3341. 黙秘
《ネタバレ》 事件の真相というのはそんなに大きな裏があるわけではないのですが、時系列の凝った交錯や、ダニー・エルフマンの雰囲気満載の音楽のおかげで、印象的な作品となっています。また、メイン州(キングの故郷だったんですね)の寒々とした風景の数々も、作品の内容によく合っています。ただし、J・J・リーは、こういう陰に満ちた役はちょっと苦手なような感じですね。あと、邦題はもう少し何とかしてほしかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-04-20 04:12:22) |
3342. ジャスミンの花開く
《ネタバレ》 大河系の内容のはずなんですが、どうにも壮大さ・雄大さが見えてきません。母娘3代というのがもっぱら設定のための設定になっていて、内実は、それっぽい話を3つくっつけただけですね(パターンも似たような感じ)。世相をもう少しいろいろ反映させるとか、脇役に気を配るとかすれば、もっとこの設定も生きたのでしょうが。2話のラストで、娘が行方不明になってそのまんまという容赦ない締め方はちょっと印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-04-20 04:10:43) |
3343. 恋人たちの食卓
《ネタバレ》 いろいろ考えている割には、人物描写は平坦なんですよね・・・。三姉妹についても、それぞれの男性関係の推移から何となく人格の想像がつくという程度であって、内面からにじみ出る個性というものが希薄です。なので、そんなに面白い作品ではありませんでした。オチでかなり救われているのでは? [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-04-17 02:16:18) |
3344. 推手
《ネタバレ》 アメリカに過ごすアジア人という初期設定以外はそんなに新鮮味のある話ではないのですから、それであればそれでも観る側を引き込むほどの+αが必要だと思うのですが・・・。せっかくの太極拳もあまり効果的に使われていないし(ラストで息子夫婦がそれを用いて和解するような部分があるが、その線でもっと使えたはず)、異文化ギャップの部分も、通常の嫁・舅対立以上の描写はありませんでした。ハイキンググループデート(?)というのが素朴で印象的だったくらいかな。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-04-17 02:04:55) |
3345. ドゥ・ザ・ライト・シング
《ネタバレ》 実は1日間の話だったんですね。前半はいろんな人がひたすら怒鳴っているだけで、見ていて辛かったのですが、それらが収斂して一点に着地する収束部の豪腕ぶりはなかなかでした。作品のメッセージを端的に要約したタイトルが優れています。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-15 03:59:26) |
3346. 戦場のジャーナリスト
《ネタバレ》 戦場というと市民生活から遠く離れたどこか別の場所のような気がしますが、そうではないことがこの作品ではよくわかります。ごく普通の日常生活の中に当たり前のように存在している、銃弾・戦車・破壊・拘束・殺害。この生々しさがもたらす緊迫感と絶望感は、プライベート・ライアンやキリング・フィールドを大きく上回っていますし、パーフェクト・サークルに匹敵するかもしれません。筋としては、妻が夫を捜して一番の危険地域であるブコバルを目指していく、というだけのものであり、特にひねったところはありませんが、それがかえって作品の印象を強くしています。アンディ・マクダウェルとエイドリアン・ブロディという配役も的確。しかし、こんな良作が国内ではソフト化すらされてないなんて・・・。 [地上波(字幕)] 7点(2008-04-15 03:45:50) |
3347. 白い刻印
言いたいことが整理されておらず、思いつきのシーンが流されているだけのような感じなので、スリルもなければ共感もありません。ウィレム・デフォーやシシー・スペイセクまで投入していながら、この凡庸さは残念。 [DVD(字幕)] 4点(2008-04-12 04:56:25) |
3348. 飛鳥へ そしてまだ見ぬ子へ
《ネタバレ》 夫婦愛や親子愛を力強く描き出したという点においては「ファミリー」(83年)にも匹敵する名作。どのような状況になっても常に前を向いて進み続ける主人公の意志の強さがまず胸を打つし、しかもそれにぴったりと寄り添って一緒に歩き続ける妻の気丈さがさらに涙を誘う。そしてその意志は「まだ見ぬ子へ」のメッセージとして確かに結実しており、実話の重さに内容がまったく負けていない。また、カメラワークや照明の冴えも特筆すべきで、オープニングクレジットのあっと驚く長回しに始まり、海辺で竹下景子が舞うシーンの幻想性、主人公が発病を告げられる際の2人を背中から撮る構図、暗闇の中での妻への告白(このシーンの重みは凄い)、遠景だけで通す強烈なラストショットなど、最初から最後まで微塵も隙なし。ブルーレイだの何だのと騒ぐ前に、こういう名作をまずDVD化して下さい。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-04-12 04:46:12) |
3349. ジャニスのOL日記
普通に明るく楽しく笑える作品かと思っていたのですが、何ともしょぼい内容です。お局様的上司とのやりとり、格好良い(という設定の)男性社員とのなりゆき、そこでだんだん起こってくる事件など、すべてが2時間ドラマレベル以下で、見るべきところがありません。実はパッツィ・ケンジット目当てで見たのですが、その嫌われ役のお局様での登場で、見せ場らしい見せ場もありませんでした。それに、仕方ないとは思うけど、やっぱり老けちゃったね。 [地上波(字幕)] 2点(2008-04-12 04:38:05) |
3350. ザ・エージェント
《ネタバレ》 例えば、主人公が顧客を一斉にライバルにとられる場面なんかは、各選手たちの会話がいちいち作り物っぽくて、現実感がないのです。退職時の同僚とのやりとりとか、その後のキューバとのやりとりについても同じ。いかにも、「この人はここで挫折するんですよ」「この人たちはこうやって分かり合っていくんですよ」と解説がつけられているみたいで、見ていて醒めました。ボニー・ハントが自宅で離婚者の会合をやっているなんて設定も、いらなかったんじゃない?もう少し、表現したいことを突っ込んで練ってほしかったと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2008-04-11 03:59:44) |
3351. フライトプラン
《ネタバレ》 魅力的な設定に対するオチはかなり粗っぽくて、そこを期待すると腰砕けになりますが、例えば、問題が起こったときの機内のうんざりした雰囲気とかぞわっとした空気感など、優れた描写もそれなりにあったりして、案外捨て切れないのです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-04-08 23:42:23) |
3352. ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
楽曲、パフォーマンス、音楽による表現力は文句なし。なんだけど、それ以外の部分が音楽の添え物みたいな感じなので、その部分は減点。ただし、ロックを自分でやろうと思う人は見ておくべき作品。精神を削って魂を込めた音楽でないと人を感動させることはできないということを、よく知っておいて下さい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-07 23:25:38) |
3353. ゴッドファーザー PART Ⅱ
《ネタバレ》 現在のパートが妙に緊張感に欠けるなあと思っていたのですが、キューバのシーンや公聴会のシーンは、もう少し刈り込むべきでしたね。ロスとの対決も、終わりそうで終わらない割に締め方は妙に乱暴です。他方、過去のパートは、引き締まってはいますが、不遇時代に重点が置かれすぎで、ビトーが「のし上がっていく過程」をもう少し見たかった。ただし、いずれについても、入国のシーンにせよお祭りのシーンにせよ、ちょっとしたところでもきちんとセットやエキストラにこだわっているところは素晴らしく、作品に重厚感を与えることに貢献しています。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-07 01:19:24)(良:1票) |
3354. ベリー・バッド・ウェディング
《ネタバレ》 例えば、最初の方の警備員殺害の場面で、コメディにしたいのであれば、別にリアルな殺人描写をする必要はないのだから、誰かが一突きしてあっさり死亡、で場面の目的は達するはず。それをこの作品は、ことさらに警備員に長時間の苦痛を与えて、しかも断末魔の悲鳴までしつこく聞かせ、その間、5人の滑稽な動作を入れて笑いをとろうとしている。この時点で私はこの作品のセンスのなさを確信しましたが、一事が万事その調子でした。アメリカのコメディにはよくありますが、みんなが不必要にぎゃーぎゃーうるさいのも不快。そうまでしないと笑いとれないの? [DVD(字幕)] 2点(2008-04-04 23:14:29) |
3355. マルタの鷹(1941)
原作も実はそんなに面白いとは思わなかったのだが、映像で見ると印象は変わるかな・・・と思って見てみたものの、そんなに印象が変わることはなかった。大して裏のある話でもないのになかなか前に進まないし、主人公のやっていることがかなり行き当たりばったりなのも肌に合わない。ただ、一声発するだけで場をコントロールするほどのハンフリー・ボガートの存在感は、今でも見る価値はあると思う。 [DVD(字幕)] 5点(2008-04-04 03:07:12) |
3356. タイムトラベラー/きのうから来た恋人
《ネタバレ》 前置きの部分が少し長いのだが、それが全部裏返って動き出してからは、ラブコメのお約束をきちんと踏まえた好作品。ラブロマンスの部分以外でも、いろんな小ネタや伏線をちりばめているところに好感が持てる。ダンスのところでアリシアが段々不機嫌になっていくシーンが、何度見ても笑えます。あと、オチの親子の会話も、最初は意味がよく分からなかったが、あれはやはり、35年間核戦争を信じ続けた親父の落としどころとして必要な着地だったのですね。 [DVD(字幕)] 8点(2008-04-02 01:06:44) |
3357. 誰にでも秘密がある
《ネタバレ》 最初見たときはつまらないと思っていたのですが、再見したらなぜか面白かった。ビョンホンのやることなすことが都合よくホイホイ決まっていくのが楽しい(まあ、それもラストの伏線なのですが)。三女がギャルっぽくて魅力なしなのはマイナスですが、チェ・ジウ姐さんの真面目っぽい雰囲気はいい感じですし、長女の人妻の色香と戸惑いもなかなか。あと、弟はまだしも弟の彼女はいらなかったんじゃないかと思いますが、ラストの一言をどうしても入れたかったんですかね。ただそれでも、弟パートはもう少し短くできたと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-02 00:26:58) |
3358. プレステージ(2006)
ノーランのオタク魂全開の作品。中身やディテールがどうのこうのというより、この窒息しそうなほど濃厚に凝縮された空気感が、オタク。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-01 04:49:16) |
3359. ニュールンベルグ裁判
この歴史的事件を映画化するにふさわしく、重厚かつ丁寧な作りです。多くは法廷での弁論や尋問のシーンなのですが、シェルとウィドマークは鬼神のごとき迫力で(しかも大袈裟でない演技で)ぶつかり合い、トレイシーはそれを一言でずしりとコントロールする。バート・ランカスターは黙って座っているだけなのに、目の動きだけですべてを語り尽くしている。この緊張感だけで3時間お腹いっぱいです。長台詞の場面でも、それが必然性をもって迫ってきます。さらに、証人や関係者役の人たちも、ここぞというところで主役級の存在感を見せ、作品の重みを増しています。また、当然のことながら法廷という狭い限定空間でのシーンが多い中で、何とか工夫を凝らしていたカメラワークも、必死の努力が窺えて印象的でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-03-28 03:46:40) |
3360. 親切なクムジャさん
内容以前に、時系列も描写視点もぶれまくる乱雑な構成についていけませんでした。あんな表面上のテクニックだけに走ったような作り方をしていたら、復讐者の悲哀や孤独なんてまったく表現できないでしょうに。イ・ヨンエのごてごてメイクも、結局はインパクトを狙っただけで特段の効果はありませんでした。 [DVD(字幕)] 3点(2008-03-28 03:37:15) |