Menu
 > レビュワー
 > タケノコ さん
タケノコさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 583
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

たまにポチっと「良」投票・・・

よろしくお願いいたします。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930
投稿日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930
変更日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930
>> カレンダー表示
>> 通常表示
301.  スローなブギにしてくれ
車とバイクをモチーフにした物語でもあるので、「スローなブギにしてくれ」を "俺の恋の暴走にブレーキをかけてくれ" と脳内変換して楽しみたい(笑) ハードボイルド気取りの二人の男たちをもて遊ぶように、しなやかで自由気ままな浅野温子の姿はまるで猫のよう。彼女はまさに適役だったように思う。個人的にはもう一曲、中島みゆきさんの「なつかない猫」を思い出した。
[DVD(邦画)] 6点(2018-02-15 21:37:07)
302.  リトル・フォレスト 冬・春 《ネタバレ》 
夏・秋編がさっぱりでしたが、まとめてレンタルしたので一応鑑賞しました。やはり厳しいなあ(笑) とにかく、料理から心境まで全ていち子本人のナレーションで説明するテレビドラマ演出がいけない。彼女が何を思い考えているのか、頼むから少しは考えさせてくれ。特に残念なのが、東北の冬の厳しさがほとんど伝わらなかったこと。形式的に雪や雪原は映りますが、それはただ美しいだけで生活に紐づく厳しさを感じさせるものではなく、東北の冬の表面的な(観光案内的な)姿を見せられた感じ。最後、神楽舞を踊る場面はよかった。いち子が吹っ切れたような本当にいい表情をしている。しかし5年後とはいえ、突然の踊りにはやや唐突感も。彼女が神楽舞に関心がある描写を一度でもはさんでおけば、この場面がさらに活きたのに、とちょっともったいない気がした。
[DVD(邦画)] 4点(2018-02-13 22:50:42)
303.  リトル・フォレスト 夏・秋 《ネタバレ》 
これは厳しいなあ(笑) 橋本愛のプロモーションビデオじゃあるまいし、彼女のクローズアップがやたらと多すぎ。内容はまるでグルメ番組のように、とにかく料理、料理、料理で、ストーリーはおまけ程度でしかない。その料理もナレーションで全て説明してくれて、見せ方に映画らしい工夫がない。東北の四季折々の風景や食は改めて素晴らしいと思う。でもそれはあくまで風景や食の"素材"そのものがいいからで、決して映画の内容がよいのではないと思う。
[DVD(邦画)] 3点(2018-02-13 22:46:15)
304.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
一つのレイプ殺人をトリガーにして、とどまることを知らない不幸の連鎖。全く先が読めないという展開も含めて、コーエン兄弟の映画を彷彿させます。そして、「ファーゴ」以来、久しぶりに存在感のある (ありすぎる笑) フランシス・マクドーマンドでした。 本作の「ビルボード」は、コミュニケーション不全の社会のメタファーと思います。一方通行で煽るのではなく、初めからミルドレッドと署長が対話をしていれば、ディクソンとレッドが対話をしていれば、レイプ殺人一つだけで不幸は済んだ話。そもそも、母と娘が口論ではなく対話をしていれば、娘が暗い夜道を一人歩いて街に向かう愚行も回避できたかもしれない。怒りや憎しみは何も生まない、というよりは "対話" (コミュニケーション) 不足が生んだ悲劇のお話と思う。 また本作の広告用ビルボードの使い方は、匿名で個人に向けてメッセージを発信する、といった共通点から、ネットの投稿や掲示板を思い出します。時に相手 (個人) を一方的に誹謗中傷しているのに、書いた本人に罪の意識がない、という点もよく似ています。本作のテーマは決してネット社会の風刺ではありませんが、裏テーマとして含みがあるように少なからず感じました。 観応えはありますが、救いがない、着地点がもやっとしている、ミルドレッドやディクソンの行為に全く共感できない、以上からこの点数です。
[映画館(字幕)] 6点(2018-02-05 17:06:56)(良:2票)
305.  ほとりの朔子 《ネタバレ》 
2週間をおばさんの家で過ごした、朔子のひと夏の物語。これは表向きは陽気な話を装っているが、見た目ほど愉快な映画ではないと思う。一線を越えそうで越えない、男と女。青春と性の境界線。原発の立ち入り禁止区域の境界線。映画からは、理性と狂気の狭間でかろうじて踏みとどまっているような、ピリピリとした(異様な)空気を随所に感じる。夏らしい色鮮やかな彼女の姿は、ひと夏の間、水辺のほとりでオスを誘引して光る、メス蛍の求愛行動を思い出す。蛍の寿命は短くて、生きても2週間とか。一度越えたら二度と戻れない、生と死の境界線。そして2週間の短い夏が終わり、朔子は帰って逝きました、とさ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-28 23:28:51)
306.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
A・クリスティの原作は既読、過去の映画版は未鑑賞です。今回、結末を知りながら鑑賞したのは、多くの方たちと同様、稀にみる豪華出演者たちに惹かれたからです。その映画はまるで、豪華キャストによるお芝居(舞台劇)をスクリーンで観ているようでした。でも"列車内"からロケーションがほとんど動かない上に、乗客たちは素性を知られないよう"芝居"をしているので、設定上そうなって当然か(笑) とりわけ印象的だったクライマックスの場面、これは原作にはなかったように記憶しています。暗いトンネルの中から、光射す方を望む12人。見据えるその先に立つポワロは、罪人たちを暗い淵から更生に導く救世主のようにも見えます。これはまさに映画ならではの演出だったように思う。でもさ、せっかくその映画じゃない?暗い顔した人物たちばかりじゃなくて、オリエント急行の車窓から覗く美しい風景、豪華料理のフルコース、もっと観たかったなあ。(登場人物が多すぎるから仕方ないんでしょうけど)
[映画館(字幕)] 6点(2017-12-23 00:02:38)
307.  ノスタルジア 《ネタバレ》 
いつか夢に見た遠い日の懐かしい風景の断片を映像化すると、このようになると思う。そういった意味では、本作の表現はフェリーニの「8 1/2」に近いと感じた。もちろん両者は人種も生い立ちも趣向も異なるので、一見すると2作は全くのジャンル違いに見えるが、アプローチはよく似ていると思う。見る夢とそれを映像化する感性は人それぞれだから、どちらも第三者にとって難解な作品になって当然だろう。両者の共通的な特徴として、視聴者の理解・娯楽的嗜好を満たすよりは、どうやら監督自身がその映像表現に陶酔することを最優先しているということ。タルコフスキーは時に人間不信と感じるほどに登場人物の感情が見えにくく、もしかしたら映画の撮影においては、人間すら風景の一部として捉えているのかもしれない。(全体像として母への愛は"抽象的に"伝わってくるが) 確かに、詩的でありどこか郷愁を誘う映像美にはただただ圧倒される。しかし、場面場面の暗示的な問いかけに監督の意図する答えを見つけることができなかった私には、この評価が精一杯だ。個人の映像表現としてなら迷うことなく満点だが、これは映画なのだから。
[DVD(字幕)] 6点(2017-12-08 23:17:35)
308.  女神の見えざる手 《ネタバレ》 
これはとても観応えのある脚本でした。登場人物たちの洪水のようなセリフの応酬に圧倒されて、あっという間の2時間が過ぎてゆきました。エリザベス・スローンという女は強烈だった。彼女は頭脳を武器に国の巨悪と戦う、まさにワンダー " キャリア " ウーマン。その人間性や手段はともかくとして、私は彼女を羨望の眼差しで観ていたことを白状しよう。1つだけ気になった点があります。それは彼女の過去や生い立ちが一切語られていないこと。だからその信念の源は不透明だが、実はエズメのように銃にまつわる壮絶な過去を背負っていたのではないか、と思うことにします。映画としては、やはり原題通り天才ロビイストである彼女を堪能するべきで、必ずしも銃社会の問題に固執した物語ではないと思いました。 (クライマックスでは銃うんぬんはどうでもよくなってるし) そして、観終えてみれば納得の邦題も秀逸だったように思う。それは人間たちをチェスの駒のように自在に操った彼女の見えざる手であり、彼女が張り巡らせた壮大な罠でもある。でも実は彼女自身を導いて突き動かし続けた力こそ、" 女神の見えざる手 " かもしれません。
[映画館(字幕)] 8点(2017-12-07 22:12:17)(良:1票)
309.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密
雰囲気はまさに「まんが日本昔ばなし」なんです。あの世界観を、ハリウッドの新進気鋭のストップモーションアニメ監督が現代風に演出していて、なんかこう、観ているあいだ不思議な感覚でしたね。クボ・サル・クワガタが三人パーティを組んで、村を草原を山をてくてく歩き、やがて舟で大海原へ。僕は勝手にドラクエⅡを思い出したりもしたのですが (笑) 闇の姉妹の造形は不気味な美しさにぞくぞくしますが、骸骨の場面だけはどうしてもティム・バートン風になります。と、ここまで書いてみて、つまり雰囲気は極上ですが、新鮮な " 個性 " は乏しいのかなと。道具のディテールには相当拘っていて、折り紙のザラザラした感じ、クワガタが纏う甲冑の質感、クボの刀や兜の光沢は惚れ惚れするほど。また、外国の監督にありがちなピント外れな日本の描写もほとんどありません。監督 (制作スタッフ) のみなさまは、日本古来の風景はもとより、習慣や文化まで深く探求されているようで、これは嬉しい限りでした。なお私は字幕で観たのですが、この世界観なら英語よりも日本語吹替の方がいいかもしれません。 (日本の風景にサムライたち、これが英語というのがちょっと違和感でした)
[映画館(字幕)] 7点(2017-11-27 17:35:56)
310.  彼女がその名を知らない鳥たち 《ネタバレ》 
陣治と十和子の食事の場面、十和子のラブシーン、これだけで映画の半分くらいはありますか(笑) 食うこと、セックスすること。愛すること、愛されること。これは呆れるほどに、人間の(本能的な)欲求に正直な映画でした。十和子(女)の生き方は理解不能な反面、男たちの生き方はわかりやすい。いい男たちは散々セックスして、モテないヤツは食うだけ、尽くすだけ。原作ありきでしょうが、この描き方はとても短絡的だし、好きになれない。陣治は十和子を愛していた、というよりは愛すること自体に酔いしれていた感じ。だって本当の愛とは最後まで責任を果たすことだと思うから。だから私には、主要な登場人物の誰一人にも共感できなかった物語でした。体を張った蒼井優からは、主演女優(若さに頼らない真の演技派)としての生き残りをかけたような、悲壮感が感じられた。花とアリスやフラガールの彼女にも、いずれこんな役をやる日が来るとは。なお本作は阿部サダヲによって成立した映画と言ってもいいほど、彼だけは代わりが見当たらない。喜劇、悲劇、シリアス、何でもござれの個性派は、これからの邦画界でもきっと重宝されるはずです。
[映画館(邦画)] 4点(2017-11-23 17:46:21)
311.  後妻業の女 《ネタバレ》 
原作は「後妻業」。でも本作は「後妻業の女」。女たち。汚い金と裏帳簿。津川雅彦。明らかに伊丹十三監督「マルサの女」をリスペクトしてますなあ (笑) サスペンスとしては凡庸でコメディにしてはそれほど笑えない。だから本作の見どころは、とにかく大竹しのぶという女優の圧巻につきる。対抗するは、尾野真千子という実力派女優。この二人が揃う場面は、あきらかに映画に緊張感が走ります。観応え十分の二人の舌戦 (演技合戦) が本作を救ったと言ってもいいでしょう。永瀬正敏はいかにも後妻業に恨みを持つ刺客といった雰囲気で、これは面白くなってきたと期待をしたのですが・・。それが予想に反して、単なる " ゆすり屋 " とは拍子抜けもいいところ。この役は別に彼でなくてもよかったんじゃない? 真実性のない遺言書という一枚の紙っぺら。結局は法制度がアマいから、それを利用して悪だくみする連中が後を絶たないわけで。表向きは後妻業という問題行為をコメディタッチに扱いながら、むしろ問題は法や制度自体なんじゃない? と痛烈に皮肉った映画のように感じました。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-11-10 17:42:36)
312.  幻の光 《ネタバレ》 
是枝監督の映画ではなぜか後回しにしていた本作、過去の作風を確かめるように鑑賞しました。映画全体に漂う空気(雰囲気)は好きです。奥能登にある海べりの寂れた寒村。その狭い入り江は、ゆみ子の人生にはもう逃げ場がないことを暗に示すようで、寂寥感を漂わせます。水面に鏡のように映る走る子供たちの姿や、水平線に沿って歩く砂浜の葬列など、構図のアイデアも光るものがありました。脚本については予想通りと言うか、良くも悪くも是枝監督の映画だな、といった印象です。事の発端である郁夫の自殺については、本人の登場も台詞も少ないので、動機どころかその人物像自体が"謎"のまま。郁夫やゆみ子はいったい何を思っていたのか?答えを全て見せずに、その心のうちを視聴者にじっくりと考察させるあたりは、挑発的で面白いと思う。しかし悪く言えば説明不足なので、これは好みが分かれるところです。本作から長らく続くことになる、是枝監督の挑発とそれを受けて立つ視聴者たち。この頃からすでに、監督流のスタイルが確立されていたことを知っただけでも、今回鑑賞した甲斐はありました。
[DVD(邦画)] 6点(2017-10-26 23:05:14)
313.  息子(1991) 《ネタバレ》 
仕事にありつくため都会に移り住む息子たち。やがて離散していく田舎の家族。都会では土地も住まいも高値であり、ただ暮らすだけで精一杯。その都会に暮らす息子たちを転々と尋ね歩き、やがて一人田舎に帰っていく照男の姿が寂しい。(このくだりは小津監督の「東京物語」を彷彿させます) あくまで主軸は父と息子をテーマにした物語。しかし、この国がかかえる慢性的な社会問題や、過疎地の高齢化問題にも言及しているように、社会派の一面も色濃い。厳しい暮らしの中にも、ささやかな幸せを探してさまよう哲夫。子どもと思っていた哲夫の結婚に目を見張り、照れ隠しするように喜び歌う照男。山田洋次監督の視線はどこまでもやさしい。経済状況の苦しい息子夫婦の住まいに居座るよりは、息子たちの人生を思って、故郷の孤独を選んだ父の姿。その覚悟は若者にはできない芸当だろう。本作は息子のいない自分にとって、息子から見た「父」の物語でした。いつか自分が父になったとき、また改めて観直したい。自分が息子のために何を思い、何をしてやれるのか。その時まで、三國連太郎が演じた父の姿を一つ一つ、心に強く焼き付けておきます。
[DVD(邦画)] 8点(2017-10-25 15:38:06)(良:1票)
314.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! 《ネタバレ》 
コメディと思って観始めました。でもオープニング、スーパーポリスのヒーローものか、と思いきや。不穏な村の展開はサスペンス映画? いきなり首が二つごろん、実はスプラッター映画か! でも銃やカーチェイスありのアクション映画? ついには二丁拳銃のおばちゃん&袖から拳銃の神父さんがご登場、そうきたか~と(笑) やっぱり結局コメディかい! このように全く先の読めない、映画のジャンル自体が目まぐるしく二転三転する展開は面白い。映画パロディネタにもニヤリ。そして「チャイナタウン」のネタばれネタには苦笑。(この会話ブラックすぎるぞ!) で、結局のところ観たあとに残るものはあまりなかったです(笑)
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-10-17 22:18:23)
315.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
遥か高い山頂を目指して、測量という仕事を寡黙に全うする男たち。地図の歴史に隠された壮大なドラマは、心に残る男たちの物語でした。役者たちの顔(面構え)も圧倒的によかった。木村大作監督は名カメラマンとして名高い。四季折々の山々の風景。雄大な景観。岩肌の険しさ。野生動物。大雨、大雪。そのありとあらゆる大自然の映像は迫力があり、とても見応えがありました。ただし鳴らしすぎの音楽は大きくマイナス点。これは日本百名山の案内ビデオではないのだから、風の音や動物の鳴き声、人間の息遣いなど、音楽よりは映画らしい山の臨場感を十分に感じたいところ。クラシックについても、この男たちのテーマ曲としては相応しくない気がしました。陸軍陸地測量部と日本山岳会。山に挑む目的から初めは敵対し、長い曲折を経て認め合い、山頂で讃えあう姿はまさに「ノーサイド」。実に気持ちのいい男たちだ。なお今回は彼らを撮影したクルーたちに惜しみない感謝を。何日も悪天候と戦いながら、あの難所に重たい撮影機材を運ぶその苦労には頭が下がる思いです。
[DVD(邦画)] 6点(2017-10-16 22:33:27)
316.  パターソン 《ネタバレ》 
アダム・ドライバーがパターソンの街でバス・ドライバーのパターソンって (笑) 遊び心がすぎるぞ、J・ジャームッシュ。 かつての彼の映画は、ビリビリとした個性を放っていて近寄りがたい空気があったものだが・・。今作はずっと優しく温かくて、監督ご自身が丸みを増したかのような印象を受けました。 家と通勤路、バスからの風景、BAR、滝を望む公園。陽光、行き交う人たち、色づく街路樹。さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。大きなドラマはないが、一画一画がとても洗練されていて、まるで写真集のページをめくっていくような味わい深い映画でした。 一つ、インパクトのある台詞があります。「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」 これは、音や韻が持つ響きも含めて "オリジナル" を愛せよ、と解釈したい。 そして本当の個性とは、個性的なことではなく変わらないこと。 一見すると変化しているように見えて、変わらないその本質は、J・ジャームッシュのスタイルそのものです。
[映画館(字幕)] 7点(2017-10-10 00:20:37)(良:1票)
317.  冒険者たち(1967) 《ネタバレ》 
鉄クズの山は積み重ねる空虚な日々。旋回を続ける飛行機は持て余す若さ。海に沈んだ財宝は人生のロマン。果てしなく青い海は、永遠に続くように思える若さのきらめき。その海に沈んだレティシアは青春の藻屑。冒険の先にそびえ立つ、夢の残骸のような要塞島。ストーリーが全編にわたって象徴的に意味を持っていて、それはまぶしいほどの映像美とともに、観る者たちを冒険の世界に誘い、そして残酷なほどにあっけなく突き返され、現実に連れ戻されます。レティシア亡き後に二人が彼女の故郷を辿る旅から、彼女が歩んできた人生の孤独を感じとり、マヌーが戻った都会の冷え切った描写からは、彼も結局は孤独であることを強く実感します。孤独からの現実逃避、でもそこは思い描いた理想郷ではなくて、また現実に戻ってやがて孤独を受け入れる。この映画自体が、若者が大人になるまでの通過儀礼を象徴的に描いた物語とも言えるでしょう。長い曲折を経てマヌーが凶弾に倒れた時、二人が交わした会話が心を打ちます。そして私はいつもこの場面で在りし日のレティシアの姿が浮かび、涙を禁じ得ない。ここまでたどり着いて今さらながら気が付くことになる。三人が探し求めていたのは金銀財宝ではなくて、ただ人間らしく生きていくための愛や友情だったことに。若さゆえに遠回りして探し求めて、あとわずかでつかみ損ねたその見果てぬ想いを、私はこの先も忘れることはないでしょう。
[DVD(字幕)] 10点(2017-10-08 20:35:56)(良:1票)
318.  ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
大自然のサバイバル映画としては、かなり上質のものかと。また、人食い熊による動物パニックものとしても、他のB級「グリズリー」映画よりはよほど観応えがあります。 とは言え、結局のところ本作は人間 (の描き方) に魅力があるからこそ、面白い。墜落、巨大迷宮のようなアラスカの大森林、襲いかかる人食い熊、、あらゆる困難に動じることなく、知恵と勇気をもって挑む大富豪チャールズ (A・ホプキンス) の姿は神々しさすら感じます。そして、彼とロバート (A・ボールドウィン) との関係性は本作最大の肝と言えるでしょう。映画全体に漂う、隙あらばチャールズを殺ってやろう、という彼の殺意。遭難した後も生き残るために協力しながらも、彼の奥底には潜んでいます。この殺意がとても張りつめた緊張感を生んでいて、本作を単なるサバイバル映画でない、より一層重厚なドラマにしているように思えます。 結末はロバートにすれば因果応報としか言いようがなく、チャールズはそんな彼にもまさに山のように大きな心で接しました。大自然の風景も美しくて、人としても色々と学ぶことの多い映画でした、、 ってケチのつけどころがなく意外と名作かも?
[DVD(字幕)] 7点(2017-10-04 22:31:33)(良:1票)
319.  ドリーム 《ネタバレ》 
冒頭における三人の愉快なやり取りから察するように、黒人差別をテーマにしながらも、そこまでの重苦しさはなく軽快なタッチで描かれています。(さじ加減は数年前の「ヘルプ 心がつなぐストーリー」に近い感じ) 三人の職場における差別や苦境はしっかりと描きつつ、でも私生活では三人揃って明るく笑い飛ばすという、映画全体のバランス(明暗の緩急)に長けていたように思います。なお私は数学音痴なので、ロケット軌道計算や着水地点解析の難易度がどれほどかは想像もつきませんが、キャサリンが数学の地球代表であるすごさは伝わってきました(笑) 脇役も総じてよかったですが、特にK・コスナーは絶品でした。90年頃の全盛期からキャリア低迷もありましたが、その苦労と経験がいい感じでにじみ出ていて、むしろ昔よりいい役者になったように思います。(今の彼で主演映画が観てみたい、と心から思いました) 有人宇宙飛行「マーキュリー計画」という大きな歴史。その歴史の主役はロケットでもコンピュータでもなく、"人間たち"であり、男も女も白人も黒人も(ポジションも)関係なく、担った全員が主役であったことを実感します。同じ題材を取り扱った「ライトスタッフ」と比べても面白いかもしれません。興味深いのは題材は同じでも全く別の映画になっていて、人間を軸にその姿を変える映画の無限の可能性を感じました。誠実に丁寧に作られた、本当に胸のすく映画でした。しばらくはいい夢が見れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-01 18:51:37)
320.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
原作でもある横溝正史氏の金田一探偵シリーズは、学生時代に本作を含めて数冊読んだことがあります。思い出せば、怪奇・陰惨・情念といったイメージがすぐに浮かぶのですが、映画版は少し違いました。物語は原作そのままですが、キャラの描き方はまるで喜劇調のように軽妙にアレンジされていて、驚くほどに爽やかな終わり方となっています。石坂浩二さんの金田一はシリーズの枠を越えて、邦画史に残るキャラクターだと思うし、加藤武 (よーしわかった!笑)・坂口良子 (可愛らしい!) といった脇役たちも愛すべき人物ばかり。でも実は悪役たちにこそ、市川崑監督の "人間愛" が行き届いています。戦争・財産・情念は人間を狂わすもの。彼らはその境遇が生んだ悲しき犯罪者であり、その描き方には「罪を憎んで人を憎まず」の心がありました。名曲「愛のバラード」。スケキヨマスクのビジュアルインパクト。金色の屏風や屋内の光と影を変幻自在に映し出す映像美。その他どこを切っても、まさに名作と呼ぶに相応しい。余談ですが、昨年の「角川映画祭」で幸運にも映画館で観る機会に恵まれました。念願の大スクリーンで彼らに再会できたことは、まさに映画ファン冥利に尽きるよろこびでした。
[映画館(邦画)] 9点(2017-09-29 21:16:45)(良:2票)
010.17%
120.34%
230.51%
3203.43%
4345.83%
5518.75%
614925.56%
717429.85%
812020.58%
9233.95%
1061.03%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS