた中年大門が、わが子との出会いによって再びガッツを取り戻すという後半部分に至っては完全にコントとなっており、この映画は演出のやり方を根本的に間違えています。。。 この映画、必要な駒は揃っています。70年代風の雑なデザインを引き継ぎながらも、適度な修正を加えてピカピカな姿で蘇ったザボーガーは充分にカッコいいし、CGと実写を組み合わせた変形シーンは驚くほどスムーズです。若き日の大門を演じた古原靖久はコメディもアクションもできて、おまけにダサイ決め台詞も様になっているという奇跡の逸材だったし、山崎真実と佐津川愛美は女優としてかなり恥ずかしい役柄ながらこれを全力で演じていて好感が持てます。大量のイベントを捻じ込みながらも終始スムーズにまとめられた脚本の質も高く、スタッフ・キャストは素晴らしい仕事を披露しています。だからこそ、根本的に方向性を間違えた演出が残念で仕方ないのです。。。 そんなことを考えながら映画を観ていたのですが、エンドクレジットで流されるオリジナル版の映像を観てビックリしました。オリジナルは本作以上にバカバカしいのです。70年代の子供向け番組なので大した作品ではないだろうとは思っていたのですが、ラストで目撃した光景はそんな予想をも遥かに下回るトンデモないものでした。リアルタイムで観ていた世代は、子供心にも「これは変だ」と感じていたはず。ならば本作のわざと外した演出もあながち間違っているとは言えず、これはオリジナルを観ていないと映画の評価はできないなと思いました。よって無難に6点。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-16 10:19:42)(良:3票)
305.  デビルズ・ダブル -ある影武者の物語- 《ネタバレ》 
イラク戦争後に暴露されたフセイン一族の悪行三昧は戦勝国によるネガティブ・キャンペーンである可能性を否定できないし、おまけにこの原作を書いたのは亡命中のラティフ本人なので内容の客観性にも疑義があり、実話という触れ込みの本作についても話半分のつもりで鑑賞したのですが、それでも映画としては面白く仕上がっています。後述の通り脚本にはアラがあるのですが、安定した演出によってドラマとしてもサスペンスとしてもアクションとしてもそれなりにまとめられているのです。本作の演出を担当したのはリー・タマホリ。『007/ダイ・アナザー・デイ』を大ヒットさせたものの、続く『トリプルX/ネクストレベル』と『NEXT』が連続して失敗し、おまけに女装姿で売春(買春ではない)しているところを囮捜査官に逮捕されるという前代未聞のスキャンダルによってハリウッドから干された人物なのですが、ヨーロッパ資本を得ての5年ぶりの監督復帰作にして、相変わらず水準以上の腕前を披露しています。主演のドミニク・クーパーの演技も素晴らしく、観客が一目で判別できる程の高いレベルでウダイとラティフを演じ分けています。なぜ彼が、いかなる演技賞をも受賞できなかったのかと不思議になる程です。。。 問題があるのは脚本で、無難にまとめられてはいるものの、焦点を当てるべき対象を間違えたために意図した物語にはなりえていません。脚本家が夢中になったのはウダイによる悪行の数々なのですが、この物語の主人公はウダイではなくラティフです。掘り下げるべきはラティフの苦悩だったはずなのに、これが意外と適当に流されています。例えば、家族に危害が及ぶからと影武者役を渋々引き受けていたラティフが、家族を見捨ててでも国外へ逃げようと決意した心変わりの背景の描き込みが不足しているのですが、このために後半の展開に感情移入できないという事態が発生しています。一度は国外へ逃亡したラティフが復讐のためにイラクへ戻るという展開にしても、ラティフの心情の描き込みが不足しているために作り手が意図した程のカタルシスを観客に与えるに至っていません。
[DVD(字幕)] 6点(2012-08-12 03:52:22)
306.  ルーザーズ 《ネタバレ》 
アクションコメディの割に込み入った内容、おまけに説明が駆け足なもんで、何度も話を見失いそうになりました。32話からなるアメコミ原作を100分程度に圧縮した作品であるため脚本にムリが生じた結果なのでしょうが、原作の再現にこだわって一本の映画として破綻寸前にまで追い込まれるくらいなら、映画用に適度な改変を加えるべきだったと思います。謎の美女アイーシャの正体が判明する場面や、ルーザーズの一人が裏切る場面なども事前のフリのマズさからサプライズになっておらず、ストーリーテリングという点においてこの脚本は失敗しています。ルーザーズ達のコミカルなやりとりも作り手が意図したほど楽しくはなく、悪い意味でピーター・バーグ(『ハンコック』『バトルシップ』)らしい脚本だと言えます。。。 一方で、見せ場が素晴らしいのが本作の救い。製作費2,500万ドルというハリウッド映画としては小規模な作品なのですが、アクションのノウハウを知り尽くしたジョエル・シルヴァーが背後に控えているおかげで大作並みの満足度が得られます。ゾーイ・サルダナやクリス・エヴァンスなど俳優陣のハマり具合も完璧、久々に見かけたジェイソン・パトリックも楽しげに悪役を演じており、見てくれはよく出来ています。 
[DVD(字幕)] 6点(2012-07-05 23:16:29)(良:1票)
307.  ドラゴン・タトゥーの女
ハリウッド最強の脚本家と監督が組んだ作品だけあって安定感は抜群。娯楽性と芸術性の間で見事にバランスをとっています。主演2人はもちろん脇を固める俳優陣も素晴らしく、映画としての完成度は非常に高いと思います。しかし、とにかく上映時間が長い。目を見張る展開やド派手な見せ場のない本作で2時間半オーバーは厳しすぎます。。。 インディーズスタジオだったニューラインシネマズで「セブン」と「ゲーム」を成功させて以降、デヴィッド・フィンチャーはスタジオからの口出しを受けずに映画を撮れる地位を確立しましたが、それ以後に彼が撮った映画はどれも長い。確かにこの監督のヴィジュアルは完璧であり、どのシーンも美しく撮られているためにすべてを使いたくなることは理解できるのですが、同時に映画全体をどうまとめあげるのかという視点も持っていただきたいものです。同じくヴィジュアルの巨匠であり、自由に映画を撮れる立場にいるリドリー・スコット師匠などは毎回本編を短めに刈り込み、DVD化の際にディレクターズ版を発表することが恒例となっています。リドリー・スコットは”適正な上映時間”というものを常に意識しており、時には個々の場面の重要性よりも映画全体のテンポを優先させるという判断を下しているのです。フィンチャーも、早くこの域に達して欲しいものです。
[DVD(吹替)] 6点(2012-06-23 02:16:33)(良:3票)
308.  ザ・タウン
「ヒート」が好きで好きで仕方がないベン・アフレックが撮ったクライムアクションは、案の定「ヒート」そっくりでした。とにかくディティールにこだわるマイケル・マンの長所を本作も引き継いでおり、大胆でありながら頭の良い犯罪計画はなかなかの見応えがあります。床屋で街中の男の頭髪を集めてきて、犯行で使用した車にそれをばらまくことでDNAによる追跡を不可能にするというアイデアなんて、「その手があったか!」と犯罪者でもない私も大興奮なのでした。ひとつひとつのアクションもしっかりと作りこまれていて、こちらもマイケル・マン作品に匹敵する仕事ができていると思いました。 ただし、ドラマパートはもうひとつかなという印象です。「ヒート」には”静かな緊張感”というものがありましたが、本作はただ静かなだけ。中盤はかなり退屈します。最重要容疑者としてFBIに面が割れた後のFBI捜査官とのやりとりや、恋人に自分の正体をどう明かすのかといった点にドラマやサスペンスがあったと思うのですが、勿体ないことにそういったおいしい点に限って軽くスルーされています。パッと見は冴えない中年だが恐ろしく頭が切れるというFBI捜査官も、主人公との絡ませ方が巧くなかったために作り手が意図したほど面白いキャラクターになりえていませんでした。これらについては、作品全体の取捨選択に問題があったのだと思います。ウダウダ悩む主人公という観客がさして見たいわけでもない要素に目一杯フォーカスしてしまい、クライムアクションを見に来た観客がもっとも関心を持つ点(FBIとの攻防、ヤクザ者としての仁義etc…)を捨ててしまったために、中途半端な仕上がりとなってしまったようです。とはいえアフレック監督の手腕は本物なので、彼の次回作には大きく期待しています。次のイーストウッドになるのはアフレックですよ。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-30 00:49:48)
309.  デビルクエスト 《ネタバレ》 
借金返済のためここんとこ映画に出まくっているニコラス・ケイジですが、本作ではついに時代劇に進出。十字軍騎士役をケイジが演じるというキャスティングはさすがに厳しいだろうと思っていたのですが、意外なことによくハマっています。多くの人が忘れていますがこの人はオスカー俳優、トラウマを抱えた歴戦の勇者を見事に演じているのです。剣術も様になっていて、なかなか器用なところを見せてくれます。その相棒を演じるロン・パールマンは、ケイジがハマらなかった場合の保険としてキャスティングされたかのようなポジションですが(彼がいなくても物語は成立する)、ケイジとの相性はなかなか良くて二人の掛け合いは映画を面白くしています。監督のドミニク・セナも時代劇初挑戦ながら安定した演出を披露。老朽化した吊り橋を渡る場面ではハラハラさせられたし、作品のキーパーソンである女性の描き方はなかなか秀逸なものでした。「女性は魔女裁判の被害者なのか?それとも本物の魔女なのか?」というミステリーが前半部分のキーとなるのですが、この点、セナは適度に観客を混乱させる演出を施していて、なかなか引きのある物語としているのです。問題は、後半になると映画がボロボロになることで、脚本の弱さや予算の少なさといった本作の抱える弱点が一気に露呈してしまいます。女性の正体は月並みなものだったし(前半部分の引きがうまかっただけに、余計ガッカリさせられました)、ついに正体を現した悪魔のVFXは10年前のクォリティで、安っぽさが全開となっています。最終決戦の舞台が狭い書庫なので視覚的な面白みにも欠け、人類存亡を賭けた戦いであるというスケール感も表現できていません。ここでハッタリをかませなかったことが、MTV出身のドミニク・セナの限界とも言えますが。
[DVD(吹替)] 6点(2012-01-14 14:53:09)(良:1票)
310.  トロン:レガシー 《ネタバレ》 
チャチながら味のある映像、安いながらも独特の雰囲気を醸していた音楽、そんな「トロン」第1作を見た直後に「レガシー」を鑑賞したのですが、その素晴らしいアップグレードぶりには目を見張りました。最先端の映像は美しくてやたらかっこよく、仰々しい音楽は腹にドスンと響きます。とにかく目で驚かせる、これぞスペクタクルだと思いました。前半のハイライトである「ゲーム」の作り込みはハンパではなく、平面だけではなく垂直方向も意識したアクションの連続には大興奮させられました。21世紀に入って突如「トロン」続編の製作が発表された時には「なんで今更『トロン』なの?」と世界中が首をかしげたのですが、この映像を見せられると、「なるほど、これを見せたかったのか」と合点がいきました。ビジュアル的には百点満点の映画だと思います。。。 ただし、お話の方が弱いと感じました。どのキャラクターも薄味で感情移入できないし、タイトルロールである「トロン」の扱いもぞんざいなものです。ビジュアル的にはかっこいいのに、キャラクターとしてまったく掘り下げられていない点が非常に残念でした。心変わりの背景などをもう少し丁寧に描いていれば、見違えるほど良くなったと思うのですが。さらには、観客に世界観を伝え損ねていることも問題です。ポータルがどうのこうのとか、ケビンのディスクがどうのこうのという話はサッパリ意味不明だし、デジタル生命体アイソーの件も、やはりよくわかりませんでした。難解な世界観をうまく観客に飲み込ませていた「マトリックス」という先例があるのですから、もう少し丁寧に脚本を作り込むべきだったと思います。 
[DVD(吹替)] 6点(2011-12-04 09:54:45)(良:1票)
311.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
フィルム撮りを愛し、新技術に対して懐疑的なスピルバーグがついに挑んだ3D大作だけあって、技術的には物凄いことになっています。これまで見たどの3D映画よりも滑らかかつ迫力ある立体映像は入場料分の価値あり。特に凄いのが、3枚の羊皮紙を巡ってのバイクとハヤブサとのチェイスシーンで、「もう一回見せて」と言いたくなるほどのパワーと迫力に圧倒されました。やはりスピルバーグはスペクタクルの巨匠なのです。キャラクターの演出も相変わらず巧いもので、タンタンの愛犬スノーウィは誰からも愛される理想的なパートナーに仕上がっているし、失敗ばかりのハドック船長を観客からウザがられる一歩手前で愛すべきおとぼけキャラの域に留めている辺りのサジ加減も抜群です。。。 ただし、全体としてはアニメーションという初体験のジャンルをうまく活かせていないように感じました。「謎を解く→次の冒険へ→新たな謎の発生」という点と線をつなぐストーリー展開は「レイダース」を思わせるのですが、アニメ作品としては少々込み入っているように感じました。もうちょっとスリムにすべきだったと思います。また、アニメ作品のひとつの醍醐味は実写作品では不可能なほどの青臭いメッセージを大真面目に主張できることなのですが(「アイアン・ジャイアント」「ヒックとドラゴン」etc…)、本作はアニメならではの熱さを盛り込むことをしておらず、「実写で撮ってもよかったのでは?」という印象を受けました。これらについては、監督を担当したスピルバーグ、オリジナル脚本を書いたスティーブン・モファット、それをリライトしたエドガー・ライト、その全員が実写畑の人だったことが原因ではないかと思います。アニメ界の人材をブレーンとして入れていれば、結果は違っていたかもしれません。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-04 09:15:33)
312.  英国王のスピーチ
題材は興味深いし、脚本も演出も良い。ユーモアと生真面目さのバランスの取り方は絶妙だし、クライマックスにはきちんとカタルシスが準備されている。映画としての完成度は高いと思うのですが、同時に何から何まで優等生的で小さくまとまっているという印象を受けました。見ている間は楽しめるが、生涯忘れられないほどの強烈な作品でもない。オスカーは数年に一度、このような安全パイ的な映画に作品賞を与えるのですが(「フォレスト・ガンプ」「恋に落ちたシェイクスピア」「ビューティフル・マインド」…)、果たして本作が2010年を代表する作品であったかどうかは微妙なところだと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2011-09-14 01:19:02)
313.  レポゼッション・メン
追う側だった主人公が追われる身に墜ちるというありがちなSF作品なのですが、過剰なまでのグロさや一風変わったBGM、テーマに似つかわしくないねじれた笑いなどで映画に新しさを出すことには成功していて、水準以上の作品にはなっています。派手さはないものの個々のアクションには独特の美学とキレがあり、この監督さんはなかなかスジの良い人だと思いました。配役も面白く、ブルース・ウィリスやニコラス・ケイジが主演を張りそうな本作にジュード・ロウとフォレスト・ウィテカーを持ってきたことで映画に独特の味が出ています。。。ただしテーマを煮詰めることには失敗しているため、見た目以上の作品にはなりきれていません。原作のことはよく知らないのですが、映画を見る限りではサブプライム問題におけるプレデタリーレンディング(略奪的貸付)を題材にした作品のように思います。プレデタリーレンディングとは返済能力のない低所得者にロクな説明も与えず無理なローンを組ませ、過剰な手数料や物件の差し押さえによって利益をあげるという金融業者のあくどい手口。どこの闇金がこんなあこぎな商売をやってるんだと思いきや、アメリカでは大手の金融機関がこんな商売をやっていたのです。家を奪うということは人の生活を奪うということ、アメリカでは大企業が利益をあげるために貧乏人の生活を踏みにじっていたというわけです。本作はそんな社会問題をモチーフに命の差し押さえを行う世界的大企業を描いた作品なのですが、残念ながら現実世界の写し鏡としてのSFの域には達していません。舞台となる未来社会の文化・風俗の描写が甘いのです。みなさんおっしゃっているように主人公が人工心臓を入れるに至った経緯にしても、「なんで労災が適用されないんだよ」という当然の疑問が湧いてくるし、そもそも猫も杓子も多額のローンを組んでまで人工臓器を入れている理由がよくわかりません。ローンを滞納したために命を奪われることとなった人々の悲壮感も薄く、あらゆる面でイマイチ踏み込めていないという印象です。
[DVD(吹替)] 6点(2011-05-09 19:13:17)
314.  RED/レッド(2010)
家を襲撃してきたCIAの部隊を返り討ちに合わせたり、ロケットランチャーから放たれた砲弾をピストル一発で仕留めたりと前半はアメコミ原作ならではの勢いのある見せ場が楽しいのですが、後半になると普通のアクション映画になってしまいます。でも、これって逆じゃないといけないでしょ。クライマックスに近づくほど見せ場の派手さ、デタラメさが加速していくべきなのに、途中からマジメになってしまうだなんて。「フライトプラン」等を手掛けた監督さんが本作の演出を担当しているのですが、この人の生真面目さが映画の出来を邪魔してしまったようです。さらに、アクションコメディにしてはややこしすぎる物語も映画のブレーキとなっています。難解というわけではないのですが、なんでもありのアクションコメディの温度感には合っていません。もっと単純明快で、主人公達が暴れ回る様を楽しむだけの映画にすべきでした。役者は驚くほどの有名どころを揃えてきているのですが、主人公をやるブルース・ウィリスはいつものブルース・ウィリスです。「ダイ・ハード4」とほとんど区別がつきません。モーガン・フリーマンもいつも通りでそれほど見るべきものはないのですが、一方で凄いのがジョン・マルコビッチ。「コン・エアー」以来久々のヤケクソ演技を披露するのですが、これがかなり見応えがあります。そして意外と良かったのがヘレン・ミレン。MI6の殺し屋を引退したおばあちゃん役なのですが、この人が飄々とした表情で銃を構える様はかなり味があります。「ホットファズ」でも思ったのですが、おばあちゃんとマシンガンという組み合わせはなかなかいけます。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-30 21:20:44)(良:2票)
315.  特攻野郎Aチーム THE MOVIE
テレビ版は小学生の頃に日曜洋画劇場でよく見ていましたが、こちらは小市民をいじめる悪党をAチームが懲らしめる一話完結の水戸黄門のような物語。一方、今回の映画版はテレビシリーズでも描かれなかったAチーム結成からはじまり、彼らが地に潜るまでを描くエピソードゼロ的内容となっています。90年代から何度もリメイクが検討されてきた企画だけあってキャラクターはよく作り込まれていて、コング(映画版ではオリジナルに合わせてBAと呼ばれていますが、こちらの呼び名の方がしっくりきます)の飛行機嫌いの原因にまで触れた細かさには感心しました。 しかし、監督による演出がAチームの空気とズレており、なんだか中途半端な仕上がりとなっています。「スモーキンエース」に続いて本作を引き受けたカーナハンはアクションコメディが好きなのでしょうが、この人は根本的にこのジャンルには向いていないように思います。荒唐無稽な場面は多くあるもののどうにも弾けきれず、途中から生真面目な面が出て来てしまうのです。本作における冒頭のアクションはまさに痛快さで、このまま行けば最高のリメイクになるものと期待しました。しかし以後の物語はどんどん真面目になっていき、トム・クルーズやマット・デイモンが出ていても不思議ではない普通のアクション映画に。その一方で荒唐無稽な見せ場が要所要所で挿入されるため映画全体の温度感が掴みづらく、感情がうまく作品に乗っからないまま映画は終わってしまいました。これは、コメディとしての側面をうまくコントロールできなかった監督のセンスに問題があったと思います。 同時に、脚本上もいくつかの欠点が指摘できます。何年も寝かされてきた企画は、多くの監督・脚本家によって練り上げられていくうちに物語が複雑になりすぎる傾向があるのですが、「ミッション・インポッシブル」のような陰謀や裏切り渦巻く本作の物語も、単純明快だった「特攻野郎Aチーム」のリメイクとしては作り込み過ぎです。また、キャラクターものとしての欠点もあります。ハンニバルが作戦を企画・立案し、メンバー達が各自の特技を活かしてそれを実現するのがAチームなのですが、この映画版においては何故かフェイスが作戦を考えています。集団アクションはメンバーの役割分担を明確にすればするほど面白いのに、なぜハンニバルとフェイスのポジションを被らせてしまったのか。これは理解に苦しみました。 
[映画館(吹替)] 6点(2010-08-23 00:49:17)(良:3票)
316.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。
原作未読。1990年のTVM未見です。 少年少女のドラマはよく作り込まれているし、恐怖場面での脅かし方もよく、特に前半部分は楽しめたのですが、終始テンポが一定であることや、脅かし方が基本的にワンパターンであることから長めの上映時間には耐えられておらず、同じことの繰り返しで途中からは飽きてしまいました。また、高校生の不良グループが小学生を全力でイジメにかかるという展開にも説得力がなく、さすがにあんなにダサいことをする不良はおらんだろと冷めた目で見てしまいました。テレビドラマ『True Detective/二人の刑事』で雑多な構成要素をまとめあげる見事な手腕を披露したキャリー・ジョージ・フクナガが脚本家として雇われているものの、原作に起因すると思われる弱点までは克服できなかったようです。 大絶賛されているNetflixの『ストレンジャーシングス』(スティーヴン・キング原作ではないものの、キングの要素を見事に再現していると評価された連続ドラマ)も私にはそれほどハマらなかったし、そもそもキングのジュヴナイルものが私には合っていないという気がします。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-07-30 18:25:08)
317.  キング・オブ・エジプト
『クロウ/飛翔伝説』や『ダークシティ』など闇の描写を得意としてきたアレックス・プロヤスが、太陽さんさんの古代エジプトを舞台にした単純娯楽作を撮れるのだろうかと鑑賞前は不安だったのですが、案の定、ダメな映画でした。 デビューからほぼ一貫してSFアクションを撮ってきた(一本だけ青春コメディがありましたが)プロヤスとは思えないほどVFXを用いた見せ場が雑で、神様や巨大建造物がいかにもCGですという感じで実在感ゼロ。映画のCGというのはポリゴンのような粗い状態から始まり、監督がこだわってディティールをどんどん追加させるという作り方をするのですが、どうもプロヤスはほとんどこだわらずにOKを出してしまったのではないでしょうか。15年も前の『ロード・オブ・ザ・リング』よりも落ちるクォリティのVFXは、さすがに問題だと思います。 物語の方は、非力な人間の青年が恋人を救い出すために大冒険に挑むという王道の冒険談と、傲慢な王様が試練の中で人間味を身に着けていくというこちらも王道の成長談が組み合わされており、アドベンチャー作品としてはおそらく意図的に紋切り型に徹しているのですが、紋切り型過ぎて特に何も感じるところがありません。また、この世界では生死の取り扱いが軽いし、死を司る神・アヌビスも良い奴なので、死んでもどうせ生き返るんでしょという無用の安心感があるため、戦いに緊張感がありません。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-04-08 11:58:10)
318.  キング・アーサー(2017)
アーサー王をテーマにした作品はいくつか見ているのですが、いきなり巨大な象が登場するロード・オブ・ザ・リングのような本作の冒頭ではかなり意表を突かれました。その後も仰々しいモブシーンやエクスカリバーを振るうシーンなどオリジナリティに溢れた見せ場が多く、丁寧に作られた娯楽作品であることはよく伝わってきたのですが、他方でガイ・リッチーの余計な演出がダイレクトな興奮を阻害しているという問題もありました。 例えば、見せ場に入る前にはアーサーの立てた作戦や、舞台の位置関係などが説明されることが多いのですが、ここで一度話の流れが止まってしまいます。出来のいいアクション映画は流れの中で説明的な描写を自然に入れてくるのですが、ガイ・リッチーにはそれができないのか、説明のための描写をわざわざ入れてくるのです。しかも結果を見せてから原因部分に遡ったり、早送りとかスローモーションを組み合わせたりといかにもガイ・リッチーらしい見せ方をするのですが、これが大仰な史劇に全然馴染んでいません。アクション以外の部分がとにかく余計なのです。 最後まで見ると、どうやら本作は序章に過ぎず、ここから有名なアーサー王伝説が始まるということがわかるのですが、この出来では続編の制作は厳しいのではないでしょうか。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-04-08 11:56:55)
319.  Mr.タスク 《ネタバレ》 
ケヴィン・スミスが運営するポッドキャストのリスナーから「セイウチスーツを着てセイウチの声を出して欲しい。また、餌付けさせて欲しい」との奇妙な広告を見たという報告があり、番組内でひとしきり盛り上がった後に「この広告主には一体どんな背景があるのか」という点を煮詰めて作ったのが本作らしいのですが、内輪のノリで作られた感全開の作風だったので、部外者にはちょっと厳しめの内容でした。  主人公がポッドキャストの運営者であるという点がすでにスミスの自己批評となっており、サブカルで成功した元オタクという設定は、まさにスミス本人の投影。おかしな事件を笑いものにしてきた自分とリスナーの姿勢を俯瞰した二重構造の物語になっているのですが、部外者にこの遊びは当然伝わってきません。 また、本作がさらにまずいのはアメリカとカナダの悪口合戦が映画のひとつの柱になっているという点であり、冷めたカナダ人と能天気なアメリカ人の両方を茶化した点が笑いどころになっているようなのですが、日本人にはこれがまったくピンときません。ポッドキャストの件も含めて、自分はこの映画の想定する観客じゃないんだよなぁという居心地の悪さを感じながらの鑑賞となりました。 上記の点に比重が置かれた作品なので、肝心のセイウチ人間の解釈は結構いい加減なものでした。人の不幸を笑いものにしてきた主人公が因果応報的に被害者側に回った話かと思いきや、中盤にてこの老人は毎年セイウチ人間を作成してセイウチバトルを繰り広げてきたことが判明し、この主人公もたまたま捕まっただけの不運な被害者の一人にすぎないようなのです。また、セイウチとして生きることにしたクライマックスにはもの悲しい雰囲気こそ演出されているものの、そこにドラマ性のある解釈を見出すことはできず、深いことを語っているようでいて実は何にもない作品であるという点でもガッカリ感を増しています。  とはいえ、ケヴィン・スミスは実力のある監督なので、部分的には成功している点もあります。主人公のポッドキャストでのおしゃべり、恋人とのベッドでのやりとり、老人の回想などかなり長めの会話が多く見られるのですが、これがなかなか面白くて聞かせてくれます。ジョニー・デップが演じた役柄にはまずタランティーノがオファーされていたようなのですが、確かにタランティーノ作品を意識した会話劇となっており、かつ会話劇として成功しています。 また、同監督の『レッドステイト』(こちらは傑作!)でも味のあるキ○ガイ役をやっていたマイケル・パークスが、それをも上回るキ○ガイ演技を披露してくれるので目が離せません。おそらくは『ムカデ人間』のディーター・ラーザーが念頭に置かれた役柄なのですが、ラーザーとはまた違った狂気を見せてくれます。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-23 19:56:35)
320.  クローバーフィールド・パラドックス 《ネタバレ》 
2018/2/4(日本時間では2/5)に突如「今日からNetflixで配信します」というアナウンスがなされて全世界を驚嘆させた、まさかまさかのクローバーフィールドシリーズ第三弾。こういうお祭りは旬が大事ってことで、配信初日に月曜から夜更かしして早速鑑賞しました。日米の時差が切なかったです。 どうやらクローバーフィールドの続編を作っているらしいという情報は漏れ聞こえていたものの、まさか劇場ではなくNetflixで、しかも宣伝もなしにいきなり配信開始という戦略の奇抜性には驚かされました。それと同時に、このような実験的な試みにゴーサインを出せるほどゆとりあるNetflixの組織体制も驚きであり(もし余裕がなければ「大金かけて仕入れた目玉コンテンツなんだからちゃんと宣伝して新規顧客獲得に繋げろ」という意見が社内の結論になったはず)、やはり時代は動画配信なんだなと痛感させられました。 で、内容ですが、モンスターパニックの『1』とも密室スリラーの『2』とも違う、宇宙を舞台にしたド直球のホラー映画であり、『クローバーフィールド』というシリーズは最終的に破壊者を出しさえすれば、あとは何をやってもいい箱になっているようです。実際、本作には第一作と繋がる点がほとんどなく、それどころか第一作の時点ではその雰囲気すらなかった地球規模のエネルギー危機や、ドイツ・ロシアが開戦寸前の国際情勢といった背景が突然登場するわ、第一作はガラケー時代のはずだったのに本作では普通にスマホが出てくるわと、誰もシリーズ内の整合性を気にせずに作ったか、そもそもクローバーフィールドとは無関係な映画だったが、地球パートを付け足して無理矢理クローバーユニバースに引き込んだのかという状態になっています。「10年前、"それ"が地球にやってきた。その理由が今日、明らかになる」というNetflixの宣伝に過度な期待はなさらぬように。 SFホラーとしてはそれなりの出来だったと思います。J・J・エイブラムス、マット・リーヴス、ドリュー・ゴダードといったうまい人達が大勢関与しているだけあって、独創性あるショックシーンの数々や、それを見せるタイミングの良さなど、実に良い仕事が連続しているのですが、その一方で瀕死の状態で登場したエマニュエル・デビッキの回復が異常に早かったり(特殊メイク代をケチった?)、地球全体を危機に陥れたことに対してクルー達がさほどの反応を示さなかったりと、おかしな部分もいろいろ目につきました。あと、この手のホラーはどうやっても1997年の『イベント・ホライゾン』に似てしまうようで、全体の雰囲気がありがちなSFホラーになっています。ポール・W・S・アンダーソンって実は優秀だったんだなと、妙なところで感心してしまいました。 また、ドラマとしても不完全。主人公の個人的なドラマと宇宙規模のスペクタクルの融合を目指してはいるものの、主人公の背景が中盤で突然語られることの違和感であったり、「そっちの選択をしたら、誰も幸福にはならんだろ」という方向に走ろうとする主人公に感情移入できなかったりで、『ゼロ・グラビティ』や『インターステラ―』といった成功例にはまったく及んでいませんでした。 これらの落ち度も動画配信なら許容できる範囲内ですが、もしこれを劇場で、しかも『クローバーフィールド』の続編という期待値の下で見れば、おそらくガッカリしたと思います。本作の配給権を手放したパラマウントの判断も、サプライズ的に配信を発表したNetflixの判断も、作品を見てみれば腑に落ちました。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-11 07:49:35)(良:1票)
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