301. 刑事コロンボ/指輪の爪あと<TVM>
《ネタバレ》 プリマーとの初対面の時、「私は運命論者。なんでも信じてしまう」などと言いつつ、ラストシーンでは「私は、運なんて信じない」などとシレッと言ってます。ああ、やっぱり、コロンボはとんでもなく性格が悪いなあ。罠にかかって自白した犯人に、追い討ちかけなくてもいいのに。【追記】アングロファイルさん、ありがとうございました。なるほど、性格が悪すぎると思ったのは、翻訳のせいでしたか。意地悪なのは、岸田恵子さんなのですね。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2020-05-09 20:32:08) |
302. 記憶にございません!
《ネタバレ》 実は記憶が物語途中で回復していた、っていう重要事項をネタバレした状態での視聴であったにも関わらず、こんなにいい気分にしてもらってありがたかったですよ。道具立て(職業が総理大臣)が派手だから、なんかこう、ダイナミックな展開を期待しそうなんですけど、単にひとりの男の再生の物語としてみれば、こんなにさわやかな話はないですよ。キレイゴトすぎるんでしょうけど、もはやそのキレイゴトが本当に好ましいです。あの仲良し首相夫婦も観ればいいのになあ。【追記】三谷幸喜氏は見せ方がうまい。理解力が落ちてきたワタシにも、ホントにストレスなく、するすると視聴できたのも高ポイント。玄人にはカミゴタエがないのかもしれませんが。 [DVD(邦画)] 8点(2020-05-06 21:18:03)(良:1票) |
303. STANDARD
《ネタバレ》 福島第一原子力発電所の事故から、自公で議員数の3分の2を獲得した2017年の第48回衆議院選挙までの「デモに参加している人たち」を描いたドキュメンタリー。声をあげつつも、打ち破れていく。それでも声を上げ続ける人たちの姿をカメラは捉えています。しかし、この映画のオチは、つまりあの「アベノマスク」なのだと思う。映画の枠の外にオチがある。とうとう、こんなところにたどり着いてしまった。シュプレヒコールの声も聞こえない。笑えないコメディ。泣くに泣けない悲劇。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-06 13:47:02) |
304. イエスタデイ(2019)
《ネタバレ》 ああ、よかった。満点です。ビートルズのなかった世界ってトンデモ設定とプラトニックな古臭いラブコメの融合。古臭いラブコメの世界観が、初めてビートルズを聴いたころの思い出とマッチするんですよね。しかも、披露されるビートルズの楽曲を、作中の観客の気持ちになって新鮮に聴くことのできる贅沢。物語は、最後まで失速なく駆け抜ける。オチも軽くってうまい。なんか落語みたい。 [DVD(字幕)] 9点(2020-05-01 20:55:16) |
305. 国家が破産する日
《ネタバレ》 コトの重大さからすると、登場人物が少なすぎるような気がしますが、やはりこれは骨太と言わざるを得ない。本作で扱われた事実を過去のものとせず、今の状況の突破を目指すエンディング。社会派エンタメとしては昨年日本では「新聞記者」が話題になりましたが、見終わったあとの気持ちは本作の方がいい(なぜ、較べる?)。コロナウイルスに対する韓国と日本の差が何なのか、一因がわかったような気がします。制度疲労が重症なのは、彼我の差はない。どのエピソードも身に染みる。どうせこの映画見るなら、大きなパラダイムシフトの起こっている今です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-20 21:06:03)(良:1票) |
306. 刑事コロンボ/死者の身代金<TVM>
《ネタバレ》 以前、シリーズの他の作品のレビューで、コロンボは発達障害ではないかと書きました。本作では、強迫神経症と犯人に言われてましたが。やはり初期作品である本作をみて、本シリーズはコロンボのある種の病状の物語とも読めるのでは、という考えを新たにしました。どうやら、本人にも病識はあるようですし。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-04-18 19:42:46) |
307. シャッフル(1981)
《ネタバレ》 演技する森達也氏が観たいというマニアック?な動機で視聴しました。若い森氏を観て、特に感慨もありません。あああ、若いなあ、ってとこ。そんなには、森氏に見所はない。本作について。ストーリーは、原作の大友克洋氏の「RUN」を知らない人が見たら、わかるんだろうか?セリフは、小声でモソモソ、聞こえづらい。あまりそこの住民への配慮もなく、公道を追いかけっこするシーンを撮るとか、80年代っぽいのは嫌いではないが。しかし、まあ面白くはなかったよね。ワタシ、狂い咲きサンダーロードもダメだったもんね。なんか、熱量だけを見せられているような気がしちゃうんだよね。とにかく、ガーッといったら、なんかいいのができる、みたいな。 [DVD(邦画)] 5点(2020-04-13 19:52:01) |
308. 長いお別れ
《ネタバレ》 誕生日の日には三角帽子で祝う。お父さんがお風呂に入ってからではないと、お母さんは入れない、など。ワタシは、どこの家にもその家なりの変わった風習があって、それが家族を作っていると考えています。メリーゴーラウンドが一周ごと回って帰ってきたら、騎手に声を掛けるのも東家の昔からの風習なのだと思います(よく考えると変だけど)。その時、初めてお父さんの表情に明らかな変化がありましたし、おそらく監督はこのシーンが撮りたくて、本作を作ったのではないかと思っています。切ない家族の物語。蒼井優、うまいわ。【追記】アメリカ家族にも変な風習はありましたね。お母さんに抗議するときは英語を使う。あの家族も、いい家族です。 [DVD(邦画)] 6点(2020-04-07 07:18:35)(良:1票) |
309. 子宮に沈める
《ネタバレ》 ああ〜、見ました。確かに辛い視聴体験でした。しかし。釈然としないのは、母親の造形です。あんなにキレイなお弁当を仕上げることができるお母さんは、こんな行き当たりばったりなことはしないでしょう。ピクニックの日が雨だったら、自宅でレジャーシートを広げられる人は、子供を捨てられないでしょう。監督は、どんな人の身の上でもこのようなことは起こり得ると言いたかったのかもしれません。確かに、このような事件はワイドショーでしばしば目にします。がしかし、ワタシはそういう気質のある人の身にしか起きないことと考えています(非道い?あるいは、甘い?)。 [DVD(邦画)] 3点(2020-03-27 21:32:15) |
310. ハッピー・デス・デイ
《ネタバレ》 ホラー要素は、本筋のコメディの味付け程度。本歌は「恋はデ・ジャブ」。だから、「心を入れ替えてもムダだった」というくだりがすごいいいです。なんかこう、ただ呑気に眺めるのにちょうどいいチカラ加減の映画ですので、続編は、いつかまた気持ちが沈んだときのために取っておきます。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-03-22 21:32:58) |
311. 明日、君がいない
《ネタバレ》 『100日後に死ぬワニ』みたいでもあるよね。しかし。やっぱり彼女が死んだ理由がわからない。恋心を抱いていた彼が、とんでもないヤツだと気づいてしまったから(メロディとの争いを目撃してしまった)? いつどんな人もふと魔が差してしまいかねない、憂鬱なハイスクール生活だから?彼女のことも朝からモノローグ付きでフィルムにおさめていれば、なぜあんなに気分が落ちたのかわかるはず。誰でもない人が、突然死ぬことはないんですよ(と思いたい)。6人の物語がそれぞれ狭い空間で、時間戻したりしながらちょっとずつ進んでいく構成は面白かったです。【追記】オーストラリア版『桐島、部活やめるってよ』みたいでもあったな。 [DVD(字幕)] 5点(2020-03-20 17:27:28) |
312. 地獄の英雄(1951)
《ネタバレ》 冒頭軽薄な記者登場からのビリー・ワイルダー一流のコメディ感とタイトルのギャップに戸惑っていたものです。え、どういう話?しかし、カーチスと保安官が手を組んでからの流れは、確かに「地獄」。鉄火場をてこにして、次のステージに進もうとする輩ってどんなときにもいるんだな(今の日本にもね)。たくさんの人の大小さまざまな私欲が集まったところで、カーチスという触媒を得て、一気に進む負の化学反応。一人の気の毒な男をじっくりと遠回しにして殺すカーニバル。カーチスは、レオのいまわの際に、涙流したんですよね。これはもう本当の悪党だよ。 [DVD(字幕)] 9点(2020-03-16 09:54:57) |
313. 感染列島
《ネタバレ》 不要不急の外出は控えて、とのお達し。であればと、Amazon Primeで本作を視聴しました。本作に限らず、あまたの感染ものは、確かに警鐘を鳴らしていたのだと思うが、しかし。じゃあ、だからワタシはどうしていればよかったのだろうって、途方に暮れますね。本作について。マスコミ的な要素が少なかったのが残念でした。ワタシ、今一番恐いのは、ヒステリックに「冷静な対応」を叫ぶテレビ番組です。 [インターネット(邦画)] 5点(2020-02-24 21:09:47)(良:2票) |
314. ジョーカー
《ネタバレ》 ジャンルとしては、アクションでもなく、SFでもなく、コミックのスピンオフでもなく、「ドラマ」なのではないでしょうか?気の弱い、虐げられた人が、ついにもう一線を超えるお話としては、よく積み上げて行ったなと思いますし、まんまと最後はジョーカーに心を寄せていました(忌野清志郎似じゃないですか)。しかし、だからと言ってこういう陰々滅々とした話が見たかったかというと、そうではありませんでした。アクション映画がみたかった。 [DVD(字幕)] 5点(2020-02-24 00:21:26) |
315. 深夜の告白(1944)
《ネタバレ》 けっこうエゲツない話。最後はローラまでは仕留めようとしていたんだから、フィリスによるディドリクソン一家惨殺事件(未遂)じゃないですか。自分で手を下さない計画なのがまたひどい。そんな中、ワイルダー色を一手に引き受けていたキーズが好き。いつか、追い詰められたネフがギースにタバコの火をあげない瞬間がくると思ってみてましたが、最後にキーズが点けてやるんじゃないですか。頭のいいチビ、カッコいいよ。 [DVD(字幕)] 9点(2020-02-23 21:15:46) |
316. エアポート’75
《ネタバレ》 もっと、鬱陶しい正義の人とか、陰々滅々とする絶望する人とか、カンに触る天然の人とかを出して、非常事態での人間模様を見てみたかったですね。そういう意味では、病気の子が、むしろ母親を勇気付けてた意外性はよかったです。てっきり、助けられる方になるのだと思ってましたので。マスコミへの有無を言わさぬ塩対応は良かったですね。ナンシーを無線で誘導してたパートが一番面白かったので、その筋で着陸して欲しかった。飛んでるジャンボジェットにヘリから乗り移るってのは、どう考えても無理筋だと思いますので。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-02-18 23:38:59) |
317. 寒い国から帰ったスパイ
《ネタバレ》 コートのポケットに手を突っ込んで歩く、リチャード・バートンのカッコつけっぷりに嫌気がさして、観るのを何度止めようとしたことか。ところが。放蕩が演技と分かった頃から、見方が変わりました。物語の二転三転があるのですが、登場人物の目的が、冷戦を大義にした組織内の権力争いにしか思えない。そこをスパイのリーマスが右往左往しているんですが、スパイもつまるところ、公務員。官僚主義の不条理さが、ワタシにとっては本作のテーマです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-02-17 11:03:03) |
318. トランス・ワールド
少し粗い感じの寒々しい映像も相まって、なにか夢を見ているかのよう。趣のある話だったのですが、いかんせん尺と合わない。60分以内で、スパッと見せられたら、語り継がれる作品になったのではないか。【追記】なぜ、こんな邦題にしたのか? [インターネット(字幕)] 5点(2020-02-02 08:49:07) |
319. ピラニア 3D
《ネタバレ》 ホラーとか、パニック映画とかではなくて、グロで、エロ要素もあって、コメディでって、言うなれば「バラエティ映画」とでもいうもんじゃないでしょうか。だから、見ていた頃には面白がってたんですけど、見終わってこうしてコメントを書く頃には、もう眉を潜めたくもなるんですよ。観客がどうせこういうもん見たいんだろって、割り切って作っている清々しさに6点です。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-01-31 20:54:11) |
320. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 たぶんスラップスティックコメディなんだと思いますが、笑えない。くすぐりどころはわかるんだけど、笑っていいのかわからない感じ。庭での誕生日のシーンも、あそこにとんでもないものをぶつけたくなる気持ちは分かるが、予定調和でもある。ただ、終幕近く。通常届くとは思えないメッセージを息子に託す父と、息子の決意。こんなとんでもない家族はきっと仲間割れするか、実は擬似家族なんだろうと思いながら見てましたが、最後まで揺るぎなく崩れない家族の信頼関係。そこが物語の核だとは思いませんが、ああ、いいなと思いました。 [映画館(字幕)] 8点(2020-01-20 16:20:45)(良:1票) |