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 > タコ太(ぺいぺい) さん
タコ太(ぺいぺい)さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1497
性別 男性
自己紹介 投稿にあたっては
①製作者の映画愛を信じて基本的に0点は付けていません。
②レビュー作品の「あらすじ」は率先して書いています。

※「ぽこた」からニックネームを変えました。サブネームの「(ぺいぺい)」は継続です。(2024.2.28)

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301.  テイキング・オブ・デボラ・ローガン 《ネタバレ》 
認知症の母親と介護する娘の二人世帯。症状の進行が介護者にも影響していくことを実証するようなドキュメント映画を撮影する医大生たち。という設定で物語はPOVで進みます。序盤は一体これから何が起きるのか、みたいな期待感も湧く雰囲気。  しかし、どうもアルツハイマーの症状にしては激し過ぎるんじゃない?みたいな状況になっていく。このあたりも必要以上にじらさないスピーディな展開に好感が持てます。  そして母親が隠していた秘密。ここで異常事態の発端となった事件が明かされます。そして一気に物語はオカルトの世界へ。オカルト風味になると最早何でもありの世界。本作では待っているのはヘビ地獄でした。  そうなんです、いつも思うのですけれど、悪魔モノとかオカルトものは結局何でもありになってしまう。だからこそ作り手はあの手この手でアイディアを出してくるわけですけれど、序盤の流れを生かしてサイコサスペンスにして欲しかったなぁというのが個人的な願望でした。  ただし、本作についてはストーリー的には成功だったと思います。過去の隠された事件。今や認知症となった母親が隠していた事件との関わり。連続殺人事件の犯人であった小児科医の野望は実は悪霊の野望であって、おそらくは悪霊は小児科医を利用していただけだったと思われ、事件を遮ったデボラが代わりに悪霊に乗っ取られてしまったこと。そして、悪霊の狙いは最後の犠牲者は生かしておいて憑依し、未来永劫世にはびこることだったのかもしれません。なかなかに恐ろしいストーリーです。  しかしながら、アルツハイマーを題材にする必要があったのかは疑問です。製作者は、シンプルにオカルトもの、悪霊モノにせず、更に一枚仕掛けを施したかったでしょうか?今の時代、あまりに身近になってしまった深刻な疾病を、しかも、最も課題となっている家族との関係を入り口に置いたことは、個人的には好ましくないと思っています。  もうひとつ、ドキュメンタリー映画の作成というシチュエーションだからといって、POVにする必要があったのでしょうか?ありがちな「いい加減にカメラ止めろよ!」と突っ込みたくなるような出来栄えではないものの、何故正面から描かずPOVに頼ったのか?そこもどうにも腑に落ちず、結果6点献上に留めておきます。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-07-31 21:44:19)
302.  キャビン・フィーバー(2002) 《ネタバレ》 
ホラーあるある的な登場人物。ダメなんです、こういう人たち。まるで感情移入出来ず。そもそもどうみても長期旅行を楽しめるような仲良し5人組には見えないし。  それぞれのカットごとに観ていけば、ビジュアル的には丁寧に作られているように見えるし、物語の流れ的にも既視感はあるものの破綻しているどころかキチンとしているようにも思えるし、お約束的サービスカットも一度ならず登場するし…けれどもどうにもチグハグ感を感じてしまって楽しめない。  多分、チグハグと言うよりツギハギ感を感じてしまうからだと思います。ここはこう撮ろう、そこはこう演出しよう、みたいに部分部分でアイディアを絞り出して頑張った結果、どこがどうよろしくないということよりも全体的には上手く纏まらなかったかのように思えてしまいました。  シリーズ化されているようですが、正直なところ類似のシチュエーションの他作を観るのが先かな?と思ってしまいました。  ちなみに、原題は「閉所性発熱」とか訳すようでコロナ禍でも症例があったようですが、往路では四駆で渡河したりしてやっと行き着く山奥の一軒家のように描いていながら、何なら近隣の民家も徒歩圏みたいだし、そんな環境に5人(訪問者を含めればそれ以上)も居て発症するもんだろうか?などとタイトルにも疑問を感じてしまいました。一人ひとりの感情の変化とそれに伴う行動がテーマ故のタイトルなのでしょうけれど。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-28 15:53:45)
303.  この子は邪悪 《ネタバレ》 
ホラー感の漂う良い雰囲気で始まるのですが、中盤で概ね読めてしまいました。  母親は別人。妹も別人。父親は児童虐待のない世界を目指し、持てる催眠療法の技術をフルに生かして精力的に活動してはいるものの、優しさに溢れているかのような態度とは裏腹に決して正義の行いを尽くしているのではないらしい。実際、彼を追う一人の少年は、彼に何らかの恨みのような感情を抱いている様子。  読めなかったとすれば、退行催眠によって出生以前に遡ることで魂を入れ替えられるという部分。被験者本人の人格を塗り替えるというのであれば理解出来ないこともないのですが、何故に他人と入れ替えたり、ましてやウサギと入れ替える?ウサギに退行催眠?ここに至って一気に超能力もしくはオカルトの世界に突入?だいたいからして、問題の解決のために他人やウサギと魂入れ替える必要ないし、意味ないし。  マッドサイエンティストの父親が自分が求める「家族」を失いたくないがために狂気の行動に走る。このシチュエーションは決してオリジナリティ豊かとは言えないものの、魅力あるテーマだと思うのです。しかし、ドクターであれセラピストであれ、サイエンスを放棄し超能力やオカルトの世界に走ってしまえば一気にトーンダウン。これが洋画の世界であれば、背後で暗躍する悪魔が登場してそれなりに定番のスタイルになるのですが、ここでは生身の父親がひとり暗躍しているに留まっています。  ちなみに、敢えて野暮なことを言わせて貰うならば、随所に現実感のない設定が目立ちます。死亡届が受理されていて除籍になっている妹に誘拐して来た子を成りすまさせるのは不可能、破綻します。奥さんの人工呼吸器外せばアラームも鳴るだろうし、鳴らなくたって装置が外れて死亡していれば大事件。もみ消せないし、その時点で奥さんに成りすました別人の存在が露呈してしまう。奥さんの死亡届を出さない訳にもいかないし。ハッピーエンドもどきのエンディングだって、死んだはずの奥さんと次女はどうやって生活出来る?社会制度は一切使えず、学校にも行けない。父親が死んで土地家屋財産の相続は誰が?概ね破綻してます。フィクションだから何でもありというのも宜しくないのではないでしょうか?  そして最後にタイトル。邪悪なのは誰?赤ちゃん?父親の邪悪な能力を引き継いだ?ラストに持って来ておいてそれがタイトル?何だかどうにもしっくり来ません。  何だかんだツッコミ入れながらも結構楽しんで観ていた作品でしたが、最後の最後にタイトルでガッカリし、不満ばかりが残ってしまった作品でした。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-07-24 11:40:25)(良:1票)
304.  サメストーカー リターンズ(TVM) 《ネタバレ》 
「サメストーカー」シリーズ第3弾。三作目にして漸くサメ映画的にサメが登場します。(量的に過ぎないかも知れませんが)  とは言うものの、やはりサメは主役でも何でもなく、ストーカー男のペットに昇格といった感じです。ただ、最近ではサメが出ないサメ映画まで登場しているぐらいですから、これだけ登場頻度が上がれば十分サメ映画と言って良いのかも知れません。  さて、三作目ともなるとストーカー男の手口はマンネリ化して進歩しない、にも関わらず捕まらない、というのもどうかなとは思いますが、実際ここまで病んでいれば、と言うか元カノの幻影にとり憑かれていれば、同じパターンから抜け切れないということかも知れません。それに、考えてみれば前二作も含めてヒロインとの出会いは彼が用意周到に仕組んだものとは言えず、寧ろ偶然の産物、偶発的な事故ですし。  しかも、本作ではヒロインのコートニーが全ての始まりになっています。彼女が立入禁止の島に行きたがらなければ。彼女がデビッドを受け入れなければ。親友のキャットのことを信じていれば。等々。ヒロインは受け身的な被害者ではなく、自ら危機を背負いこんでいる訳です。  そして、一気に狂暴かつ極悪化するストーカー。決して死なないストーカー。罪を加速度的に重ねていくストーカー。でも、何かにつけて脇甘すぎ。流石にそろそろ捕まるかサメに食われるかしないと、惰性でシリーズが続いていきそうです。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-24 00:13:08)
305.  サメストーカー(TVM) 《ネタバレ》 
「サメストーカー」シリーズ第二弾となる本作。タイトルに恥じない、とまではいきませんがサメの役割が少しグレードアップ。タイトルのみの「サメ映画」とは言わせない感が少しだけ感じられました。ストーカーのダニエルことブルースはちゃんと?サメを餌付けしていて、手懐けているとまではいかないまでも、そこそこ獲物を得るための「道具」として利用し始めています。ただし、あくまでも「道具」であって「パートナー」あるいは「分身」とまでは言えないレベルです。とは言え、これならば「サメ映画」に一歩踏み込んだかと。  で、肝心のストーリーは前作「ビギニング」をほぼ踏襲。どうやら、この流れがシリーズを通じたものになりそうな予感です。  イケメン青年がサメの襲撃からヒロインを助ける→母親までもが彼にゾッコン→サメ以上のスピードで一家に大接近→彼の中で元カノとヒロインが重なって来る→元カノはボクのモノ、なのでヒロインはボクのモノ→そしてストーカーパワー炸裂→ヒロイン絶体絶命→ヒロイン(ある意味)サメに助けられる(今回は弟にも助けられる)  決して退屈はしません。時間の無駄などとは言いません。クオリティもまずまず。寧ろそこそこ、いや結構楽しめます。けれども、折角単純にストーカーものではなくタイトルに「サメ」を冠した本作だからこそ、という見所に欠けるのです。サメも無念?残念なサメ映画です。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-23 23:43:36)
306.  サメストーカー ビギニング(TVM) 《ネタバレ》 
まず始めに、本作を含む3作品の邦題は「サメストーカー」シリーズとして整理されていますが、少なくとも本作では、ブルースは確かに凶悪かつ狂暴な「ストーカー」ですが、彼自身は「サメ」でもなければ「サメ」使いでもありません。なぜ「サメ映画」として位置付けたかったのか?おそらく本作より少々サメ風味が強い第二作の方が先に日本デビューしていたので、本来の第一作である本作もサメ映画と位置付けざるを得なかったのではないでしょうか?  そんな疑念にかられながらも、恐怖のストーカーを描いた作品としては決してつまらなくはありません。否、面白いです。オリジナリティに溢れている訳でもなく、必要以上にストーカーが大暴れする訳でもありませんが、ここに登場する狂気はなかなかどうして恐い!昨今のニュースを見ていると決して絵空事ではないリアルな恐さを感じます。  そんな訳で、単純に言えばオーソドックスと言うか、世間に浸透しているストーカー行為のイメージを描いた作品だと思います。ただし、その背景にある歪んだ思考については深くは掘り下げない。あくまでも社会派サスペンスではなくシンプルにサスペンス。同時にタイトルに「サメ」とありながらもサメは主役でも脇役でもなく、こちらも掘り下げない。中途半端感は否めません。本国では人気作品でシリーズ化、ということのようですが、確かに特に強い印象は残らないまでも楽しめはします。それだけに、邦題タイトルの「サメ」って要るのかなぁ?と少なくとも本作においては感じました。  (追記) 書き忘れていました。観賞する前は、「サメストーカー」と言うぐらいだからストーカーの正体はサメで、喰いそびれた獲物(女性)を追い求め人間の姿となって彷徨う姿を描いたダークファンタジーだと思ってました。普通にストーカーを描いたサスペンスより、そっちの方が観たかったかも。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-23 23:14:11)
307.  新聞記者 《ネタバレ》 
ネットフリックスでの配信期限ギリギリでの鑑賞です。  既に皆さん大いに語り尽くしてくださっているので新たにレビューする内容は殆どないところですが、セミドキュメント的な社会派作品として仕上げるには「生化学兵器開発のための大学新設」という、いくら何でも不合理だし有り得ないだろうというネタは受け入れ難いものがありました。敢えてフィクション感を強調したいがための脚本なのかなと思えてしまいます。  全体的な緊迫感・緊張感、じわじわと迫る重苦しさ、そんな中でふっと息を抜ける杉原の子の誕生シーン。出演者の演技力とも相まってエンターテインメント作品として十分見応えがあると同時に、社会派作品として政治やマスコミの在り方に一石投じようとする姿勢も十分感じ取れるのですが、メインのネタが「我が国における極秘の生化学兵器開発計画」となると、ノンフィクション感が消えてなくなりフィクションとしても荒唐無稽過ぎの感が否めません。  これからTVシリーズの方も観てみようとは思いますが、決して面白くないとは言いませんがモヤモヤ感の残る(特にラストシーン。印象的ではありますが「どっちかハッキリして!」と言いたくなります)残念な作品でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-21 11:36:35)
308.  君たちはまだ長いトンネルの中 《ネタバレ》 
原作はネット上で話題だったとのことですが未読です。  内容的には、野党もしくは与党少数派が消費税や経済関連の政策にモノ申したい!とばかりに製作した若者向け教育映画といった雰囲気ですね。個人的に知らない出演者さんが殆どなので、自主制作映画的テイストを感じつつ鑑賞しました。  肝心のテーマである消費税等については少々極論のように思えますし、ヒロインの立ち振る舞いには少なからず疑問も感じてしまいますが、青春ドラマとしてのツボは押さえていると言うか、あまり深く考えず素直に物語の流れを受け入れていれば爽快さも味わえる作品かなと。  これを機に税や政治について勉強しましょうというキッカケづくりに意義のある作品とは思いますが、5点献上に留めたいと思います。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-16 11:05:55)
309.  プラネット・オブ・ロボット 《ネタバレ》 
ワープ航法?についての解説には若干「?」という感じですが、オープニングはこれから始まる謎の惑星冒険譚への期待が高まる雰囲気です。命からがら脱出して地表に降り立つ辺りまでのスリリングな展開も良い感じです。  がしかし、そこからの展開が何ともスピード感がないと言うか。宇宙飛行士の動きが緩慢なのが一番のビジュアル的な問題だとは思いますが、画面の転換の度に入るブラックアウトや背景のボカシ過ぎとか、演出自体の問題も無視できません。それらを纏めて一言で言えば只管退屈。ストーリーそのものは決して退屈ではないだけに非常に残念です。  ただ、肝心のストーリー展開においても、高度に発達した科学技術に基づいた宇宙旅行の筈なのに、計算ミスで到着時間が太陽5周分もズレちゃったから事故が起きたというのはどうなんでしょう?何かもう少しそれっぽい理由は見つけられなかったのか?  結局、やや「猿の惑星」的展開で件の惑星が核戦争後の地球だということが判る(観ている者にはその前に「ジャックダニエル」と「ユニオンジャック」で知らされてますが)訳で、宇宙飛行士は希望の星を抹殺された悔しさから核戦争を起こして自滅した地球人を批判するのですが、だからって非業の死を遂げた人の白骨死体をタコ殴りして良い訳はないです。  モチーフ的には「猿の惑星」を想起させられますが、時折り挿し込まれる赤ちゃんの映像は「スターチャイルド」?と思えたりもして。決してつまらなくはないのですが、観終わってみれば、全てを知って彼はこの先何処へどうやって前進するのだろうか?という虚無感ばかりが残る物語でした。  ちなみに、エンドロールでキャストとスタッフを見る限り、かなり親族で固めた作品のようですね。そういう意味でも結構小さく纏まった作品です。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-13 20:50:51)
310.  ザリガニの鳴くところ 《ネタバレ》 
ミステリーあるいはサスペンスドラマという形を採っていますが、メインとなるのは謂れなき差別に苦しむひとりの女性の生き様を描いたヒューマンストーリー。  親に棄てられ、兄姉と生き別れながらも、この世に生を受けて以来彼女を優しく包み込んでくれて来たノースカロライナの湿地帯で独り逞しく生きるカイア。恋人との悲しい別れ、嘘で固めた顔で言い寄って来る傲慢な男による屈辱的な扱い、彼女を苦しめる更なる試練にも耐えながら、彼女の愛する湿地帯について独自の研究に没頭していた彼女は、或る日突然、彼女に言い寄っていた男の変死事件の容疑者として逮捕・勾留されてしまう。  彼女に手を差し伸べ続けて来た雑貨屋の優しい夫婦、幼少期から彼女を知り気にかけていながらも何も出来なかった老弁護士、そして若さ故彼女を愛し続けていながらも町を去ってしまっていた元交際相手。検察と町全体を敵にしながらも温かな人間関係が彼女を絶望から救い上げてくれます。法廷劇としては比較的ライトな雰囲気ですが、老弁護士の一言ひとことにはずっしりとした重みと胸をすくような鋭さがあります。  なぜ彼女自身は何も述べなかったのか?ラストシーンに至って驚くべき事実が判明するものの、真相が具体的に語られることはありません。真相はどうだったのか?含みを持たせるエンディングから、これで良かったんだ、という彼女の人生への賛辞が聞こえて来るようです。  単純なハッピーエンドではないし何が正義かという疑問を残しながらも、虐げられてきた一人の女性の人生にとって仄かな希望と救いのある物語。原作を読んでみたくなりました。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-13 20:26:23)(良:1票)
311.  ハイキック・ガール! 《ネタバレ》 
短い尺で寸止めなしの生身の空手アクションを繰り広げる。一見ひ弱そうな細身の女子高生が並居る敵をバッタバッタとなぎ倒す映像はシンプルに爽快!と言いたいところですが、既に皆さんご指摘のとおりスロー混じりのリプレイの連続がどうにもいただけません。折角の熱演が冷めてしまう演出。敵キャラのアニメ的な設定とも相まって何とも残念です。  武道は素人の私ですが、香港等々の功夫アクションとは明らかにテイストの異なる空手アクションは間違いなく爽快です。主役が誰だか分からなくなってしまう終盤の無敵の先生大活躍も、そもそものストーリーを考えればダブル主演も当然かなとも思え、それはそれでアリかなと思えます。お約束のピンチも若干あるものの、やはり無敵の強さは見ていて楽しいです。尚更にリプレイ演出の連続が残念なのです。  この際ストーリーはいいでしょう。浅い、薄い、という批判も仕方ないところです。15年前の出来事の詳細とか師匠のその後の人生の転機とか良く解らず。でも、あくまでも生身のアクションに拘るのであれば、この尺ではこれが限界と思えます。だからこそ、もっとアクションを魅せて欲しかった。レベル的には十分なのだと思います。あくまでも見せ方です、魅せ方。  和製アクション作品の弱点を見せられた感が強く残った作品でした。ヒロインと先生、そしてヤラレ役の皆さんの熱演に+1点の4点献上します。  (追記)そう言えば、やられ役が頭部にハイキックとかを受ける度に何か飛び散りますね。最初、汗?とか思ったけどそんなに汗まみれじゃないし。でも、頭部アップのカットで何やら白いものが毛髪に。粉振ってる?格闘技系の演出にそういうのってあるのでしょうか?
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-10 09:28:28)
312.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 
グレムリン伝説をベースにしたホラーとして捉えるには、諸々の他の要素(サスペンス、アクション、ミリタリー、社会派、ヒューマン)が詰め込まれ過ぎていて評価が難しくなる作品。ただ、逆に言えば比較的短い尺の中に良くぞこれだけ詰め込んで大きな破綻もなく纏め上げたと湛えたい作品です。  怪物は途中から本来のグレムリン伝説から離れて悪役怪獣的になって行きますが、懐かしいTV版トワイライトゾーンとちょっと懐かしい劇場版トワイライトゾーンで描かれた登場シーンを想起させられ、あくまでもこの存在が本作にはなくてはならないのだと確信して観始めた次第です。(観終わってそれは間違いではなかったと思います)  前半の下部銃座内のヒロインの一人芝居的な展開は見応え十分。一見芯の強さを感じさせる彼女が垣間見せる何かをひた隠ししようとするが故の弱さ。機外の異音と未知の生物の姿という想定外の事態への戸惑い。更には機内に戻れなくなるアクシデントの最中に現れる日本軍の機影。息つく間もなく惹き込まれます。B17内部のセットも丁寧に作り込まれてますね。CGの合成もあるのでしょうか?  零戦との交戦が始まる後半は、皆さんのレビューにもあるように確かにヒロインは単に強い女性から超人と化します。爆風で機内に生還する場面には驚嘆。マジに考えたら全身打撲と火傷で重症間違いなし?いやいや強風と低温で大丈夫?んな訳ないです。でも、だからこそアクション映画は楽しい。マジにヒロインの身体を心配してたら見てられません。ここはアニメ的に割り切らないと。アニメのアクションだったら当たり前の不死身っぷりですから。ここはヒロインが無敵の母性に目覚めた表現なのだと受け入れます。  そして終盤。手強い怪物のラプトルばりの鉤爪を恐れることもなく素手で殴り殺す最強のお母さんの誕生。誰にも何も言わせない慈愛に満ちた授乳シーン。  エンドロールに差し込まれる女性の権利を勝ち取ろう的なカットは、脚本家のスキャンダルへの言い訳的に映らないこともないのですが、全編通して溢れんばかりに映し出されるクロエ・グレース・モレッツさんの魅力(単に変わらぬ可愛さというだけではなく、繊細な演技もキレのあるアクションも)が炸裂する本作は、優れたエンタメ作品として大いに気に入りました。クロエちゃん大好き!とばかりに+1点です。
[インターネット(字幕)] 9点(2023-07-09 10:49:56)
313.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
名作と噂された本作にアマプラで漸く出逢えました。  物語としては、短編作品だけあってシンプルな構成のSFサスペンスですね。哲学的とも思える内容は、古典的なSF作品に通じるものも感じました。タイムパラドックス(正確には本作にはそれは登場しないような気もしますが)に関する想定が自分自身の理解するところと非常に近く、そのこともあって決して難解に感じることなく鑑賞することが出来たのだと思います。  ただ、本作の場合、特筆すべきはやはり「フォトロマン」と称される技法でしょう。モノクロ静止画を巧みに合成し、荘厳なBGMと冷静なナレーションに載せて演出する。恰も普通に動画を鑑賞しているかのような錯覚に陥ります。1962年(1958年製作との記載もあるようですが)というCGもVFXも殆ど一般的ではなかった時代に、これだけの映像を創り上げた技術は素晴らしく思います。中盤に一か所のみ(私には二か所に思えたのですが)挿し込まれる動画が非常に効果的。心憎い演出ですね。バンダム的風貌の「男」と素朴な美しさの漂う「女」のビジュアルも、モノクロ画面に溶け込んで魅力的だったと思います。  今の時代に最新技術を集結してリメイクしても、恐らくはここまでのシンプルな佳作を創り上げるのは難しいのではないかと。8点献上します。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-07 14:09:57)
314.  ゾンビ・リミット 《ネタバレ》 
冒頭いきなりのゾンビカットで始まるものの、物語としてはヒューマンストーリー感がかなり強いですね。  医師としての倫理に背を向けてでも夫のために貴重な治療薬を不法に確保してしまう妻。偶発的かつ正当防衛による射殺でありながら秘密の暴露を避けるために警察を呼ばず死体を遺棄してしまう妻。妻に一目会いたいがために自らを拘束し死への恐怖を必死に耐える夫。親友のために彼の妻が必死に集めた貴重な薬剤を自らの妻の命を守らんとして奪う夫、等々。いずれも、常軌を逸した混乱の中で愛する人のために選んでしまう究極の選択。  そのあたりの心の移ろいはそれほど丁寧には描かれていないものの、八方塞がりの劣悪な状況に必死に立ち向かおうとしている人間の強さと弱さはしっかりと表現されていて、思いがけず出逢った佳作でした。  それだけに、復讐に燃える身重の妻のラストシーンが必要なのかどうか?少なからず疑問に思え、その分マイナス1点です。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-07-06 21:33:21)
315.  サメデター 《ネタバレ》 
原題のひとつ「頂点捕食者」というのが本作のテーマに通じるようです。捕食行動をサメ目線で表現したかったのじゃないかと。あくまでも海の頂点捕食者はサメ。人間はそれを理解していない、みたいな。(この後は批判的に書きますが、基本的に本作のような作品を支持していますので誤解なきようお願いします)  けれども、観終わってみれば何とも意味不明な作品。冒頭の妙に長い、と言うか長すぎるダイビングシーンから嫌な予感が…。さりとて、続くビーチではいきなりのサービスカットでそれを忘れさせ、タイトルバックのヘビメタが「お、これは期待していいのか?」と思わせてくれたものの、そこまででした。  75分という短かめの尺なのに、つなぎ的なカットが長いことしきり。それで押されてしまったのか肝心のサメシーンはかなり少な目。登場しても泳ぐばかりで大口開けた捕食シーンは2カットぐらいかな、いやそのうち一つは魚を捕食してるし。  サイドストーリー的に進行するレジャー施設オープニングセレモニーは、机上論ばかりでパーティも施設も登場することなし。強気の腹黒そうな経営者はいきなりお亡くなり。男コンビと女コンビの二組の賑やかし出演者は只管滑り続ける。  極めつけはラストシーン。謎の爆発、大怪獣出現?そして出演者のお顔付きの長~いエンドロール。最後の最後に監督?の口元の大アップ。意味不明のまま忽然と終了してしまいました。ただただ唖然です。  この作品、クラファンで資金を募っていたということですが、もしかしたら資金の枯渇で終了?的なエンディングだったのかも。  ただその結果、よくよく考えてみればサメ映画の王道的な作品に落ち着いたのかも知れません。ある意味、オーソドックスな古典的サメ映画の雰囲気が感じられないこともありません。やっぱサメは海でしょ!みたいな。  ちなみに邦題は原題のダジャレアレンジ?それとも単純に「サメ出たー」というオヤジギャグ?ポスターのカタカナ文字に至っては最早私の理解を超えていて全く解りませんでした。  これぞサメ映画?だとしたら楽しみはまだまだ尽きない予感がします。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-07-05 22:40:08)
316.  Melanie Martinez: K-12 《ネタバレ》 
ヒロインは、個性を受け入れることなく画一的に行われる学校教育に不満を持ち、そんな学校は破壊してしまえとばかりに画策する訳ですけれど、画面全体を彩るパステルカラーの世界には不思議な浮遊感があって、独特の哲学的とも思える詞が綴られる楽曲の数々や子どもとも大人とも思えてしまう様な不安定感たっぷりのヒロインの雰囲気とも相まって、作品全体に独特の世界観が醸し出されています。  決して理屈ではなく、あくまでも感覚的なものとして、ミュージシャンならではのメッセージが伝わって来る印象です。  ヒロインが物語の展開とともに次第に大人っぽくなっていくあたり(表情から子どもっぽさが抜けたり、衣装の露出度が増したり)から、彼女が一歩ずつ成長していく過程が感じられ、それ故ラストシーンで目の前のドア(学校システムから抜け出る)をくぐることを躊躇う彼女の表情からは、実はまだ子どもの世界に留まっていたいという悔しさのようなものが感じられました。  一風変わったミュージカルですが、映画というよりステージで繰り広げられる音楽ライブを鑑賞しているかのような感覚で楽しめました。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-07-05 22:27:37)
317.  ヴィレッジ(2023) 《ネタバレ》 
ひとことで言えば、恐れることなく社会の闇に光を当てた脚本、出演者の迫真の演技、優れたカメラワーク等々、ハイレベルな社会派サスペンスだと思います。120分、緊張感をもって鑑賞することが出来ました。  ただ、どうなんでしょう「ヴィレッジ」というタイトルは。先行する同タイトルの作品の記憶と、本作の予告編の構成、それらが相まって「これはホラー?」という先入観が生まれてしまうような?実際殆ど予備知識なしで観始めたので、途中までホラーテイストを期待してしまいました。  寒村の閉そく感、幽玄な薪能、能面を被り練り歩く人々、処分場の色彩の抜けたような光景等々、ホラー作品に繋がるようなファクターは多々ありながらもホラーには向かわないという展開に、勝手に肩透かし感を受けてしまった感じです。何だか種蒔きはしたものの伏線回収はしないままみたいな。  村長の息子の事件については、ある意味現実的と言うか脇の甘さが際立ってますね。処分場に遺棄という短絡的な行動、散々写メ撮りまくられてたケータイの放置など、行き当たりばったりの犯行故の致し方なしさではあるのでしょうけれど、尺の関係もあって一気に事件が収束する仕掛けのようにも思えてしまいました。  エンドロール後に描かれる弟の離村カット。この村に居ても未来はない。唯一の希望であった優は堕ちてしまった。優が断念し姉が失敗した離村という選択肢。最早ほかの選択肢はないのだという決心。解るのですが必要だったのでしょうか?  一方、犯罪者の親族に対するいわれなき誹謗中傷、職業差別とも解されかねない廃棄物処理業者の描き方、社会派作品としての鋭い視線を大いに感じました。  そして、優の心理に呼応するような能面の微妙な表情の変化や、全てを知っていて沈黙を守り自らの運命を受け入れる老婆の存在など、作品の魅力をしっかりと支えるなくてはならない映像表現も多々ありました。  改めてひとことで言うならば、チグハグさがあるがための残念な作品という印象でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-05 10:41:19)
318.  ゾンビプーラ 《ネタバレ》 
近隣のインドネシアやタイのホラーはかなりハードな作品が多いという個人的印象があるのですが、本作は「コメディ」というジャンルということもあるのでしょうけれど、かなりソフトなホラー、ゾンビ系作品でした。  もしかしたらシンガポール映画は初めて観たような気がしないでもないのですが、言われなければコテコテのギャグの連発から香港映画のようなテイストを感じました。まぁ、この作品をもって「シンガポール映画は中華系の雰囲気が漂う」などと言い切ってはいけないとは思いますが。  そんなどの登場人物にも感情移入しかねるコテコテのコメディ感に少々苛つくこともありましたが、ストーリー的には極めてオーソドックスなと言うかベーシックなゾンビもので、低予算なのか基地内(しかも部分的)から出ることなく展開される脱出劇は、手に汗までは握らずとも決して退屈なレベルではありませんでした。初心者向けゾンビ作品とでも言いましょうか。  筋肉の記憶によってゾンビの行動が制約されることと、虫除けクリームがゾンビ忌避剤になるというのは新しいですね。ただし、そのネタが使えるのはコメディ限定とは思いますが。  大量の犠牲者が出ている内容ながら、なんとなく微笑ましく終わる不思議な雰囲気に+1点の4点献上します
[インターネット(字幕)] 4点(2023-07-04 17:51:54)(良:1票)
319.  跡形もなく消える(TVM)
我が国で言うところの所謂2時間ドラマ。オーストリアの都会から離れた郊外の小さな村の独特の雰囲気をベースに、一種異様な濃密なドラマが展開され見応え十分でした。  登場人物がそこそこ多く、そこに描かれている人間模様を把握するのに少々苦労しましたが、ミステリーとしてのツボを巧みに捉えていて、そうやすやすと先読みはさせてもらえませんでした。原作の翻訳本は見つけられませんが、小説として読むとまたひと味違う面白さが味わえそうです。  ただ、終始イラつかされまくる、妹を案じて捜し回るヒロインと、それに対する父親や村人たちの反応の空回り具合等々、我が国の2時間ドラマとはまた異なる捏ね繰り回し感があって、面白いことは面白いのですが万人受けするかというと違うかな?  特に肝心要の種明かし的な部分は、賛否両論、好むか好まざるか、大いに評価が分かれそうな気がします。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-06-30 23:09:31)
320.  地獄へつゞく部屋 《ネタバレ》 
ひとことで言えば「古き良き時代のモノクロ怪談映画」と言いたいところですが、本作はホラーと言うよりホラー風味を効かせたミステリー。最後の最後にネタバレしてしまえば、幽霊や呪いに殺されるなんてことは全くなく、恐ろしいのは飽くまでも人間と言ったところでしょうか。  とは言え、作りは王道を行く幽霊屋敷モノ。お約束通りに登場するバケモノ(らしきモノ)や勝手に閉まるドア。不気味な管理人。秘密の部屋や恐怖の地下室。遭遇した美女の悲鳴(キャーッ!)。それらがモノクロの画面で展開していく様は、只管に時代を感じノスタルジックな気分に浸らせてくれます。  CGも特殊効果もなかった時代にどうやって人を怖がらせるのか?遊園地のお化け屋敷を手本としたのも時代背景あってこそなのでしょうね。1959年という時代を感じながら観てこその作品と言うべきでしょう。なので、リメイク版の「TATARI」との単純な比較も出来ないと思います。  難を言えば、人間による完全犯罪(到底完全性は見出せませんが)モノという〆括りではなく、飽くまでも呪いあってこその事件という作りにして欲しかったです。ホラーだぞ~!と持って来ておいてホラーではないというあたりで1点減点しました。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-29 11:12:54)
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