3661. シュウシュウの季節
《ネタバレ》 荒削りながらも一直線な演出のおかげで作品としてのインパクトは強いし、社会の大きな動きの中での個々の弱者に注目した姿勢についても評価したい。しかし、一番凄いのは、最初にもっともらしく登場した男の子が、最後の申し訳程度のナレーション以外まったく登場しないという点。あれだけ視点を確保していたら、後の方でも何かやるのが定跡なのだが、その手法をあえて無視することによって、主人公が巻き込まれた「容赦なさ」を表現することに成功している。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-23 02:13:26) |
3662. クリムゾン・タイド
《ネタバレ》 そういえば、潜水艦ものってあまり面白いと思った記憶がないなあ・・・。大抵は狭い艦内で右往左往しながら大騒ぎしているだけであって、危険が全部言葉で説明されているし、映像的な面白みも少ないというように感じてしまいます。この作品もそれに含まれはするのですが、中盤手前の敵の魚雷攻撃への対応など、その前の訓練のシークエンスが見事に伏線として決まっている上に、無線と専門用語のやりとりを延々と続ける演出に力が入っていて、ここはかなりスリリングでした。ところが、その後のハックマンとデンゼルの分かりやすい対立によって、一気に底が浅くなってしまいました。あそこはやっぱり、対立を抱えながらも任務遂行との狭間で揺れる心理の綾を続けてくれないと。双方が武装して核兵器があるすぐ横で主導権の取り合いなんて、ほとんどギャグの領域です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-01-19 09:23:28) |
3663. NY検事局
《ネタバレ》 前半の成功一直線部分があまりにも平凡すぎて薄っぺらいので、肝心の後半が全然生きていません(それにしても、あんな誰が見ても「勝って当然」の筋の事件で勝って大喜びしてる検事局って・・・)。邦題も工夫なさすぎ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2007-01-16 01:14:01) |
3664. アラバマ物語
意外に裁判関連部分のウェイトが少なかったのに拍子抜け。前半の近所遊びの部分なんて、かなりどうでもいいと思うのですが・・・。ただし、子供の視点を通して、手を広げすぎずに身近なところを確実に押さえているのが、作品に現実感を与え、見た後の印象を良くしている。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-01-15 02:24:02) |
3665. 羅生門(1950)
それぞれがもっと大きく異なる話をして、全体が覆るような逆転の連続を期待していたので、意外に大筋においては違いのない内容の語りの繰り返しに拍子抜けしました。ただし、余計な要素を極力削って端的にまとめた作り込みの手法は、現在でも参考になります。 [映画館(邦画)] 5点(2007-01-11 01:28:22) |
3666. リトル・ミス・サンシャイン
《ネタバレ》 最初の全員揃っての食事のシーンだけで、登場人物それぞれの駄目っぷりと、俳優陣の呼吸の合い具合に笑いが止まりません。全員が欠点まみれな割に不快感が起こらないのは、制作者の対象に対する愛情が満ちあふれているからでしょう。クライマックスの、ほかの人に比べて明らかに貧乏くさい服装の一家が、ちっとも揃ってない格好悪いダンスを嬉々として踊るシーンの何と素晴らしいことか!あと、アーキン爺さんやアビゲイル・オリーブちゃんのインパクトが若干目立つ感じですが、あえてこの作品の最大の功労者としては、トニ・コレット・ママを挙げたい。いろいろ変な人たちが集まっている中で、あのように一見して特徴のなさそうな人ほど、演じるのが難しいはずです。 [映画館(字幕)] 9点(2007-01-08 22:31:45)(良:1票) |
3667. 約束 ラ・プロミッセ
老人の、ムッと押し黙っている(ように見える)外見と、ひたすら愚痴り続ける内面の独白のギャップが面白いです。少年の無茶な行動を何だかんだいいながら受け容れているまわりの大人たちも素敵です。老人の妻や少年の母、看護師や医師などは、もう少し活躍の余地はあったというか、もっとやりとりを見たかったという気もしますが、これくらいのあっさり風味がちょうどよいのかも。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-08 01:47:23) |
3668. ハリーとヘンダスン一家
《ネタバレ》 あらすじからほとんど想像できるとおりの内容なのですが、担当者の執念のようなビッグフットのメイク+特撮は褒め称えたい。ラストのお遊びも面白かったです。 [地上波(吹替)] 5点(2007-01-07 01:22:52) |
3669. 推定無罪
《ネタバレ》 最大の証拠物件のグラスが存在しないなんて、その時点で公判飛んじゃうでしょ・・・。検察がそもそもあまり有能そうに見えない上に、判事まで関係者であるなどミスリードが突飛すぎて、元の段階でそんなに面白くなかったので、ラストにもカタルシスがありません。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2007-01-06 23:06:15) |
3670. ザ・メキシカン
キャスティングも問題だが、それ以前に中身がまったく面白くない。どうせなら徹底してお馬鹿路線に行けばいいのに、最後に中途半端にシリアスにしてしまうセンスのなさに失笑。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2007-01-06 02:34:27) |
3671. ザ・ウォッチャー
殺人鬼系でこれほど怖くもなければスリリングでもないのも珍しいような・・・。 [DVD(字幕)] 2点(2007-01-06 00:24:16) |
3672. 天国までの百マイル
《ネタバレ》 時任三郎が内気な駄目息子を好演していました。導入から中盤までの展開もそれなりに無駄なし・ムラなしの描写で好感を持ちました。で、かなり期待がふくらんだのですが・・・着地が完全な失敗なのです。手術後の主人公の心理表現、そこからの動きというのをほとんど全部省略しているのは「逃げ」としか思えないし、あんな締め方では、主役は時任じゃなく大竹しのぶになってしまいます。何のために見ている側が主人公と一緒に鴨川までついていったのか分かりません。一応、中盤までを評価して点は甘め。あと、本筋とは関係ありませんが、小野寺殿下があんな悪役を自然にやっちゃってるのは、ちょっとショック・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2007-01-05 00:16:49) |
3673. 日本の黒い夏 冤罪
事実経過の概要はある程度多くの人が知っている対象であるわけですから、きっと綿密な取材と検証を経た濃密な再現と解釈が提示されるのだろうと期待していたら、いきなり冒頭の高校生の語りでずっこけました。この作品を見る人の視点がこの高校生であることは誰でも分かる当然の前提であって、何でそんなことをわざわざ作中に盛り込まないといけないのかなあ・・・。現に、寺尾聰や石橋蓮司がどれだけ頑張っても、現在の取材シーンがずかずか入り込んでくることによって、作品の緊張感は容赦なくぶったぎられますし、当時の生の状況など伝わりようがありません。まあ、好意的に考えると、全部を再現にしてしまうと、映画表現としてのデフォルメは避けようがないとの判断で、あえて「確実に事実と確定できる部分」に絞ったのかもしれませんが。もっとも、こういったことを映像記録として残すことは重要ですし、志や目的意識の高さは評価すべきと思いますので、この点数。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-01-04 17:48:04)(良:1票) |
3674. 光の旅人 K-PAX
《ネタバレ》 タイトルから勝手に大風呂敷系拡散SFを想像していたので、意外に上質の緊迫感ある心理サスペンスだったのにびっくり。結論をどれとも出さずに、いろいろな解釈を残しているラストが、清冽な余韻を残している。ただし、ケビン・スペイシーの神憑り的演技に対して、ジェフ・ブリッジズの「受け」の演技が弱いのがちょっと残念。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-04 15:22:21) |
3675. キッド(2000)
《ネタバレ》 子役が可愛くなさすぎな時点ですでに失敗です。それに、主人公の元の人生も別に悪くない感じだし、あえてやり直さないといけない必要性は感じませんけど。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-01-04 00:11:42) |
3676. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 B級ラブコメと思わせておいて、実は真面目なスポーツ特訓もの、というような展開を期待していたので、コーチとの恋愛沙汰云々にがっかり。女子サッカーという素材自体は新鮮なので、ああいうのを抜きにしても、十分優れた青春映画は作れたと思うのですが。肝心のサッカーの部分の撮り方がいい加減な上に変な映像操作をしていて、肉体の躍動感を表現していないのもがっかり。●ただし、主演の彼女のまっすぐな演技には、なかなか好感。何かまずいことがあったときの、「あ~あ」みたいに違う方を向くときの表情が良い。 [DVD(字幕)] 5点(2007-01-03 21:16:02)(良:1票) |
3677. メラニーは行く!
《ネタバレ》 これって単なる「二股女大勝利の巻」なんじゃないのか?主人公はまわりを散々振り回しておきながら、自分は傷つくこともなく、他人の傷に思いをはせることもなく、結局全部都合の良いところだけ持ち逃げしている(それに拍手喝采している周辺住民には、KKKも真っ青だ)。こんなものはラブコメとは認められません。リースのコメディエンヌとしての存在感にのみ3点。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2007-01-02 00:52:09) |
3678. 8 Mile
《ネタバレ》 ラップシーンはほぼ最初と最後だけにして、希望のない行き詰まった生活を、鬱々とした曇り空の下で延々と描いているところが良い。あと、キム・ベイシンガーの中年の色気が意外に作品の雰囲気にはまっていたのは新発見でした。まだまだ妖女健在です。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-01 23:06:37) |
3679. プリティ・ブライド
意外に笑える場面もそこそこあったのだが、こんなアホコメディにギアとロバーツというのがすべての間違い。もっと若い人にやらせていたら、そんなにちぐはぐになることもなかっただろうに・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2007-01-01 01:57:57) |
3680. ジョゼと虎と魚たち(2003)
《ネタバレ》 人物描写がかなり演出側の趣味に走っている感じで、もうちょっとで自己満足作品に陥りそうなのが、ぎりぎり踏みとどまっているという不思議な作品。何かいろいろからんで来そうな老婆を中盤であっさり消し去る手際と、感傷を排したラストのぴたりとした着地の感触が良い。 [DVD(邦画)] 6点(2006-12-31 23:54:25) |