321. モナリザ
息の長い活躍を続けるニール・ジョーダンの初期の作品ですが、この人の中ではかなり好きな作品です。 ムショ帰りのヤクザの下っ端の冴えない男。人生がうまくいっていない、そんな男のかなわぬ恋の物語。 この人の作品を空模様に例えるなら、晴天よりも曇天。しかし、作品を重くさせない優しさがある。 恋の物語の結末の後味は決していいものではありませんでしたが、 親友と愛する娘と3人並んで歩く後ろ姿。そこに流れる名曲“モナ・リザ”が重なるラストシーンが見事。 本作もニール・ジョーダンらしい空気が流れる作品ですが、 ムショ帰りのヤクザの男。だけど、憎めない。ボブ・ホスキンスの名演があってこその作品でもあると思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-08 21:39:17) |
322. 大列車強盗(1973)
ジョン・ウェイン晩年の作品。ほのぼのとした味わいがあるコメディタッチの西部劇です。 西部劇としては無難にまとまっているというか、あまり特筆すべきものは無いのですが、 老境に入ったジョン・ウェインが実年齢という身の丈に合った西部の男を飄々と演じている。 ジョン・ウェインが見せる飄々としていつつも堂々とした貫禄。本作はもうそれだけでいいでしょう。 本作にはもう1人、僕が好きな人が出ている。ベン・ジョンソン。彼もまた飄々と楽しそうに演じている。 いい話じゃないか・・・。と思ったのも束の間のどんでん返しと、列車を追っかけて馬で駆け出していく西部の懲りない面々。 楽しくて実に気持ちのいいラストでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-01 21:11:56) |
323. 蜘蛛女(1993)
蜘蛛女というよりは生命力が尋常ではない超肉食の獣のような女を演じたレナ・オリンの怪演ぶりが凄い。 そしてゲイリー・オールドマン!直近で観た彼はチャーチルを演じていました。とても同一人物には見えませんが、 そういえばオールドマンってこういう感じでしたよね。 本作では悪徳刑事でもありますが、なんか徹底しきれない小物感を見事に醸し出しています。 誰1人共感できる人物がいない乾いた世界観に流れる気だるいジャズ調の音楽もいい感じです。 ジュリエット・ルイスの独特の気だるさのある喋り方も、こういう映画、こういう役に相変わらずハマっているのですが、 もうちょっと彼女をうまく使えたのではないかなとも思います。 もう1人、冒頭に登場するデニス・ファリーナ。イタリア系でマフィア役が似合う人なので、この人ももうちょっと活躍させてあげたかったですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-03-30 21:40:50) |
324. 輝ける人生
監督のリチャード・ロンクレイン自身がそういう年齢ということもあるでしょうが、 前作に続き、セカンドライフ、人生の晩年をどう生きるのかというテーマをコメディタッチで描いた佳作。 高齢化社会の現代。アメリカ映画でもイギリス映画でも、こういうテーマの映画が増えてきたような気がします。 登場人物の末期癌や重度のアルツハイマーという作品が重たくなる要素もありますが、 人生まだまだこれから。恋をするのに年齢なんて関係ない。 作品を通してみればそれ程重さは感じさせず、前向きなスタンスが気持ちいい。イギリスのベテラン俳優たちが好演。 イメルダ・スタウントンのラストのジャンプが清々しい余韻を残してくれます。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-22 20:33:04) |
325. 殺し屋とセールスマン
元々はフランシス・ヴェベール作の舞台の脚本が元になった作品のようですが 寡黙でクールな殺し屋が天然キャラの一般人につきまとわれ大変迷惑するという、 同じくヴェベールの作品である「ルビー&カンタン」とよく似たフレンチ・バカコメディです。 この人の作品はいつも90分前後でまとめられ、笑いのツボもしっかりとしていてどれも面白いです。 本作も住む世界もタイプも180度違う2人を絡ませ、そのギャップで笑わすという、この人の最も得意とするところ。 多くのフレンチ・ノワールでジャン・ギャバンやアラン・ドロンらと渡り合ってきたリノ・ヴァンチュラ。 1人大真面目な堅い演技。全く笑いを取ろうとしていない、作品の空気と馴染まないその演技が可笑しい。 ホテルの隣室同士になったタイトル通りの「殺し屋」と「セールスマン」ですが、 もう1人の天然野郎であるホテルマンの存在も効いています。 相変わらず途中はストーリーなんてあって無いような状態になるけど、やっぱりヴェベールのお馬鹿コメディは面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-22 20:30:57) |
326. あしたは最高のはじまり
《ネタバレ》 オマール・シーの良さが出まくりのシリアスな要素も含んだコメディ。 気楽な独身生活を謳歌していた男が突然、「あなたの娘よ」と赤ちゃんを押し付けられるところからストーリーが動き出す。 子育てに悪戦苦闘しながらも楽しい日常。次第に父と娘は堅い絆で結ばれていく。というストーリーに新鮮味は無いのですが、 オマール・シーと気のいい同居人のキャラと娘のかわいらしさもあり中盤まではほのぼのと気持ちよく楽しめる作品です。 しかし、後半に一度は子育てを放棄した実の母が現れて以降は次第に重い展開となっていきます。 少し「クレイマー、クレイマー」の空気を思い出したりもする作品ですが、 父と娘の関係に意外な事実が判明したり、不治の病に侵されていたのは父だと思っていたら実は・・・。 終盤は矢継ぎ早にシリアスな要素を詰め込んできます。そして最後は娘が・・・。 この手の展開も映画ではよくあるのですが、本作に関しては無理やり感が強かったですね。 [DVD(字幕)] 6点(2019-03-16 22:17:48) |
327. 運び屋
家族との間に生じた溝を修復できないまま年老いた男の人生のケジメの付け方。 本作は実話に着想を得た作品ですが、前回のイーストウッド監督主演作「グラン・トリノ」を思い出した。 名監督イーストウッドの作品に、名優イーストウッドが帰ってきてくれたことがまずは嬉しかった。 相変わらず、イーストウッド演じる男は偏屈な一面もあるが、意外にも犯罪組織の連中と饒舌に接している時や、 鼻唄まじりにヤバいブツを運んでいる最中は妙にユーモラスでのんびりとしている。 ピンとしていた背中も少し丸くなってはきた。もうすぐ90歳。それも当然だろうし、だからこその味もあったと思う。 何度も繰り返される運び屋稼業。その中に挿入される家族との関係や、DEA捜査官との味のあるやりとり。 それらが最終盤になって効いてきます。犯罪組織の連中との関りは不完全燃焼な感もありますが、 それよりも最終盤は家族との関わりとケジメの付け方をじっくり見せる。これで良かったと思えました。 そしてラストに流れる主題歌の歌詞がジ~ンと胸に響きます。 [映画館(字幕)] 8点(2019-03-14 16:16:16)(良:1票) |
328. バトル・オブ・ザ・セクシーズ
偉大なテニスプレーヤーであると共に女性の権利向上にも貢献したビリー・ジーン・キングが本作の主人公。 もっとコメディ色が強い作品だと思っていましたが、 バトル・オブ・ザ・セクシーズに至る彼女の色んな意味での闘いを描いた社会派の色合いが濃い作品。 コメディ的要素はスティーヴ・カレルが一手に引き受けている感じですが、流石という存在感を見せつける。 ビリージーンが目立たないほどの強烈なキャラクターなので、作品としてのバランスは微妙な感じもするのですが、 この道化のような男を演じながらも、それだけではない部分も垣間見えてくる。スティーヴ・カレルが持ち味を存分に発揮です。 本作はあくまでもビリー・ジーンの物語であり、試合終了後はごく短いワンシーンのみでしか彼を登場させないのが良かった。 しかし、台詞も無いこのワンシーンがすごく良かったと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-10 20:37:30)(良:1票) |
329. そして人生はつづく
まだ幼い息子を乗せて被災地に向かう1人の男。 最初は彼が何者かもその目的地も、何をしにそこへ行こうとしているのかも分からない。 1990年にイランを襲った大地震。 やがて目的地がコロルという壊滅的被害を受けた村であることがわかる。 そしてコロルを知っているという者に出会い、この少年を知っているかい?と差し出した写真。 写真の少年。見ている僕にも見覚えがあった。キアロスタミの代表作の1つにして 「ジグザグ道三部作」の第1作、「友だちのうちはどこ?」に主演していた、 友だちのうちを探して、村をさまよっていたあの男の子だ。 キアロスタミが「友だちのうちはどこ?」の舞台となった村コロルを訪ねて旅に出るストーリー。 作品の至る所に、タイトル通りの「そして人生はつづく」風景がいくつもあった。 子供や兄弟、身内を亡くしたという人々が多数登場しますが、 印象的なのは茫然として立ち尽くし、涙にくれている人が誰もいないということ。 男の黄色い古ぼけた車は舗装されていない坂道を苦しそうに上がっていく。 重い荷物を担ぎ、その坂道を徒歩で行く多くの人々とすれ違う。 時には彼ら被災地の人々から水を分けてもらい、時には坂道を行く被災地の人々を車に乗せてあげる。 支え合い、力強く生きる人々の姿がありました。 最も印象的なのはラスト近く、サッカーのワールドカップを見るためにアンテナを立てていた男とのやり取り。 「家族を亡くした人が大勢いるのにサッカーを見るのかい?」 「僕も家族が3人死んだけど仕方ないさ。4年に1回のワールドカップを見逃せないよ。」 そしてラスト。車はコロルに向かう最大の難所である急坂を、一度は駄目になりながらも再び力強く登っていく。 生きていると何度かは本当に投げ出したくなるような辛い坂道もあるけれど、それでも生きていかなければならない。 それはまさに「そして人生はつづく」という風景でした。 [DVD(字幕)] 8点(2019-03-05 17:40:22)(良:1票) |
330. ハイジ アルプスの物語
《ネタバレ》 これまでに何度も実写化された「アルプスの少女ハイジ」。 本作の他に、マックス・フォン・シドーがアルムおんじを演じた2005年版も見ています。 その時も同じことを思ったのですが、どうしてもアニメ版世代にとっては、 子どもの頃テレビで見ていたアニメを原作として見てしまいます。 2005年の実写版はアニメを意識しているような感じもあったのですが、 本作はその意識をあまり感じなかった。それはそれで良かったと思います。 基本的なストーリーはアニメや他の実写版とも当然ですが同じです。 山で伸び伸びと暮らしていたハイジが息詰まるような街での暮らしを経て、再び山に戻っていく。 そして山に遊びに来たクララが自分の足で立つラスト。 無骨なアルムおんじがいて、ペーターがいて、 アニメでも、他の実写版でも、やっぱり怖いロッテンマイヤーさんもいて。 アニメを見た大人は懐かしく思い出しながら見るもよし。勿論子どもと一緒に見るもよしです。 ちょうど先月、本作でアルムおんじを演じたドイツの名優ブルーノ・ガンツの訃報をニュースで見た。 本当に好きな俳優さんでした。ご冥福を心よりお祈りいたします。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-05 17:37:32) |
331. 二人でお茶を
1950年製作。ドリス・デイが一気にスターの階段を駆け上がっていった頃。 それだけに、彼女の魅力を存分に堪能できる作品となっています。 ドリス・デイという人は勿論きれいなんですが女優としては一味違った魅力がある人です。 気取ったところが無いというか、親しみやすさや健康的な明るさがある。 本作も彼女の笑顔がいっぱいの作品です。 ミュージカルの舞台の興行がベースになっているストーリーなので、 彼女の素晴らしい歌やタップダンスもたっぷりと挿入されています。 ドリスだけでなく、ミュージカルパートの多くで彼女のパートナーとなる男優が見応えのあるダンスを披露します。 ミュージカルとしてはこの2人以外のキャストは地味なのですが、 コメディとしてはベテラン勢がしっかり脇を固めて、この頃の映画らしい楽しさも十分の作品になっています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-02-26 20:41:11) |
332. 暴走機関車
本作のベースにあるのは脱獄モノなのですが、脱獄後に味わう自由や爽快感といったものはほぼありません。 脱獄モノとしては脱獄する囚人に感情移入できるところが無く、最終盤まで追手(本作では所長)との接近戦も無い。 パニックものとしての緊張感も物足りなく、(特に頻繁に挿入される管制センターのやりとり) 掴みどころがない部分もあるのですが、極寒の中、極限状態の人間模様を見せる映画としてはなかなか面白かった。 ラストのシェイクスピア作品の一節「どんな野獣にも憐みの心がある・・・」 これはジョン・ヴォイト演じる男のことを言っているのか。 この一節と、脱獄の相棒と途中から加わった女の命を助け、自らは生きようとしないラストが印象的。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-02-26 20:39:02) |
333. 救命艇
少し離れてボートの全体像をとらえたりすることもなく、カメラも登場人物と共にボートにとどまり続ける密室劇。 救助された一般人だけでなく、彼らが乗っていた船を撃沈させたUボートの乗組員が1人加わることによるサスペンス。 ドイツ語を解する人物が1人しかいないという設定もいい。 男が多数を占めるこうした海難もので女性が主人公となっている作品ですが、 戦争中の作品特有のサスペンスと共に海難サバイバルサスペンスとしても時代を考えれば健闘している作品だと思います。 その主人公を演じるタルーラ・バンクヘッドが圧倒的なオーラを放つ。 彼女が素足で隣にいる男の気をひこうとする演出なども、中盤のいいアクセントとして機能しています。 戦争中や終戦直後のヒッチコック作品にはいくつか、本作のように当時の敵国ドイツが登場する作品がある。 当時のイギリスはナチスとの闘いの真最中であり、ドイツ人が登場する他の作品と同様に 本作でも当然のように悪として描かれている。ドイツの船が簡単にやられてしまうラストも含め、 イギリス人であるヒッチコックの当時の思いが本作でもやはり作品の中に表れています。 ボートの外は何もない大海原という密室劇で、今回はどうやってカメオ出演を果たすのだろうと思っていたら、 まさかの新聞広告の中にご登場です。それもダイエット薬の広告のモデルでご登場とは・・・。 ヒッチコック独特のユーモアを出す場面が限られた作品の中で、クスッとさせてくれるご本人の登場シーンでした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-02-17 15:23:17) |
334. 普通じゃない
邦題は「普通じゃない」ですが、ダニー・ボイルのハリウッド初進出作品は案外普通のドタバタラブコメでした。 中盤まで犯罪逃避行を繰り広げるユアンとキャメロン、1970年頃なら思いっきりニューシネマ的な展開でしたが まだまだ若手の頃のユアンとキャメロン、十分に持ち味を発揮です。 しかし保作のキャメロンは終始クールな表情。もう少しいつもの笑顔を見せてほしかったですけどね。 この2人も良かったんですが、デルロイ・リンドーとホリー・ハンターのコンビがこの作品をより楽しいものにしていました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-16 18:19:01) |
335. プライベート・ベンジャミン
ゴールディ演じる大富豪の箱入り娘ジュディの結婚式で始まり、ラストもまた彼女の結婚式で終わる作品ですが、 ラストの結婚式では、オープニングからは想像もつかない成長して強くなった彼女の姿がありました。 これも女性映画の流れをくむ作品だと思いますが、泣いたり笑ったりしながらも逆境にめげずに生きていく。 ゴールディの持つ個性、魅力にピッタリの作品です。 オープニングのウェディングドレス姿も、軍服姿の彼女も、ゴールディは変わらずキュートです。 彼女の父親を演じるサム・ワナメイカーが古い世代を象徴するような男を好演。 パワフル・コメディエンヌ、ゴールディの魅力が全開であり、本作の映画としての見どころも 泣いたり笑ったりしながらも頑張って一人前の軍人になっていく軍隊時代です。 軍隊の養成学校モノに欠かせないキャラで登場のアイリーン・ブレナンもいい味を出しています。 作品の土台にあるのは軍隊がどんな所かも全く知らない世間知らずのお嬢様が成長していくという物語なので ゴールディを見ているだけで楽しい軍隊時代も彼女の成長の一過程というのは仕方がないのかもしれませんが、 後半は別の映画のようになってしまってトーンダウンしてしまうのがちょっと残念。 それでも、力強く歩いていく彼女の姿で終わるラストはこの頃の女性の自立を描いた映画のラストらしい清々しさがありました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-02-09 22:11:46)(良:1票) |
336. ファースト・マン
「セッション」「ラ・ラ・ランド」とミュージカル、音楽系の素晴らしい作品を連発してきたチャゼル監督。 その最新作は人類史に残る英雄を1人の人間として描いた良作でした。 本作の主人公であるニール・アームストロング。 人類史上初めて月面に降り立った英雄という評価が1人歩きしているようでもありますが、 そんな彼も仕事を離れると妻や子どもがいる、いち家庭人。その喜びや悲しみ、 国家を挙げてのプロジェクトの主人公である彼にかかる非常な重圧。その人間ドラマに想像以上に軸足が置かれた作品。 彼と家族の関係や、妻や子ども達が彼を宇宙に送り出す際にかかるストレスなど・・・。 家族のパートの際に多用される不安定にぶれる映像。見やすくはないですがその意図は分かるような気がする。 しかし時間と残り燃料との闘いでもあった終盤の月面着陸と神々しい月面シーンは見応え十分。音楽も実に効果的に作用しています。 作中にも描かれたように批判も巻き起こった、当時のアメリカが宇宙開発に注ぎ込んだ莫大な予算。 時は冷戦真っ只中。米ソが先を急ぐように加熱する宇宙開発競争の陰で命を落とした仲間たち。大変な思いをさせた家族。 様々な犠牲の末に偉業を成し遂げた彼に笑顔はなく、無事帰還して歓喜の輪に包まれたり、成功を称える記者会見の場でもなく 台詞も無い妻と2人きりのひっそりとしたラストもまた本作を象徴していたと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2019-02-08 17:28:45) |
337. 刑事コロンボ/歌声の消えた海<TVM>
《ネタバレ》 犯人がお粗末なので出来としてはイマイチですがこの作品、 シリーズのいつもの作品とは全く異なった作品の舞台が面白くて割と好きなんです。 豪華客船でカミさんと一緒に休暇中の警部。缶詰の懸賞に当たった旅行というのが庶民派警部、コロンボさんらしくていい。 しかしすぐそこにいる気配はあるもののやっぱりカミさんの姿は見せてくれません。 警部に振り回される部下も出てこないし、警部のボロボロの愛車も出てきません。 ヨレヨレコートもほとんど出てきません。「汽船」と「ボート」が面白かったりします。 やっぱり警部の行く先には事件が起こりますが、船上という捜査が制限される中で警部が能力の高さを随所に見せてくれます。 行方不明の手袋が出てくれば事件が解決となれば、犯人に手袋を出させる手腕もお見事です。 それにしても警部の捜査に非常に協力的な犯人のダンジガーさん、喋れば喋るほどにボロを出していきます。 最後もやっぱりまんまと手袋を警部の思惑通りに出させられ、鼻唄まじりの警部に「ダンジガーさ~ん♪」と 陽気にとどめを刺されるラストもいつもの空気とは一味違うものがありました。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2019-02-02 18:25:52) |
338. 愛と精霊の家
作品のタイトルからも予知能力のあるクララを軸にした、大人の御伽噺的な家族の物語と想像していたのですが、 そういった要素は抑えられたジェレミー・アイアンズ演じる男の一代記的なストーリーは意外でした。 予知能力を持つという設定が少女時代を除きあまり活かされていないと思うし、 クララの終盤の台詞「人生は奇跡」の通り、原作にはもう少し寓話的要素があったのかもしれません。 それにしても豪華なキャストが揃った作品です。前半にその存在感を見せつけるグレン・クローズ。 当時40代半ばのアイアンズ。複雑な設定の男の人生の最終盤までを演じる演技は見事。 この先スターになっていくヴィンセント・ギャロやアントニオ・バンデラスの存在も見逃せません。 原作未読なので何とも言えませんが、原作の世界観とは少し違う形になっているような気はするものの 140分を一気に見せる力強さがあり、ある男の一代記として見れば アイアンズの名演もあり十分に見応えのある作品になっていると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-30 16:35:24) |
339. 皆殺し無頼
《ネタバレ》 邦題の通り、冒頭から次々人が殺される刺激の強い展開、濃いキャラの登場人物(特に敵の女ボス)。 アメリカ西部劇とは一味違う音楽と主題歌がカッコいい。 マカロニウエスタンらしい作品でそれなりに楽しめる内容となっています。 闘うことになるはずだった2人のガンマンが互いを認め合い最後は共闘する。 朽ち果てた町の形状をうまく活かした最後の銃撃戦がなかなかの面白さ。 まあ、敵が結構無防備に突撃してくるので仮面ライダーのショッカーの戦闘員並みに弱かったですが・・・。 ここにいかにも西部劇の悪役という登場人物が1人いれば良かったんですけどね。 「ご主人様~!」と主人公の男につきまとい続けるおっさんが最後まで意外にいい味を出していました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-27 18:17:18) |
340. アウトバーン
ザ・カーアクション映画というタイトルの作品ですが、それだけの映画でもありません。 犯罪が絡むことは多いですが、本作はほかにもロマンスに恋人の難病といったドラマの要素も。 しかし、こういう映画を見たくなる時って頭を空っぽにしてたっぷりカーアクションでも見るか、という時が多いと思う。 そういう意味では意外とカーアクションの時間は少なく中途半端な作品に終わってしまった感じです。 敵の黒幕とか、影の権力者とかにやたらと豪華なキャストが顔を揃える。 B級アクション映画なんかでたまにこういう映画に出くわすことがあります。 本作ではアンソニー・ホプキンスとベン・キングズレーが頑張ってくれているんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-01-25 22:07:24) |