361. ラスト・ショー
シビルシェパードがめちゃめちゃ可愛かったね。白黒の映画だったけど、そこだけ輝いていたような。 8点(2003-09-07 19:22:40) |
362. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
とても好きな映画。僕が観たのは「グレートブルー」(THE BIG BLUE)でしたが。映像と音楽がとにかく素晴らしいですね。シチリアの白い大地と青い海、青い空のコントラスト。まるで海が奏でたような、静謐でいて躍動感溢れる音楽。ジャックのライバルであり、友人でもあるエンゾのキャラクター造形も何ともいえない味があります。ジャックにとって海とは、父親を奪った悪魔でありながら、常に自らを優しく包み込み、安らかな一体感を誘う大いなる(母なる)存在であったのではないか。その海がまたしても友人であるエンゾを奪った時。。。彼は悩みながらも、最期は海に誘われるがまま、海と同化することを選びます。そこに本当の答えがあると信じ。。。彼の中では自分こそ人の命を奪う海であり、悪魔だと思ったのかもしれませんね。彼にとっては避けられない結末だったのでしょう。彼はジョアンナという素敵な女性に恋をし、普通の生活を始めようとした矢先でもありました。簡単に言ってしまえば、男のロマンということになるのかな?? 大いなるものに導かれ、己の信じる運命に抗えず、自分の本当を確かめる為に、あなたを振り切って出ていこうとする彼氏に対して、ジョアンナのように「Go and see my love.」と言って送り出すことができるだろうか? どうでしょう、女性の皆さん。まぁ現代の普通の男性にとって、可愛い彼女と子供以上に大切なものなんてないだろうけど。 10点(2003-09-07 18:11:09) |
363. ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
シリーズ最高作でしょう。まだ小さかった子供と一緒に何回も観ました。あの列車追跡シーンは2歳の子供でも理解できる!? 9点(2003-09-07 08:50:36) |
364. ブレードランナー
文句なし。いまさら言うことなし。原作をある意味で超えている。大傑作。 10点(2003-09-07 00:25:11) |
365. 最も危険な遊戯
松田優作といったら、やっぱり「遊戯」シリーズでしょう。アクション俳優としての彼が最も光る作品。今見るとやりたい放題って感じがしないでもないが、ただただ暗殺者として彼のスタイリッシュな一挙一動を堪能できる映画。 9点(2003-09-07 00:16:42) |
366. 偶然の旅行者
《ネタバレ》 とても面白いと思います。この作品の主人公は、息子の死や妻との離別によって生きる意味を見失いながら、もう一度人を愛する気持ちを取り戻すことで、生きてゆく活路を見出していきます。「自分を愛するように人を愛することはできない」と言ったのは、かのドストエフスキーさんですが、それは、ある意味で恋愛に対するナイーブさの顕れ。この映画のように恋の妖精はそう簡単に向こうから現れないもの。心のままに生きるといっても、なかなかねぇ。 9点(2003-09-06 23:56:55) |
367. 1900年
いや長いね。ここまで長い映画を一気に観せるっていうのもどうかと思うが。(まぁ映画館では途中で休憩があったけど) とりあえず観ている最中、背中は痛くなるわ、首は痺れるわで結構大変でした。もちろんデニーロはかっこいいし、ドミニクサンダは綺麗だし、サザーランドもいい味だしてます。でもストーリー的にいまいちのめり込めなかったところがあったし、特に赤旗が延々となびくラストはやっぱりきつかったなぁ。尻もきつかったし。 8点(2003-09-06 23:27:10) |
368. スワロウテイル
結構言いたい放題言われてますね。僕はこの映画に感動したし、面白いと思いましたよ。とても素直にね。「Love Letter」を観た時からこの監督は只者ではないと思っていたけど、この映画に至って、ストーリーにしても映像にしても音楽にしてもいろんな意味で映画という表現スタイルの可能性を最大限に使った手法は見事という他なく、あ~(日本)映画もここまで来たか~という感慨を受けたものでした。Charaがいいですね。彼女を日本で一番の女性ボーカリストだと思っている僕としては、彼女を主演に選ぶセンスにもう脱帽です。この監督、作品毎に全く違った感銘を僕らに与えてくれる、日本ではとても稀有な存在。多分に彼の美意識に由来する映像や台詞がダメな人もいるかもしれないけど、なんか僕にはすごくピタッとはまるんですよね。それは僕が少年ジャンプ世代だから?そうなのかな?MTV世代ではあるけど。まぁどうでもいいが。 10点(2003-09-06 23:14:31) |
369. カイロの紫のバラ
映画の中の世界というのは、フィクションであろうが、ノンフィクションであろうが、観る者にとってはあくまで想像の世界です。想像は美しく、そして現実には手が届かないもの。その現実がまさに手の届くところにあったとしたら。。。スクリーンの中の憧れの俳優がまさに私の目の前に現れたとしたら。。。そんなストーリーなんて現実に起こるわけない!単なるファンタジーでしょ、っていう声が聞こえてきそうですね。「ニューシネマパラダイス」のアルフレードがスクリーンの女優たちに想いを抱き続けたように、「カイロの紫のバラ」のセシリアも「憧れ」の対象として映画を観続けます。そんなナイーブさを現実逃避だといって笑うでしょうか?そうかもしれません。でも、彼女たちのナイーブな想像世界は、そのナイーブさ故に、彼女を彼女自身たらしめるとても大切なものだと僕は思います。「憧れ」とは、起こり得ないことに可能性を抱くこと。それはある意味でポジティブで、ある意味で哀しい。しかし、その哀しさは、慈愛となり、あるとき恋の熱情にもなる。そして、それは、僕らを常に優しい気持ちにしてくれるのです。映画への「憧れ」は人を優しくします。そう思いませんか? 9点(2003-09-06 22:27:06) |
370. フィールド・オブ・ドリームス
《ネタバレ》 若くて精悍な自分の親父とキャッチボールをするラスト。このシーンだけの為にこの物語があったといって過言ではない。親父に対する憧憬と確執、疎遠、そして後悔。あまりにも類型的だけど、やっぱり泣けちゃうんだよな。 9点(2003-09-06 22:04:11) |
371. 12人の優しい日本人
敢えて断言。「12人の優しい日本人」は、「12人の怒れる男」よりも断然面白い!。。。ふぅ、言ってしまった。はっきり言って推理劇タッチの「怒れる男」は僕のようなアンチミステリー派にとって、あまりにも真実を一元化しすぎているし、社会派を標榜する割りには陪審員制度の問題点を真の意味で論うことなく、居丈高な民主主義の価値観や義務感によって自ら正義を負う者として規定し、皆が一つの真実を追うことに固執すること、そのことを美化しすぎているように思える。本当の真実とはこうなんだ! こうあるべきなんだ!ってね。また、登場人物たちにはそれぞれのナラティブがあり、それは当然一つに集約すべきものではないのだ。すべての思惑が一つの真実を指し示すなんてあまりにも予定調和すぎる。所詮、おめぇたちは一般市民じゃねぇのかよ。。。などと陪審員制度自体に馴染みがない僕なんかは「怒れる男」を観た時に素直にそう思ったものです。それに比べ、この「優しい日本人」は実に「いい」加減で、最期まで正義に固執しない姿勢がとても晴れやかだし、陪審員制度が日本人に合わないことを明確に主張しているように思える。なおかつ人間描写が多分にデフォルメされてはいるけどとにかく面白い。「怒れる男」のパロディ映画としても秀逸だと思うが、これは本編に対する一種のアンチテーゼでもある。所詮、人に人は裁けないと思うよ。僕は怒れる男であるより、優しい日本人でありたいと思うけどなぁ。「真実の行方」って映画があったけど、あの映画のラストシーンを「怒れる男」に対比してみると面白いかも。 9点(2003-09-06 17:05:08)(良:5票) |
372. ガープの世界
「ガープの世界」とは、“父”の不在を前提とした“母”の崩壊めぐる寓話である。こう言ってしまうと、なんだ江藤淳の「成熟と喪失」の引用かい、と思われるかもしれないが、この物語を読み解くのに、日本型フェミニズムの到来を予見した江藤淳の60年代の名著が手がかりになることは間違いない。なぜアメリカ人のアーヴィングが江藤淳なのか? 確かに「ガープ」に関わらず、「ホテルニューハンプシャー」でもアーヴィングは成熟しない<し得ない>家族の物語を描いている。「ガープ~」は、特に父の不在を前提とした中での、母性の密着と崩壊をテーマとして扱っていると思える。父の不在は、精神喪失の世紀と言われる19世紀からの自明の現象であり、その自明の不在を敢えて物語として設定化した上で描きたかったものは、現代的問題である母性の行方のはずなのである。<ここで言う母性とは、根拠のある自閉性といっていいかもしれない> だから、ガープの母親ジェニー・フィールズは、過激なフェミニストにして、やはり母親そのものであるというアンビバレンツな存在なのだ。これは小島信夫「抱擁家族」と全く逆のシチュエーションであり、アーヴィングは母性を崩壊させない。「すべてを受け入れて赦す母」と「責任に耐える治者としての父」、これは江藤が夢想した国家イメージである。これはアーヴィングの登場人物たちが目指す家族イメージに重なるだろう。江藤にとっての日本は、アーヴィングにとっての家族なのである。そして、それは、母子という最も根源的な関係性を前提としているのである。「ガープの世界」は、この問題に対して、どう着地しているか。ガープは決して成熟していないが、そこには既に失われたものでありながら、成熟する為の根拠を求める意志があり、彷徨があるのだ。「ホテル~」もそうであるが、そこがこの作品の着地点であると感じる。しかし、僕たちにとっては、日本も家族もその根拠を求める意志すら薄らいでるようだ。これこそが江藤が決して認めたくなかったことだが、常に彼の著作に漂っていた現実なのである。最後の最後でこの2人の見通しは決定的に違う方向を向いていたといえるのではないか。そして、今や母の崩壊は成熟を意味しない。父の不在の中で母の崩壊を達成する、それは根拠のない自閉性の罠に嵌ったということなのだ。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 16:09:52)(良:1票) |
373. スケアクロウ
大学生になりたての頃に観て、すごく衝撃を覚えた作品。最初のマッチ擦り擦りの出会いから最後の靴のシーンまで、ストーリーは淡々としたものだし、派手な展開もないけれど、作品自体がとても「向き合っている」という印象を受ける。その当時、凡百のエンターテイメント作品に飽き飽きしていた僕にとって、この真摯なロードムービーはかなり心に堪えました。人が真っ当に生きていく為に大事なものとは何か? 信じることに疑問が生じ、優しさに裏切られ始めたあの頃。人生って、ちょっとしたボタンの掛け違い、ほんのちょっとした思い違いで取り返しのつかない事態を招いてしまう。それは当たり前のことなんだけど、取り返しのつかなさがあまりにも境遇的なところに因っていて、そのどうしようもなさが辛い。。。 誠実さの行く末とはいつもこんなものなのかなぁ、と。ある意味でそれはアメリカ的な現実で、そんな現実の側面に当時の僕はささやかな衝撃的を受けたのだと今では思う。それは単なるニューシネマ特有の青さかもしれないが、僕にとってものすごく切実だったのです。とても思い入れのある映画、故に大傑作です。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 16:08:29)(良:1票) |
374. 蜘蛛女のキス
とても哀しいラブストーリーだと思う。恋する感情を強烈に見せられると、なんで人は哀しい気分になるんでしょうね。三島由紀夫が「豊饒の海」で恋愛とテロリズムを同列に扱っているが、恋への妄想も現実変革への希求もその心情の過剰さは抗いがたく、すべては叶わぬ想いの中で自らの美意識に消えゆくのみか。 10点(2003-09-06 15:12:59) |
375. 天国の日々
彼らの天国は綻びだらけだった。リチャードギアの笑ってるのか笑ってないのか、ちょっといやらしくて、すごくイノセントな表情は良かった。人間のちっぽけな情念も最後には自然に呑み込まれてしまったが、それでも人間は自然に抗い、小さな天国を構築しようとする。快楽への意思は善悪を超えようとし、誠実さの罠に捉まる。広大なプレーリーの中で、大いなる時の流れの中で、男女3人の織り成すちっぽけな人間模様は、その美しい映像と印象的な音楽によって、いつまでも心に残る叙事詩となった。サムシェパードやブルックアダムス等、キャスティングも秀逸。 10点(2003-09-06 14:37:08)(良:2票) |
376. イマジン/ジョン・レノン
ジョンレノンに100%共感できる人というのは、もはやいないのではないかな。実際、彼のファナティックとも思える行動にそれほど惹かれるものはないし、「イマジン」で歌われる理想に心底ジョインする気分にもなれない。にもかかわらず、ジョンレノンという、そのすべてを否定できないのはなぜだろう。それは多分、僕が「イマジン」よりも「ジョンの魂」の方が好きだということに関係するのかもしれない。ジョンとヨーコが初めて出会った有名なシーン。ヨーコの個展を訪れたジョンが備え付けの虫眼鏡の中で見た小さな「Yes」の文字。自らの赤裸々な想いを小さな「Yes」に乗せて歌う「Mother」や「God」。大きな「Yes」でも小さな「No」でもないもの。この映画に垣間見える、彼が本当に追い求め、そして得たもの、語られない彼の密やかな情念、映画「イマジン」の映像や音楽が確かな形をもって伝えてくるものがある。死ぬ前の一枚の写真。彼の真摯な視線の先に見ていたもの。ラストの死のニュースには自然な哀しみを覚えた。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 14:09:19)(良:1票) |
377. ダイナー(1982)
この手の青春群像を描いた映画って結構ありましたね。「セントエレモスファイヤー」とか「ファンダンゴ」とかね。その中でもいちばん好きな映画です。クールでいて、もの哀しい、そんな雰囲気がたまりませんです。あ~、青春だァ。 9点(2003-07-27 17:02:48)(良:2票) |
378. ラウンド・ミッドナイト
《ネタバレ》 世界は何故丸裸なのかな? 心と魂は人間の中にある。 魚は水の中。 だが世界は周りに何もない。 いいことか、悪いことか、 覚えておこう。 『ラウンド・ミッドナイト』 -デクスター・ゴードン/海辺の語り- デクスターゴードンのナチュラルな演技(アドリブ)に魅了される。 その息遣い。失われた熱情をなぞりながらもジャズへの愛情を深く感じる映画。 そう、これは映画である。ジャズ・ライクな映画。 ジャズに生きた男がその魂を語る言葉。声。そして音楽。 それが彼の世界であり、この映画の魂。 レディ・フランソワが受け止めたように、 それは、僕らの心と魂に伝わる。 失われたものを想起させる。 素晴らしい映画。珠玉の作品。 ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムス。 演奏シーンも痺れる。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-07-27 16:00:45) |
379. タクシードライバー(1976)
この映画のテーマはずばり「正義」の行く末でしょう。この世の中に正義がなくなって久しい。主人公が愚直に信じる正義の観念とはうらはらにその向かうべき対象は異様なねじれを見せる。そういう世の中である。一見するとそれは単なる狂人の妄想に思えるし、ラストの展開は「暴力衝動」の発露そのものに見える。スコシージ自身もデニーロの圧倒的な存在感を軸として、そういう見せ方をしているから、この映画自体がストーカー的な「狂気」へのひそやかな共感という見方をされることも分かる。しか~し、始めに戻ると、この映画のテーマは「正義」の行く末である。僕らは今やこの「正義」の意味についてあまり自覚的でない。その当時、アメリカがベトナム戦争を「正義」の戦争として遂行していた時、主人公の「正義」は確かにあったはず。「正義」への従属こそ人を生かしめた時代があり、その後それは「懐疑」の象徴に代わった。ベトナム後ですら、主人公はあまりに「正義」への従属に愚直であり、そういう人間像として、主人公は「正義」に殉じるヒーローたろうと奮闘し、その末に念願のヒーローになる!が、それはあまりにいびつで滑稽な達成であった。「正義」という観念にとって、それはそれはもの哀しいラストなのである。「正義」や「ヒーロー」という言葉に空虚な響きしか覚えない現代の僕らにとって、そのいびつさは自明すぎるだろうか。「正義」は「小さなラディカリズム」へと変遷し、今では「狂気」そのものになってしまったのだろうか。失われた「正義」に心を震わせること自体が既に時代遅れな感覚なのだろうか。 10点(2003-07-27 15:54:38) |
380. マトリックス
確かにストーリーは陳腐。これをサイバーパンクというにはあまりにもちょっと。SF的な魅力<哲学>としてはやはり奥行きに欠ける。意外性もないし。おそらくここで扱われているテーマをもっと掘り下げることも可能だったかもしれないが、この映画にとってそれが良かったとも実は思えない。幅広く支持される為にはこの程度のストーリーで自慢の映像技術を炸裂させた今のスタイルの方が良かったんだろうな。それが成功の秘訣でしょう。まぁ基本的に僕は楽しめましたよ。結構つっこみを入れたくなるところがたくさんあったし。あと、この手の映画って、今後は映像技術とキャラ立ちに尽きてくるんだろうね。ストーリー的な奥行きを追求しすぎたら多分コケて、金を回収できなくなるから。 8点(2003-06-07 21:20:29) |